第12話
ダンスパーティーの日が、ついにきた。
寮の玄関には美しく着飾った令嬢がたくさん待機し、とても華やかだ。
パートナーの迎えがくると、その旨が伝えられ、一人、また一人と会場に向かっていく。
(関係性が見えるわね・・。)
早いカップルを見送りながら、二人の距離感を興味深く観察する。
男性のエスコートに照れながら答える初々しいカップル。
男性が促す前に腕を組み、令嬢が積極的なカップル。
明らかに令嬢優位で、男性があとから慌ててついていくカップル。
皆、会場では紳士淑女として完璧に振る舞うのだろうが、その前段階であるこの場では、ある意味素が出ていて面白い。
「来られたようね。」
エリーゼが私のそばで、声を弾ませた。
呼ばれて二人で外に出ると、そこには正装のアルフォンスとシュバルツ。
「シュバルツ!」
エリーゼは、控えめに、でもとびきりの笑顔で駆け寄る。
シュバルツもとろけそうな笑顔で迎える。
微笑ましいカップルだ。
「こんばんは、アルフォンス様。」
淑女らしく礼をするとアルフォンスは
「ああ、こんばんは、フィリア嬢。」
と同じように返す。
ぎこちないなあ。
エリーゼたちを見ると、シュバルツが肘を曲げてエリーゼを促し、エリーゼもそっとその肘に手を添える。
アルフォンスがまねをして肘を曲げたので、私も微笑んで手を添えた。
普段は、多少の着崩しはあるものの、基本制服のため、正装は新鮮だ。
(こうして見ると、アルフォンスって、普通にかっこいいのよね。)
普段出しているダークオーラがなかったら、人気出そうなのに。
まあ、それでは困るのだが。
ライバル令嬢が現れたら意味がない。
女の戦いは回避一択である。
「俺の顔に何か?」
考えていたら、ぼーっとアルフォンスを見続けていたらしい。
突然聞かれたせいで慌てて、
「すみません。いつもとまた雰囲気が違っていて、みとれていました。」
と素直に言ってしまった。
アルフォンスが、ぷいっと顔を背けてしまい、焦るも、よく見ると顔が赤い。
(照れていらっしゃるわ。)
なんだか、思わぬレア反応に、ちょっと得した気分になりながら、私は会場入りした。
会場につくと、順番に名前が呼び上げられ、入場していく。
どちらか、もしくはどちらもが新入生。
それ以外の上級生と教師たちが、会場で待ち受けていた。
まばゆい光に目を細めていると、私達の順番がくる。
「アルフォンス・ノーデンブルグ殿下、フィリア・フォンテーヌ嬢!」
呼び上げられて、アルフォンスに手をとられて入場する。
学園の方針で、着いた順番に名前が呼ばれるため、身分は関係ない。
だが、さすがにクリストファーは最後になるようで、入場してから、さらにしばらくしてから、キラキラオーラ満載のクリストファーと、ド派手な赤いドレスに身を包んだロザリンド嬢が入場して、パーティーは始まった。
ちなみに、ロザリンドのドレスは、ハズレのノーマルドレスである。
一曲目は、パートナーと踊る。
(そういえば、アルフォンスって、ダンス得意なのかな?)
私は淑女教育の一つとして、みっちり叩き込まれた。
嫌いじゃないので苦にはならなかったけど。
それでも、初めての相手とのダンスはやはり不安。
「お願いいたします。」
気持ちをかくしてにっこり微笑むと、お互いに礼。
踊り始めてすぐに、私は一切いらない心配だったことが分かった。
アルフォンスのリードは、完璧だったのである。
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