【-TIPS-】
【-TIPS-】
此処はこのアクト・オブ・エブリシングの世界における基本的な情報を記しておく場所である。しかし、これは基本的な情報であって、絶対ではない。GMなどはこの場所に書かれた情報を自身で解釈し、変更してシナリオフックとして扱ったり、セッションの土台として事件の背景のように用いてもよい。これらの情報は全てGMとPLが世界観を愉しむ為のものであり、改変する事は何ら問題ない情報である。そのGMとPLはPC達が住まう世界をどのようなものであるか決定付ける権利があり、それを紡ぎ出すのがTRPGの醍醐味でもあろう。あなた達の世界はあなた達が決めて良いのである。
[組織]
1.【レスト】
-解説-日本において神処の前身機関であるコウカケン時代に創られたET部隊の名前はGHQなどが活用していたレストレーション・ユニット、ネーミングもそのままの都市工作復旧部隊の名前を用いた事に端を発する。神処になってからは現場ではレスト・ユニットと省略されて呼ばれており、多くの支部がこの部隊を組織している。大覚醒以降、その名前は各組織に広まり、若年層からは適当にレストと更に縮めて呼ばれたりもする。彼らの中には高位階梯の者が多く。殆どは戦闘向きではない能力である為、通常の戦術ユニットの前には蹂躙されるくらいの力しかない。しかしながら、各組織がETによる修復活動は能力者が安穏と暮らす為に必要不可欠なものであると考えており、各組織間の協定によって彼らを攻撃する事は禁じられている。これを破った人物達はブラックリストに入れられ、能力者の社会全体から協力の拒否、支援の拒絶という形で制裁が加えられる為、一匹狼で他の能力者にまったく依存せずに生活出来る高位能力者のような特異な人物でなければ、まず間違いなくこの協定を順守する。彼らが建造物や人命の修復のみならず。記憶の操作や書き換えにも携わる事から、その人員に選抜されるのは組織から信頼されている人物である。
2.【アンコ】
-解説-日本の業界内での医療系能力者による医療支援部隊の略称。正式名称はアンコール・ユニット。基本的に皮肉の聞いた名前であり、死者すら呼び戻すという意味合いが込められている。人命を復元するのは高位のETならば、然程難しくない。しかし、そこにはその対象が一般人である事、能力者関連の事象にあまり関わっていない事が条件となる。だが、それ以外のオーダーでもET並みに能力者を回復、復元する事は可能であり、そういった医療支援部隊の人材は“黄泉帰し”と呼ばれていたりする。一部の能力では死んだ人間を蘇生する事も人格や記憶を除けば可能である為、倫理規定を守れる人物がアンコには招集されており、大抵常識人の集う部隊として認識されている。ただ、上層部の意向や自身の肉親、恋人の死などの場合に限り、彼らには倫理規定を解除する権利が与えられており、その場合には完全な別人になると承知し、一生彼らの面倒を見るという義務を負った上で死者の復活が許されている。こういった複雑な事情からアンコ所属の人に関わると死ねなくなる。いや、死んでも能力者として使われる可能性があるというジョークにしては笑えない“事実”を語る管理職は多い。彼らは知っているのだ。少なからず、全ての支部でそういった事例が存在している事を……。
3.【ミクサ】
-解説-オーダースタイルのMIXのみを集めた部隊の総称。日本国内のkarma関連の業界用語は大抵が神処初なのだが、この言葉もそれに準じる。大戦後、日本国内でkarma能力者の部隊を用いる際、4つの部隊構想が存在した。この中で語られていたミクサーズ・ユニットが語源とされる。この部隊は基本的に国内の能力者統制用の鎮圧部隊としてGHQが構想したものであるが、その実際に創設された米軍主体の部隊は日本国内で殆ど運用される事が無かった。その理由は単純に戦後の日本の能力者達が他国に比べたら大人しい部類であり、当事国の組織のみで十分に対処が可能だった事が起因する。そうして、2000年台も過ぎた頃、それまで能力差を抑え、満遍なくオーダーを持たせる事で部隊を創っていたコウカケンが大覚醒を機に旧い部隊の見直しを図った。それまである程度は其々のオーダーの特性に合わせて部隊を構築していたのを細分化、特化型の部隊を創設する事で国内でのkarma案件毎に最適な部隊を割り当てるようになったのである。この中でオーダースタイルのミクスのみを集めた部隊が再び脚光を浴びるようになった。これこそがミクサと呼ばれる部隊の国内で初めての本格的な長期運用実績である。ミクサはMIXの特性である自身と同じメインオーダーを持つ者が傍にいると能力が上がるという利点を生かす部隊であり、他の組織のMIXを強化し過ぎないよう、戦略的に同数で複数部隊備えておく事により、有事の際、敵のオーダーを見極めての大攻勢を掛け、組織的なkarma案件を即時鎮圧する事を目的として編成された。敵が自身よりも強いミクスの場合でもそれなりに相手を強くするが、集団で更にMIXオンリーで能力が上がるミクサの隊員達相手に連戦出来る程ではない。戦略的に最も部隊単位で運用し易いミクサは各支部に出来れば3隊は欲しい部隊であり、実際にその数で運用されている。5つのメインオーダーを3隊で二つずつ用いる事で大抵の相手には対処可能なのである。
4.【ガッコ】
-解説-主に大きな組織程にkarma能力者への福利厚生は手厚くなっていくが、神処が能力者相手に始めたサーヴィスはkarma能力者相手の学校。要は教育サーヴィスであった。karma関連の情報の基礎を叩き込む場所として学級を作り、それを束ねて学校と称するが、無論法的に認められた教育機関ではなかった。しかし、キマイラを初めとして家庭に問題がある能力者が多く。情緒不安定な彼らを通常の教育機関には任せられない事情も手伝って、戦前は陸軍付きの士官学校という体で教育していたコウカケンの前身機関は能力者を戦後には通常の一般教育カリキュラムを用いて育てる方針を取った。以後、能力者の学校は各組織が私塾や本当の学校をET能力などで欺瞞しつつ、内部で専門学級を用いる事で教育するようになった。大覚醒後は更に大量の生徒が発生した為、大手組織は其々に国家へ教育機関として能力者専門の学校法人の設立を打診。神処はその先駆けとなり、札幌、青森、東京、京都、名古屋、出雲、博多の七地点に能力者専用の教育機関を置く事となった。その殆どは私学の形を取った幼稚園、小学校、中学校、高校までの一貫教育を是としており、その上の大学に関しては神処本体がその役割を負っている。神処に降ろされる莫大な資本の3分の1は教育機関と若年能力者の助成金に消えており、その機関の大半は若年層の能力者からガッコと呼ばれて親しまれている。ただ、ガッコに通うのは基本的に親元に帰れない、帰りたくない、家庭的に恵まれない者達ばかりであり、通常の学校に通いながら支部本部に通う者達とは毛色が違うと能力者達の間では揶揄の対象になる。実際にガッコに通っている彼らは通常よりも能力者として成熟しており、戦闘能力、隠蔽工作、その他の支部運営に関わる能力は大抵持っている為、エリートと言えなくもない人材が大半である。その上で能力者の育成カリキュラムの結果として一般教養はあっても、一般生活における経験が皆無に等しい純粋培養な子らと言える。それが一般の能力者達が混じると尊敬されるか奇異の目で見られるか。悪くすれば排斥の対象となったりする。ただ、そういった支部での葛藤を経て、普通の暮らしに馴染むようになった元ガッコの生徒達は自分達の世間知らずさなどを脱ぎ捨てて、新世代の組織の中核人材として期待されるようになるという。ちなみに僻地の能力者はガッコの分校に通う者や送られてきた教師役の能力者に師事する形でフリースクールという形で学ぶ事もあるという。
5.【サイド・ハウンド】
