表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/49

第21話挿話(アルフォンス目線)

「どう思う?」

フィリアから、テストの結果を聞き、ひとまず慰めたものの、釈然としなかった俺は、彼女を見送った後で、シュバルツに聞いた。


「フィリア嬢のことですか?・・妙、ですよね?」


この妙、には、いくつかの意味がある。

問い合わせを粘ったということは、おそらく、エリーゼも感じていたはずだ。


まず、一番おかしいのは、根本的なことだ。

名前を書き忘れて、0点をとることは、学園ではあり得ない。


貴族の令息、令嬢が学ぶ学園では、生徒の不正がおきないよう、解答用紙には通し番号がふられている。

それ自体はあまり広く知られていることではないが、人物採用の時に、学園の成績が信用されるのは、替え玉受験などがなく、本人の成績であると断言できるからだ。

また、名前のミスならば、監督が必ず指摘してくれる。


だから、名前の書き忘れで0点など、今まで聞いたことがない。


おかしいと思ったのは、それだけではない。

他でもないフィリアが、それを疑問も持たず、むしろ自分で、それ以外考えられないと言っていた。

なぜ、フィリアはそう思ってしまったのだろう。


そして、もし、名前のミスではなかったとして、他に、フィリアが0点になる理由などあるだろうか?



そんな話をした数日後、クリストファーが、フィリアの補講を担当することを知った。


珍しく、クリストファーの方から話しかけてきたのだ。


「やあ、アルフォンス。」

軽い口調は、相変わらずだ。昔は仲がいいと思っていたときもあった。だが、こいつも正妃の息子だ。単純な男ではない。

「こんにちは。何か用ですか?」

下級生として振る舞う。

入学より前から、距離は置いていたが。

「前から聞きたいことがあったんだ。君は、フィリア嬢と、どういう関係なの?」

答えに詰まる。

迷うことはない。契約中なのだから、恋人だと言えば良かった。

・・それができなかったのは、契約だと割りきっていない自分に気づいていたからだ。俺は、多分、本気で彼女に惹かれ始めている。


「言えないような関係なんだ。婚約者がいるのに。」

クリストファーの言葉には薄いが毒がある。

「なんで急に?」

答えることから逃げて、質問で返す。

「フィリア嬢を、口説きたいと思ってね。」

「・・あんただって、婚約者がいるだろ。」

思わず昔の口の聞き方になって、後悔する。これでは余裕がないと知らせるようなものだ。


「僕は、王になる。妃は一人でなくていい。フィリアは、僕に必要な女性だ。彼女にしか与えられないものがある。」

「側妃をもう考えるっていうのか?よくそんな話が俺にできる。フィリアは・・!!」


「・・フィリアは?」


静かに問われ、俺は言葉が続けられなくなる。

何を言っても、今はふさわしくない気がしてしまう。


クリストファーは、笑った。

「僕は、手段を選ばないことにしたんだ。本気でいく。今日はそれだけ言いに来た。」

そして、去り際に言う。

「フィリア嬢のテスト結果は聞いたかな?彼女、名前を書き忘れて0点だったそうだ。それでも赤点には違いない。補講担当は、僕だから。・・邪魔しないでくれよ。」


残された俺は、自分の無力さを呪う。

クリストファーがそう決めたなら、フィリアを逃す手段を、俺はもっていない。

第二皇子なのに。


絶望感の中、クリストファーの言葉にわずかに覚えたひっかかりは、この時改めて考えることができなかった。



最後まで読んでいただきありがとうございます!


もしよければ、




上記の☆☆☆☆☆評価欄に




★★★★★で、応援していただけるとすごく嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