84.追ってくるのは面倒だ
もはや魔法使いではない件。
ルカは逃げていた。
ひたすらに逃げていた。
ダリアの話を聞いたからには、きっと強いのだろうが、むやみやたらと戦って、ダリアを巻き込むのも悪いと思った。
だからだろうか、ルカは町中を走るのではなく、屋根の上を走っていた。
それにはちゃんと理由がある。
「う、うわぁ! ルカさん、屋根の上を走っていますよ。危ないですよ!」
「大丈夫大丈夫。これぐらいなら、慣れているから」
ルカは笑っていた。
それもそのはず、ルカは本当に余裕だった。
それにダリアは気づいていないのか、ルカの顔色を見ながら、こう言った。
「流石魔術師さんですね。私も《ブースト》は使えますけど、ここまで自然流れで発動できる人、先生ぐらいしか見たことありません」
「魔術じゃないよ。これは単純な身体能力」
「えっ!?」
ダリアは驚いて、小さく声を上げる。
それをチラ見した後、ルカは背後から執拗に追いかけてくる魔力に気が付いた。
そこそこに強いが、ルカの敵ではない。しかし、狙われているのはダリアで、しかも向こうは何をしてくるかわからない。
相性的な問題な気がした。
「聞こえる、シルヴィ、ライ」
ルカは走りながら、ポケットから四角い端末を取り出した。
このアイテムは、同じものを持っている人と話をすることのできる、フォンと言うアイテム。
ナタリーから贈られたアイテムの中に入っていたものだ。きっとシルヴィたちも、持っているはずだと踏んで、声を発すると、向こうから聞こえてのは、二人の声だった。
「如何したのよ、ルカ」
「何かあったのー?」
相変わらずの反応だった。
しかし今は緊急事態なので、とにかく早く答える。
「シルヴィ、ライ。かなりマズいことになったんだ」
「マズいこと?」
「うん。実は追われている子がいてね、その子と一緒に会場に向かって逃げているんだけど、敵がしつこくてね。うわぁ、来たみたいだよ!」
ダリアがルカにすり寄る。
お姫様抱っこをしているが、すり寄られてら魔術が使い難かった。
「とりあえず、今大会はどのくらい?」
「そうね。前倒しされて、今はお昼時だから、もうすぐ決戦決勝ね」
「どこが出るの?」
「うちのクラスよ。それと、一組。本当は私が大将戦で出る予定なんだけど」
「それ変わってもらえるかな? 敵がすぐそこまで来ているんだ」
「そんなこと言われてもね。うーん。仕方ないわ」
シルヴィは諦めだった。
そんな彼女を励ますように、ライラックが言葉を投げる。
「そんなしょうもない競技より、こっちの方が面白そうじゃなーい?」
「面白そうって。そんな呑気なこと言わないでよ。相手は、人殺しかもしれないのよ」
「そっちの方が、貢献度も大きいでしょ。だから単位取得に役立つかもしれないじゃんかー」
「そういう問題じゃないでしょ。通話越しに、そんな話しないでよ。不謹慎でしょ」
「ごめんってー。それで、相手は何なのかな?」
「一人は風かな。暴風を使って来る系だったよ」
「暴風。風を悪用するなんて、許さないわ!」
「「シルヴィ!」」
何故か、シルヴィアが燃えていた。
風が燃えると、爆発するからもう少し、抑えていただきたい。
などとくだらないことをルカは思ってしまったが、口には出さずに、そんなシルヴィとライを激励する。
「二人とも頼んだよ。私はこの子を会場まで連れて行くから」
「頼んだわよ。あそこが一番安全なんだからね」
「そうだねー。それで、敵は何処にいるのかな?」
「敵はね……」
ルカは敵の居場所を伝えた。
それから通話を切るが、ダリアは困った顔をする。
「あの、ルカさん」
「なに?」
「敵なんて、何処にもいませんよ?」
ダリアは矛盾点に気づいていた。
何せ魔力は感じても、全然遠い。
それにここから会場までは、ルカならひとっ飛びできそうだった。
しかしそれをしないのには理由がある。
「敵ならすぐ近くにいるよ。それに、遠回りをしていく」
「どうしてですか?」
「会場内にも、敵がいるかもしれないからね」
不安を助長させることを言ってしまった。
少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。
下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)
ブックマークやいいねなども気軽にしていただけると励みになります。
また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。




