僕の自殺を止めてくれた彼女を、今度は僕が救いたくて1
「僕は鳥になりたかった」
学校の屋上で空を見上げながら高遠優斗はそう呟いた。
彼は人生に絶望していた。
普通の人生が嫌だった。
親の言いなりになるのが嫌だった。
学校の規則に縛られるのが嫌だった。
けど僕はただ従うしかなくてどうすることもできなかった。
その無力感が絶望を生み、その絶望が彼を死へと至らそうとしていた。
僕も空を飛べるのだろうか、その一筋の希望が彼の飛び降りを決心させたその時、
「ねえ、何してんの?」
背後からの突然の呼びかけに意識が逸れ、思わず振り向く。
そこには一人の少女が立っていた。
僕は思わず目を奪われてしまった。
彼女の格好があまりに抜奇なものであったからだ。
派手に改造した制服の上にパーカーを羽織い、
鮮やかな黒髪はショートカットに切られ、隙間からは鮮やかなピンクのインナーカラーが見える。
カラコンをしているのだろうか、目は宝石のように赤く、惹かれてしまいそうだ。
しかし、彼女の顔はまるで人形のように整っており、言うなれば美少女そのものであった。
彼女は微笑む。
「ねえ、暇ならさ、ちょっと付き合ってよ。」
その時優斗はなぜか確信する。
彼女なら僕を救ってくれると。