第1話
金髪碧眼のカリスマ王子。
知的な眼鏡の宰相の息子。
戦闘力の高い細マッチョの騎士候補。
小悪魔なかわいい下級生。
攻略対象には、彼らを思うご令嬢がもれなくおり、当て馬として大活躍。
どの物語も、彼らは攻略対象になったとたん、ほぼ一目惚れでヒロインに惹かれ、その後数々のイベントを経て、高い確率でヒロインと結ばれる。
選択肢を多少間違えたところで、好感度はさして減らない楽ゲーとして有名な「ハピラブ☆イケメン学園」。そのスチル欲しさに、秘密のドアを開くために課金すると、ちょっぴりオトナな関係になることができる。
確かに私はそのゲームにはまっていた。
何かしてあげると、無条件に喜んでくれる、キラキラの男性たち。
性格によって、感情表現の方法は違うものの、基本的にひねくれたところのないまっすぐな男たち。
現実世界で彼氏いない歴更新中のアラサーにとっては、仕事で疲れた心を癒す至福の時間である。
スチル欲しさに、課金もきっちりして、フルコンプリート。
しかし、終わった時、言い様のないむなしい気持ちになってしまった。
ヒロインは、可愛くて優しい。
そして、強運の持ち主だ。
こけた場所に、イケメン。
物を落としたら、拾ってくれるのも、イケメン。
たまたま作ったお菓子が、イケメンの秘密の偏愛お菓子。
たまたま作った食事が、イケメンの思い出の食事。
髪型を変えれば、イケメンの好みドストレート。
道を歩けば、イケメンに出会う。
そんなこと、ありえない。
現実世界では決して起こり得ない偶然の積み重ねの中、結ばれたときには、甘い言葉にキュンとはするが、たいして感情移入もないため、すぐに次にいけてしまう。
満たされない。
こんなヒロインが、イケメンに愛されていいのだろうか。
当て馬役のご令嬢たちの方が、絶対彼らを愛し、努力もしている。
それを覆すほどの魅力が、本当に私にある??
そんな空しさを抱えていたある日、私はあっけなく事故でこの世を去ることになってしまった。
『異世界転生』
のおまけ付きで。
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