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1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について  作者: 水定ゆう
聖夜編

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390/808

390.例え得意魔術を封じられても

敵さんも考えましたね。無駄ですけど。

 まさか閉じ込められてしまうなんて。

 ルカは墓穴を掘ってしまったと感じ、敵の方が一枚上手だったことに面白いと感じた。

 にやりと笑みを浮かべ、「面白い。あの魔術師は面白いよ!」と小声で呟いた。


「ちょっと何感心しているのよ」

「そうですよルカさん。早く脱出しないとダメですよね」

「そうだけど、私の魔術を封じられちゃったみたいだからね。《アンチ・マジック》は使えないよ」

「「如何言うことですか!」」


 シルヴィアとダリアは驚愕した。

 ここまで最強で誰も手も足も出なかったはずのルカが初めて時空系魔術を封じられたことに度肝を抜かされていた。

 とは言え、それもそのはずだ。ルカは力を大分制御している。力を発揮すると空間自体に影響を及ぼすからと、ある種の枷をはめていたのだ。

 これを今解けば、ここに居る全員に危害が加わる。それは断固として阻止しようと仕方なく敵の手の内に乗ったのだ。


 だがしかしシルヴィア達も敵の男達もそうとは知らない。

 完全に”やられた””勝った”の二つの感情で二分されてしまう。

 お祭り状態も良い所だ。


「ははっ! 魔術が使えない魔術師何て怖くもねえな!」

「そうっすねボス。さっきは良くもやってくれたっすね。今度は俺達がお前達を殺す番っすよ!」

「そんな仰々しく言わないでよ。それから悪いけど、私も私の友達も殺す気も殺される気もないからね」

「はっ! 強がりだな」


 ボスと呼ばれた男はある種の確信を突いたと思い込んでいた。

 冷静な判断力がルカと言う規格外の化け物を前にして失われているようだ。

 これはチャンス。ルカはそう感じ取ると、宣戦布告を言いつける。


「悪いけどモンスターに暴れられると困るんだ。ここで倒されてもらうよ」

「はっ? ……面白い。だが今度は俺の《ヘルファイア》を防げないだろ」

「さあ、如何かな?」

「ほざけ。《ヘルファイア》!」


 ボスと呼ばれた男は今度も詠唱無しで魔術を行使した。

 先程の魔術を無言のまま唱え続けていたらしい。

 そのおかげか、脳内に刻まれた魔術のイメージが撃ち出され、ルカのことを焼き殺そうと再び燃える。


「ルカ!」

「大丈夫大丈夫。《ヘルファイア》くらい《ヘルウォーター》で相殺すればいいんだから」


 ルカはパンと手を合わせた。

 ルカの背後で大波が荒れ、ボスと呼ばれた男が撃ち出した《ヘルファイア》を簡単に相殺する。

 炎と水が混ざり合い、蒸発してしまった。白い煙が立ち上がると、ルカはポツリと呟いた。


「それじゃあシルヴィ、ダリア。あの男は私が相手するから」

「ちょっと待ちなさいよ!」

「ルカさん!」

「大丈夫。二人も勝ってね」


 ルカは煙の中に飛び込むと、ボスと呼ばれた男に体当たりを喰らわせた。

 ズドン! と思いっきりぶつかると、男が吹き飛んだ。

 流石に反動で動けなくなっていたのだろう。簡単に距離を取ることができた。


「ボス!」

「くっ。お前、如何して反動もなくっ!」

「反動があったら魔術師じゃないでしょ?」


 ルカは体当たりをして距離を取った後、こめかみ目掛けて蹴りをかます。

 けれど首を捻って蹴りを回避。ならばと機転を利かせ、手を地面に付き回し蹴りをしてやった。

 けれどボスと呼ばれた男は後ろにバックステップをすると軌道を変えて攻撃を避けてしまう。如何やら体術に関しては十分らしい。


「なかなかやるね」

「……お前、本当に魔術師か?」

「さあ、それは終わってから考えればいいよ」


 ルカはボスと呼ばれた男性にそう言った。

 するとボスと呼ばれた男性はルカを睨みつけ、「まあいい」と端的に呟くと、両手を合わせた。左手はグーで右手はパー。独特な魔術の唱え方に怪しさを感じる。

 警戒してみようとしたが、男の方から教えてくれた。


「俺はレーヴ」

「はっ?」

「獄炎の魔術師。とでも言えば分かるか?」

「さあ。でも名前を名乗るってことは……」

「そのまさかだ。俺の魔術、《獄炎拳武》を見せてやるよ!」


 男の、レーヴの圧が変わった。

 全身から熱を放つと、それが一点に集中されていく。

 閉じている左の拳。一体何をしようとしているのか。そんなもの、考えてなくてもよく分かる。


「そうか。《獄炎拳武》……《琥崩拳武》のオマージュってことかな?」

「な、何故それを……」

「知ってるさ。戦ったことあるからね」


 もちろんはったりではない。千年前、その魔術の原型となった魔法と拳法の合わせ技の使い手と戦ったことだって当然ある。

 だからこそ楽しくなってきた。これは面白そうだと終始余裕そうにレーヴを見つめる。

 レーヴは自分が舐められていると感じた。けれどルカからはそれを凌駕する殺気が内包されていることを直感と経験で悟り、頬を生温い嫌な汗が流れるのだった。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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