49.毒矢と逃亡者
今日、凄くいいアイデアが思いつきました。
ルカが手にしたのは、紫色をした液体が鏃に付着した、ボウガンの矢だった。
それにしても、どうしてこんな町中で。
ここは森ではない。
今の時代、確かに高価だが、銃と言うものもある。ただあっちは音が大きくて、気づかれやすい。しかし、ボウガンとはまた古風だ。
「ボウガンの矢。だけど私を狙ったわけじゃなかった。スプラが狙われた?」
ルカは色々考えていた。
同い年相手に、さんは付けなくなったが、そんなことは今回はいい。
スプラを狙った矢を、まさか片手で止めたんだ。
それこそ、水が蒸発したおかげで壁になって、何が起きたのかはわからない。
しかしもう少しで、溶けてしまいそうで、その最中に、ルカは敵を捕捉しにかかる。
「私じゃなかったら。本当で死んでいたんだけど。矢の起動は、こっちか」
ルカは、矢の起動を即座に読み解く。
すると、魔力の乱れを感知した。気配を飛ばすと、そこにいるのは男のようで、フードを深く被り、顔を隠しているのが目に見えた。
「あれだね」
ルカの反射神経、動体視力は常に最高。
研ぎ澄まされ、ルカの視界に見えていたのは、ボウガンの矢を撃った人間だった。
「な、何が起こったのですか!」
「スプラ、今すぐ学校に逃げて。ちゃんとこれ持って行ってよね」
「えっ!?」
スプラには悪いが、私の絶対を奪おうとするやつは許してはやらない。
例え、命を奪うような行為、つまるところ、殺しはしないが、それに相応する行為には、むろん受けてもらわなくてはならない。
「と、トキワさん!」
「ルカでいいよ。それより、学校に戻ったら誰でもいいから教師を呼んで。それと、ペンキも忘れずにね」
「えっ!?」
スプラは、何もわかっていない。
そんな中、ルカは身体能力だけで、逃亡者を追いかけることにした。
下手に魔力を放出すれば、もし一流の狙撃手なら、撃たれかねないからだ。
しかしそんな心配はいらないらしい。
逃亡者は姿を消し、その場から去っていた。
「逃がさないよ」
「ちょっとルカさん!」
ルカはスプラを置いていくことにして、その場から走り出した。
人の合間を走り、通り抜けて、その先にある細い、路地の中に飛び込んだ。
すると、
シュン!
ボウガンの矢が放たれた。
でもルカには効かずに、へし折られ、その先にいた狙撃手兼逃亡者は、
「チッ!」
大きい音で、舌打ちをした。
ルカは気にせずに、直進の道を薄く張った魔力で防御して、追いかける。
「くそ。俺が外すなんて」
「外すんじゃなくて、当たってないんだよ」
「なに!?」
男は振り返った。
声が上の方から聞こえたからだ。
するとそこにはルカの姿はなく、建物の間を弾むわけでもなく、それこそ単純に、
「そ、空を飛んでやがる!」
「飛ぶでしょ。魔術師なんだから」
ルカは優雅に飛んでいた。風を駆使するとかではない。完全に空を自由に移動していたんだ。
その姿を見た逃亡者はきっと、諦めたんだろう。
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