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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

淡紅の欠片

作者: 切亡

メインキャストのモデル

カイリはメリーのガラちゃん

タトゥはムックのたったん

ミヤビは元蜉蝣の大ちゃんです


淡紅というワードに拘りました

第一夜 淡紅の約束



タトゥ!? タトゥ!? 何処にいるの!?

何も見えない ボクの眼 メクラになっちゃったよ

タトゥ いつものエロサイコな声が聴こえないよ

いつものあのあの甘い香りも感じられない

助けて 独りは嫌だ

タトゥ ボクはキミだけを こんなにも愛しているのに


そう叫んだ瞬間 ボクは眼が覚めた

ボクの名はカイリ 

ニューヨーク病院のカリスマドクターだ

夢の中では そういう設定だった


その時 遠くから囁くような声が聴こえてきた


カイリ 叫ぶ声も めっちゃエロサイコだっペ

宇宙一エロいわ オレのカイリ 愛してっぺ

オマエをずっと待ってたっぺ


タトゥ!? 何処にいるの!?

ボクだってずっと待ってたんだよ

待ってよ 置いて行かないで

こっちにきて キスして 抱き締めてよ


あはは オレ様の可愛いカイリ様は

心配症なんやなー!?

かまってちゃんの困ったちゃんだっぺ

いつオレが宇宙一可愛いオマエを

独りぼっちにするとか言ったよ!?

カイリ ぜってー独りにはしねーっぺ

約束する

必ず迎えに行くからオレを信じて待ってろな

約束だっぺ


タトゥの声は信じられる気がした

いつも嘘吐きなタトゥだけど あの声は本物だ



タトゥとボクの出逢いは10歳

小4の春 小学校の教室

窓際の一番後ろの席の隣同士


いつも二人が好きな漫画やアニメ ゲーム

そして タトゥが大好きなエロサイコな映画の話で

毎日 お祭りパーティーだった


タトゥってば狡いよ

ミヤビがネットオークションに出品した淡紅色の虫をボクに内緒で落札し脳内で飼育して名前まで付けてる

カイリには秘密だっぺとか

みんなにペラペラ言いふらしてるし

タトゥの嘘なんか すぐにバレる

全部 お見通しなんだよ



小学校時代のボク達は 毎日馬鹿ばっかりやって

大人びたふりをしているうちに

あっという間に時間は過ぎていった


中学生になり 二人の脳内の淡紅色の虫達は

少しはお勉強するのかと思われたが

不真面目な二人は勉強なんかクソ喰らえだ


盗んだバイクで走り出した13歳

夜の校舎窓硝子壊して廻った15歳

授業なんか全く聞きもしないで

毎日 屋上で煙草を吸ってた


あれは いつかのクソ暑い

真夏の昼下がりのトップシークレットだった

校庭で運動会の練習中に

突然 タトゥの脳内に潜んでいた

淡紅色の虫達が暴れ出した

ショックの余り 組体操のピラミッドの最上階から

落下したタトゥは 救急車で病院に運ばれた


めっちゃ泣き喚いているボクにタトゥは

オレ様は不死身だ 無敵だっぺ

一生オマエを守ってやっから心配するな と

言って笑った


タトゥは生まれつき頭が悪い

それは 勉強が嫌いでやらないというだけじゃなく

頭の中の危険な場所に

直径6センチのダイナマイトがあり

オペは不可能らしい

タトゥは治療のせいでボクより細く冷くなった指で 

脳内の虫達をぎゅっと握り潰した


そんな退屈な日常は意味もなく過ぎていった


近頃のタトゥは メンヘラチックに

リスカを繰り返す事が

密かな楽しみであり マイブームだった


オレ様って天才じゃね!?

オレ様みてーに切れ味のいいカッターで

グサッと決めるとスカッとすっぺ

脳内が嬉し過ぎて淡紅色の虫ちゃん達が

めちゃめちゃ激しくおっ始めっぺ

真夏の夜の最狂エロカーニバルだっぺ


はあ!? この人 何言っちゃってるの!?

てゆか イッちゃってる!?


最近 ミヤビは脳内で淡紅色の虫を

飼育し始めたばっかで まだ新生児なんだよ

眼も見えない 耳も聞こえない

愛の言葉も語れない 赤ちゃんなんだよ

セックスなんか出来る訳ないじゃん


それは オレ様の愛の魔力で無理矢理…


無理矢理ヤラセるの!? 最低!!


