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第3話

「ヤバイヤバイヤバイ!」

マナー完璧のはずの私は、今、スカートをたくしあげて走っている。

今日は、絶対に遅刻してはいけない日。

学園の入学式だ。

男爵令嬢は、地位もそんなに高くない。

出来れば最初に着いておきたいくらいだったのに。

(でも、あれはしょうがないよ・・。)

途中に苦しそうにうずくまる女性を発見してしまったのだ。

馬車をとめ、どうしたのか尋ねると、そばにいた男性が、

「妻です!急に産気付いて!!」

と言う。

ほっておけるはずはなく、馬車に乗せ、彼らの主治医のところに駆けつけた。

あとは任せて学園に向かったものの、タイムロスは否めない。

(産気付いた妊婦に出会って遅刻って、高い確率で信じてもらえないやつだよね・・)

言い訳のチャンスがもらえるかも分からない。

とりあえず、走る。

ドン!

焦っていたため、前への注意がおろそかで、人にぶつかってしまった。

「すみません!」

すぐに謝ったが、バランスを崩してこけそうになる。が。

「大丈夫だよ。君こそ大丈夫?」

ベストタイミングで背中に手が回され、抱き止めるかたちで覗き込んできたのは、

(クリストファー・ノーデンブルグ!!)

金髪碧眼の超がつく美形。ちょ、直視できない!!

「だ、大丈夫です!ありがとうございます!」

とにかくお礼を言って、ぎこちなく笑う。

王子であるクリストファーは、キラキラしい笑顔で

「どういたしまして。」と言い、道を譲ってくれた。

「失礼します!」

男性の前でスカートを持ち上げるわけにもいかず、角を曲がってから、一気にダッシュする。

人とすれ違ったとき。

「君!」

急に呼び止められ、不本意ながら振り向くと、そこにはメガネの知的イケメン。

(アルベルト・サルバドール!!)

「これは、君のか?」

(ハンカチ落としたのね・・。)

「はい。ありがとうございます!」

淑女の礼をして受け取ろうとすると、あれ?笑ってる?

「・・いや、ずいぶん大胆に走っていたが、まだ時間はある。大抵少し遅れて始まるから、急がなくてもいい。」

なるほど。あの走り方を見ちゃったら、今さら淑女の礼をしても無駄か。

「ありがとうございます。」

火照る顔を押さえつつもう一度おしとやかにお辞儀して、今度は早足で歩く。後ろからは、クスクスという笑いが聞こえていた。


式の会場に入ると、席に着く。

「間に合った・・。」

いきをととのえていると隣の席に座る人がいた。

「やあ。同級生だね。俺はウィリアム・アイゼンバッハだ。ウィルでいいよ。よろしく。」

栗色の髪に明るいブラウンの瞳。ちょっとチャラい感じの彼も、攻略対象だ。

「フィリア・フォンティーヌです。よろしくお願いいたします。」

丁寧に返すと、

「フィリアか。仲良くしてくれよ。」

ウインクで返される。

にっこり笑って見せてから、他の人も見回してみる。

思い出してきた。記憶が確かなら、次は・・。

「すみません。フィリアさん、ですか?」

ふわふわした癖毛が可愛い男の子が話しかけてくる。

(セドリック・ランバート!!)

「はい。そうです。」

うなづくと、花が咲いたような笑顔になる。

「良かった。これを渡しにきました。」

そう言って差し出されたのは、着けていたはずの髪飾り。

後ろに名前が彫ってあるんだっけ?

「ありがとう。わざわざ届けに来てくれたの??」

聞くと彼が答える前にウィリアムが入ってくる。

「彼は天才で、こう見えて同級生だ。飛び級ってやつだな。よろしくな。セディー。」

セドリックは、にっこり笑ったが、私は知っている。せっかくの会話を邪魔されて、だいぶ怒っているはずだ。ほら、耳を澄ませば小さく舌打ちが・・。

(ああ、イメージが・・。)

初期過ぎて、忘れていたが、これは、ゲームのプロローグ。

攻略対象全員との出会いを済ませ、共通ルートの間は対象を選べない。

(共通ルートは、やっちゃうしかないよね。)

選択肢なくすすむため、ゲームで起こることは、実際にも起こる。

半ば諦めの境地で、私の学園生活は始まったのだった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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