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1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について  作者: 水定ゆう
悪魔教会編

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186.ナタリーの晩酌②

定期的に来るナタリーさんPart。

 その日の夜。秋口もなると少し肌寒くもあったが、まだ温かい。

 ナタリー・ルランは部屋を明るくして、ワインボトルをテーブルに置いていた。


「ふぅ……このスモークチーズは意外にいけますね」


 ワイングラスになみなみと赤ワインを注ぎ、スモークチーズを口に運んだ。

 燻製の風味がしっかりと付いていて美味しい。

 ナタリーはうっとりとした笑みを浮かべた。


「さて、問題はこれからです。まさか想像以上のことが起きていたなんて……」


 ナタリーは表情を歪めた。

 ほんのりと赤らんだ頬は酔いが回っている証拠。とは言え酒には強いので、意識はしっかりと保っている。

 ほどよいほろ酔い加減に酔わされて、ナタリーは満足げな笑みを浮かべていたかった。

 とは言え、今はそれができない。


「千年前よりも酷い非人道的な行い。まさかそこまで悲願を募らせていたなんて」


 ナタリーもドン引きだった。

 確かにあの連中は、自分の命さえ犠牲にするような組織だった。

 町全体を巻き込み、たくさんの血を流していた。

 自分から自害させるような組織だった。とは言え、今は実験の道具にされている。悪魔を呼び出すために血で血を洗うなんて行い、見過ごせるわけがない。


「何とかしたいですね。絶対に止めなければならないことです」


 本当は自分で手を下したかった。とは言え、今の自分が動けばよりいっそ過激にしてしまことは目に見えている。

 ナタリーは唇を噛んで眉根を寄せた。


 とは言え怒ってしまったことを悔いても仕方がない。

 ナタリーは割り切ってワイングラスを持ち上げた。

 グッと一飲みで半分近くを飲み干すと、口元を拭った。


「はぁ……あの時、私がもっと完璧に息の根を止めていればこんなことにはならなかったのでしょうか……」


 ナタリーの目はキマッていた。血走るような眼で、ワイングラスを叩きつける。


「そうすれば私がルカさんに迷惑をかけることはなかった。おそらく今回はルカさんも本気にならざるを得ないはずです」


 それが何よりも心配だった

 ルカはあの力を使いたがらない。だが流石に相手が悪魔となると話は別だ。

 ルカは一瞬で片付けてしまだろう。


「せめて少しでもこの町の結界が強ければ、被害は減らせるのでしょうか……あっ!」


 ナタリーはルカ達が満足に動けるように配慮してあげたかった。

 ルカに力を貸せるんだ。これ以上に全うすべきことはない。

 そのために必要な手立ては打ってあるが、今からでも遅くはない。

 ナタリーは彼女に力を借りることにした。


「そうですね。彼女にも頑張っていただきましょう」


 ポンと手を叩いたナタリーは早速出向くことにした。

 これからやる分にはぎりぎり間に合うはずだ。

 深夜ではあったがナタリーは気にせず、彼女の家に向かった。



 ナタリーは家の前にやって来た。

 まだ深夜だが明かりが点いているので、コンコンコンとノックする。

 金属のノブを叩いて彼女を呼んだ。眠そうな顔をしている。


「ふはぁー、誰ですかー……ナタリー校長」

「夜分遅くに失礼しますねノーブル先生。可愛らしいパジャマを着ていらっしゃる」


 ナタリーはいつもと同じ姿勢を崩さず、ノーブルの前に現れた。

 ノーブルも突然の来訪者に驚き、散らかった髪や寝ぼけた眼を擦った。


「えっ……あっ……」

「どうしたんです? そんなに驚いて」

「すみません。ナタリー校長こそ、こんな夜分も遅くにどうなさったのですか?」


 開幕からナタリーの話の流れに入って来てくれた。

 それもこれもナタリーが普段から纏っている雰囲気に飲み込まれたからだろう。


「そうですね、今回は時間もありません。単刀直入に言います、業務命令です」

「えっ!?」

「珍しいですね。実はブルースターさんの件です」

「ブルースターさんが? 何かあったのでしょうか」

「これから起きます。そのために私たち教師陣ができることをしておきたいんです。そのために力を貸してください。でなければ、最悪死人が出ます。いえ、もう出ているかもしれませんね」

「そんな……一体何が起きているんですか」


 ノーブルは目が覚めた。まだ理解が追い付いていない。


「ノーブルさん。私は教師としてそれから『ミスト』のメンバーとして貴女に指示を出しているんですよ。このことの意味がわかりますね」

「はっ! ……はい!」

「いい返事です。最悪ここ数日間は結界を張っていただきます。もちろん私も手伝いますし、学校の授業も最低限にしてください。もちろん疲れの色を隠していただきますよ」

「そんな無茶な……流石に私1人では難しいですよ」

「誰が1人と言いましたか。これは業務命令ですよ」


 あまりにブラックな言い分には訳がある。

 ナタリーは普段こんなことは言わない。よっぽど切羽詰まっているのか、その口は軽やかではない。


「ニッカにも手伝って貰います。もちろん動ける教員には最低限のことを伝えたうえで了承していただきますよ」


 ナタリーはそれだけを言い残して次の教師の下に向かった。

 この町には今、世界を脅かす悪魔が潜んでいる。


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