はあ 全くカイリちゃんは騒がしくて可愛いっぺなー

今日は生理だっぺか!?


ボクは生理なのか!? そう思うと

脳内から血の匂いがして倒れそうになった




第二夜  淡紅の記憶



タトゥがボクの眼の前から姿を消したのは

16歳の春だった

二人で同じ高校を受験して合格したのに

入学式にタトゥの姿はなかった


ニューヨークで頭の手術をするっぺ

すぐ帰るっぺってメッセージが届いたけど…

嘘吐き… オペ不可能じゃなかったの!?

タトゥが もう倒れたりしないなら

本当に病気が治るなら ボクは嬉しいけど.

全然 帰ってこないじゃないか!?

1ヶ月後 タトゥの家に行ってみると

知らない中国人が住んでいた


あんまり悔しくて哀しいから

ボクは 遠い昔にタトゥと一緒に行った夏祭りや

メリークリスマスイブの夜の事を回想していた


10歳の夏 キミと始めて手を繋いだ

打ち上げ花火が上がった空がライブハウスに観えた

10歳の冬 キミと始めてキスをした

キミの氷みたいな舌が熱過ぎて

焼き立てのレアステーキみたいだった


何を想い出したところでボクは孤独だ

独りぼっちで苦しくて寂しくて哀しくて

悔しくて切なくて痛くて辛くて遣る瀬ない


ヒロポンを血管が千切れる程 打ち込んだところで

全然 眠気など襲ってこない

そんな眠れない真夜中に

綺麗過ぎて心臓が痛い程

美しかったシーンが脳内に甦るけど

タトゥと一緒に いろんな場所に行った記憶は

オブラートに包まれていた

まるで アメリカの純愛映画の

クライマックスシーンみたいに…一番大切なシーンが

何故かスッポリ消えてしまっていた


記憶の欠片を辿ってみた


遠い昔 夏祭り前夜

ミヤビのお母さんが

ミヤビとタトゥとボクにお揃いの浴衣を

デザインし仕立て上げてくれた

少し恥ずかしかったけど

めっちゃ嬉しかったし

写メや動画をいっぱい撮ったり

みんなに可愛い浴衣を見てほしくて

自慢したくて見せびらかしたくて

いろんな場所を歩き廻った


遊園地 テーマパーク 猫カフェ ネットカフェ

居酒屋 スナック バー 黄昏レストラン

コンビニ 占いの館 ガールズバー

キャバクラ ホストクラブ メイド喫茶

麻雀クラブ 温泉 市民プール テニスコート

卓球コート バッティングセンター

ドラックストア 野球場 ゴルフ場

F1のレース会場 スロット店 パチンコ店

ダーツバー ボーリング場 動物園 水族館

プラネタリウム カラオケボックス デパート 

ペットショップ ビリヤード場 

喫茶店 映画館 神社 そして…

まだ見た事も行った事もない夜の公園


ありとあらゆる場所に顔を出しては

無意味に歩き廻った


それは まるで記憶のキャンパスを

無意味に美しく塗り変えるように


ミヤビのお母さんがボク達三人に創ってくれた浴衣は

勝手にキャラをイメージされて創られていた


ミヤビは心臓の血みたいな真紅の薔薇

タトゥは脳内の虫と同じ淡紅色の桜

ボクは真紫色の桔梗 美しく華麗で妖艶で

誇り高い孔雀の羽根のような花だ


