73.少女と先生
ようやくこの章の内容が書き終わりました。
明後日からはまた別の章を書き始めますが、投稿はまだまだ先です。多分この章、100話を超えます。付いてきてね、みんな。
それはまだ薄暗い朝だった。
町中は静かなもので、空は太陽の陽射しすら出ていないような頃合いだった。
そんな中、一人の高貴な女性が立派な装飾で包まれた竜車の中で、お付きのメイドと共に今か今かと待ちわびていた。
「いよいよですね」
「はい。すぐでも出発できますが、如何なさいますか」
「××はまだ」
「はい。行かれる予定のようではございますが、気持ちの整理がつかないのではないでしょうか?」
「それも致し方ありません。私には、あの子一人に辛い現実を押し付けてしまった、罪がありますから。これは罰ではないのです。当然のことなのです」
「そのようにお考えなのですか」
「私にとっては同じなのですよ。一番悲しませたくないと思っていた、大切な者を、悲しませてしまったのですから」
などと口にしますが、それは弔いではありませんでした。
今までできなかったことを取り戻すなどと言う建前ではなく、これ以上、心の闇を抱えてほしくないと、真摯になって向き合っている証拠でした。
つまり嫌いではないのです。だからこそ、いつまでも待っています。その覚悟を固めていました。
※※ ※ ※ ※ ※ ※
部屋の中で少女は闇に染まっていました。
口では肯定的なことを言っても、いざ外に出ようとはできません。
毛布にくるまって、うずくまります。
「私はやっぱり外に出てはいけないんです。だから、ずっとこのまま死ぬまで。そうしないと、また誰かを傷つけることになるから……」
少女の心の鍵は固く閉ざしていました。
その先の扉を開くには、まだ足りないのです。
そんな時、部屋の扉が叩かれました。
コンコン! ——
扉を叩く音。
それから聞こえてきたのは、女性の声。可愛らしい、ウィスパーボイスに、心が穏やかになりました。
「××。そこにいるんでしょ」
「せ、先生!」
少女は飛び跳ねた。
急いで剣を持ち、部屋の外に出ると、そこには半月上のジト目で青色の髪を持った少女が経っている。
自分よりも背の低い少女からは、並々ならぬ剣客の才を感じられた。
「先生。如何してこんなところに!」
「今日は出かけるんでしょ。いつまで部屋にいるの」
「えーっと」
「私には普通に話せるんだから、もう大丈夫でしょ。ほら剣を取って」
ウィスパーボイスで話少女は、彼女の先生だった。
そのせいか、普段から普通に話ことができるなかでもある。
しかしそれでも勇気がなかなか出なかった。
「でも先生。私なんかが行っても」
「大丈夫。世間は皆んな優しい。それに聞いた話だと、あの町には私に古い知り合いもいる。彼女なら、きっと受け入れてくれるはず」
「それってナタリーさんのことですか?」
「それとは少し違う。私も噂で聞いた情報をかじっただけだから、いつかは会いたい。でも、きっと大丈夫、規格外の魔術師は必ず、そんなこと流してしまうから」
青髪の少女はそう言った。
半月状の眼が訴えかける。
それだけではない。視線を動かさず、その意思を汲み取らせる。
「でも私が出たら、また赤が降るから」
「それはない。その力をコントロールできるはず。だから迷わなくていい」
「迷う?」
「そう。だからよく聞いて、××。貴女は強い。でももし迷いそうになったら、この言葉を思い出せばいい」
そう言って、少女は激励の言葉を贈った。
それこそ、普通なら怪しくて意味を持たない怪文にしかならない。
けれど彼女にはその言葉の意味が理解できそうだった。
だからその答えを見るためにも、彼女は勇気を振り絞った。
だからこそ、笑顔でいられた。
「先生。私、行ってきます」
「それでいい。もし何か見つけられたら、大金星」
「大金星?」
「番狂わせってこと」
「番狂わせ?」
少女は首を傾げる。
しかし勇気を出して外に飛び出していた。
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