65.悲鳴が上がってしまった
ちなみに今回の話は、ライラックの伏線を兼ねています。
それからルカが最後に使った、魔術ではなく魔法。
楽しく昼食を取っているときだった。
それは起こってしまった。
「うん。このサンドイッチ、美味しいよ」
「ありがと。朝から頑張って作ったんだからね」
ルカはサンドイッチを食べていた。
箱の中いっぱいに詰め込まれたサンドイッチの折りの中身は、全てシルヴィアが作ったものだった。
しかし、シルヴィアのジト目はもう一人の子に向いていた。
「いやぁー、それにしてもシルヴィはまめだね。あむっ、うん、美味しい」
「貴方も少しは手伝ってよね。包丁を使う時ぐらいしか、手伝ってくれないじゃない」
「なに言っているのさー。包丁が一番怪我しやすいでしょー?」
「だからと言って限度があるでしょ」
「なんだろ、ライが持つと意味深だね」
「言えてるわ」
「どういうことだよー!」
ライラックは覇気のない感じで、否定した。
しかしそれをかき消すようなことが起こった。
ルカとライラックの目が変わったんだ。そのことに気が付いたのは、シルヴィアもだったが、少し感覚の捉え方が違っていた。
「この魔力と気配!」
「嫌な臭いがするんだけどー」
「風が騒めいてるわ。嫌な風」
二人は感覚が研ぎ澄まされていた。
それもそのはず、ノーブルの一件で二人の感覚神経はより一層、際立って研ぎ澄まされていたんだ。
「この気配は何だか、嫌な予感がする。行ってみるしかないかな」
「い、行くの!?」
「わざわざ危険に飛び込まなくてもさー、ここは学校だよ? 先生方が対処してくれるでしょー」
「それはそうだけどさ。なんだか嫌な予感がするのは変わらないんだ。私、あんまり踏み込みたくはないけど、黙ってじっとしているほど、おとなしくもないんだよね。危険に飛び込む主義じゃないんだけど、性格的な話かな」
この安寧を揺るがす事象はなにがなんでも、解決したい。
そんな欲が出ていたのかもしれないが、それは大抵大した恩恵にはならない。
「ちょっと、ルカ」
「仕方ないねー。行ってみようよー、正義感さん」
「それ煽っているのね。はぁー、わかってるわよ。今日は一人ではいかないわ」
「まあ行かせないけどねー。よっと」
三人は、その場から走り出した。
それから目指すのは、会場裏の林だ。
そこまで一気に駆けだすと、何やら煙が上がっていた。
「あの煙、何かを燃やした後かな」
「わからないわ。でも、ただ事ではないはずよ」
「くんくん。この臭い、血の香りだね」
「「血の香り!」」
ライラックはそんなことを言いだした。
「うん。よく肉とか魚とか捌くからね、何となくわかるんだよ」
「それはそうかもしれないけど、ちょっと待って! 煙が上がっていて、血の臭いがするの! そんなのヤバいじゃない」
「それはそう。とにかく行ってみようってことなんだけど、うわぁ!」
ルカは見えてしまった。
すぐに立ち止まってシルヴィアたちを制止させる。
腕を横に広げて、行かせないようにもした。
「ちょっとルカ。何するのよ」
「そうだよ。何かあったんでしょ?」
「二人は近づかないで。あれは見ない方がいい」
「「えっ!?」」
首を傾げていた。
ルカでさえ、流石に慣れてはいるが、あまり気持ちのいいものではない。
顔を少しだけ顰めている。
「何でこんなことになって……」
ルカはそこに横たわるものに近づく。
それは人の形をしている。
顔が変形していて、もはや誰なのかもわからないが、間違いなく人間だ。赤い血が、焼けたような臭いをさせる。
「ご冥福をお祈りします」
手を合わせて呟く。
それからふと腕に手を当て、如何してこうなったのかを探ることにした。
「《メモリー・ロード》」
記憶を読み取ることにした。
すると脳裏に現れたのは、この人を殺した人の大雑把な姿。そして熱量で殺された事実だった。それを受けたルカは奥歯を噛んだ。最後までその姿を見ていてくれていた、この人の記憶に感謝と追悼の弔いの意味を込めてだ。
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