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第10話

相手ができたことで、ダンスパーティーのお断りは、大変スムーズにいった。

アルフォンス皇子の名前は効果抜群で、すんなり下がってくれない時は使わせてもらった。

あまり耳には入ってこなかったが、無愛想な第二皇子が、婚約者ではなく、私をパートナーに選んだという話は、それなりのインパクトをもって噂になっているっぽい。(エリーゼ情報。)


「政治的な問題もないし、飽きたら誰も何も言わなくなるだろ。」

アルフォンスはそんな風に言っていたが、私としては、ここからが本番である。


なにせ、ゲームの場合、攻略対象を選ばない限り、ここから先へは進まない。だれかの誘いを受けなければ、次の場面が来ないのだ。何日放置しても時が止まる。

でもこれは現実。

アルフォンスというパートナーを得た私は、日常を過ごし、時が経てばパーティーの日がやってくる。


シナリオはどうなるのだろう?

私を解放してくれるのか。

呪縛は続くのか。


そうこうする間に、ゲームシナリオの影響は、思わぬところに出始めていたのだ。



学園に通う生徒たちは、半数以上が寮生活を送っている。

私も、寮生だ。ちなみに個室。

侍従を家から連れてくることも認められているが、身分がさほど高くない生徒は、貴族といえど、私のように自分のことは自分で出来る者も多く、一人で入寮する生徒もいる。

さて。

私はここで、あるイベントにぶち当たっていた。


「ドレス、どうしようかな・・。」

お金持ちの公爵家や伯爵家なら、何着かオートクチュールで仕立てるところだ。

私は、一応、学校行事用に仕立ててもらったものや、お母様のお下がりで何着か持っており、それを選ぶことになる。

令嬢のドレス選びは、お相手の好みが第一優先。

「アルフォンス様は、どんなのが好みなんだろう?」


実はゲームでは、この衣装選びは、結構重要だ。

二種類のドレスがあり、当たりを選ぶと、ダンスパーティー当日、おまけのエピソードが追加され、好感度が大幅にアップする。

・・課金してアクセサリーを買うと、おまけスチルまでゲットできる。


まあ、相手が相手なので、そこまでのラブ展開なんか全く期待していないが、せっかくだし、ちょっとは感心されたりしてみたい。

「うーん。どうしようかな。」

ヒントなしではらちが明かない気がして、気分転換に社交室に行ってみると、そこには何人かのご令嬢が集まっていた。

誰かがドレスの相談をしているようで。

その輪にいたエリーゼが、私をめざとく見つけて駆け寄ってきた。

「フィリア!ちょうどいいところにいらしたわ。一緒にご意見を聞かせてくださらない?」

エリーゼは、変わらず親しくしてくれる。

ダンスパーティーで、婚約者を奪われた当の本人であるエリーゼがこんな様子なので、ご令嬢がたも

「本人がよいなら、周りが的外れなことを言うのも野暮よね?」

といった感じで、おもったより落ち着いた受け止め方をされている。

さすが、エリーゼである。


(えーと、たしか、彼女は・・。)

私は、数人の輪の中心で、ドレスをあてながら相談しているご令嬢をみて、おや?と思った。

彼女の名前はアナスタシア。

入学式でぶつかった、メガネ男子、アルベルト・サルバドールの婚約者だ。

つまり、ゲームでいうところのライバル令嬢。

彼女自体はふんわり系の可愛らしい令嬢で、他のライバル令嬢と比べると、悪どさはない。

あまりにアルベルトがそっけない態度をとるようになり、塞ぎがちになってしまうため、ヒロインは、良心の呵責と戦う羽目になる。

最後の最後は、ヒロインの誕生日に狂言誘拐を計画し、自分を捕まえさせて助けに来てくれるか試すに至る。

結局、狂言であると見抜いた上で二人で助けに行き、その様子を見て気が済んだとか彼女が言ってハッピーエンド、だったはず。


ヒロインとしては、かなり後味が悪い。

よって、今世では、ぜひうまく行っていただきたいものだとおもう。


そんな彼女が最後の決定のために絞った二つのドレスを目にした私は、釘付けになった。

彼女のドレスは水色の肩があいたドレスと、深い青のサテンドレス。

(水色がノーマル、青がスペシャルだ・・。)

それは、ゲームでアルベルトルートに入るとヒロインが選ぶことになる2着だった。

どうやら、ヒロインが進まなかったルートでは、各お相手のご令嬢にアイテムが回るようだ。


見たところ、エリーゼは彼女と割合親しそうに見える。

私はほとんど話したことがないため、アドバイスすべきか適当に逃げるべきかで迷ったのだが、アナスタシアが

「こっちかな・・。」

と水色にしかけたため、思わず

「あ、それは!」

と声を出してしまった。

当然注目をあびあたふたしてしまう。


「フィリアさん、何か気になることでも??」


アナスタシアが可愛く首をかしげる。

まあ、彼女なら、素直に受け止めてくれるかな。


「アナスタシア様、私は深い青のドレスがよいと思います。」

「あら、どうして?」

「それは、まずアルベルト様自身が落ち着いた装いを好んでおられるからと・・お相手の瞳のいろを選ぶと喜ばれることが多いと・・聞きます。」


後者はアルベルト攻略に限るのかもしれない。

だが、ゲーム内で青のドレスを着ていると

『そのドレス、似合っているな。』

『ありがとうございます。ドレス選びの時に、アルベルト様の瞳を思い出して・・』

という会話をすると・・

アルベルトがデレるのだ。


アナスタシアは、何か考えていたが、ちょっと真剣な目で迫ってきた。

「フィリアさん、ちなみに、アクセサリーのオススメはあります?これか、これで悩んでいますの。」

これまた驚きだが、スチルゲットのアクセサリーが、ある。

小ぶりの上品なネックレス。

私は迷わずそちらを選ぶ。


アナスタシアは、少し悩んでいたが、それに決めた様子だった。

(アナスタシアに幸あれ!)

素直に聞いてもらえて嬉しい。

私は心から彼女の幸せを願う。


エリーゼがポカンとしていたのが気になったが、その理由はすぐに分かった。


最後まで読んでいただきありがとうございます!

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