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風属性同士の戦い

先程の試合で魔力を消耗している上に

レナの水魔法までくらっていた優美。

本田から逃げ出すことは困難だった。


しかしこの先もし本田とことをかまえることになる可能性も考えると、どちらにしても絶望的だった。


前を歩く本田も特に話しかけることもなく歩いて行く。


「あの、どこに行くんですか?」


「第5演習場だ」


本田はそうとだけ答えると、特に多くを話さず

ひたすら歩って行く。

演習場は、魔法で損傷を受けない特殊な作りになっているが

外に魔力がもれないようにもなっている。

つまり、そこで戦闘が起こっても外にいる人に伝わることはないのだ。


優美は戦う覚悟をきめた。



ケセーム魔法学園には5つの演習場があるが

その中でも第5演習場はもっとも小さく、離れた場所にあった。


しばらく歩いていると、2人は第5演習場へと着いた。

誰もいない真っ暗な演習場に入ると

本田は電気をつけてゆっくりと扉を閉めた。


「さて、何から話そうか?一条」


余裕そうな表情でそう聞く本田に

優美は怒りが込み上げてくる。


「どうして、こんなことをしたんですか?」


「金のためだよ」


「金のため?」


「私にはギャンブルで作った借金があってね。

気づけばもう、金融会社から借りられないほどに膨れ上がっていた。

そんな私のところにあるメールが来たんだよ」


「メール?」


「内容は魔力を増強させるある薬のデータが欲しいというものだった。

差出人の名前は無かったが、報酬は破格だったよ。

藁にもすがる思いで、私は引き受けると返信したんだ」


「それで自分の学園の生徒を危険にさらしたんですか」


自分がしかもギャンブルで作った借金返済のために

したなんて。

優美はさらに怒りが込み上げてきた。


「最初は自分の正体がバレないように他の魔法学園の生徒で実験しようとしたんだが、誰も受け取ってくれなくてね。

危険だとは思ったが、自分の学園で力を求める生徒を探すことにしたんだ」


「それで、福田くんと水上さんに薬を渡したんですね」


「若者の心は揺れやすい。力を求める生徒を見つけるのは

そう難しく無かったよ。

よく考えもせずにあんな薬に手を出すとはね。

おかげで良いデータがとれたよ」


あざ笑いながら言う本田に優美は我慢の限界だった。

人の弱味に漬け込んだ本田のやり方は

絶対に許せないものだった。


「さて一条、私から話すことは以上だが

これからどうするつもりかな?」


「あなたを告発します。一条の名にかけてあなたを許すことは絶対に出来ません!」


「若いのに立派な心がけだ。

私も君と同じ風属性の魔道士だが。

名家と言われている一条家の力、見せてもらおうか!」


本田は戦闘態勢に入った。

そして優美も、全く万全な状態では無かったが覚悟を決める。


相手は仮にも魔法学園の教師であり、自分は手負いの状態。

最初から全力でいかなければ確実に負ける。

優美は魔法を発動させると体に風を纏い、レナとの試合でも見せたように空中へと浮かび上がった。


「飛行術か。私にはそんな高度な真似、とてもできんな」


そして優美は、先程の試合同様、落下速度を利用して

本田に迫り至近距離で風魔法を放つ。


「なめるなよ!」

そう言うと、本田は口を尖らせて大きく息を吐くように

風魔法を放つ。

どうやら、口から出すタイプの魔道士のようで

その様子はあまりにも不格好だった。


対峙する2つの風魔法。しかしその威力は、格好はどうあれわずかに本田の方が上だった。

そして、優美の魔法を打ち消しすと、本田の竜巻は

そのまま優美を突き飛ばした。


「先程と同じ方法で攻めてくるとは。

随分舐められたものだな。これでも、この学園の教師なんだぞ私は」


「この程度で日本一の魔法学園の教師になれるなんて

入学は難しくても、入職は簡単なのかしら?」


何とか威勢を保ちながら優美は立ち上がる。

しかし、先程の試合のダメージもありすでに限界寸前だった。


「大したやつだ。だが随分息も上がっているようだが

いつまでもつかな!」



2人が争っている中、第一演習場には先程隆弘が呼んだ

救急車が到着していた。

駆けつけた救急隊にしゅんと隆弘が事情を話すと、レナの状態を確認してからすぐさま病院へと搬送して行った。


「とりあえずは一段落ってとこだね」


「ああ、全く面倒なことになったよ。

そもそもあいつが勝負を引き受けなきゃこんなことにはならなかったのによ」


すっかり帰りが遅くなってしまった上に、レナの対応まで押し付けられたしゅんは不満気に言った。


「それじゃあ、一条さんの様子も見に行こうか」


「はぁ?本田も付いてたんだし、別に大丈夫だろ!」


「とか言って、本当は心配なんでしょ?」


「何言ってんだよ!心配じゃねーから」


「試合まで止めようとしてたくせにさ!

早く行こうぜ」


全く素直じゃないなと思いながら

隆弘は医務室へと向かう。

内心かなり心配していたしゅんも、めんどくせーと呟きながら隆弘の後に続いた。


2人が医務室へ着くと、そこには既に優美はおらず

もぬけの殻だった。


「あれ?誰もいないや。一条さんもう家に帰ったのかな?」


「何だ元気なんじゃねーかよ。俺たちも帰ろ‥!?」

気だるそうに話すしゅんだったが、何かに気づいたのか

会話をやめた。

床に落ちている薬の入った瓶を見つけたのだ。


その瓶を拾い上げると、表情が固まる。


「おい、どうしたんだよしゅん!」


「なぁ加藤。たしか一連の異様な魔力の発生は

薬によって引き起こされたものだったよな?」


「う、うん。そうだけど‥」


「こんなのあったんだけど‥」

そう言うと、拾った瓶を隆弘に見せた。

それを見ると、隆弘の方も表情が険しくなる。


「わずかだが、福田や水上の時と同じ魔力を感じる」


「ここに一条さんを連れてきたのは本田先生だったよね?」


「ああ。だが現状2人ともいないときてやがる。

これは少しヤベーかもな」


「ここにくる途中駐車場を通ったけど、本田先生の車は

まだあったよ。多分学園内にいるんじゃないかな」


「チッ、めんどくせーな」

血相を変えて、しゅんは医務室を飛び出して行く。


「ま、待ってよ!」

隆弘も走り出すしゅんの後を追いかけて行った。

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