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私は、カイルから言われた言葉が頭から離れずにいる。


「2人が結ばれたら、シャーロットの想いはどこへいくの?」


あの日は、クラウス様に送ってもらった後に自室に戻れば、エイブリーとミアが話し込んでいた。

「少し1人にしてほしい」とお願いをして、そのまま布団に潜り込んだ。


考えたかった。

いや、本当は考えたくなかった。

だけど、考えなくてはいけない。

ずっと教えてほしかった答えをもらえたはずなのに、知りたくなかった。


私の想いを知っていたからという理由でカイルがテオ様とマーガレット嬢の仲を引き裂いたという現実を。

その計画が一体どんなものなのかは分からないが、私は好きな人の悲しむ姿を見てまでこの想いを貫こうと思ったことはなかった。

でも、私がテオ様を好きだという事実が、テオ様を苦しめる要因になってしまった。


テオ様に忘れられない人になりたいと願っていたから、名前を呼んでもらえたことがすごく嬉しかった。

でも……それ以上を望んでいる自分がいることに気づいている。

一つ与えられたら、もう一つ欲しくなってしまう。それはどんどん大きくなってきている。


確かにカイルの話を聞いて驚いたが、それを否定しきれない気持ちもある。

私は、本当にテオ様の悲しむ姿を見たからといって、この想いを貫かずに諦められるだろうか?

私の心はどんどん真っ黒に染まっているような気がする。

だって、私は、テオ様に苦しんでほしくないと思いつつも、マーガレット嬢と上手くいかないでほしいと願ってしまっている。

婚約破棄の提案なんて本当はしたくなかったし、どうか私を見てほしいと思っている。

心の底では、カイルにチャンスを作ってもらえたことに感謝している。

ただ、カイルには兄妹愛に見えていても私からすれば2人は恋をしていたように見えていた。

それは、私の中では変えられない真実だ。


私に家同士の結婚をさせたくない割に、カイルはマーガレット嬢と家同士の本人の気持ちを無視した結婚を受け入れようとしている。

マーガレット嬢は「カイルを愛する」とテオ様に言っていたが、その真意は今となっては分からない。

気づいてしまった矛盾にどう向き合うべきか今の私には分からない。


テオ様の傍にいたい。

アイオライトのあの瞳に優しく見つめてほしい。

でも、本当は、このお粗末な婚約を続けてはいけないことに気づいている。

私が子どもの頃から抱えているこの想いさえなければ、きっとテオ様とマーガレット嬢の関係は変わらずに続いていた。

最初から抱いてはいけなかった恋心をこれからどうしたら良いのだろう。

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