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第24話挿話(アルフォンス目線)

フィリアから、クリストファーの告白について明かされたとき、

(とうとうきたか。)

と思った。


クリストファーからの宣戦布告から、ずっと考えていた。

フィリアを側妃にするとほのめかした奴を許せない、と思った。

側妃の苦しさを、俺は知っている。

フィリアがもし、側妃になれば、正妃となるロザリンドに絶対にいびられる。・・母のように。


だが、俺のイラつきの原因はそれだけではない。

フィリアがクリストファーのものになるところを想像したくない自分を、俺は認めざるを得なかった。

(フィリアが他の誰かのものになるのは、嫌だ。)

それは、独占欲。

フィリアが、本当に俺の恋人だったら。

何があっても、ただ、フィリアを守るために、俺がそばにいられるために、何でもするのに。


(でも、もしフィリアがクリストファーの思いを受け入れたら・・?)


俺は、クリストファーに勝るものはなにもない。

地位も、見た目も、実力も。

しかも今まで負けぐせがついていることもあり、全てにおいて自信がない。

クリストファーに求められたとき、フィリアがどんな反応をするか、正直怖かった。


「クリストファーから何か言われたか?」

相談がある、という言い方に、俺は契約破棄だと思い込み、言いにくそうなフィリアにこちらから切り出した。


「・・告白、されました。」

フィリアの言葉に、やはり、と思う。

「そうか。それで?」

冷たい言い方になったのは、その後の言葉が怖かったからだ。だが。

「それを、ロザリンド様に聞かれて・・。」

「?いや、告白のほうは?」

「え?えっと・・そう言えば何も答えてない?いや、やめてくださいとは・・。」

あれ?悩んですらない?と気づいた俺は、クリストファーのアウト・オブ眼中ぶりに、若干浮かれていた。


結局、フィリアの相談は、ご令嬢とのトラブル回避だ。

一緒に過ごせる時間が増えるのは、願ってもない申し出だった。


「クリストファーから、その後何か無いか?」

ある日、気になっていたことを聞く。あの、クリストファーのことだ。たとえ受け入れられなかったとしても、何か考えているはずだ。

「それが、なんにも、です。」

フィリアの表情を見る限り本当らしい。

そうすると、それ自体が不気味だった。


ちょうどその翌日、俺のところに珍しい人物がきた。

「ごきげんよう、アルフォンス様。」

ロザリンド嬢である。

巻き髪を揺らし笑顔だが、紫の瞳は怒りに燃えている。

「何か?」

挨拶もわざとせず、投げやりに聞くと、単純なロザリンド嬢は怒りもあらわに言った。

「アルフォンス様は、恋人のフィリアさんの不貞をご存じなのかと思いまして。」

「不貞?」

何を言っているか分からず聞き返すと、ロザリンドは吐き捨てるように言った。

「クリストファー様につきまとって、親交を深めておられるようですわよ。」

まさか、と吹き出しそうになる。

フィリアは、今、授業以外のほとんどの時間を温室で過ごしている。しかも、つい昨日クリストファーから音沙汰無しだと聞かされたばかりだ。

「随分信頼なさっていますのね。私、クリストファー様の侍従から聞きましたのよ。お昼は最近ずっと一緒に過ごされているそうで、楽しげにしていると。」

「いや、昼は・・」

「フィリアさんのクラスの生徒も、うっとりとクリストファー様との会瀬を自慢する彼女を見たそうですわ。」


何かがおかしい、と気づく。


「話はそれだけですわ。アルフォンス様からもフィリアさんに苦言の一つも言ってくださいませ。・・まあ、アルフォンス様だって婚約者のいる身でたぶらかされているお一人ですが。」

ロザリンド嬢は、忌々しげに言い捨てて去っていった。


「えらくお怒りでしたね。」

いいタイミングでシュバルツがくる。恐らくはかっていたんだろうなと思いながら、俺はあることに気づいて、寒気がした。


名前を書き忘れて0点。

そんな馬鹿げた話を、あり得ない人物が受け入れていたのを思い出していたのだ。


「クリストファーが、裏でフィリアを追い詰めている??」


そんな汚い手を使う奴だっただろうか?

いや、そうだったとして、一体何のために?


青い顔をしたエリーゼが駆け込んできたのは、その数日後のことだ。

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