表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について  作者: 水定ゆう
赤壱島その後

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

766/766

766.風刃麗姫2

ルカの戦いの裏には、こんなことが起きていました。

 時は少しだけ遡る。

 本当に少しだけ。あの日の夜。

 ルカがドンペルだった何かと戦っている最中のことだった——




「ふぅ。嫌な風ね……」


 ポツリと吐く女性の声。

 建物の屋根にしゃがみ込み、何やら状況を観察している。

 魔力を極力抑えると、全身を風と同化させた。


「あっちは山の方? なんだか騒がしいわ」


 視線を飛ばし耳を澄ませる。

 普段は隠しているのだが、今日は頭から長いウサギの耳が飛び出す。

 そのおかげか、風に乗った音をバッチリ拾った。何やら騒がしくて耳障りだ。


「でも、あっちには手を貸せない。貸している余裕は無いわね」


 恐らくは密猟者を捕らえに向かったに違いない。

 放置していたつもりはないが、それでも数が多かった。

 女性一人では対処しきれない……こともないが、目立った動きは避けていた。


 今日、この時間帯に動いたのは、談合があったのかもしれない?

 それとも、何か特別なことでも起こったのだろうか?

 

ここ一ヶ月近くで手に入れた情報を基に、簡単に推測する。

その読みは当たっており、密猟者を捕縛しに向かったのだ。


「さてと……一仕事にするわよ」


 女性は手を貸しに向かうことはしない。

 それよりもやるべきことがあるのだ。


 ピンク色の瞳を向ける。

 月が出ていればより鮮やかだったに違いない。

 纏った白い霧に溶けてしまいそうなコートをたなびかせると、風に舞い、腰に携えていた剣をカチンと音を立てて抜いた。緑色に輝く蛍光の刃が、暗闇の中で淡く輝いた。


「来い、【木枯らし】!」


 女性は魔術を唱えた。否、これは魔法だ。

 固有魔術の筈が、その実力は既に魔法に至っている。

 鞘から抜いた剣の剣身に風が纏うと、突風が嵐となり、視界の先の標的に放たれる。


「私が相手をするのは……貴女達よ!」


 剣を振るうと、風が舞った。

 建物の屋根を微かに掠め、音を上げて襲い掛かる。

 視界の先に居るのは七人の女性達で、その手には得物が握られている。


 ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォ!!!


 けたたましい轟音が炸裂した。

 それに合わせ、狙い通りに七人の女性を巻き込んだ。

 嵐に吹き上げられると、全身に鞭を打ち、そのまま町の外れまで連れ去った。


「とりあえずこれでいいわね。あっちは私がやるとして……」


 女性は視線を飛ばしていた。

 七人の女性達が消えると、その場に残ったのは二人。

 一人は男性、もう一人は少女だ。


 男性のことはこの町に滞在して一ヶ月で怪しんでいた。

 妙な魔力と音を聞いていたが、その読みは正しかったようだ。


 本当は女性の相手は男性の予定だった。

 けれど男性の相手を別に任せられる少女が現れたのだ。

 それこそ、突然の風に困惑して、呆けている少女。冒険者ギルドで出会った圧倒的強者だ。


「私の存在に、気が付いている?」


 一瞬の間が開いたのは恐怖の表れる。

 決して殺気が飛ばされている訳でもないが、魔力で勘付かれたと思う。

 これだけ距離を取っている。少なくとも一キロはある。この程度では範囲外に出ることは出来ないようだ。


「一体どれだけの修羅を乗り越えて来たのよ。心底恐ろしいわね」


 女性もそれなりに鍛えてはいるつもりだ。

 そうでもしなければ、このような危険な真似はしない。


 それでも少女には勝てるがしない。

 それは経験故の直感で、過去に三度、本物の魔法使いに挑んだことがある。


 その時は今よりももっと未熟だった。

 自信はあったものの、魔術師と魔法使いでは決定的な差がある。

 埋めることの出来な必然の差。女性は高い壁に敗北したが、視線の先にある壁は、より一層高く見えた。


「見た目では判断できない、と言う訳よね」


 少女の見た目は少し賢そうなだけ。

 特に気負うことは無く、寧ろて気を作りそう。

 そんな子供のような愛らしさは無いが、やはり見た目では中身は判断出来ないのだ。


「とは言え、この先出会うことは無いでしょうね」


 女性は少女に出会うことは無いと割り切っていた。

 魔法使いを相手にするのは骨が折れる。

 恐怖心を胸に仕舞い込むと、代わりに屋根を蹴った。


 高く跳び上がると、その姿はまるで空飛ぶウサギ。

 厳密には助走を付けずに跳躍したのだが、そこに風属性の魔術が加わる。


 付加された風が、女性の背中をソッと押した。

 清々しい秋の風を纏うと、美しい姿を晒す。

 蛍光グリーンの剣身を晒し、七人の女性達=恐らくは暗殺者達を追う。


「けど、面白いわね。まさか、東の島でこんな魔術師と……いえ、魔法使い? とでも言えばいいのよね。出会えるなんて」


 もはや魔法使いの域にまで達している。

 何故そんなおとぎ話を羅列したのか。

 無論、女性の魔術が既に、魔法に至っているからだ。

 末端ではあるものの、触れることが叶っているのだ。


「あの子の……ハルウラの弟子? は元気にやってるかしら。まさか、私の口調を真似していないわよね?」


 ここで言及する名前。“ハルウラの弟子”に“真似た口調”。

 誰のことかはさておくとして、不意に思い出してしまった。

 否、忘れたことは今まで無い。


「はっ!」


 屋根を改めて一度蹴飛ばした。

 体がふわりと浮き上がると、余計な思考を切る。

 暗殺者達をただ追い掛けると、その瞳は何を見た?

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。押すだけで簡単ですよ。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)


ブックマークやいいねに感想など、気軽にしていただけると励みになります。


また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