-解説-神処が所有する本部もしくは地域一帯を統括する支部付きの機動部隊は基本的にこう呼ばれる。地域の全てをカバーする機動部隊は悪質であったり、特殊だと判断されたkarma案件に関して優先的に捜査権が与えられる。これは本部支部が認定するものであり、現場に急行した彼らはその地域の小規模支部と連携を取りつつ、現場周辺で被疑者の逮捕拘留又は反抗時は即時無力化、これが叶わない時は被害拡大前に殺害を行う。何故、サイド等と呼ばれているのかと言えば、彼らはあくまで機動力重視の部隊であり、本部や大型支部の部隊と比べても重武装時は明らかに火力が落ちるからだ。重武装した戦闘部隊は機動力こそないものの、展開し切れば、通常戦力の歩兵師団を一個小隊で潰せる程の火力を有する。機動力を重視し、凶悪犯罪を取り締まる彼らサイド・ハウンドは日常的には大きな火力を有する存在だが、大きな能力者組織同士の抗争などに投入される部隊などと比べると一歩劣るのである。であるからと言って、彼らが弱いという事は決してないが、この辺は何処まで本気を出して戦うかにもよる為、一概には戦力比較出来ない。警察と軍隊の火力が違うのは用途が違うからであり、それに準じた力関係とも言える。標準装備であるアサルトライフルや車両に設置されたミニガンを始めとするマシンガンなどの重火器。更にSF謹製のロボやら乗り物なども使われる為、戦車が出て来た日には笑うしかない。彼らと戦って何とか無事だった能力者達の大半は運が良かっただけであると自嘲気味だ。サイド・ハウンドの火力は普通の軍隊相手ならば、師団クラスでも勝てるくらいであり、一般の能力者相手ならば、オーバーキル確実だろう事は前々から指摘されている。
6.【トクセン】
-解説-主に神処の犯罪者矯正部隊の見張り役である正式名称【矯正執行部隊】を督戦隊と呼ぶ者達が略称で呼ぶ時の名前。神処のトクセンは基本的に神処の組織体系の中でも独立性が高く。多くの場合、裏方の仕事を任せられている。普通の部隊には倫理的に任せられないような案件ばかり担当させられるのだが、それが好きだとか、それ無しでは生きられないとか、それがいいんじゃないかとか、そういう人材程に所属歴が長くなる。今現在、所属当時からいるのはアマネと呼ばれる年齢不詳の少女のみであり、他の人物達は大抵が各支部の部隊長や支部長に就任している為、最初期メンバーの事を知る者は現在の所属者にはほぼいない。彼らが畏れられるのは主に神処の神和に対して業界が思う平均的な戦闘能力を上回る事、ではなく。その誰もが根本的にその仕事に向いている鋼のような精神を持つところにある。所属者が敵対した組織に捉えられて、薬も洗脳も効かなかった事から、拷問するも……両足両腕を斬り落とされて尚、口を割らなかったという逸話は業界では有名である。戦闘力と精神力を兼ね備え、狂人と呼んで差し支えない鋼の心を持ち合わせる彼らは一見して普通の隊員にしか見えないのだが、付き合えば、その何処か一般人とはズレた精神の異質さが分かる為、大抵の本部勤めの隊員達にも畏れられている。一般の神和が子羊だとすれば、トクセンの神和は恐竜である、とは人事部の一番偉い人の言葉だ。犯罪者達がトクセンの目がある場所では文句1つ言わず、自らの任務を遂行するのはさもありなんというところだろう。彼らは身を以て知っているのだ。人の形をした別の何か。そんな倫理を論じる以前に人間とは異なる精神構造を、特異な側面を有した彼らに逆らう子羊がどうなるのかという事を………。
7.【キマタン】
-解説-キマイラ単騎の略称である。昭和世代の高齢なkarma能力者がよく武勇伝を語る時に使う単語であり、当時は戦後のkarma能力の覚醒者激減から希少なキマイラを敵メインオーダーの推定と同時に単騎で集団犯罪に突撃させていた。こういったキマタン、またはキマイラ単騎駆けと呼ばれた戦術は時に極めて有効であったが、karma研究の進展と同時に他の能力者とキマイラの実力差がアイテムなどで縮んでいった事で必ずしも有効打にはならなくなっていった。結果としてキマイラを失うリスクの方が大きくなった為、キマイラを安置型のユニットとして組織支部の最後の壁として用いる現在のキマイラ運用の基礎が出来上がったという経緯がある。ただ、そういったキマイラは戦前戦後にいた超高階梯キマイラのような神掛かった強さを発揮した英雄とは比べものにならないくらい弱体化しており、現場にあまり出ないので戦闘経験値が圧倒的に足りない事が問題となっている。未だ戦中を戦い抜いた超高齢のキマイラも世界各地で生き残っている事が確認されてはいるのだが……彼らに掛かれば、現代のキマイラなど、ヨチヨチ歩きの赤子並みな代物に過ぎない。キマタンも出来ねぇ奴はキマイラじぇねぇ、とは……そういう事実を知る高齢能力者達の口癖のようなものである。戯言と多くの大覚醒後の能力者は思っているが、能力者の歴史を大手組織がライブラリとして開示するようになってからは、そういうのに興味がある能力者達が半ば顔を引き攣らせながら、事実を理解するようになった。ああ、そりゃそうだろうよ、と。思うしかないのだ。だって、そうだろう。キマタンで一個師団討伐とか。キマタンで敵の師団に守られていた後方拠点や物資集積所を消滅とか。戦中のライブラリは超高階梯のキマイラによる通常戦力の蹂躙や同オーダーへの虐殺染みた奇襲……そんな歴史の勉強そのものだったのだから。そりゃ各国が通常能力者とキマイラの差を生めようとするよね、と。納得の境地に至るのである。
8.【パン狩り部隊】
-解説-近年、多くの組織で出来た部隊の日本での総称である。しかし、彼らは製造工場や郊外の大型商業施設や学校の購買でパンをヒャッハーと狩っていく部隊ではない。近頃、多くの組織が日常的に困った出来事、ETの出動を余儀無くされるワーストNO.1の事件は……アイテム『空飛ぶパンティー』の狩り出しである。まるで野鳥のように世界各地に飛来する謎の空飛ぶパンティー達は各国各組織の狩り出しが行われているにも関わらず、一向に減る気配が無く。その隠蔽にETの活動リソースが裂かれ続けるせいで何処の組織の活動も圧迫されているというのである。結果として彼らはパンティーを狩る専門部隊を小規模ながらも組織しなければならなくなった。以降は幸運のパンティーとか適当に噂を流して若年層の能力者に積極的に見掛けたら狩るように働き掛けたりもしているが、多くの部隊が週3くらいで出動する羽目になる程、大量にパンティーが今も飛来し続けている。ちなみにこの部隊は多くが組織のお荷物とか、組織の極潰しとか、まだ処分されてなかったの?と言われるような人員ばかりが集められる場末の部隊であり、組織の鼻摘まみ者達が最後に転属されるところでもある。『ご職業は何ですか?』『空飛ぶパンティーを狩っていました……』という遣り取りを業界内でしたくなければ、働くしかないという現実を前に多くのぐーたらな能力者達が戦々恐々だろう。ちなみに狩られたパンティーは多くが廃棄処分されるものの、無傷で状態が良いものだと通販サイトやアプリ、近くの古着屋などに持ち込まれて資金化され、それが部隊の資金に充当されていたりする。そういったパンティーを持ち込まれる業界の人々は同じ人物が毎回大量のパンティーを売りに来るのを見て、この人何にしてる人なんだろう?と謎のパンティー売りとして記憶され、ネット界隈だと怪談か都市伝説の類になっている。
9.【○○のガトリング】
