44.王城の無皮の面
久々の投稿です。
スカーレット王国。
そこにある、王城はとても美しかった。なによりも目を引くのは、白光するのは白い、居城だった。
スカーレット王国は、かなりの国土を持っているが、貿易も盛んで、国益も多い。
民からの信頼も厚い。
さらには魔術も盛んで、魔法の文献も多いのだ。
その上で、未知の遺跡もあるなどと、かなり発展していた。
そんな城で、一人の少女が部屋の中にいた。
彼女は、この王国の姫の中では認知度は低いが、誰よりも××だった。そのため、
「××。いますか?」
「はい、お母様。私はいます」
少女の声は明るいが、部屋の中は暗い。
湿っていて、それはまるで地下の独房のようだった。
薄っすらとした太陽の日差しが、閉じかけのカーテンの隙間から入り込む。
しかし少女は、ベッドの上で毛布を被ったまま、動かなかった。そう、うずくまっていた。
そのことを心配する彼女の母親。
それに、兄に姉たち。騎士や魔術師の皆んなまで、彼女のことを心配していた。その理由をほとんどの人が知っている。それぐらい、城の中では有名なことだったが、それで鬱にならないのは、彼女がある女性に教わって来たからだった。
「あ、あの。××。今度、アルカード魔術学校で、魔術の競い合いがあるんです。一度、行ってみませんか?」
「・・・」
「××。貴女も、学校に入学してもいい頃合いです。転入を……」
「・・・」
少女の心は固く閉ざされていたが、その原因に心当たりはあった。
まだ幼かった少女には、厳しく辛い現実。それを目の当たりにしたうえに、事件の当事者であり、唯一の生き残りとなった少女だった。
「やっぱり、出たくありませんか。そうですよね、ごめんなさい」
「行きます」
「!?」
母親は驚いていた。
まさかそんな言葉が出て来るなんて、思いもよらなかった。
しかし、その理由は二つある。
一つは、彼女の師との約束。そしてもう一つは、
「ナタリーさんが言っていた、面白い魔術師って……誰なんでしょうか」
そんな奥底から湧き上がる、好奇心から来るものだった。
※※ ※ ※ ※ ※ ※
その頃、アルカード魔術学校では、
「は、はくしゅん!」
ルカが盛大なくしゃみをしていた。
鼻からは、鼻水が出る。風邪でも引いたかな?
しかし、そんなルカに隣でせっせと作業を続ける、少女たち。
「ルカ、大丈夫?」
「もしかして、風邪とかー?」
赤い瞳の少女。青紫色の少女。
花の名を冠する、麗しき少女たち。
シルヴィアとライラックは、そんなルカを気遣った。
だけど、
「うん、大丈夫だよ。体調も悪くないから」
「そうよね。あんなに、いいもの食べてるんだからね」
「食べ物だけじゃないけど。まあいいや」
ルカの飲み込みは早かった。いや、思い切りがいい。流石は、千年前の魔法使いであり、そんな彼女にいつか匹敵するか、それともまるで歯が立たないか、シルヴィアとライラックの二人は、買ってきた折り紙を、手に持って作業中。
こんなに強い三人も、今日のところはお役御免。何故かって? そんなの決まっている。強すぎるんだ。強すぎるが故に、三人は、こんな裏方作業を全力で勤めていた。
三人は、教室で、他の生徒たちと共にハサミやノリを使って、折り紙を切ったり貼ったり。
チョキチョキチョキ!——
ペタペタペタ!——
「ねえ、シルヴィ」
「何よ、ライ」
「如何してこんなことしてるのかな? 外からは……」
ライラックは、ふと現実逃避。
教室の窓から外を眺めると、そこには体操服に着替えたクラスメイト達が、走り回っている。そう、今回は彼らが主役なんだ。
だから何でかって? そんなの決まってる。
「そんなの、私達が校長先生から参加を控えるように言われているからよ」
「むっ! そんなの酷いよ」
「私たちが強いってことだよ。それで我慢しよ」
ルカは受け入れていた。
何でかって? こっちは面倒だから。流石に、覚えたての魔術を、魔法みたいに使うとヤバい。それがわかっていたから、三人は今回参加できなかった。
まあ、魔法が使えるのはルカだけだけどさ。
「でも確かに虚無だよね」
「そうなのよね。はー、これから最終日まで暇ね」
「確かにそうだね。でも、一応見学はしてもいいかもね」
「そうね」
三人は、揃って作業に戻った。
これから虚無が起きる。しかし、一種のお祭り、魔術大運動会は、そんなイベント的行事だった。このアルカード魔術学校の、二大イベントだ。




