11.疲れてしまった
クラスメイトの反応が変わる。
「疲れた……」
家に帰ってきたルカはベッドに埋もれた。
うつ伏せになって何もする気になれない。
「何でこうなった?」
ゆっくりごろごろ転がって、仰向けになった。
もふもふの布団の上で、頭を押さえた。
「ゆっくり考えてみよう。ゆっくり……」
目を瞑った。
少しうとうとしてしまう。あぁ眠い。
「えーっと、確か……」
ぽわぽわしてきた。
初日は疲れた。
「あぁ、そうだ。囲まれたんだ」
ちょっぴり思い出す。
あれは数時間前の話で——
「はぁー、やってしまったかな」
大きな溜息をついた。
まさかあんな問題が出て来るなんてさ。絶対目を付けられた。
「まさか、あんな問題が出てくるなんて……」
「なぁ」
「ん?」
ルカは顔を上げた。
そこにいたのはクラスメイト達。何故かルカを取り囲んでいる。何かマズいことでもしてしまったのかな。
「えーっと、なに?」
「よく分かったな。あんな問題」
「えっ?」
「まだ習ってないのに、なんで分かったの?」
「まぁ、勉強したから?」
これはヤバい。目立っている。いやそれはいい。もしこれで変に思われてもしたら大変なことになる。
そう思ったのも束の間。ルカの前に現れたクラスメイト達は、
「すげぇ!」
「勉強したって言っても、あのシルヴィアよりも詳しいなんて!」
「おいおい、知識だけならトルネもだろ」
「あの子クラスに来ないじゃんか!」
何だこれ。
ルカは目を丸くする。しかし掴みは良さそうだった。これなら午後からも……
「ちょっと待って」
「今度はなに!?」
ルカは目を見開く。
するとそこにいたのは、シルヴィアと呼ばれていた少女。何故か睨むような目つきをしている。
「なんですか?」
「貴女、ルカさんですよね。如何してまだ習っていない、しかも先生が書いたあの魔術文字が読めたんです」
「えっ? 普通に読んだだけだけど」
「嘘です!」
ルカは本当のことを言った。
しかしシルヴィアは険悪な態度で接する。
「私にも分からなかったのに、何で貴女が……」
「まぁまぁシルヴィ。落ち着いてよ。別に勝ち負けとかないじゃんかー」
「ライは黙ってて! ルカさん、私貴女には負けないから」
何故だろう。一方的なライバル意識を集めてしまった。
しかもあの子はかなり強い。このクラスでは群を抜いている。才能もある。ルカは気づいた。
しかしこのムードは最悪に近い。
「えっ、ちょっと待って!」
呼び止めようと試みるが、シルヴィアは去ってしまった。
困り顔になるルカに、ライラックは軽く耳打ちする。
「ごめんね。でも悪い子じゃないから、許してあげて」
そう言い残すと、ライラックは「待ってよシルヴィ」と言いながら後を追った。
これは後に引くぞ。そう睨んだルカは全身から力が抜けた。もちろん悪い意味だった。
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