プロローグ
完全に趣味丸出しの世界、キャラクターです……。一区切りついたところまで投稿する予定ですが、もしかしたら続きも書くかもなので、お付き合いいただけたら嬉しいです。基本平日投稿予定。
ゲームをしようと男は言った。彼の最も近しい、兄弟にも等しい間柄である友人は男の言ったことを訝しんだ。一体、何のゲームをするのか? と友人が男に尋ねる。
すると、男は答えた。僕は常々思っていた、この世界は不変で毎日が退屈だ。君もそう思わないか? 彼の友人は、その言葉をまた怪訝に思う。一体何が退屈なのだ? 友人は今の生活を疑問に思ったことなど、ただの一度もないからだ。
だが、眼前の男は毎日を退屈だと言う。すると、男は疑問に答えるように語り出した。僕はまるで波風の立たない日々に嫌気が差しているんだ。だから考えたんだよ、今の生活に波紋を生み出すことをね。
男はあるものを友人の前に差し出す。それは金色の光を放つ果実だった。差し出されたものを前に目を瞬かせる友人に男は告げる。これは黄金の林檎といって、僕が創り出したものなんだ。よくご覧よ、とてもおいしそうだろう? ふふっ、君もやはりそう思うかい。君にもぜひ味わってほしいところだけど、我慢しておくれ。なぜかというとね、これをひとたび口にした者は正気をなくしてしまうからなんだ。
今、君に黄金の林檎を口にしてもらうわけにはいかないよ。だって、君にはこれから僕とゲームをしてもらわなければならないんだから。ふふっ、一体何のゲームか知りたくて仕方がないようだね? じゃあ、教えてあげるよ。黄金の林檎を僕たちの世界にばらまくんだ。この林檎はとってもよい香りを放つから、きっと多くの人が手に取ってくれるだろうね。
そして、男は「ゲーム」の内容を語る。内容を聞いた彼の友人は背筋が凍る思いがした。なぜなら、「ゲーム」の内容は常軌を逸するものだったからだ。だが、男は無邪気な笑みを浮かべ、楽しそうな様子で話し続ける。
ふふっ、我ながらとてもいいことを思いついたよね。これから、「あの」世界は騒がしくなるよ。とても楽しみだね。男の友人は思い知る。眼前の男はとても純粋で無邪気だ。だが、それと同時に狡猾さと嗜虐的な一面を持ち合わせてもいるのだ。
友人の内心など知らぬかのように男が無邪気そうに語る。ねえ、君はこれからどうする? 黙って「みんな」が狂う様を僕と一緒に眺めるかい? それとも――。