表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/42

9

「ロレッタ!あの、おてんば娘だったシャーロットが美しいレディになったんだな!」


「えぇ、本当に!シャーロット、母は嬉しいですよ……」


「お嬢様、大変お(うつく)しゅうございます!これで、誰しもがお嬢様の(とりこ)です!」


涙ぐむ両親やミアを始めとした屋敷中の者達に「お美しくお育ちになられて……」と盛大に泣かれる。

幼い頃のお転婆具合を思い出すと、手をやかせてしまったなと少し反省した。


屋敷の前にサイラス公爵家の馬車が到着した知らせを受け、エントランスに向かうとさらに美しく成長したサイラス様が正装姿で立っていた。


「テオくん、大きくなったなぁ!突然の要請に応えてくれて嬉しいよ。ありがとう。」

「グランディナ辺境伯様、本日は、お嬢様のデビュタントおめでとうございます。」


大喜びで出迎えた父にサイラス様は、にこやかに挨拶をした。

想像よりも明るく見えるサイラス様に心のどこかで安心した気持ちになる。

もしかしたら、カイルとマーガレット嬢の婚約の件を私が勝手に気にしていただけかもしれないと思い、呼吸を整えた。


「今日は娘のエスコートを頼むよ!!」

「……お任せください。」


父の言葉に、サイラス様がニコリと微笑み返せば、母が「まぁまぁ本当に私の娘は見る目があるわ〜」と嬉しそうに頬を染める。

外見からはサイラス様だと分かるが、お茶会での冷たい印象をもっていた私は、あまりにスマートな応対に「誰?」と言いたいところを飲み込む。

そして、この居心地の悪い空気から早く抜け出したくなり「よろしくお願いいたします」と早々に馬車に乗せてもらうことにした。


涙ながらに見送る両親と屋敷を後に、城へ向かって馬車は出発した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