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1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について  作者: 水定ゆう
聖夜編

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344.ライザー・パンサード

新キャラです。後の強キャラです。

 ルカは左官作業を進める。

 ドンドン塗りたくっていくことで壁に厚みが生まれた。


「ルカさん、本当に上手ですね」

「そんなことないよ。本職の人に教わったおかげで少しだけ上手く慣れたけど」……」

「にしてもコテ一本でここまでできる何て……凄いなー」

「そもそも私は、コテ一本でしかやったことないんだけどね」


 ルカは振り向く暇もなく作業を続ける。

 しかし疲れて来るので、振り返ってみんなにも手伝ってもらうことにした。


「ねえ、みんなも手伝ってよ」

「「「無理です!」」」

「即答は止めて」


 ルカが頼んだものの、きっぱり断られてしまった。

 すると理由も納得ができた。


「慣れていない人がやっても返ってムラを作ってしまうだけですから」

「そうですね。私達はあくまでも見守ることしかできません」

「ジルアさんまで……ゴライアスさんは得意そうですけど?」

「確かにゴライアスさんやライザーさんなら得意かもですけど」

「ライザーさん?」

「はい。もう一人の職員さんです」


 そう言えばもう一人居ることは話題に上がっていた。

 けれど誰かまでは聞いていなかったので、ここに来て名前を初めて知った。

 今何処にいるのかと思ったが、ジルア曰く買い出しらしい。


「一人で買い出しって大変ですよね」

「そうですね。ゴライアスさんやライザーさんにはいつもお世話になっています」

「もしかしてライザーさんも魔術師何ですか?」

「はい。一級魔術師ですよ」

「一級魔術師!? それは凄いですね」


 ゴライアスにライザーと魔術師の育成や活動に活発な国なら喉から手が出るほど欲しい人材だった。

 けれど二人はこの孤児院にいる。それが如何にも不可思議で、ルカは作業の手が止まりそうになった。


「まあいいや。えーっと、この辺は上に穴が空いているのか。仕方ない、ちょっとだけ飛ぼうかな」


 ルカは少しだけ空を飛んだ。

 宙に浮き上がると、足場が無いせいで不安定になる。

 それでも軽やかかつそれなりに丁寧に作業を進めた。


「ルカさんって本当に凄いですよね」

「そうですね」

「やはり皆さんの目から見てもですか?」

「はい。ルカさんは多分ですけど私たちよりも潜って来た修羅場、いいえ死線が違うんだと思います。どんな強敵相手にも臆さない。どれだけ私達が不利だと思った相手にも余裕で勝利してしまう。まさに天才、本物の魔法使いみたいですよね」

「ちょっと、本当の魔法使いみたいって止めてよ」


 ルカはクルンと振り返った。

 すると左手で持っていたコテ板が不意に落ちそうになる。

 力が抜けて魔術を使って空中で留めようとした瞬間、誰かの手が下から伸びた。


「ヒョイっと」


 コテ板を綺麗に残してくれた。おかげで乗っていたコンクリートが落ちずに済む。

 助かったとルカは、「ありがとうございます」と感謝する。

 すると長い豹柄の尻尾が飛び出してきて、可愛らしい声が聞こえた。その手には大量の袋が抱えられていたが終始余裕そうだった。


「これくらい余裕ですよぉ。それより気を付けてくださいねぇ」


 言葉のお尻の部分に小さい文字が付く、独特な口調の方だった。

 ルカは面白いと思いつつ、ふと何者か確認しようとしたが、尻尾以外にも動物の耳が生えていた。


「亜人?」

「そうだよぉ。それよりさぁー、私のことを初っ端獣人じゃなくてぇ、亜人って言うのぉ? 君、分かっているねぇ」

「それはどうも。だけど獣人と亜人の違いくらい分かっていて当然だと思いますよ?」


 ルカはそう言った。しかしジルアが「私は最初、間違えてしまいましたけど……」と細々と呟いていた。

 それを聞き逃す耳をしていない。亜人の女性は耳をピクピクさせると、持っていた荷物を下ろすことなく振り返る。


「そう言えばそんなこともあったねぇ」

「ごめんなさい、ライザーさん。それとお帰りなさいです」

「ただいまぁ。まあねぇ、私も鬼じゃないからぁ? こんなしょうもないこと(・・・・・・・・)で怒ったりはしないけどねぇ」


 もの凄く含みがある言い回しだった。

 ジルアも流石にピリリとした空気に触れて肩身が狭くなるが、獣人と亜人を間違える人は多い。だからこ間違えても仕方ないと思った。が、それを今言っても矛先が変わるだけなので会えて何も言わずに見過ごす。


(まあ、いいよね?)


 ジルアの目が助けを求めていた。

 ダリアとブルースターが「まあまあ」と背中をポンポンする。

 励ましているようだけど、劣勢な空気は変わらない。ピリリと電流が走る中、別の咆哮から電流が走った。


「えっと、そんなことより貴女は?」

「ん? あぁ、私ぃ? 私はねぇ、ライザーって言うんだぁ。ライザー・パンサードぉ。よろしくねぇ」


 ルカは逃げ道を与えるべく助け舟を出した。それと同時に名前を聞くことができた。

 この人が一級魔術師。確かにパンサーだと、ルカは納得する。

 だって子の耳も尻尾も豹なんだから。

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