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セドリックの後日談2

学園に入る前の期間は、家庭教師を雇い、いろいろと学ぶ。

僕には血の繋がらない妹たちがいて、今年12歳になる。

後妻の連れ子というやつだ。


とはいえ、後妻にあたる義母がうちに来たのは5年前のことだから、ぎくしゃくした感じももうなく、実の妹だと思っている。


その家庭教師に任命されたのが、アナスタシアさんだった。

学園は今冬休み。その間を利用して来てくれているのだ。


白状すると、僕はアナスタシアさんがちょっと苦手だ。

彼女は、その小動物のようなかわいらしい見た目に反して、結構したたかな女性だ。

人を見極めて動く感じ。僕と似てる気がするんだよね。

まあ、だから、ランバート家の家庭教師にはうってつけでもある。


同じ伯爵家。婚姻以外にも、こんな縁の結びかたもあるってことだ。


そのアナスタシアさんに、妹たちが、パーティーでの僕の武勇伝?を聞き、フィリアさんにぜひ会いたいと、駄々をこねはじめたらしい。


「可愛らしい妹さんですわね。目をキラキラさせて、フィリアさんのことを聞きたがっていました。聡明で、勉強もマナーももう完璧ですわ。」

だから、他のことについつい時間をつかってしまって。

と微笑むアナスタシアさん。

多分雑談にかこつけて、ランバート家のことも聞こうとしているのだろうが、あの子達はそんなに簡単にはボロを出さない。


(けど、妹たちが、フィリアさんに興味をもつのは、いいことか悪いことか分からないな。)


「それで、マナーの実践で、フィリアさんを招いてお茶会を開かれるのはどうでしょう?きっと素敵な時間になりますわ。」

にっこり笑うアナスタシアさん。

その笑顔の裏はいかに?


(けど・・)

想像してみる。

家のテラスに、フィリアさんがいる光景。

僕の家にフィリアさんがきて、柔らかく笑いながらお茶を飲む。

いつもより近い距離。

悪くないよなあ。


「・・セドリック君、がんば!アルフォンス様がリードし過ぎですもの。ナイトにもチャンスがなければ。婚約までは、まだ勝敗は分かりませんわ。」


あれこれ妄想していた僕の横で、聞こえるか聞こえないかくらいの声でアナスタシアさんが何か言っていたのだが、僕は耳に入っていなかった。


フィリアさんは、実家が遠く、この冬は寮で過ごしているらしい。

「セドリック君から誘ってみません?私からもお誘いしますから!」

とアナスタシアさんの圧に負けて、僕は寮を訪問していた。


「あら、セドリック君!!なんだかお久しぶりな気がしますね!」

僕を見ると笑顔全開になるフィリアさん。

くっ。可愛い。


「さすがに寒くなってきましたね。寮での生活は退屈ではないですか?」

そう聞くと、フィリアさんはとんでもない、と首をふった。

「せっかくですから、いろいろ片付けてお掃除をしてます!あと、厨房をお借りしてお料理したりお菓子を作ったり!人が少ないので結構自由にやっていますよ。」

(なんだそれ。僕も混ざりたいんだけど!!)

「セドリック君は、今日は?」


危うく目的を忘れるところだった。

「実は、今家に、妹たちの家庭教師としてアナスタシアさんがいらっしゃっていて。」

そう切り出すと、なぜかフィリアさんの顔が輝く。

「妹たち・・双子の小さなご令嬢方ですね?」

あれ?なんで知ってるんだろう?

と思ったところで、フィリアさんがしまった、という顔をする。

(ああ、例の前世の記憶か。)


フィリアさんは、前世の記憶をもっている。

だが、それは、フィリアさんの恋愛に関するものだけ。

僕の個人情報を知っているということは、僕が彼女の未来の恋愛に関わるということ。

家族のことまで分かるなんて、深い関係になるとしか思えないのだけど、いまいち手応えがない。


お茶会に誘うと、二つ返事で了承。

何はともあれ、その日がすごく楽しみになった。

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