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第36話

後日。

クリストファーは一旦皇太子即位が白紙になり、ロザリンドとの婚約に関しては保留となったと、ロザリンド・アナスタシアが教えてくれた。


今回の一件で未来の義姉妹になるこの二人は一気に距離が縮まり、最強タッグとして学園女生徒のトップに君臨することとなった。

とはいえその実態は、周りが勝手に憧れているだけで本人たちはいたって普通。まあ、その普通が派手で目立つのだからどうしようもない。


そして、ロザ・アナコンビは、何かと私に絡み、世話を焼こうとするようになった。

「フィリア。あなたこのままじゃ次のマナー試験に落ちましてよ。特訓して差し上げますわ。」

「フィリア!素敵なバレッタをみつけましたの!お揃いでいかが?」


・・絡み方は違えどありがたい二人ではある。

アナスタシアいわく、今回の件でロザリンドも私に感謝、しているのだとか。同時に疑ったことも申し訳ないと思っているのだとか。


ちなみに婚約が完全に白紙にならなかったのは、国王陛下自らがサルバドール公爵に頭を下げ、猶予を願い出たからだそうで。


皇太子再即位の条件は、ロザリンドに許され、彼女の愛を得ることとなった。

期限はロザリンドの学園卒業まで。クリストファーはできなければ廃嫡もありうると言い渡されたらしい。


「あちらから頭を下げてすがりついて来られるなら、考えて差し上げますわ。」

とロザリンドは言っている。

「その代わり、甘やかした私たちにも落ち度はあるのですから、サルバドール家が責任をもって、皇太子としての心構えを教えて差し上げます。」

多分、ロザリンドは何かしら歴史に残る王妃様になるんじゃないかな。恐妻、的な意味で。


あれから二人の皇太子は学園に出席していない。

クリストファーについては今謹慎中とのことだった。


気になっているのは、アルフォンスのことだ。

実はエリーゼとシュバルツも出席していないため、婚約のことで動いているだろうと思うのだが、こちらの件に関しては情報がなかった。


長期欠席なのに、理由は明かされず、だがパーティーでアルフォンスが言った王位継承権放棄とエリーゼとの婚約解消の話は皆知っており、私のことと関連づけてしきりに噂話が飛び交っていたようだ。

だが、その辺りはロザリンドとアナスタシアに表でも影でも盾になってもらっていたらしく、彼らの好奇心が私になにか影響することはなかった。

ちなみに影の盾は、ウィリアムやクレア、セドリックも一役かってくれていたらしい。


私をそっとしておいてやろうという、そういった配慮の中で、唐突に決着がついたのは、長期欠席が2ヶ月になろうかという時だった。


ある日の放課後、エリーゼとシュバルツが寄り添って学園に来た。

公には関係が秘密だった二人が、こうして仲良いことを隠さずに来たのは初めてのことだ。

ひそひそ話の間を堂々と通って、エリーゼは私のところに来た。

「ごきげんよう、フィリア。」

少し痩せたような気がする。でも、エリーゼはなんだか少し見ない間に大人びて、美しかった。

「エリーゼ。心配していたんですよ。急にいなくなったから。」


そう言うと、エリーゼが私に抱きついてきた。

「フィリア。わたし、実家に帰っていました。シュバルツの実家にも行きました。時間がかかったしたくさん怒られたけど、私たち、頑張ったんですよ。」

「アルフォンス様も来てくれて一緒に説得してくれて、両家が正式に、アルフォンス様とエリーゼの婚約解消と、僕たちの仲を認めてくれました。」

シュバルツも横から説明してくれる。

恋人たちは、もうその気持ちを隠す必要がなくなったのだ。


「あ、そうでした。アルフォンス様から伝言です。どうしても伝えたいことがあるから、温室で待っている、と。」


私は、頷くと、駆け足で温室に向かった。




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