桔梗といえば 遠い昔に流行った野菊の墓という

悲恋映画を 視聴覚室で観た事があった

担任の嫁が急に産気づいて早退した為だ


眼が悪かったボクは 最前センターで

隣にはタトゥとミヤビがいた

ポップコーンとコカコーラが配られ

ちょっとした映画館気分だった

ヒロインは野菊のような人で恋人は桔梗みたいな人

ミヤビは哀しいシーンになると

そっとボクに指を絡ませてきた

生まれつき心臓に時限爆弾を抱えてる

ミヤビの手は いつも冷たかった

そして タトゥは爆睡していた

哀しい映画を観ながら飲むコーラは

マックのコーラより何倍も超絶品だった




第三夜  淡紅の花火



タトゥとミヤビとボクは10歳から15歳まで

いつも一緒だった

だから 6回の夏祭りとメリークリスマスイブの夜を

一緒に過ごしている


三人で夏祭りに行くと必ず

金魚姫ちゃん救いと射的とボンボン釣りをやった

射的が得意なミヤビは タトゥが狙っていた

最上階の起爆の刀のフィギュアをゲットし

タトゥにプレゼントした

金魚姫ちゃん救いが得意なボクは

タトゥに金魚姫ちゃんをプレゼント

タトゥは大喜びで 雛と名前を付けていた


そして ミヤビが大好きな

生クリーム入りチョコバナナクレープを喰べ

ボクが大好きなイチゴ味の綿飴を喰べ

タトゥが大好きな車海老入りタコ焼きを喰べた


ミヤビとボクは いつも二人で

分け合って喰べてたし

たまに唇に付いた生クリームや綿飴を

舐め合ってたから 恋人同士に見られた


タトゥは ボク達が一個のタコ焼きを喰べてる間

一箱10個入りの車海老タコ焼きを完食していた



暗くなり打ち上げ花火が上がると

タトゥは花火師になりたいと言った

オレの人生は打ち上げ花火のようなもんだ

みんなに注目されて一瞬で消える ド派手にね


タトゥの頭の中には 淡紅色の虫と一緒に

ダイナマイトがある

ダイナマイトも淡紅色に染まったのだろうか!?

ダイナマイトに火を付けるのは神じゃない

タトゥなんだ その時ボクはそう確信した


打ち上げ花火は アメリカの大統領が変わったとかの

イベントで 世界中の有名な花火師を

60人集めて打ち上げたらしい

その夜は何色もの色彩と

ハート型 スター型 アニマル型など

いろんな形の花火が打ち上がって一瞬で消えた


ボク達 人間の怒涛の人生とは違う打ち上げ花火は

ただ美しいというだけの命の呼吸で消えるのか!?


お土産に貰った線香花火を

いつもの近所の公園で三人でやった


パチ パチ パチ パチ

ボトッ タトゥの負けー

いつもタトゥの玉は大きく

そのせいか真っ先に落ちる

火花もバサバサ 大きくて派手


いつも決まって最後まで残るのはミヤビだった


ねー カイリ!? タトゥ!?

ボクの人生って線香花火みたいだと思わない!?

カイリとタトゥに こうやって

じーっと観つめられたまま消えたいんだ


みんなに注目されて消えたいタトゥと

知らない人には最後の姿を見られたくないミヤビ


犬と猫みたいだ

ボクの人生は花火に例えたら何なのだろう!?




