表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/646

81.ダリアの過去④

ダリアは強いよ。

  ダリアの視界は赤一色に染まっていた。

 すでに意識はない。

 その手に握られた金属の剣は、赤く染まり、鬼に変わっていた。

 しかしその光景を目撃して、二人のメイドは心配するより先に、名前を口にする。


「「ダリア様?」」

「ううっ」


 しかし声は届かない。

 剣の切っ先が、竜車の中を擦るながら、その足は外に向かっていた。

 まるで敵を認識しているような、複雑な挙動はしない。

 ただ感覚が捉えた敵を、無骨に殺すだけの生きた剣だった。


「くそっ!」

「タイチョー、このままでは戦線が突破されます」

「大丈夫だ。竜車の中にはメイドがいる。それにいざとなれば、ダリア様自ら、その手を下されるはずだ。我々のお守りするものを、信じろ!」

「しかし!」

「おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 隊長を任されている騎士の男は、大剣を押し込んだ。

 すると、男の体が態勢を崩し、そのまま胸を貫かれた。

 しかし数は多い。少なくとも、後八はいる。

 このままではジリ貧で、死亡する。そう確信した時だった。悪寒がしたのは、この場にいる全員だった。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「な、なんだコイツはぁ!」

「し、死ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

「あ、熱い。熱い熱い熱い熱い!」


 耳をつんざいた男達の声。

 騎士達は目を疑った。

 一瞬光が灯ったかと思えば、それは炎で、剣が灯っていた。

 赤い血が固まり、焼けた臭いがする。


「あ、あれは何ですか……」

「ダリア様だ。ダリア様しかいない!」


 そこにいたのは、剣に炎を点火させたダリアだった。

 まるで処刑するみたいに、その剣は男達の胸を貫く。

 最後の男に至っては、逃げられないように、押さえつけられ、何度も何度も貫かれる。最低最悪の剣士の誕生だった。


「や、やめてくれぇ。も、もうやめてくれよ。頼む、殺すなら、もっと楽に、もっと楽によぉ!」


 しかしダリアの耳にその声は届かなかった。

 男の声も騎士の声も、悲鳴も何もかも聞こえない。

 ただ敵を殺すため、本能も覚醒したままで、剣士としては最高だが、既にその心はボロボロだった。


「あ、あああ。あっ、あ、あれ?」


 ダリアは顔を歪めました。

 真っ赤な血で服も髪も顔も全部汚れ、その手に握った剣は年齢に満たない大きさなのにも関わらず、血で固まっていた。

 もはや自分ですら理解ができた。

 ダリアは頭がよかった。


「わ、私は。私は、私は。あ、あああああああああああああああ!」


 何かが砕け散った。

 壊れたのは肉体じゃない。

 心が破裂するみたいに、ばらばらに砕けてしまい、ダリアは戦えなくなっていた。

 完全に敵がいなくなった今、その必要もないのだが、夜はもう続かなかった。


少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)


ブックマークやいいねなども気軽にしていただけると励みになります。


また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