表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/49

第25話

救出のナイトは、思っていたより早く現れた。

というか、私の状況は、記憶と大分違う。

私を拐った二人は、娼館の話もしなかったし、私を襲おうともしなかった。

袋詰めを解かれたが、彼らは仮面で顔を隠していたし、そのままこちらも目隠しをされてしまった。

ただ、沈黙。それが返って怖い。


状況は、バーンという、ドアを蹴破る音で変化した。

「わあ。ほんとに捕まってる!ひどいなあ。」

呑気な、場にそぐわない声。

私は、その声に聞き覚えがあった。

(セドリック・ランバート!?)


無言で男達が立ち上がる気配。

だが、「うっ?」とか「ぐっ!」とかいううめき声と共に床に何かが落ちるような音がして、静まり返ってしまった。


「もう大丈夫ですよ、フィリアさん。」

目隠しを外され、予想通りのフニャッとした笑顔が覗き込む。

「セドリック君・・。」

急な彼の登場に、私は呆然としてしまった。


セドリック・ランバート。

飛び級で同級生になった、実際には二つ下の学生。

伯爵家のランバート家の跡取り。

ランバート家は、この国の影を司る家で、表向きは穏やかで優しい風貌と物腰でありながら、暗殺など、国のための裏の仕事を一手に引き受けてきた。

王家も、ランバート家だけは敵に回さぬように苦慮している。


でも、これはゲームでセドリックの攻略をしなければ分からない事実だ。知らないふりをすべき事項である。

ゲームでは、主人公の前でだけは安心して過ごせるようになるセドリックが、できるだけ本当の顔を知られずにひたすら優しい自分でありたいと苦労する姿が切ないと、密かな人気キャラでもある。


「いろいろ聞きたいでしょうが、もうすぐここに、偽物のナイトが現れてしまいます。面倒だから、とりあえず僕の知り合いの所へ行きましょう。」

セドリックはそう言って、私の手をとった。


街を抜けて、ちょっと外れたところにある一軒の家をセドリックがノックすると、中から男性が出てくる。

「セドリック様!・・フィリア様!!」

小声だが、驚いた反応。その男性になんだか見覚えがあったのだが。

「あなた、何してるの?せっかく寝かしつけたのに起きてしまうわ。」

奥から男性の妻らしき女性が出てくる。

男性が、「あの時のご令嬢だよ。」と言うと、女性は目を見開いた後、笑顔になった。

「あらまあ。あの時はありがとうございました。セドリック様もご一緒ということは、何かあったのですね。こちらにどうぞ。」

家の中に通してくれる。


あの時・・?・・あ。


「もしかして、街でお医者様のところにご一緒した・・?」

二人は笑顔で頷いたあと、改めてお礼を言って、私とセドリックを残し、部屋の扉を閉めた。


「彼が、僕に教えてくれたんです。空き家にフィリアさんが監禁されてるから、助けてあげてほしいって。だから、すぐに行けました。」

セドリックの話し方は淡々としている。

こちらは素の彼だ。


「・・ところで。フィリアさん。あなたは一体何者なの?」

セドリックが笑顔のまま、聞く。

「何者・・?」

意味が分からず問い返すと、セドリックは言った。

「いろいろあなたは面白い。一体どこまで知っているの?」

・・そうだ。

攻略対象ではないのなら。

セドリックの「裏」と接するのは、命懸けになるかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