37.事件の終息
二章おしまい。お疲れ様でした。
それから数日後——
ルカたちは、校長室に集められていた。
如何して呼ばれたのか? そんなのわかりきっていた。
バタバタしていたこの期間のことを加味すれば、あれしかない。
「ナタリー校長。私達が集められたのって?」
「はいルカさん。お察しの通りです」
「あれかー」
くたびれた顔をした。
ルカたちはこの数日間の間、ずっと事情聴取されていた。
その結果、流石のシルヴィアの顔色もぐったりしている。
逆にライラックはー……
「ぐぅーぐぅー。ぐぅーぐぅーぐぅー」
「こらライ! こんな時ぐらい起きなさい!」
「ん? あれ、もう朝―?」
「そうよ。とっくに学校」
「あれ? 今日は休日じゃなかったっけ?」
「ぐっ! 如何してそれは覚えているのよ」
シルヴィアは顔を引き攣らせる。
そんなやり取りを楽しそうに眺める校長。
「愉快な方たちですね」
「「どこがですか!」」
いや、そういうところだよ。
とは流石に言えなかった。
そこで話の論点がすり替わる。それを危惧してか、隣に立つノーブルが咳払いをした。
「こほん。失礼ですが、そろそろ本題に入っていただけますか、校長先生」
「そうですね。このままでは時間だけを闇雲に浪費してしまいますから。では早速……」
ごくりと喉を鳴らした。
するとナタリーはほんの少しの魔を置き、話し出した。
「まずは今回の長期に渡る事件が無事に解決したこと。快く感謝致します。それからここにいる功労者の皆さんもお疲れさまでした。偶然とはいえ、事件解決に貢献したこと、胸を張っていいと思いますよ」
「「「ありがとうございます」」」
全員一度ぺこりと頭を下げた。
するとナタリーはさらに話を続ける。
「それから今回の事件ですが、無事首謀者のロッセル・デイモンドは身柄を拘束されました。お手柄ですね、ノーブル先生」
「はい。ですが今回のことは私の独断であり、長期に渡る捜査活動のほどを目を瞑っていただいたこと、お詫び申し上げます。それにこの学校で教師として残れるなんて……」
「貴女ほどの優秀な魔術師をやすやすと手放したりは致しませんよ。それに、彼女たちのような力あるもの達を指導するのには適していますからね」
「力あるって……」
「私達のことー?」
「はいそうです。皆さんは、将来有望な魔術師ですよ」
シルヴィアとライラックは互いに顔を見合わせる。
するとルカはチラッと視線を逸らすも、ナタリーの目が鋭い。
ルカはすぐに気づき、溜息を吐いた。
「今まであったことですが、学校側の不始末でもあります。しかし事件の詳細はあまり公に公表はされない予定です。ですが今回のことをきっかけに、皆さんはより魔術に触れた。それは魔術師の心理に基づきます。しかしそれで如何取られたのかは貴女方次第であり、また今後、より苛烈する事態に発展する可能性もありますが、十分に心得ておいてくださいね」
ナタリーの言いたいところはそこにあった。
要は魔術師はいい人ばかりではないので、今後に備え、自分の身は自分で守れ。それから今後はもっと危険なことが起こるかもしれないという注意喚起だった。
大まかに言えばそうだが、要は魔術師の顔の広さと、今後はルカ達に対して、校長自ら危険なことに巻き込ませるのが見え見えだと、この時のルカは既に推察していた。
「以上です。これからも、より精進してくださいね」
「「「はい」」」
「かなりいい返事です。そうですルカさん。貴女は少し残ってください。それでは解散です。今日、明日もゆっくり体を休めてください」
かなり嫌な展開。
ここまでをルカは当に読んでいて、しんどそう。
本当は休みたいのにと、訴えるも聞いてもらえず、溜息を漏らす。
だけどこれは演技で、皆んなが部屋を出て、魔力の痕跡が確認できなくなると、気を落とした。
「ふぅ。なかなか疲れますね」
「それはナタリーだけの話。もっと上手くできるでしょ」
「笑えないですよ。こんな魔術に慣れきってしまった世界と体では、なかなか難しい話です」
「そんなこと言う? でも、ちょっとわかるかも。あまりに弱すぎる。面白いけど、軟弱かな」
止めてほしいほどに冷めた意見。
でも危なかった。
ルカもかなり危険だったのは知っていて、今回のことが公にならないのはかなり吉とみている。
「それよりもナタリー。今回の事件、如何してもっと真剣に調査しなかったの?」
「どういう意味ですか?」
「そのままの意味。ナタリーなら、もっと早く……」
「ルカさん」
ナタリーの空気が変わった。
ピリつきながら、かなり重たい。
どんよりとした空気が流れるも、ルカは動じない。
「ルカさん。私は魔法使いです。しかもあなたと同じ時代を生きた」
「そうだよ。だからこそ、今回の事件だって、寝起きの私よりももっと簡単に犯人が分かったんじゃない? 本当は最初から」
「だとしても私は教えたりしませんよ。それが本当の魔法使いです。貴女とは違うんですよ。お人好しの貴女やセレナさんとは」
突き刺さる言葉の矢。
重たくのしかかるもルカは反旗を翻す。
「だけどそれは単なる罪で、正解じゃない。不正解の回答に答えを与えないだけの行為だよ」
「なんとでも言ってください。それこそが私であり、私は私と私の信じた大切なものだけです」
言い返せない。
もっともなことだ。
そんな陰惨とした空気が立ち込める中、ルカは最後まで自分の信念を崩さないでいた。魔法使いの一つの姿として、受け入れるだけだった。
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