63.お願いします、ルカさん
今回は当初予定していた話よりも、かなりクオリティが上がっています。
とんでもなく日常回です。
一日目が終わった。
込み上げてきた、大変だったという気持ちが、心の底から吐露させる。
そんな中、ベッドで仰向けで眠っていたルカも家に誰かがやって来た。
コンコン! ——
金属の金具を打ち付ける音。
それにこの音の音域は、彼女しかいない。
ルカはベッドから起き上がり、ドアに向かった。
「夜分遅くに失礼いたします、ルカさん」
「ナタリーこそどうしたの? もうこんな時間だよ」
時計を見た。
時刻は夜の十一時。
こんな時間に出歩くもんじゃない。
「少し、ルカさんのお耳に入れておきたいことがありまして。ビーフシチューを
持って参りましたので、上がってもよろしいですか?」
「……いいよ。でも、何だかいつもよりも仰々しいね」
「そうでしょうか? 私にはわかりませんが」
「いや、硬いと思うけどね」
「あはは……そうでしょうか」
「壊れた?」
「壊れるのも、無理ありませんよ」
ルカは頭を悩ませた。
ここまで狂ったナタリーを見るのは、久しぶりだ。
しかし、ナタリーを家に上げると、彼女はため息を吐いた。ルカの前だけにしてほしい。
「はぁー」
「如何したのナタリー。何かあった?」
「このような事態が起きてしまうとですね、事後処理が大変なんですよ」
「そんなもの?」
「そうですよ。本当は、ルカさんにも手伝っていただきたいものです」
「あはは。それはヤダよ」
「ですよね。わかっていました。ですがルカさんは、本日私がやって来たことに、何か勘づいていることがあるのではないでしょうか?」
「それはあるよ。だから来たんでしょ?」
「はい。単刀直入で言わせていただきます。ルカさん、今回の事件、私は今後も起こる気がします。少なくとも、この運動会中は。今更中止はできません。ですが、今後は死人が出ることも視野に張っていると思います。そこで、ルカさんには……」
「手伝ってほしい。ってことだね」
「……はい」
ナタリーは表情を曇らせた。
ここでルカの協力を仰げるかどうかに全てがかかっていると言ってもいい。
そうでなければ、今後この学校は終わりを迎える。
「最低はね。私の心情的に、人殺しはしない。でも間接的になったことには、目を瞑る。それと同じで、小さな感情表現に委ねられるんだ」
「では」
「自分の安寧を最優先にして、私が求める結末のために進めるなら、それでもいいよ」
「では!」
「ではでは連呼しすぎだよ。でも、一応はやってみるけど、ナタリー。今後、こんなことに平気で巻き込むなら、流石に手が付けられないよ」
「心得ております。ですが、今回は非常事態です。なんなら、ルカさんから要請があれば、率先して通しますが」
「そうならなければ、いいけどね」
ルカはそう言い返した。
それはつまり非常事態のことを意味している。
誰だってわかるが、そうなってほしくはない。
「そんなことより、せっかく来たんだかから。何かだそっか?」
「それはいいですね」
「でもお酒はないけどね。一服もしないし」
ルカは酒を飲まない。
タバコも吸わない。だからこの家に、そんなものはない。あって料理酒ぐらいのものだった。
「心得ていますよ。そうだ。ここで帰るのも、あれなのでせっかくです、私の作ったビーフシチューを食べましょう」
「いいね。じゃあ早速温めるよ」
そう言って、ルカは箱を受け取り、中に入ってシチューを温め始める。
火の魔石の力を効率的に使いながら、今回は早く仕上げる。
その姿を見たナタリーは懐かしそうにしていた。
「懐かしいですね」
「なにが?」
「ルカさんが火打石を使って、火を起こしていた時代のことです。私も勉強になりました」
「今は火打石を切らしててね。これが手っ取り早いんだよ」
口ずさんでいた。
するとナタリーは嬉しさのあまり、子をにやけさせるがその緩んだ顔色は見せなかった。
恥ずかしさと、心酔がバレるのが怖かったからだ。
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