第四夜  淡紅の時限爆弾



いつか ミヤビはボクにこう言った

ねー カイリ 

タトゥの頭の中にはダイナマイトがあるけど

ボクの心臓の中には時限爆弾があるんだ

16歳まで生きられないってドクターに言われたよ

ボクは この心臓のおかげで

10歳で施設に入れられたし

カイリとタトゥ以外の友達なんて一人もいなかった

それなのに いつもラブレターや

プレゼントがいっぱいで

ストーカーや痴漢にも何回もあった


ねー カイリってば 少しは笑ってよ

ボクの話は これで最後かもよ

もうすぐボクの心臓の時限爆弾が破裂するよ

そう言うとミヤビは氷みたいに冷たい指を

ぎゅっと絡ませてきた


カイリ ボクは死ぬ事も みんなに忘れられる事も

全然怖くないよ この痛みに比べたらね

タトゥは どっちが長生きするか競走だっぺとか

言ってるけど

ボクは最後にカイリに抱かれて死ねれば

それでいいんだ

あはっ あはは 

ねー カイリ

こんなに素敵な事ってないよ

さあ テキーラで乾杯しようよ

儚く散りゆくボクの短い命にね


ミヤビ そんな哀しい事言わないでよ

何度も言ってるじゃないか

ボクはミヤビの氷みたいに冷たい魔緑色の唇を

ペロンと舐め 屍色に染まりつつあるボクの舌は

ミヤビの口内に侵入していった


ミヤビ ボクを独りにしないで


そうだった タトゥはこの時 もういなかったんだ




第五夜  淡紅の雪



その後 ミヤビは入院する事が多くなった

しかも 毎回 集中治療室だ

頭が良かったミヤビは タトゥとボクより

レベルの高い私立高校に合格したが

入学式の後 倒れて以来

一度も授業を受ける事はなかった

大量の薬を飲み 学校には登校していたが

毎日 保健室にいた

ミヤビは有名人で 男子からも女子からも人気で

毎日 ラブレターとプレゼントがいっぱいで

バレンタインデーには沢山のブランド品や

手創りのプレゼントが届けられた


カイリ 今年のメリークリスマスイブには

淡紅色の雪が降るんだって

昨日 タトゥが夢に出てきて言ってたよ

二人で出掛けようよ


タトゥ!? ボクの心臓はミヤビみたいに

病気じゃないはずなのに

まるで壊れたオルゴールみたいに

いつまでも鳴り止まなかった


ミヤビのお母さんが担当医に

お願いしてくれたおかげで

なんとかミヤビの外出の許可が下りた

しかし 出掛ける直前に

ミヤビの心臓の時限爆弾が破裂した

その時 ミヤビのお母さんは買い物に出掛けていて

ナースコールのスイッチを押そうとしていた

ボクの手をミヤビは止めた


カイリ 大丈夫だから


ミヤビは引き出しの中から魔薬みたいな

淡紅色の錠剤を取り出し

内緒で持ってきたテキーラで流し込んだ


カイリ 行こう


ボクはミヤビの折れそうな程細く

透けそうな程真白な指に そっと触れた

ミヤビの笑顔を いつまでも観ていたかった

ミヤビとボクは指絡ませ合い

教会に向かって歩いて行くと

本当に淡紅色の雪が降ってきた


やっぱり 降ったー!!

カイリが大好きなイチゴ味の綿飴みたい


ボク達は 雪を舌で掬って舐めた

甘いと感じたのは気のせいだろうか!?


誰もいない真っ暗な教会に入って行き

マリア様の前で ボクはミヤビを抱き締めた

そして お揃いのプラチナリングを

ミヤビの折れそうな程細く

透けそうな程真白な指に そっと嵌めた


ミヤビ 愛してる


ボクも ねー カイリ 桜みたいだね

ボク達を祝福してくれてるみたい


そう言って 空を見上げるミヤビの魔緑色から

淡紅色に変色する瞳は 雪よりも桜よりも美しかった



そして 年が明け

2月14日 バレンタインタインデー 午前0時

ミヤビは薬の過剰摂取で死んだ

事故だったのか自殺だったのか

そんな事は誰にも分からないし どうでも良かった


ミヤビは桜みたいな淡紅色の雪を

ずっと観ていたかったんだと思う




第六夜  淡紅のダイナマイト



そして 1ヶ月後 3月14日 ホワイトデー

タトゥがニューヨークの病院で死んだ

ボクがこの事実を知ったのは

タトゥが夢に出てきた翌朝のテレビのニュースだ

タトゥはテレビにもよく出ている

ニューヨークのカリスマドクターの

医療ミスで殺され その事はずっと隠蔽されていた


何故 ボクは知ってしまったのだろう!?

ボクには頭と心臓の病気の二人の真友がいる為

子供の頃からずっと医者になる事が夢だった


ミヤビもタトゥもいないんじゃ

ボクが医者になる意味はない

もう止めてしまおうか!?

そんな事を思って眠れないでいた


そして 午前0時

タトゥからビデオレターが届いた


カイリ 約束守れなくてごめんな

愛するオマエを今すぐ連れて逝きたいけど

やっぱり生きてて欲しい

第二のミヤビやオレが世界中にいっぺーいるから

オレ達は 空からカイリを見守ってる

それが嫌ならこっちに来い

今すぐオマエを抱き締めたい 愛してる


              byタトゥ



どうして今頃送られてきたのだろう!?

タトゥの医療ミスが世界中に公表されたから!?

あの夢はタトゥの最後の叫びだったんだね


バイバイ タトゥ

ボクは世界中のタトゥとミヤビを救う為に

医者を目指すよ

タトゥは空から ずっと観ててよ

愛してる ありがとう またね



               






                the end








哀しいシーンが沢山出てきますが

美しく描き上げました

どのページをめくっても言葉が煌めいています

ラストは前向きというだけで

ハッピーエンドとは言えないです

私の小説はメンヘラなキャラ

ばかりですがポジティブに生きてます

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