71.会場に戻ると、空飛ぶ箒
改めて読むと、セリフが多い。
ルカは軽く盗賊集団を倒してしまうと、その足で向かったのは会場だった。
これ以上、ルカがやることはない。
それに、ナタリーとの約束を果たしたからその報告も必要だった。
「後は、警備団の警備兵の人たちに任せたけど、あれだけの罠を本当に、解除できるのかな? 後で、ナタリーに聞かないと」
下手をしたら死人が出かねない。
ルカはそれがわかっていたから心配だった。
そう、軽くこんな感じだ。
「よっと」
ルカは建物の壁に手を当てて、わざと罠を作動させた。
毒付きの矢が飛んできたが、軽く身を躱して折ってしまう。
すると、壁の罠を解除した。
「これでよし。それにしても、まさかここまで罠を張り巡らせていたなんて。これは解除は数日かかるかもしれないな」
ルカは色々考えていた。
罠の数は尋常ではない。これが戦場なら、多くの人が死んでいるほど、細かい罠ばかり仕掛けられていた。
もしかしたら、ルカでさえ少しは掠り傷を作るかもしれないが、これぐらいの罠を見破れない魔法使いはいるはずがない。
「あの時代だもんね。こんな罠で死んでたら、たまったもんじゃないよ。もしかして、そのせいで強くなったのかな?」
などと妄想を働かせてみる。
しかしそれは違う。
ルカは元から強い。才能があるだとか、努力を怠らなかったからだとか、それらを全て加味して、とにかく際限がなく強かった。
「まあいいや。とにかく会場に急ごう」
ルカは歩き出した。
できるだけ遠回りをしつつ、罠を人知れず解除して。
町の安全を密かに守っていた。
※※ ※ ※ ※ ※ ※
「うわぁ! なに、この最高潮ムード」
ルカが会場にやって来ると、とある競技のデットヒートだった。
瞬きを許さないような、とんでもない状況で、ルカは空飛ぶ箒にまたがる代表生徒たちを見守る。
これは確か、エアロスピードだ。
「しかも決勝。うちのクラスも出てる。でも、点数的にはギリギリ。これを落としたら、明日の本選には出られないと」
「だから熱いんじゃないの」
「シルヴィ。それにライまで」
「やっほー」
振り返ると、そこにいたのはいつもの二人だった。
ルカは真顔で、いつの間にかいた二人に問われた。
「何処行ってたのよ。うちのクラス、頑張ってたのよ」
「ごめんごめん。それで、今はかなり良い盛り上がり具合だね。会場のボルテージも最高潮みたいだ」
「あはは。まあそうだよねー」
「でもいいじゃない。面白いんだから」
「おっ! シルヴィが乗り気だー」
「ううっ。ちょっと、生徒会のお仕事がね」
「それはご愁傷さま。あっ、そうだ二人とも。ちょっと、頼んでもいいかな?」
「「ん?」」
二人はルカの方を向いた。
するとルカは、二人にふと頼みごとをしてみた。
それは明日のことだった。
「校長先生がね、明日も何か起こるかもしれないから警戒しておいてだとさ。それから、私も嫌な予感がする」
「嫌な予感? もしかして、また誰か……」
「かもしれない。だからそうならないように、二人にも力を借りたいんだけど、大丈夫かな?」
「それって戦うってことだよね。危なくないのかなー?」
「それは想像に任せるよ。でも二人なら頼めるかなって思ってさ。如何かな?」
ルカは二人の返しを待った。
それと同時に、先にゴールしたクラスが発表された。
最高速度をもってして、箒にまたがりリングをくぐったのは、なんとうちのクラスだった。逆転勝利。
それと同時にもう答えは出ていた。
「わかったわ。私も、これ以上悲しむようなことが起きてほしくないから」
「そっか。ありがと」
「じゃあ、私もやるよー」
「そっか。それで、君は如何するのかな?」
そう言ってルカは声をかけた。
すると後ろから歩く音が聞こえる。
そこにいたのは、スプラだった。
「ルカさんのクラスは勝ったみたいですわね」
「うん。なんとかね。それで、一組は?」
「もちろん勝ちましたわ。明日の本選が楽しみですわね」
「うん。私は出ないけどね。それと、できれば長い戦いを期待してるかな」
「まあ何をおっしゃいますの? もちろん速攻で決めて差し上げますわ」
「そっか。でも本選で、最後に戦えればの話だけどね」
「もしそうなら、対抗戦はいただきますわ。勝つのは、私たちのクラスですことよ」
スプラ・ブルーウェブはその場を後にした。
しかし、ルカはその話を聞かれていないことを、微かな断片でしかないことを気付いていた。
しかし、魔術師ならではの独特の気配からか、何かを悟ってはいたみたいだ。
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