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覚醒


医務室を飛び出し、ひたすらあてもなく走るしゅん。

それを隆弘は後ろから全力で追いかけ大声で呼び止めた。


「しゅん!一回止まってよ!」


隆弘の必死な呼びかけにしゅんはようやく足を止めた。

「何だよ、加藤。お前に合わせてる時間はねーぞ!」


しゅんが止まりようやく隆弘は追いつく。

そして、呼吸を整えながらゆっくりと話し出した。


「しゅんは一条さんがどこにいるか分かるの?」


「それは‥分かんねーけど」


「この広い学園をただ闇雲に探したって

それこそ時間の無駄だよ!」


先程の試合でダメージを負っていた優美のことを

考えるといてもたってもいられなかったしゅん。

しかし隆弘の言葉でようやく冷静さを取り戻した。


「じゃあ、どこを探せばいいんだよ」


「とにかく一度整理してから考えよう」


「分かった」


あまり悠長に話してる時間は無かったが、しゅんは一先ず

隆弘の話を聞くことにした。


「状況から見て、一条さんはあの瓶を見てきっと本田先生が

一連の犯人だって気づいたんだと思う」


「ああ、あの瓶からは福田や水上から感じた魔力があったからな」


「きっと先生も自分の正体が一条さんに気づかれたことが

分かったんだよ。

だけど、何で医務室を出る必要があったのかな?」


「そういやそうだな。その場で始末することも出来たと思うが‥」


「一条さん程の魔道士を倒すのは簡単なことじゃない。

その間に魔力を感じ取って誰かが駆けつけてくるかもしれないしね」


「ああ、そんな魔力使ったらここの生徒なら誰でも

気付くだろ!」


「でも今はそんな魔力は感じない。

2人がまだ校内にいるとすると、魔力が外にもれないような場所にいるんじゃないかな」


この言葉にしゅんはハッとしたような表情を見せる

「‥演習場か!」


「そう。しかも俺たちがいた第一演習場以外の

残り4つ。このどこかに2人はいるはずだよ」


「お前、探偵かよ」


ただ走り出したしゅんとは違い、隆弘は全く慌てることなく

冷静に答えを導き出した。

この様子にしゅんは本当に同い年なのだろうかと疑う程だった。


「とりあえず手分けして探そう。俺は第二と第三を

見に行くから、しゅんは第四と第五をお願い」


「分かった。見つからなかったら

すぐに残り2つの演習場に駆けつける!」


そう言うとしゅんは再び走り出した。


「多分、1番遠い第五演習場だと思うけどね。

気をつけてよ、しゅん」

走って行くしゅんの背中にそう呟くと

隆弘も第二演習場へと向かった。



第二演習場は本校舎からそう遠くなく

隆弘はすぐに到着することができた。

電気はついておらず真っ暗だったが

一応中に入って確認する。


「人気が無いしここは外れかな。

よし、次は第三演習場。急ごう!」


誰もいない演習場で1人呟きながら

隆弘は次の目的地である第三演習場へと急ぐ。


ほどなくして到着するも、やはり第二演習場同様

真っ暗で中には誰もいなかった。


「うーん、やっぱり第五演習場かなー。

まぁ、俺1人が行っても対した戦力にはならないし

一応、学園長に知らせておこうかな」


隆弘は魔法の力こそ、しゅんや優美には及ばなかったが

冷静に物事を考え、正しい答えを出すことに長けていた。


カッコよく優美を助けに行きたいと思わないでも

無かったが、自分にできることをしっかりと考えて

行動することが隆弘には出来た。


そして、呟いた通りに1人学園長の部屋へと向かったのだった。



第五演習場には、しゅんは未だ到着しておらず

本田の攻撃を受け続けた優美は立っているのがやっとだった。


「そろそろ限界だな。悪いがお前にはここで死んでもらう」


「そんなこと、あんたに出来るのかしら?」


フラフラになりながら優美は精一杯強気で答える。


「言ったろ?金が必要だって。こんなところで

捕まってる場合じゃねーんだよ!」


本田は口から風魔法を放った。

最早ガードする魔法を発動することも出来ず

優美は直撃すると飛ばされていきそのまま倒れ込んでしまった。


そこへゆっくりと本田が近づいてくる。


「まだ意識があるか。しぶといやつだ」


そう言うと、今度は優美の上にまたがり

風を纏わせた拳で殴り始める。


「痛ッ」


非常なダメージの与え方に

優美は思わず声を上げる。


「いい加減くだばりやがれ!」


本田はもう一度拳を振り上げて優美めがけて殴ろうとする。

優美にはもう抵抗する力も残ってはいなかった。


「お願い、止めてーーー」

残りの力を振り絞ってできたことは

叫び声を上げることだけだった。


しかし、その時だった。

先程まで魔力どころか立ち上がる力さえ残っていなかった

優美から風魔法が発動されたのだった。


そしてそれは、今までのものとは比べものにならないほどの

魔力だった。


「う、うわぁーー」

その魔法を受けて今度は本田が飛ばされていく。

何が起こったのか本田には全く分からなかった。


「な、何だこの力は?」


急いで立ち上がり、優美の方を見ると

先程まで抵抗すら出来なかったはずが立ち上がっていたのだった。


「この魔力はあの薬のものと同じだ。

お前!一体何者なんだ!」


何も答えない優美。その雰囲気はまるで

今までとは別人と言わざるを得なかった。


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