表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/49

第35話

「疲れた・・」

怒涛のパーティーが終わり、サルバドール家の馬車で寮に送り届けてもらったエリーゼと私は、ぐったりしていた。

「ホットミルクでも飲みませんか?用意しますわ。」

エリーゼに誘われて、部屋で着替えてから向かう。

何が起こるか知った令嬢達の決断は、気持ちいいくらいに容赦なかった。


(クリストファーが断罪される側になっちゃった・・)

このままいけば、婚約破棄だけでなく、皇太子の座も、友人も、もしかしたら王妃の比護も何もなくなってしまうかもしれない。当然主人公の私も手に入らない。


「なんだかすごい展開で驚きましたわね。今日の出来事も予知していましたの?」

エリーゼが甘いホットミルクをことりと置いて言った。

部屋着に身を包み、ここでホットミルクを飲んでいると、先程までのことが夢に思えてくる。

だが、事実だ。主だったご令嬢は、今は当主と共に実家に帰っている。今後の混乱に備えて、自分の家の立場と行動方針を話し合っているはずだ。

大人たちも後処理に追われるだろうが、子供たちも大変だ。学園生活は続いていくのだから。


「いいえ。もう、この世界は私のしっているシナリオと大きく変わりました。私もびっくりしています。」

あわや自分が断罪されかけるとは。

セドリックがいなければ結末はまた違っただろう。


「私、最初に驚いたのはクレアさんです。よく、彼女が証言しましたね。」

「ああ、それは・・。」


実は修羅場を演じ、クレアの所在がはっきりしたあの日の翌日。教室に行くと、ウィリアムが私を呼び出した。


「フィリア。・・クレアをしらないか?」

返事を躊躇っていると、ウィリアムは続けた。

「授業に来ていない。寮にも帰っていないそうだ。実家にも帰っていない。もう三日目だ。・・三日前、クレアと君は深刻そうな顔で何か話していただろう?何か知ってることがあるなら教えてほしい。」

「ウィル様。・・あなたはクレアをどう思っていますか?」

話すならば、巻き込まれる覚悟をしてもらわなければならない。

でも、正直なところクレアに本当のことを言うように説得するなら、彼以上の適任者はいないだろう。


「クレアは幼なじみだ。ダンスパーティーに君を誘っといて言うのも変だけど、単なる幼なじみではなく、大事にしたい女性だ。・・まだ彼女は知らないが、僕らの家同士で婚約の話が出てる。俺はクレアを生涯の伴侶にしたいと思ってるよ。」

私は、腹をくくることにした。

そこまで言うなら、真っ直ぐなウィリアムの決心はかたい。

そこに賭けよう。

もともと、クレアの証言はあてにせずにそれぞれの計画は進むはずだ。でも、もし、クレアが本当のことを証言してくれたら。

クレアの未来は、クリストファーの落ちる先とは離れて光のある方が拓けるかもしれない。


「それならば、私が知ることをお話します。クレアは、恐らく男子寮に。実は・・。」


結果は今日のとおりだ。

国王の前で虚偽の証言をしてしまったらもう、取り返しがつかない。

でも、クレアは嘘をつかなかった。

ちゃんと償えば、この世界だって許す構図がちゃんとある。


「そうでしたの。クレアは味方を得たのですね。良かった。」

こういうところがエリーゼの良いところだとつくづく思う。

彼女は、優しい。


「・・これからどうなるのでしょう?」

「どうなるのでしょうね。」


私たちはため息をつく。


「まあ、私は、アルフォンス様とフィリアの今後を考えて気をまぎらわしますわ。」

エリーゼは明るく言った。

ん??

きょとんとした私にエリーゼはパチンとウィンクする。


「今日のあの申し出、要するに堂々とフィリアにアタックしたいって聞こえましたけど。まあ、今日のパーティー唯一の熱い話題ですわね。」


そうだ。

アルフォンスの最後の言葉。

肩に触れた手を思い出して、体温が上がる。


「あとはセドリック君!かっこよかったですわ!彼がナイトに見えました!あれ?でもそれじゃあ、フィリアはプリンスとナイトに取り合われる構図?」

エリーゼのテンションが上がっていく。

(若いなあ。元気だなあ。)

対称的にとりあえず眠りたくなってきた私は、あくびを噛み殺す。


「あら。まだ寝かせませんわよ。濃いめの紅茶はいかが?」

目を輝かせるエリーゼをなだめ、今夜はエリーゼの部屋で一緒に寝るからとピロートークに切り替える。


ベッドに入ると、思いの外疲れていて、結局あっという間に私たちは深く眠ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