-解説-組織の本部、支部のガトリングと呼ばれる人々の総称。相手にすると相手は死ぬという極めて単純な恐怖の対象であり、多くが高位階梯者として各組織の《《出会ったら逃げるべき人物のリスト》》に軒を連ねている。彼らの特徴は共通しており、圧倒的な威力、火力、攻撃の連射性能であり、その攻勢を押し留めるのは難しいと評される。基本的には攻撃部隊の部隊長クラスの人材が多く。ガトリング同士の戦いは街が焦土になるか瓦礫になるかという激しいものになりがちであり、ETやレスト・ユニットの部隊長や隊員を怒らせるのも大抵彼らである。曰く『奴らはきっと自分達の仕事を増やす悪魔の化身に違いない』そうである。そんなガトリングで日本一有名と言われるのは本部のガトリング。一部では本部の痴女。又は非常に目に毒な女と散々な言われ様でありながら、超優秀とも納得されるお偉方の一人娘である。そのガトリング具合は普段なら他の大手支部や小規模な支部と比べればカワイイものなのだが、一度彼女が全力での戦闘の許可を要請してきた事があり、その時に本部は都心から離れた湾岸区域でならばと許可を出してしまった。当時、奇抜な恰好をした本部のガトリングになりそうな人物として有名になりつつあった彼女はその戦闘後、一躍時の人となった。理由は以下の通りである。ビル12棟全損、車両234台破壊、戦闘中心部より4211m圏内の水道、電気などの配管、一般車道、橋、桟橋が全て破壊、崩落。karma案件の中核犯罪集団の高位階梯者23人と一般階梯92人死亡。巻き込まれた一般人0人。結果としてやんちゃをしていたkarma犯罪者の新興組織が一つ潰れて、港湾区域に本部の高位階梯ETが全員出払う事態となった。以後、全力戦闘の要請は無いらしいのだが、本部もまたその被害の大きさからガトリング呼びされる人員の再教育や再訓練、再度の倫理教育などには本腰を入れたという噂がある。彼らが大っぴらに戦闘をする時は正しく内戦でも起こったような有様になる事を覚悟せねばならない。これを多くの組織が胸に刻んだ事だろう。
10.【ユーレイ】
-解説-日本国内に限らず、世界中のkarma能力者は能力を持っていれば、多かれ少なかれ多少の霊感が備わっている。しっかりと能力でソレ系統の力を持っている者は見えてしまうくらいにソレは存在する。基本的にはkarma能力者が捉えている事象なのでkarma能力によって人格や人間の一部の情報がkarmaの残滓として残っているという見解で研究者は一致する。要は能力者にとって幽霊というのは現実である。なので大量に能力者が死んだ場所やその死んだ人物のいた支部などにはソレがウヨウヨしている事がある。しかし、彼らは例え肉体が生き返っても、その人物とは別人であり、多くが肉体へ戻る事が出来ない。また、戻ったとしても本人としての記憶が極めて薄れた状態であり、症状として認知症のような人格の不安化や崩壊などが起こる可能性が極めて高い。ついでにこのようなメンタル面で不安定な能力者は極めて簡単に暴走する為、幽霊を復元した元の身体に戻すというのは殆どの組織が禁止している禁則事項でもある。結果として蘇れないユーレイ達が不満を持つという事もあるのだが、そういう者は大半が悪霊になるか。それより先に余計な思考に存在のkarmaのリソースが裂かれて人格が完全に薄れて消える方が早い。悪霊になれば、人格が崩壊した後にその実体が強まり、karma能力による攻撃で消せる為、問題ではあるが、致命的な事には殆どなっていない。ただ、ESP持ちの新人が抗争のあった組織に入って後、出会った人物が半分くらい幽霊だった、なんて実話も存在するくらい、その存在はkarma能力者の間ではポピュラーであり、明日は我が身という言葉を覚えさせるだろう。彼らの大半は思考を鈍らせて存在の為に消費されるkarmaのリソースを節約、存在可能な時間を確保し、自身の人格が反応する状況によって喋り出したり、アドヴァイスをくれる相手として組織の支部本部の縁の場所でひっそりと存在する、そんな実存を持った隣人である。中にはSFの能力を用いて、そういったユーレイを恒常的に存在させる装置を開発し、優秀な死んだ人間の思考を保存……戦術、戦略の優秀なアドヴァイザーとして“雇う”ような、神をも畏れぬ所業を犯す人物もいるようだ。
11.【トリニティー・オーダーズ】
-解説-近年言われるようになった世界規模でのkarma業界の三巨頭。神処、ARTER、NAMEDの三組織の事を言う。この三つは業界に生きている能力者ならば、絶対に何処かで聞いた事のある名前であり、其々が独立したkarmaの司法そのものに例えられる事がある。ただ、三権分立とは行かず。其々がその三権を握った超国家規模の共同体である。彼らの後ろにいる国家はその存在を担保してこそいるが、だからと言って、国家からの圧力のみで動くわけではなく。独自の裁量権を持ち、そのトップは事実上、この世界に存在する国家の長と同等以上の権限を有する。殆ど各国の組織と技術協力の無い現状の神処は鎖国状態のようなものであるが、日本国内に限って言えば、ARTERもおいそれとは意見出来ない絶対者だ。各国のkarma組織に本当に困った時だけ手を差し伸べる事から、地獄に糸を垂らす神にも例えられるが、殆どの国の殆どの能力者にとっての認識は日本製のkarma商品を創ってる大きなところくらいのものだろう。ARTERとNAMEDの血みどろの代理戦争に関わりたくない大半の中小組織は巨人が歩いて逃げ出す小動物みたいなものであり、トリニティー・オーダーズの一員と言えば、日本国外ではかなりヤバい人物としてその当の組織に入っている者達以外からは遠巻きにされるだろう。
12.【カルマ災害】
-解説-近年、加速度的にkarmaの残留によって引き起こされる自然災害。いや、人災が多発している。その多くはkarma案件の形で周辺に影響を及ぼし、更にそのkarma案件の鎮圧によって新たなkarmaの残留が起こり、という悪循環が研究者の間では存在していると考えられており、各組織はkarma案件の鎮圧前の事前調査に軒並みリソースを先、事件解決に慎重となっている。組織単位でアイテムのリサイクルだの、低階梯能力者を使った事案解決だのが試されていたりするのだが、その殆どはこのような前提条件が存在する故である。近年のkarmaによる周辺環境の悪化は化け物系のkarma存在達にとって極めて有利に働いており、その力は増しつつある。妙に強く成っているという事実もあり、昔よりも現代の方が化け物達との戦いは激化していると言える。それに何とか対抗する為、karmaを極力用いずに威力や能力を強くする試みが行われるのは必定であり、モブなどはその研究成果をダイレクトにAKシリーズなどの装備として享受している。
13.【4の壁】
-解説-karma業界における4の壁とは簡単に言えば、部隊の最小単位である。何故、4なのかと言えば、karma能力者間の新世界領域の打ち消し合いが許容範囲となるのがこの人数だからだ。karma同士の打ち消し合いや相乗効果などの話は大手だと能力使用の基礎講座などで受講させられるのだが、この人数以上が同時に能力公使をすると能力の出力が基本的に弱まる。結果としてkarma能力者の戦闘は大規模になれば、なる程に戦闘範囲が広域化する流れとなり、その分だけ被害とkarmaの残留が広がってしまう。こういった事を防ぐ為に部隊は4人という人数を基本としてあまり超えないよう調整される。この範囲に当て嵌まりながらも、同メインオーダーにおいては力が強まるというのがミクスとキマイラであり、その能力を以てしても10人以上となると互いの能力を弱め合う結果が報告されている。ただし、この鉄則は仲間にしか適応されない。その理由は単純に仲間のkarmaを打ち消さないよう本能的なブレーキがkarma能力者には備わっているから、という話がSFの学会などでは定説になっている。逆に敵が多い場合は仲間内のkarmaの親和性が高まり、結束によって能力が強化されるなどの現象も起きており、本当に信頼し合う4人の能力者が其々の能力を持ち寄って有機的な連携を行う戦闘などでは仲間内のkarmaが大幅に強化されて、通常では考えられないような事象や現象が起きると示唆されている。このような人物達を古来からタロットなどに由来した呼び方で呼ぶのは年齢の高いDiscoderの嗜みの一つだ。特に占い予測などの能力に特化された者達はタロットの札で人を顕し、彼らにその在り様を示すという。『あなた戦車みたいねぇ』とか『魔術師ってところかしら?』とか。思わせぶりな事を言う能力者がいたら、まず確実にそういう系統の能力を持つ者や高齢者だろう。
