62.砂爆弾
最後、「呆れる」と表現がありますが、これは深い意味はありません。
単純に、そんな危険なものをという意味です。
男は興醒めしていた。
なにせ、自分を捕らえた魔術学校の生徒が、まさかそんな下らない、理由で動いていたとすると、呆れてしまう。男は落胆した。
「何か、俺はそんなしょうもない理由で捕まったのか? 笑えないぜ」
「はぁ? しょうもないわけないじゃないか。こっちは、久々にキレてんの? わかるかな?」
ルカの瞳に生気はない。それどころか、後ろ怖いぐらいで、男は身構えた。
しかし腕も足も魔力すら、まともに使えない状態では流石に勝ち目はなかった。男は覚悟する。死の覚悟だ。
「まあいいぜ。こんな将来有望な魔術師の足掛かりになれるんだったらな」
「どういうこと? 私は殺さないよ。お金を払ってもらうだけ。そうしたら解放してあげるけど?」
「本当か?」
「うん。別に私は、それ以外に被害を受けてないからね」
男の目に光が戻る。
このままとんずらするしかねえ。金何て後回しだ。今は命の方が大事。男は決心した。
しかしそんな男の淡い期待は、瞬く間に消滅した。そこに現れた一人の女性の手によって。それは絶望のファンファーレに聴こえた。
ルカも気づいていた。この足音は間違いない。
「逃がしませんよ、サンドス・ヘンリッターさん」
「ナタリー?」
そこに姿を現したのは、ナタリーだった。
しかも今回は本物で、ルカも驚いている。
如何してこんなところにナタリーがいるのか。それが疑問だった。
「ナタリー、如何してここに?」
「それは私のセリフですよ、ルカさん。どうして貴方が、砂塵の魔術師と共に」
「砂塵の魔術師? 私はただ水を弁償してもらおうとして……じゃなくて、ナタリー、今お金ある?」
「は、はい。ありますよ」
「少し貸してくれない? 今手持ちがなくて」
「は、はい。構いませんが、じゃなくてですね。ルカさん、これは一体?」
ナたりーは何度も聞き返した。
しかしルカには、返す術がない。何せ、本人がまだ話の本筋がわかっていないから。完全に蚊帳の外から、叩き込まれたみたいな錯覚に陥る。それだけではない。ルカは、ナタリーから逃げられなかった。肩を掴まれていたからだ。
「ナタリー、蔓は仕舞ってくれないかな?」
「ええ、ルカさん。その前に、この状況については説明をしてください」
ルカはナタリーに急かされ、この状況を説明した。
一応、話の大筋だけまとめると、今度はナタリーの番だ。
「それでナタリーは?」
「はい。サンドス・ヘンリッター。砂塵の魔術師である貴方が、今回の事件にかかわっていたとは、思いませんでした」
「ふん。真樹か」
サンドスと呼ばれた男は、ナタリーのことを二つ名で呼んだ。
すると、ナタリーは追い打ちとして今回のことを報告する。告げられたのは、サンドスのやったことだった。
「貴方は砂爆弾を仕掛けましたね。被害は甚大です」
「砂爆弾? 《サンド・ボム》のこと?」
「はい。今、会場では控室で砂爆弾が爆発し、生徒が被害に遭いました」
「マジ?」
ルカは絶句した。
そんなことになっていたなんて、ルカは頭を抱えるのではなく、呆れてものも言えなかった。
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