70.蒸発の魔術師
蒸発の魔術師に今後はいかに。
ルカはマヒートを言う男を倒した。
呆気ない幕引きだった。
気を失って、白目になっているところで、もう一人の少年、フィラは困惑していた。
(この人、強い)
それが素直にわかるぐらい、フィラも優れた感性を持っていた。
しかしルカには遠く及ばないことを一瞬で悟る。
それぐらい、何かこう別格な雰囲気が出ていたのだ。しかも、まだそこが知れない。水面レベルだったが、それでも気が動転していた。
「さてと、おそらく首謀者っぽい人は倒したけど、君も仲間なんでしょ?」
「そ、そうだよお姉さん。一応、僕もね」
「そっか。それで、なんで仲間割れなんてしたのかな? もし今回の事件がきっかけで、君も深く関わっているのだとしたら、私は君を容赦なくぶちのめすよ」
「うっ!」
フィラは身を小さくした。
体が震える。
足のつま先に力が入らない上に、立っているのもやっとなほど、冷酷で冷たいものがあった。
「僕は一応、この集団のリーダーなんだ。だから、ここで捕まるわけにはいかないんだよ、お姉さん」
「そっか、それで如何するのかな?」
「決まっているでしょ。ここでお姉さんには、悪いけど死んでもらうよ」
そう言って、フィラは固有魔術を使うことにした。
この人には、そうしなければ勝てない。
それぐらいの覚悟を燃やしていて、全身が焼けて燃えそうになった。
「うわぁ! 凄い熱い」
「固有魔術の【蒸発】の前に、全ての物体は意味を成さない!」
「それは如何かな?」
フィラの体は真っ赤だった。
その拳は高温に熱せられ、触れたものを蒸発するみたいに、分解して溶かそうとする。
しかしルカは襲って来たフィラを服の袖を掴んで投飛ばした。
「な、なにっ!」
「何じゃなくて、服は燃えて掴めるんだよ? それに、こうしたら高温は逆に弱点になる」
ルカは水を降らせた。
フィラは大量の水を滝のように浴びる。
すると全身が急速に冷えてしまい、顔色が真っ白になる。
「さ、寒い。それに痛い!」
「急速に高められた体温が一気に下がればどうなると思う? 体の中にある動脈なんかの血管が収縮して、膨張と収縮を繰り返すんだよ。そうすると、体内を巡る血流の流れが滞って、最悪死んでしまうんだ。ヒートショックの逆だよね」
「はぁはぁはぁはぁ。体が重い。体が壊れる、痛い。痛いよ」
「急いで解いた方がいいよ。最悪、体温が下がり過ぎて、死んじゃうかもしれないけど。私は嫌だな。私の魔術が間接的に、そんなことになるのは」
ルカの心情的に、人を殺す気はない。
従って人の命は取らないが、心を壊しかねない。
しかし間接的に死んでしまう場合は、流石に目を瞑るしかできない。
何故なら、相手がその忠告を無視した結果だからだ。本当、曖昧な心情だよ。
「くっ、はぁっ!」
「やっと解いてくれたね。これ以上強まったら、水流で死んじゃうかもだったけど」
「今のは、《ウォーターフォール・デトラクション》!」
「この魔術、名前付いてたんだ。ずっと、《レイン》を《フォール》と一緒に使ってただけだったけど、名前が長いから、きっと強い魔術なんだよね」
「あはは。まさか、僕がこんなあっさり負けるなんて。じゃあお姉さん、やっぱり僕も……」
「そうだね。一応捕まえるけど、その後のことはわからない。でも無事は祈ってるよ、その弱点を克服したら、きっと強そうだから」
ルカは笑っていた。
何故か楽しかった。不謹慎なのは上智の上で、その顔には笑みが零れる。
それもそのはず、こんなにまともに魔術を使える機会が与えられると、自分の実力を計ることができる。それが何よりも、ためになるので、ルカは満足していた。
少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。
下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)
ブックマークやいいねなども気軽にしていただけると励みになります。
また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。