14.【警視庁AKT班】
-解説-アンチ・カルマ・タクティクス。対カルマ戦術班は警視庁内に創設された対karma案件の部署である。その存在は公にされておらず。基本的には特に監視や小規模なkarma案件。それもテロリストや犯罪者として表向きに手配されるDiscoderの狩り出しなどを行っている。俗にkarma犯罪者と呼ばれる人物達は能力者として覚醒する前から警察に目を付けられていた人物達が大半だ。通常の警察権力と執行能力では太刀打ち出来ない悪党を即時射殺もしくは無力化して逮捕するのが彼らの大まかな任務であり、残りはkarma案件の発生を抑止する為に首都圏などで睨みを効かせて監視し、相手を動き辛くするのが主要な仕事となる。神処などからの技術提供を受け、同時に自衛隊内の対karma部署とも連携する彼らは日本の政治家達が動かせるkarmaへの二つある備えの一つである。装備の質は神処の10分の1以下。拳銃は常時携行。主力はAKシリーズを装備したモブだが、満足なアイテムは支給されておらず、殆ど自活状態。警視庁の予算内で全てが賄われている為、冷や飯ぐらいと存在を知る同業者からは同情を買う彼らだが、結束は固く。神処の人事の責任者が新たに立ち上げる新部署との連携や提携、人材交流などが始まったら、今までよりも規模が拡大するだろうと言われている。彼らの分室は日本中の大都市圏や人口密集地に数か所存在し、警察と神処の仲立ちをしているとされるが、人員は全員が身元を隠しており、通常勤務中は単なるお巡りさんや警察署の人員として働いている。ちなみにそれなりの大きな部署でありながら、未だに班と名乗っているかと言えば、初代班長が部署に格上げされると途端に身動きが取れなくなって、予算は上がっても現場での自由な捜査が阻害される可能性がある……つまり、組織上層部にkarmaの事をちゃんと理解しているロクな意思決定者がいないと分かっていたからこその誤魔化しだったという。
15.【霊威神会】
-解説-世界中に点在するESP系のkarma結社は旧い組織ばかりだ。日本国内には凡そ大きなもので4つ、小さなもので8つ近く存在する。その中でも最大級の組織力を誇るのが霊威神会と呼ばれるESP結社である。彼らは凡そ平安時代の前から存在しており、教王会にも名を連ねる大派閥でもある。彼らの母体は神社庁管轄であった全国の大規模な神社の幾つかであり、その傘下には無数の中小の神社が連なっている。彼らは古くからDiscoderの人為的な発生と能力の発現を固定化して技能を継承する術を維持していた由緒正しき組織であるが、格式と旧い仕来りに囚われた人物達でもある。特に近代に入ってからは旧軍部へ様々な形で関与していたが、内部では俗事に関わるべからずという勢力が大勢を占めていた為、敗戦後はその外に向かっていた若手の意向は完全に潰された。しかし、近年に至るまでに組織人員の高齢化や子組織の縮小が顕著になり、若手の中にはこのままでは結社が潰れてしまうという意見が大勢を占めるようになると、神処などを手本として現在の組織力を維持するべしという意見が通るようになった。教王会に参加こそしているが、主に人員の遣り取りをして必要な時は戦力を貸す、重要な会議の議決権があるというだけなので、教王会そのものからノウハウを大量に仕入れようと思えば、彼らもまた変わる事を余儀なくされる。これを嫌った上層部が結局は自分達のやり易いように改革を進める為、神処との取引で組織改革を進めようとしたのは正しく古い時代の考え方と言えるだろう。結果として彼らは内部に今まで秘匿していた重要な能力を極めて取得し易い血脈を神処に人質同然に売り出す事になった。その代わりに結社に入ってくる技術や知識、ノウハウが今は組織改革の導として内部向けに改変されている最中であるという。神処に差し出された表向きは研修生という名の結社の姫巫女達は地方などの支部でひっそり、何処か世間離れしたお嬢様かお姫様みたいな人物として勤めている。
16.【怪獣対策会議】
-解説-特撮ファンには残念な話ながら、この世界には怪獣と呼ばれる存在が実在する。怪獣映画を見て笑っていられるのが一般人。怪獣映画を見て、明日は我が身と背筋を震わせるのがDiscoderである。第二次大戦前の時点でkarma存在を極大化してコントロールし、戦わせようという発想は既存のものであった。太古のSF達などもkarma存在を制御すれば、極めて有用な兵器になると踏んでいた節があり、遺跡などには怪獣としか言いようのない存在が厳重封印されていたりする。現代でも戦前の先進国軍部、特に日本とドイツによる怪獣実験は実用段階のところまで進んでいたとされ、実際に全長60m級のkarma存在を何体か試作していたという。内の2体は決戦兵器としてドイツでは本土での赤軍との戦いに投入され、ベルリン周辺での激戦において300万人規模の兵隊が“いなかった事”にされる事態となった。日本は本土決戦における米国の上陸部隊を迎え撃つべく。沿岸部に複数体が封印状態で仮死埋葬状態で眠らされていたが、本土攻略用の米国海軍の海兵隊及び特殊作戦群として編制されたkarma能力者部隊が核の国土持ち込みに成功。能力者達の滞空迎撃網を擦り抜けて都市を焼き払う事でそのまま敗戦を迎えた。軍部は降伏前に本土決戦用の巨大karma存在に関わった部隊を即座に解散して、東南アジアに逃がし、研究者達のほぼ全員が処置を施されて、完全に数年の間の記憶を抹消。研究資料は東南アジア圏に逃げ延びた軍人達の一部や海軍の一部によって持ち出されて行方不明となった。結果として、太平洋沿岸部には未だに米国も手を出せないままとなった巨大karma存在が地下2000m以下の岩盤付近で眠っており、現代では日本国政府と在日米軍にとっては頭の痛い問題となっている。この怪獣と称されるようになったkarma存在が目覚めた場合の被害は想像を絶するものだとされ、深度7以上の巨大地震の頻発や火山帯の大変動、マグマ溜まりの大規模活動や中にはプレートそのものの動きを激変させ、地球環境すらも捻じ曲げてしまうかもしれないという話が実しやかに語られている。今現在、それらは完全に休眠状態であるが、それでも巨大なkarmaに引き寄せられた化け物などが跳梁する要因ともなっている。このような理由から太平洋沿岸部ではkarma案件が非常に多い。北海道などには旧ソ連の侵攻を睨んで、もしもの時は地域が失陥した状態で敵軍を全滅させるべく1体で北海道全域を蹂躙出来る最大級の個体が広い大地の何処かに眠らされているという話もある。この話は幅広く業界では知られており、怪獣の眠る地域のDiscoderは引っ越し資金が切実に欲しいと愚痴る事も多い。このような怪獣の周囲でkarma存在が長い間、屯しているとその影響を受けて、地下の存在に似通った特質を持つヤバイものに変貌する事もあり、これを総称してkarma業界では“カイジュウ”と呼んでいる。その対策会議は地域に拠点を持つ複数の組織が合同で当たる事が当たり前の為、怪獣対策会議には抗争中の組織なども仕方なく参加せねばならない。もし、この規律を破るならば、その組織は他の地域の組織から極めて白い目で見られるだろう。それは日本においては組織の死を意味する為、黒幇だろうとNAMEDだろうと一応はおざなりにしても対応はしているようだ。守ろう地球環境ならぬ守ろうkarma環境が今の時代のトレンドなのである。
