セドリックの後日談1
「あーあ。」
最近の僕はため息が多い。
「どうしたの?セドリック君。」
首をかしげて僕を覗き込む顔。
・・なんか最近、前より綺麗になってません?
「なんでもありませんよ、フィリアさん。」
笑顔で答えると、「そう?」と言って友人のもとに行ってしまう。
さすがに、当の本人に向かって「あなたのせいです」とは言えない。いや、むしろ言っちゃおうかな。
クリストファー様の皇太子即位パーティーにて、フィリアさんを守りたい一心で、素の自分で鮮やかに誘拐事件を解決した僕は、終わったあと、父、つまりランバート伯爵からたっぷりのお小言を食らっていた。
「ランバート家の次期当主たるもの、表の顔は柔和な好青年を通さなければならない。なのに、あんな公の場で素を出すとは修行がたらん!」
というわけだ。
一応言い訳するけど、僕だって、断罪されるのがロザリンドさんなら、それがどんな言いがかりだろうと、冷静に静観できたはずだ。
ロザリンドさんなら、クレアさんの証言の段階で勝ったようなものだったし。
全部、攻撃をフィリアさんに向けたクリストファー様が悪い。いや、差し向けた王妃様かな。
とにかく、僕の発言に父上だって、同意したわけだし、理不尽だなと思うんだけど。
父上からは、
『この後はおとなしく猫をかぶり、卒業のときには今回の件、(そんなことあったっけ?人違いじゃない?)のレベルまで印象操作をする事』
『素をさらすという失態までおかしていいかっこをしたかったのなら、ただでは起きるな(つまり、フィリアさんをものにしろ)』
と言い渡されてしまった。
できるならそうしたい。
まあ、一つ目は大丈夫だけど、二つ目はさあ。
本来の僕は、ランバート家の子息らしく、裏工作が得意だ。
頭を使って相手の出方を予想し、こちらの思う方に誘導する。
(でも、その得意分野が生かせない・・。)
クリストファー様が中途半端に裏工作をして見事に転落したせいで、フィリアさんに嫌われたくない僕は、彼女を欺くようなことはできなくなってしまった。
パーティーでかっこつけたせいだ。
まあ、好感度は低くない、と思う。
笑顔で向こうから話しかけてくれることも増えたし。
でも、僕が向けてほしいのは、単なる信頼と親愛の笑顔じゃなくて、ほら、今迎えに来たあの人に向けてる、はにかんだような可愛いやつ。
紳士を気取ってフェアにこだわったせいで、あの人、アルフォンス様がいない間にアプローチするのを我慢した。
帰ってきて、ようやくスタート地点についたと思ったら、あの二人は改めて恋人関係になったらしい。
・・そんなのあり?ずるくない?
アルフォンス様は、大人オーラのある、落ち着いたタイプだ。
パーティーの時は怒っていたけど、そういう、「大事な人のことだけは熱い」タイプは、モテる。
二人が寄り添うのは、僕からみてもお似合いだし。
ああ、もうちょっと背が高ければ、僕だってさあ。
「あーあ。」
「セドリック君!やっぱり何か悩んでる。どうしたの?」
「身長が・・」
うっかり声に出してからハッとすると、すぐ近くに目を真ん丸くしたフィリアさん。
「え?フィリアさん?・・今、何か聞きましたか?」
気がつかないうちに、僕のため息を心配してきてくれていたらしい。
「ん?何か言った?何も聞いてないよ?」
フィリアさん。目が泳いでますよ。
穴があったら入りたい。むしろ消えてしまいたい。
僕の武器は、フィリアさん攻略に役立つ気がしない。
戦いの過酷さに僕、めげそう。
でも、救いの手は、思いがけないところから差しのべられたのだ。
セドリック目線の後日談始めました。
数話続きます。よろしくお願いいたします。
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