2人の出会い
「えーっと確かこの辺りに吉田屋があるはずだけど‥あれ?」
来たばかりの慣れない土地、優美は道に迷っていた。
あたりもすこしずつ暗くなってきている。あまり知らない人に声をかけるのが得意ではない優美だが仕方なしに近くにいる人に道を訪ねることにした。
「あの、すいません。少し道を聞きたいのですが」
「はぁ、いいですけど。どこにいきたいんですか?」
「吉田屋ってこの近くにありませんか?」
「吉田屋!それならここから歩いてすぐですよ!僕もちょうど行くところだったのでよかったら一緒に行きませんか?」
同い年くらいだろうか。スウェットにTシャツ、ボサッとした髪でいかにもダラダラしてそうな風貌に優美は少しためらった。しかしとても親切な対応となにより場所が分からないのでその少年に連れて行ってもらうことにした。
「ええ、お願いします」
「では行きましょうか」
そういうと少年は歩き始め優美もほんの少し後ろに下がって歩き始めた。
周りから見たら若いカップルに目えるのだろうか?歩きながら優美はそんなことを思っていた。考えてみれば幼少の頃から魔法の修練に打ち込んできた優美は男の子と遊んだりこうして並んで歩ったりした経験はあまりなかった。そのせいかこの状況になんだか変な気持ちになっていた。その少年はよく見ると格好こそだらしないが顔立ちは整っておりいわゆるイケメンといった感じだった。
「着きましたよ、吉田屋。まだすいてるみたいですし入りましょうか」
「あ、こんなに近かったんだ」
これならなんとか自分で行けたのではないかとほんの少し後悔した。