17.【新世界領域次元】
-解説-karma能力者が複数人集まると基本的に個々人の世界の領域が混じり合う事で一種のkarmaによって集団的無意識的なモノが現実に反映される。単純に言うと当人達には自覚こそないが、その“よく集まる場所”は通常の領域では無く。その領域内でしか通用しない事象や現象が起こる。そして、それが当然として成立する世界が生まれる。体感するのは困難であるが、例えば、漫画やアニメなどの“お約束”のような日常的に“必ずこうなる”というパターンが形成される。例としてはSFの実験で死人が出ないとか、JCが騒動を巻き起こしても死人が出ないとか、MWがトンチンカンな軍事知識で日常生活に波乱を巻き起こしても死人が出ないとか、GNが腹黒陰謀を巻き起こしても死人が出ないとか、ESPがうっかり超能力で仲間を吹き飛ばしても死人が出ないとか……そういうのだ。要は“全ての人員が許容出来る世界観”が出来上がるのである。これは一種の別宇宙と言えるものであり、小規模ながらもkarma組織の拠点というのは其々の“自らの意志が反映された世界”なのである。これをSF用語では新世界領域次元と書いて“オヤクソク”と読む。これはJCによるあらゆるシリアスをコメディ路線で殴り倒すような出鱈目な話によく似ており、拠点がセーフティーゾーンとして機能するのはこの“仲間内の世界観”が許容される場所では“○○な行動の結果はこうである”という法則が働いている為なのである。これを破れるのは強烈なkarmaを持ち、自らの世界を他者に押し付け、浸食し、我を通そうとする強い意志と高い能力階梯を持つ者だけである。これをやってのける程の猛者こそが真の高位階梯に上がっていくものとして業界では一目置かれる。逆に言うとそういう連中が沢山集まる拠点では例え、神だろうとオヤクソクを破ろうとするのならば、相応の消耗を受ける事になるだろう。
18.【異世界】
-解説-karma業界において異世界とは馴染みが無いという程に遠い存在ではない。理由は単純明快であり、他の異世界から来た存在が普通に巷では跳梁跋扈しているからだ。異世界から来た殆どの存在はその世界においてはkarmaとは何ら関係の無い実存であるらしいのだが、SF達の調査に拠れば、この世界に侵入する際にkarma能力が備わるのだという。これはkarma能力が一種の世界法則によって発生する“認識によって発生する法則”だからである。この宇宙内部ではkarmaとは普遍的な法則性の下に存在する認知機能が高度であるならば、すぐに覚醒出来るような代物であるという事だ。そもそもkarmaからして新世界の創造という事を極小規模で引き起こす概念事象であって、これが異世界の存在だから、使う事が出来ないとすれば、karmaを破る法則性の穴になる可能性がある。だが、実際にはkarma自体を発生させられない高度な認知機能を持つ存在はこの宇宙内部では存在しないとSF達の長年の研究結果から結論が出されている。結果として異世界からの来訪者達は異世界から来たからkarma業界から異端視されるという事はない。karma業界においてkarma能力者の定義は認知機能によってkarmaを発生させられる人型のkarma存在である。Discoderはそもそもが法的には人間であるが、根本的には存在自体が通常の人類からしたらグレーゾーンであり、誰も彼もが新しい宇宙の創造……つまりはこの世界の根本的な破壊を齎す可能性がある時点で真っ黒。そこに高々話の通じる別世界の人間が混じったからって別段気にするような連中は業界人にいない。地球産の化け物と異世界産の化け物の違いなどkarmaと関係ない人類からすれば、どうでもよい事である。karma能力者未満の連中が人材アイテム扱いされるように、その異世界からの誰かも能力が足りなければ、アイテム扱いなのは変わらないのだ。結果として異世界から流入した多くの化け物や人型物体達は異世界人というカテゴリでは奇異の目で見られるが、特段騒がれるような事もなくkarma業界では理知的に人社会を尊重出来る場合は馴染んでいる。そして、そういう者達が様々な組織で全面的に排撃されるような事にはなっていない。ちなみに異世界と言っても複数存在するらしく。一般的に人型の彼らが来ている異世界の名前は“偽れたもの”という世界らしい。その他には乗り物が一人手に動く世界や食料が喰えずに困窮する世界などがあるという。
[事件]
1.【大覚醒】
-解説-現代に多くのkarma能力者を生み出したコウカケンと先進諸国が行っていた実験の暴走は後にすぐこの二次大戦以来となる能力者の覚醒件数の増加という現実となって、世界中に異変を齎した。当時、その混乱は世界規模での経済の不安定化、軍事バランスの変動による小規模な内戦やユーラシアから中東を抜けてアフリカに掛けての大規模な政変を齎した。一連の事象を全て含めて大覚醒と呼ぶ。この大覚醒は数年で最初期の混乱こそ治まったものの、世界規模での能力者の覚醒件数は十倍以上まで高まったまま推移しており、今現在は各組織が大勢を整えたおかげで対処が出来ている、というだけに過ぎず。未だ、非常事態であると言える。しかし、それが常態化してしまった結果として、今も急激なスピードでkarma業界は膨張しており、その能力者の増加に歯止めは掛かっていない。新規の能力者達を巡るあらゆる事件が頻発し続けている。当時から幾分か混乱は集束しているとはいえ、それでも十分にまだ今を異常と考えられる組織の者達は多く。この状態の持続がいつまで続くのか。それを不安視する声は日に日に高まっている。
2.【魔女狩り】
-解説-大覚醒以後に目覚めた大多数の能力者は若年者であった。その中でも女性や自身を女性と思っている少女達が特に一つの能力を持つ層として形成されてしまった。それが魔法少女と名付けられる能力である。殆どの少女達が不可思議な力を発現後、自分に降り掛かる苦難をこの能力で粉砕したが、その威力は極めて大きく。大覚醒直後から数か月の間に起きた混乱では世界中で魔法少女の能力を持つ者同士での組織化や派閥化が進行。現地の他の能力者達との摩擦から大きな争乱が頻発。結果として年端も行かない少女達が無残に屍を晒す事態となり、大規模な組織はこれらを治める為に魔法少女専門の懐柔部隊、または先進的なケアを専門に行う部隊を複数隊組織して穏便な形での鎮圧に務めた。結果として一年を待たずして争乱は集束したものの、当時の地獄絵図を経験した少女達は自分達を狩り出そうとした者達との抗争を忘れる事が出来ず。多くがその事件を魔女狩りと呼び伝えている。以後、彼女達は自分達の後進や仲間を集め、所属する事になった組織への勧誘を進めた。出来る限り内勤や研究職、組織支部内での警備などの仕事を斡旋したおかげもあって、若年層の同じ能力を持つ少女達は平穏を取り戻しつつある。しかし、当時の事を忘れられず、怨恨から嘗ての敵を排除するべく暗躍する者達も複数確認されており、そういった少女達は大人に差し掛かった現在、各組織へのテロを目論む危険分子としてブラック・リストに載る事も屡々である。ただ、その争乱を治めた専門部隊の人々の多くが未だにそういった《《最後の被害者》》を救うべく活動しており、彼女達の活動も少しずつ風化し始めている。現代の魔女狩りを伝える今青年期に差し掛かる彼女達は後輩へいつもこのように指導するという。己が生かされている事に感謝して、人の心を捨てぬよう頑張りなさい、と。
3.【ゼオンの悲劇】
