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1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について  作者: 水定ゆう
魔術運動会編1

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90.ライラックの糸①

今回からはライラック編。

ライラックは伏線通り、かなり強いです。全4話です。

  地上では、二人の魔術師がいた。

 そこには、オレンジ色の髪、ライラック色の紫の瞳をした少女。

 その向かいには、長髪で金髪の男。


「なんだ、お前」

「私は名乗らないよ。名乗る気ないからね」

「そうか。だったら、今度は俺の番だな」


 ライラックは警戒した。

 右の人差し指だけがぴくぴく動いている。

 けれど男は何をするかと思えば、左耳から血を流しながら、ライラックを見た。


「貫け——」


 カキーン! ——


 男は何をしたのか。

 それに気づいた瞬間、ライラックは驚愕した。

 瞳を動かさずに、真顔だった。


「爪?」

「なるほど、糸か」


 男はライラックの技を見破った。

 ライラックの得意な糸は、常に周囲に張り巡らされ、自分自身を守るために使っている。

 しかし、人差し指は違った。まだ動いている。


「如何やらお前の技は絡めてのようだな」

「そっちは単純……なわけないよね」

「ふん」


 男は爪を伸ばした。

 鋼鉄製の爪だ。もちろん魔力を使って伸ばしている、仮想の爪だったが、圧倒的な強度と硬度を誇る。


「いいだろう。その糸を断ち切ってやる」

「やってみてよ。まあー、私はこの糸を切らせる気はないけどね」

「そうか。だったら、これだ。挟め——」


 男は右手の人差し指と、中指の爪を使った。

 すると二本の指の爪がありえない大きさに伸びる。

 まるでハサミのようだったが、ライラックはそれを見ても、まるで顔色を変えない。


「ハサミ? へぇー、爪を硬くしてより硬度を高めたんだ」

「舐めているのか? いいや、お前に限ってそれはないか」

「おやおや、これはかなり好印象を得られているみたいだねー。まあ勝つのは私だけどさー」

「失言だったな。やはり舐めている」

「おやおやー?」


 急に評価が変わってしまった。

 だだ下がりしてしまい、何故かと思うライラック。

 しかし反応が違うのには訳がある。


「お前は強い。それだけだ」

「おっ、これは予想外だなー」

「舐めているのは、本当みたいだな。しかし、その余裕が仇となる!」


 男はハサミ状の爪を引っ提げ、ライラックに襲い掛かる。

 しかしライラックはその場から動かない。

 それどころか、目を瞑っていて、完全に舐めていた。


「逃げないのか? 何か仕掛けているな……」


 男は一歩身を退いた。

 完全にライラックのことを警戒している。

 しかしこうなることは既に予想済み。ライラックは、左足を下げた。


 キュイン! ——


 甲高い音が耳にざわつく。

 すると透明な見えない糸が、太陽に陽射しに反射して、一瞬だけ姿を現すものの、次の瞬間、男は動けなくなった。

 否、足が絡めとられて体勢を崩した。


「なにっ!?」

「ほらほら、早く逃げださないと、全身縛っちゃうよ!」

「このっ!」


 男は必死に抵抗した。

 しかしハサミの切れ味が溶けたみたいに粘着する糸に絡めとられていく。

 まるで蜘蛛の巣の糸みたいで、これでもライラックは手加減していた。


「ほらほら、蚕みたいになっちゃうよ!」

「楽しんでいるのか。だったら、こうするだけだ」


 そう言って男は蚕みたいに包まれた。

 しかし蚕の中から、爪が伸びて突き破る。

 箱の中から飛び出る剣みたいに、男の爪が炸裂して、物理的に破壊した。


「ぐはぁっ!」

「あちゃ? 私の、《蚕の糸》が破られちゃった」

「はぁはぁはぁはぁ。ここまで絡めてばかりで攻め立てる魔術師は初めてだ」

「それはどうもー。でも、絡めてばかりに気を取られてたら、足下すくわれるよ?」

「それはどうだか。それに、お前自身もすでに俺の射程圏内だ」


 そう言って、男の爪が爆発して伸びた。

 まるで鞭のようで、それでいて薄いのに、鋼鉄のように硬い。

 ライラックはそんな男の本能に面白みを感じ、びっくりしたものの、すぐさま自分も対抗した。


「だったら、私もやってみよーっと」


 ライラックは糸を伸ばした。


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