5.真樹の魔術師と再会
おはようございます。通学・通勤途中にでも読んでくださると幸いです。
ルカはとんでもない人物と再会した。思いがけないものだった。
まさかこんな場所で会えるなんて。偶然もある。
「こんなところでお目にかかれるなんて。千年ぶりですが、お変わりないようで」
「そっちも。流石エルフ族」
「ふふっ。ルカさんは人間ですもんね」
ナタリーは笑った。
千年ぶりの再会は互いにとっても嬉しく思うものだった。
「それよりこんなところで何を?」
「私の方が聞きたい。私はただ千年朴のせいで千年寝てたら魔法がなくなって代わりに魔術ができたって聞いて」
「あぁ、確かに驚きますよね。もしかしてそれで?」
「うん。そのつもりで魔術学校に通いたかったんだけど……」
「入学式も終わってしまいましたからね」
ナタリーはこのご時世に詳しいらしい。
顎に手を当てて考える。何を考えているのか、エルフ族の中でも昔から特に強い魔力を有するナタリーはルカもよく知っていた。そこで、ルカはナタリーの考えを待った。
すると、
「それでしたらルカさん。アルカード魔術学校に興味はございませんか?」
「アルカードって私が入ろうと思っていた?」
「そうですね。もっとも魔法の歴史のある通称魔法都市マギアラにある、世界でも有数の魔術学校の一つですね」
ナタリーの言う通り、アルカード魔術学校はこの国スカーレット王国を始め世界でもっとも有名な魔法都市で間違いない。
私たちの活動していた時代にも存在していた。
そこが魔術の発端となったのは杞憂だけど、何故ナタリーがそんなことを提案できるのか。もしかして、この時代ではナタリーは貴族なのか。昔からそうだったけどさ。
「よければ転入届を書きますよ。もちろんルカさんがよければですが」
「それは助かるけども、如何してそんなことができるのさ?」
「それでしたら職権乱用ですね。私がアルカード魔術学校の初代から現代にかけての校長だからです」
「はい?」
ルカの思考が停止した。
しかしナタリーは本気らしい。一体何の得になるんだ。
「ルカさんの実力ならすぐにでも魔術が使えるようになるはずです。それに私にはルカさんに楽しい学生生活を送ってほしいんですよ」
「それだけ?」
「それだけで言えば嘘になりますね。でも本当ですよ。ルカさんはあの大戦で私たちを救ってくれた。いいえ、世界をです。そんな貴女には休息と言う名の日々を送る権利があると思うんです」
「そんな理由で……」
ルカには納得できなかった。
でもルカはもともと合理的に考えるたちじゃない。もっと非合理的に考えるタイプなんだ。
「まさかこんな日が来るなんて……」
「ナタリー」
ナタリーは涙を浮かべた。
天を仰いで遠い空を見送る。
「やっと恩返しができます。真樹の魔術師としてではなく、遠き日の私として」
「恩返しなんかいいよ。でもその提案はありがたく受け入れさせてもらうね」
「はい、喜んで」
ルカはナタリーの乗る竜車に飛び乗るのだった。
そして向かうは魔法都市マギアラなのであった。
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