-解説-大覚醒以後、SFの世界において急激に増加した能力者の力を束ねて、一つのkarmaを生み出そうという研究が盛んとなった時期がある。当時、その研究の最先端を行っていたのは米国所属のARTERの前身である国営の能力者機関にいたゼオン・ライト博士であった。彼はSFにしては珍しく極めて倫理的な人物であり、40代と同年代の人物も少ないというのに組織の役職を固辞する根っからの研究者であったとされる。彼は米国内で里親制度の下で虐げられていた子供達の中から能力者として覚醒した多くの子供達を引き取り、研究資金で養いながら、彼らの力を借りて研究を進めていた。これは業界内でも久方ぶりに聞かれるSFの善行であった。プロパガンダの面があったのは否定出来ないものの、事実としてゼオン博士に対しては国家機関のみならず、多くの支援者から寄付が届いた事もあり、子供達の生活も苦しいものではなかったとされる。しかし、karmaの集合による大規模実証実験が初めて行われた時、その事件は起こった。集合karmaによって能力が誘発させられる段になって、実験中の子供達の能力が暴走。すぐさま実験は中止されたが、その時の失敗によって子供達の半数以上がkarmaの喪失後に廃人と化した。治療が試みられ、全員の回復が数か月後には確認されたものの……研究は実験失敗直後、ゼオン博士の死亡によって凍結。博士の遺したデータから再現実験が何度か通常の成人後の能力者によって行われたのだが、全て能力者に被害が出る前に中止され失敗。子供達は其々が能力者養成機関に残るか。もしくは当時の覇堂財閥からの誘いによって、そちらに引き取られていった。博士の理論では巨大なkarmaが形成出来た場合、そのkarmaそのものに自在する機能を与えて、生きたkarma能力のようなものが生み出せるのではないかとされていた事もあり、学会ではkarma研究が10年後退したと嘆かれた。また、博士が仁徳者であった事もあり、毎年悲劇の起きた日には米国中のARTERと覇堂に散った子供達が集まり、博士のいた研究所において故人を偲んでいるという。ただ、一部ではゼオン博士は今も生きており、子供達から様々な研究成果を受け取りながら、実験を続けているのだ、との噂話もある。これをARTERは一笑に付しているが、廃棄された博士の私設研究所は今も子供達の意向から、取り壊されずに残っており、此処では時折怪奇現象が起きる事から、ゼオン博士の亡霊がいるのではないかと疑う者達も多い。もし、それが本当ならば、ARTERはその事実を秘匿隠蔽し、自分達のみで研究成果を独占する気なのだ、と……実しやかに囁かれている。が、事実はその場所がARTER本部も近い為、まったく調べる術もなく何もかも闇の中である。
4.【出雲動乱】
-解説-神処が大覚醒以後に経験した大規模な事件として殆どの組織が知っている有名な事件と言えば、この出雲動乱であろう。出雲の地域は大覚醒以後も殆ど能力者を血統依存の者以外は排出していない特異な地域である。そんな出雲に他地域から溢れた能力者が流入するようになった事で起こったのが、この動乱とされる。そもそも出雲の地域は支部が置かれてこそいるが、その治安維持には現地で大昔から存在している神社仏閣の血筋の者達が当たっている。彼らの実力は高く。後に出来たコウカケン関係の施設などは数十年前に出来たばかりの新参。能力者の事を知る一般人も多く。彼らからも信頼を得ているのはその古来から存在して来た組織の方であった。そんな彼らの下に今までにない数の能力者の流入があり、その能力者の大半が大覚醒で混乱している各地で神処との戦いに敗れた者達の成れの果てであった。瀕死の彼らを哀れに思った現地組織の幾つか、主に寺社仏閣の幾つかが、その療養と矯正を請け負ったのだが、数か月後に回復した多くの能力者達は彼らを治療した者達の制止を無視して、出雲で合流後に神処の各支部に戦いを挑んだ。無論のように烏合の衆である敗者達は幾度かの攻防の果てに撃破され、多くの血が流れた。しかし、出雲にある支部の大半はこの時の動乱によって身動きが取れず。当時、出雲で起こっていた大規模な逃避行……彼らに挑んだ者達よりも遥かに多い能力者達の国外脱出に付いて何ら対策を打つ事が出来なかった。神処から処分対象となっていた多くの能力者がこの時に国外の機密派へ流れたとされる。この失敗を『勝負には勝ったが、試合には負けた』と報告した支部長は直後に降格。以降、神処の出雲支部には本部からかなりの高位階梯能力者が複数人送り込まれるようになった。この動乱以降、神処にも限界があるという事実が出来た事で多くの組織が再び活発に活動するようになり、神処は今現在も手を焼く事となっている。また後にトクセンが当時の出雲に投入されていたという情報が広まり、多くの者を驚かせた。支部が倒したと思われていた者達が実際に戦ったのは本部直属の極めてヤバイ部隊であり、それ相手に敗北者達が善戦したと状況的に明らかだったからだ。この一件で神処相手でも命さえ掛けたならば、抵抗は出来るのだと多くの能力者が知るところとなり、神処は益々頭を痛める事となるのだが……アウトローや神処が好かない連中からは出雲動乱の立役者達は一種の反抗者の象徴として、まるで赤穂浪士か坂本龍馬かという具合で語られ続けている。
5.【名古屋事変/神無月事変】
-解説-神処が近年最も手を焼いたkarma案件として知られるのが名古屋事変または神無月事変と呼ばれる事件である。この事件は名古屋近辺の複数の神処支部が独立の大義名分を掲げ、他組織からの支援を以て新組織【神無月】を名乗った事に始まる。人望のある複数人の支部長の号令の下に成立した神無月の勢いは当初凄まじく。周辺の殆どの支部を支配下に置いた。以後、二か月に及ぶ神処内の紛争として事件は幕を開けた。この事件を主導した人物は神無月の指導者として神処に3つの要求をしている。1つ、神処が秘匿する大覚醒を引き起した実験器具の譲渡。2つ、この事件に関わった全ての能力者の免責。3つ、神処が密かに組織したとされる死人部隊の情報公開。1つ目と2つ目は多くの能力者が納得するだけの要求だったのだが、3つ目の要求が問題となった。神処は基本的に人倫を極めて確保した組織として今まで認識されてきた。しかし、実際には表向きには原則禁止している能力者の死体からの蘇生を密かに大勢行っており、その人物達を能力者部隊として運用している、というのである。この醜聞を多くの能力者達は半信半疑で受け止めていたが、神処の本部には大量の情報公開しろとの支部からの意見書。更に一応は不可侵を結んでいる複数の組織からの監査請求が為された。結果として、神処は3つ目の要求に対して一部の事実を認めた上でそれら死人部隊と呼ばれている人物達の大半が肉親もしくは恋人からの形式を満たした嘆願によって蘇生され、尚且つ部隊としては纏められているが実際には療養、療育の為の名簿での話であり、実際に出動した事は無いとの最終的な回答を公表した。これが一か月と半月程の後の話であり、それまでに4度の大規模な広域戦闘が発生。都市部で初めて神処の内紛が勃発し、都市の複数の地域が幾度も瓦礫の山と化した。事変終結前日に発生した最後の超広域戦闘では延べ21万人の一般人の死傷者と重軽症者が出た上、能力者の死傷者重軽症者も700人以上と最大の決戦となった。事変終結の決め手は指導者を討った事。また、指導者に付き従っていた人物達が指導者の死亡と同時に全て無抵抗で確保された為、神処が事態を収拾したと言うよりは神無月側が最初から指導者からそうするよう指令を受けていたと言う方が正しい。事件の終結宣言が翌日に出されて後、神無月のメンバーは複数の罪状に分けて中核人材以外は情状酌量の余地有りとして3年間の矯正カリキュラムと常に支部の最前線の実働部隊で任務を受けるという条件でほぼ免責。神無月中核メンバーの多くは神処本部にある若年層の能力の指導教官としての永年就労任務。要は死ぬまでお前らの技術と知識を組織の為に捧げて貰うという条件で一定の監視は付けるものの、ある程度の自由を確保され役に付いているという。これ程に罰が甘くていいのかという疑問は全国の支部から付いたのだが、能力者で死亡した殆どの者達が神無月側であった事。神処側の死傷者は主に死人部隊を組織した本部の役員が雇った私設部隊であった事。などの事情により、一応の納得は得られたとされる。ただ、一部では極めて黒い噂があり、事変で死亡した全ての能力者が神処内部で未だ密かに蘇生され、別人として再教育。要は死人部隊と呼ばれた者達と同じように神処で生きているのではないかと言う話がある。その真実を知る術は無いものの……後に情報公開された資料には指導者の妹が能力者として支部で死亡した後、母親の希望によって死人部隊として蘇っていたという記述があり、これが事変の直接の動機になったのではないかと推測された。以降、死人の蘇生は能力の存在を知る直接の家族全員の同意が必須という項目がひっそり倫理規定へ追加されたが……神処はそのような事例の情報を一般に公開しておらず、蘇生の件数がその後どうなっているのか内情を知る術は無い。
