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ファーン・ワージーの物語  作者: アルディス・サエルミア
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第1章 亡国の王女と光速の織天使 その6

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


ゆっくりとノックする。コンコン。

「入りますよ」

開け放された窓から朝の光がさしている。

「リュティア、リュティアーナ」

がっちりした木のベッドには香木が使われていて、良い香りがする。

そしてベッドには緑の髪の女性が寝ている。私はちょっと、この人が苦手だ。リュトさんの時は気易いのにね。別に性格がきつくなるわけじゃないけど。

「うん」

「起きてるのね?朝食は?ルームサービス?」

「うん」

うんしか言わない。久しぶりの女性形だからかな?おふとんかむったままだし。

「じゃ、頼んで来るわね?お肉食べるよね?」

「うん」

また。まぁ良いけど。

「チハヤ」

「なぁに?」

しゃべった。

「昨日はありがと」

「うん。大丈夫よ」

大人しいわ。ヘコんでるのね。

居間に戻ってルームサービスを頼んだ。私もお肉が食べたいし。マテリア達も起きてる。

「元気そうか?」

ラストローズが念話で聞いてくる。

「もちろんよ」

二人とも昨日の形態のままだ。ローズは純白のワシミミズク。シルフィアーナは小妖精。美しい女性に天使みたいな羽がある。

レトも呼んであげよう。レティだと大きいからレトで良いわね。

「レト」

カメレオンが私の手の中に現れる。シッポを小指に巻き付けてくる。可愛いわ。

「おはようレト。昨日はありがと」

眼がグルグルしてる。照れてるのかな?

シルフィが消えた。リュティアのところね。

レトからじんわりとイメージが伝わってくる。あの弾はやっぱり榴弾だったらしいわ。きっとリュトは相当な量の魔力を使ったのね。まぁヘコむよね。隠密作戦なのに派手派手な襲撃されたら。でも今のところ、ローカルニュースにはなっていないみたい。

「おはよ」

リュトさんが登場。男の子に戻ってる。落ち着いたのね。いつものぼんやりした顔だわ。リュティアーナはかなり美人なのにね。肩にはシルフィ。ちょうちょに戻ってる。ん?いつのまにかローズも小鳥に戻ってる。いつも不思議なんだけど、ローズってどしてミミズクの時は白いのかな?気分?美意識?かなり高貴な気高い生き物のはずだけど。良くわかんないとこがある。

そうこうしてるうちに素敵な朝食が来た。お肉もたっぷり。大きめのステーキが2枚にラムのあばら肉のロースト。ホロホロチョウの丸焼き。うん。充分ね。山盛りのフルーツも素敵。そして大きなボウルに野菜スープ。これ基本よね。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


コンコン。

「いいわよ」

「入ります」

入ってきたのはウサギ耳の少女。まぁ見た目はね。

「カレナリエル様。お聞きになりました?」

「うん。商業組合から情報が来たわ」

昨日のチハヤちゃんの大活躍だ。それは商店街で騒ぎがあれば、私にも連絡はある。ギルドマスターだもんね。

「マリーさんのカフェの前で起こったそうですね」

「そうね。チハヤちゃん、頼りになりそうね」

「はい。そしてチハヤさんとコンビなのが・・・」

「分かったの?」

さすがメラニー!魔導師ギルドの聞き耳頭巾だわ。

「7年前の発掘調査の時の、あの人らしいです」

「チハヤちゃんと同じサリナスからですもんね。やっぱりリュト君か」

「なぜギルドに挨拶に来ないのでしょう?」

「隠密行動のつもりだったんでしょうね。それにあの人、旅人ギルドでもありますからね。おそらく元々の依頼が旅人ギルドに来たんでしょう」

メラニーの白いお耳がヒュンヒュンしてる。

「どうしますか?」

「う~ん。私たちの立場だと・・・今は静観ね」

「なるほど。ただ襲撃したのは・・・」

「うん。そっちの情報収集は任せるわ。今のところ、それだけで充分よ」

どこかしらね。アルミスタン?ヒュドラ?それとも・・・いずれにしてもロクな組織じゃないわね。いきなり物理攻撃したらしいし。暗殺目的なのは明らか。

「じゃ、そういうことで。何か追加であればいつでもご指示ください」

「宜しくね。情報統制だけ注意してね」

「はい。お任せ下さい」

なるたけ介入せずにいきたいわね。優秀な二人ですから。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


カレナリエルさん、落ち着いてたわね。でもご自慢の菫色の髪を触ってらしたから、何かお考え中ね。

「メラニー」

同僚のヴィヴィア。コーヒー色のお肌がきれいだわ。

「どうだった?」

「うん。情報収集と情報統制ね。とりあえずは」

「じゃ、あなた使うのね?」

「うん。あなたもお願いするわ」

私はテイムしてる小蛇ちゃんを使うことにする。ヴィヴィアにも口コミのネットワークを使ってもらう。と言っても主婦のとかじゃ無い。口のかたい玄人のネットワークだから安心ね。

「任せて。慎重にやるわ」

分かってるわね。

「お願いね。じゃ、掛かりましょう」

「はいは~い」

これで安心。上手くすればどこの組織が動いたのか分かるわね。土地っ子は強いわ。私はチハヤちゃんをマークしておこう。あとは・・・


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


お昼時分のオッダンタプリは時折涼しい風が吹く。そろそろ秋の気配か。

リュトとチハヤのコンビがマリーのカフェに入ると店主が良い笑顔で出迎えた。

「いらっしゃいませ」

「こんにちわ。昨晩はどうも~」

元気な挨拶はチハヤ。

「昨晩はご迷惑おかけしました」

リュトはまだ大人しい。

「大丈夫よ。気にしないでね」

店主は如才ない。

「今日は何に致しますか」

「今日はお肉!」

魔導師の魔力の元は大気に遍く存在するマナと自分の体重だ。オーケストラの指揮者も交響曲を指揮すると3kgほど体重が減るらしいが、魔導師も魔導を用いれば体重が減る。なので減った分を補充しなければならないのだ。

「もし宜しければ当店のスペシャルメニューは如何でしょう?」

「お願いします!」

チハヤが即決した。朝食もガッツリ食べたはずだが。

「お任せください」

優雅に一礼したマリーがキッチンに入った。

と。リュシェンヌ、リチア、マヌエラのトリオが入店してきた。

「チハヤちゃん!リュトさん。こんにちわ」

「ねぇねぇ、みんなで大きいテーブルで食べようよ」

コントローラーのリチアが指示出し。

「ルネさんとヨハネスさんは?」

連れられて大テーブルに向かいながらチハヤが耳に触りながら質問。リチアの耳を見ると何故か触りたくなるのだ。

「ルネは数学の研究室。ヨハネスはじきに来るわ」

そこへマリーがスペシャルを運んで来た。

「何これ?」

リュシェンヌがびっくり。

「お二人へのスペシャルです」

にっこり笑顔のマリー。爽やか。

大皿にタンドリーチキン、大串のシシケバブ、たっぷりのフルーツに山盛りのサラダ。大きなボウルにダヒー、ハチミツにミックスベリーのジャム。

「食べるわね~」

マヌエラも感心している。

「私はいつものセットで良いわ」

リチアは見ただけで満腹になったようだ。

「私も」

「私もランチセットお願いします」

マリーは笑顔でキッチンへ。

カランカラン。ドアベルの音。

「こんにちわ」

若々しく見える男性がやって来た。

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