6.【ラック・コード大乱】
-解説-東京において起こった大事件と言えば、極最近起こったラック・コードという二つ名を持った人物が関わる事件であろう。運命と安直な名で呼ばれた一人のJCがこの大乱の発端となっており、彼は極めて女性を誑し込むのが上手かったとされる。その彼が東京において蠢く有象無象の能力者達を次々に篭絡。様々な共同体へ組織的に浸透し、数年の時間を掛けて準備したとされるこの乱は主に3段階のフェーズが確認されている。第一フェーズ。組織人材の間接的な接収。能力階梯の低い者達を自身の洗脳した人物達に二次洗脳させての組織の乗っ取り。第二フェーズ。入り込んだ組織内での獲得した能力者達の保有する人材アイテムの間接取得と再分配。第三フェーズ。洗脳した能力者と人材アイテムを用いた一般組織への浸透及び洗脳による社会操作。この一連の出来事により、一時東京の公共機関、公的組織、企業、数万にも及ぶ法人の大半が彼の傘下となった。ネズミ算式に増えたラック・コードのシンパたる一般人からの攻撃によって複数の組織がその機能を失い。多くの能力者が多人数のJCやGNの物量洗脳攻撃を前に陥落。彼らが更に洗脳中核団体を護る事で組織を肥大させていくという循環を生む事で7日で神処東京本部以外の殆どの各組織の本部支部は機能停止。結果として一個人で一千万人規模の被害や影響を及ぼす事態となった。神処本部はこれに徹底抗戦と同時にラック・コードの暗殺部隊を以て抵抗。本部付きの高位階梯の能力者数人による蜂の一刺しで全ての決着を付ける事となった。政治中枢の乗っ取りにより、自衛隊による包囲攻撃を受ける最中、暗殺部隊が使命を達成した事で事態は急変。順次、洗脳済みの能力者達や一般人が解放されていった。幸いにして死傷者は一般能力者を襲った一般人ばかりが数千名、一般能力者が一万弱程度だった為、蘇生や建物の復元、記憶操作も込みで隠蔽は一月を待たずに完了。ただ、一時的に東京の首都機能が乗っ取られた時、未知の海外勢力がラック・コードと接触していたらしいと確認されている。しかし、混乱の中、彼らの情報は闇に消え、未だ神処もその実情の把握には至っていない。また、ラック・コード当人が死亡前に何処かの組織に雇われていると発言していた事が確認されており、入念な準備を行って事件を引き起したのは国外勢力の日本への浸透作戦の一環だったという見方が強まっている。
7.【ニンジャ大戦】
-解説-karma能力者の中でも日本の忍者に由来した能力を持つ者が世界中で確認されて後、大覚醒以後増え続けた彼らはあらゆる組織内で発言力を持つに至り、最終的には組織の支部などをその能力を持つ者達のみで占める程になった。そんな彼らは基本的にニンジャヲタクであるが、自分達の能力の研鑽も忘れない几帳面な人物ばかりだ。彼らは自身の所属組織に貢献するのみならず。自らのニンジャとしての境地や力を磨く事を第一にして、更に強大な同能力を持つ敵を倒すという一種のごっこ遊びのような目標を掲げる者が非常に多かった。命の掛かる業界である以上、相手を倒すとは殺害するという事と同義であるわけだが、彼らの半数以上はソレに慣れる事でニンジャというアニメ的な表現としての自分達のアイデンティティーの確立を更に推し進めた。半ば狂信的にニンジャ像を追い求めた各組織のニンジャ閥と呼ばれるようになった彼らが自然、敵として別の敵対組織のニンジャ閥とニンジャとしての強さと勲を求めて戦うようになったのはまったく自然な流れであろう。多くのニンジャ閥は自身の所属組織に他の組織のニンジャと戦う時は手出し無用、援軍無用という条件を掲げて、これを破るならば、組織を抜けると公言している。結果として、ニンジャ閥間の抗争はkarma業界内でも各組織の思惑とは違うところで完結する一種の別世界と化した。結果として、数多くの組織は自分達の組織内にニンジャ閥を抱えながら、何か世界観のまったく違う漫画に出て来そうな連中の争い事を半分他人事のように見つめる事となったのである。これが今現在も続くニンジャ大戦と呼ばれるニンジャ閥間の戦国時代さながらの大規模抗争である。ニンジャ閥自体は所属組織の命令にも同じニンジャ閥との戦闘以外では基本的に従うし、物凄く真面目に任務も受けてくれる高階梯者として工作活動や暗殺任務の花形に伸し上がっている。なので組織から安易に排除も出来ないし、資金の提供も止めるわけにはいかない。であるから、ニンジャ閥を保有する組織の多くはその独断を許す代わりに通常のkarma能力者にさせられないような黒い仕事を正しくアニメや漫画的にニンジャ閥へ押し付けている。彼らの隆盛はそのまま組織の隆盛に関与する程に影響力を増しており、今までそういった能力者がいなかったところでさえ、ニンジャ閥を起すかどうか見当しているという。
8.【トリプル・バイオレット】
-解説-世界規模で知られるkarma案件には人類にとって極めて有害になりそうな事件が幾つか存在する。その一つが、トリプル・バイオレットと呼ばれる案件である。この案件はARTERが公的に認めた人類規模案件の一つであり、太平洋上で起こったとされる巨大なkarma実験に端を発する。関与した組織は3つ。ARTER、SF同好会、覇堂財閥である。ARTERは覇堂と懇意の中であり、彼らが主体となったkarma実験は大覚醒を引き起こした実験の一つであったとされる。神処が抜けた後、SF同好会に技術的なサポートを依頼したARTERが、洋上に超大型タンカー型の実験船を整備し、そこでは三組織合同での共同研究が行われていた。これが機密の類であった事は言うまでもないが、此処で三組織から其々に裏切り者が出た事で実験船内は地獄絵図と化し、これを米軍とARTERが封鎖。その168時間後に事件が終結した際、突入部隊が見たのはARTER側の研究者達の大量の死体とSF同好会側の気が触れた数名の生き残り。そして、覇堂側の実験施設にいた子供達の姿であった。生き残ってまともな会話が出来た子供達の証言から事件の全容が明るみになったのだが、発端は三組織が合同で開発していた新型のkarma能力の封入機器。バイオレットと呼ばれた三つのマスターサーバーであったとされる。このサーバーがkarma能力の封入のみならず、高度な自己判断機能を持っていた事は三組織共に理解していたが、そのサーバーが其々の組織の研究者のトップを洗脳。何か目的があって実験船を掌握。その際に洗脳し損ねた能力者達を洗脳済みの能力者達の手で排除した、というのが事の始まりであったらしい。実験に関与していた子供達は三つのマスターサーバー……トリプル・バイオレット側から目的の為に実験船内での協力を依頼されるもこれを拒否。結果として、能力者達に襲われたものの、これをSF同好会の生き残った数人と共に排除。何とかマスターサーバーの破壊に漕ぎ着けた。しかし、この時にはもう船内で実験器具を用いたkarma能力者の暴走を誘発する機材が起動しており、SF同好会の数名はこれを自身の能力を用いて封印。結果、精神崩壊してしまったというのである。制圧部隊に生存者全員が救助された後、実験船は米国内に曳航、解体された。何故、この事件をARTERが身内の恥じであるにも関わらず公開したかと言えば、その実験船内で研究していた代物が消えてしまったからだとされる。それを最初こそ隠蔽しようとしていたARTER側だが、覇堂がこれを危険視し、身内の恥じを晒してでも回収しなければならないと納得させる事で事態は明るみになった。結果として事件が公表された後、全世界のkarma能力者に出されたお触れはこうであった。能力者の能力を完全に移し替える事が出来る何らかの道具を見掛けたら、ARTER側に通報して欲しい。もし、通報が真実であり、その物体が我々の探している物であった場合、1億ドルの懸賞金を支払う。各組織が驚いたのは言うまでも無く。様々な憶測が為されたが、最終的にkarmaの完全なる人間からの抽出を技術的に三組織が成し遂げた可能性が指摘された。それは正しく能力者を減らし、その上でkarma能力そのものを移し替えられる。または更に際限なく強化するという極めて危険な技術であり、そりゃ1億ドルだって出すだろうとの結論に至ったのだ。世界を滅ぼし得る技術が太平洋から忽然と姿を消して今も世界の何処かにある。海洋に消えた謎を追って、多くの懸賞金目当て達が今も世界中でそういった品を探しているが、今のところに見付かってはいない。
9.【ポールシフト・フラッグ】
-解説-この案件は世界規模で生放送されていたkarma能力者御用達の動画サイトでその生配信を行っていた能力者、スミス・ブランクが南極で大規模組織のパーティ会場に入り込み、テロに巻き込まれた事で発覚した事件である。南極は人口密集地から大きく外れており、karma能力の大規模研究をするには打って付けの地域として今現在大規模な組織の殆どが直轄の研究設備を置く重要地点である。そこで開かれる大規模組織合同での親睦会。要はもしもの時に備えてのホットラインの確立を目指して行われたパーティーでその事件は起こった。大々的に業界の上の方が協定を結ぶのではないかと期待されたパーティーには各組織の報道も入っていたのだが、そこで何とか伝手を辿って潜り込んだスミス・ブランクはウェイターとして生放送機材を持ち込みつつ働いていた。パーティー主催者である覇堂のお墨付きであり、彼は次々に業界の有名人達へのコンタクトに成功。ARTERやNAMEDのお偉方が集まる最中、彼はレセプション・セレモニーの途中でトイレへと向かい……数分後、戻って来てみれば、会場は半数以上が死体となっていた。残った人々は血塗れで息も絶え絶えの様子。慌てた彼が彼らを治療後、聞いたのは……セレモニー内で突如として高位階梯能力者が数名、大規模な奇襲を仕掛けて来たという話だった。その人物達は一様に蒼い仮面に緑の外套を羽織っており、名前は名乗らず。テロ組織らしからぬ統制を以て、高位階梯者達を蹂躙後、その足で各地の組織の施設のある方角へと飛び去ったというのである。スミス・ブランクはこの話に対し、即座状況を確かめる為、治療した人々を数時間後に到着するだろう救援部隊に任せて、最も近い施設へと急行。そこでは施設内で研究されていたらしき資料やデータを持ち去る人物数名と遭遇。戦闘となったものの辛くも勝利。しかし、肝心の情報を持った人物達には逃げられる事となった。その人物達の情報と行方を追った彼は研究所内で何の実験が行われていたのかを知り、愕然とした。その情報がネット上に流れた時、多くの見ていた者達も震撼しただろう。地球の地軸を自在に曲げる研究……地磁気の完全制御、これらをkarma能力を持って行い。一定の区域内の生物のみを宇宙線や地殻変動で死滅させる環境兵器【ポールシフト・フラッグ】が完成真直であったというのだ。行われていたパーティーはその完成式典であると同時に兵器の搬出と分配のカモフラージュであり、この計画を主導していたARTERとNAMEDは東西冷戦に習った相互破壊保証概念を実践するだけの機材として通常の核ではなく、地球そのものを用いる環境兵器を用い、勢力均衡を築こうとしていたのである。スミスは研究所で唯一の生き残りである女性、エマ・ヒューからの要請……フラッグ起動を防ぐ切り札としての同行の申し出を受諾。二人は研究所の滑走路と輸送機を用いて敵が向かったと思われるフラッグの起動可能地点へと急いだ。この時点でスミスの生放送は途切れたが、事件解決後に彼は傍らのエマと共にテロリスト達の計画を何とか未然に防ぐことが出来たという記者会見を祖国で行い。彼らの英雄的な行為に免じてARTERとNAMEDは二人の様々な組織内規則や規律違反を見逃す事を大々的に宣言した。以降、フラッグの研究と開発は凍結となり、ARTERもNAMEDも相互に戦略級の環境破壊に繋がるアイテムの開発を中止する旨の条約を締結した。
10.【流星塔事件】
その日、地球に5つの流星が落ちた。月地球間にあるラグランジュ1方面から飛来したソレは世界各地に散らばり、一つは南極、一つは北極、一つは大西洋、一つはヨーロッパ。そして、最後の一つは極東へと落ちていった。この日を機にして各地のARTERとNAMEDの各基地の動きが慌ただしくなった事は務めていた当人達がよく知ることろだろう。主に流星の落下予想地域への部隊のパトロールが頻繁となり、鉢合わせた双方が散発的な戦闘に入る事で二つの組織の摩擦がより激しくなった事は双方にとって要らぬ消耗を招く厄介な出来事として認識された。しかし、彼らがパトロールを控えるという事は無く。一月後から事変の本体とも呼べる事象が起こり始めた。凡そ流星の落下地点から半径500km圏内において幾つかの街が一般人の入り込めないkarma環境によって激変し、巨大なドーム状の空間の歪みらしきものが出現。内部に双方から調査隊が送り込まれ、半径5km圏にも及ぶ広大な土地内部では街が完全に機能を停止し、人間が見当たらない事を確認した。また、領域の中央には巨大なタワーが確認され、調査隊を驚かせた。ソレは見掛け上こそ赤レンガで造られたような古びれたものであったが、高層ビル9つを同時に束ねたような巨大さであり、外部からは一切karmaの干渉を受け付けず、全長4km、階層数400という信じられない広大で長大な構造物であると推測された。調査隊はこの塔の謎を解こうと外部との連絡が遮断された状態で調査、登頂を開始。しかし、すぐに引き返す羽目となった。理由は内部に無数の化け物や現在しられている様々な人類に対して有害なエネミーが大量に湧いて出たからである。この時の戦闘で半数の脱落者を出した調査隊は即座に塔から脱出、その時に数層を昇って塔内壁に埋め込まれていたところを確保した民間人らしき数名の人物と共に帰投。すぐに彼らから何があったのかを聞き出す事に成功した。ARTERとNAMEDが双方、自分達の勢力圏でそのような調査を行い、同じように撤退し、ほぼ同時期に得た情報は極めて似通っていたとされる。塔に埋め込まれていた一般人に拠れば、流星の落下から半月程経った頃。街中でシュバルツらしきものが目撃され、怯えた住人達が街から逃げ出すか、家に籠っていたら、巨大な塔が地震と共に地下から出現し、それと同時に地表が全て黒く染まって呑み込まれた、というのである。気付いたら助けられていた事からそれ以上の事は何も分からず。ARTERとNAMEDはその地域を封鎖し、現在も調査部隊を継続的に送り続けている。内部ではキャンプ地が整備され、日夜数部隊が交替で塔内の攻略を進めているが、塔の材質が即座に修復される上に制圧したフロアにも化け物が多数湧き、数日に一回は大規模な襲撃を掛けて来る為、未だ遅々として30階以上の階層には到達出来ていない。領域内部の空には巨大なkarmaの残留が確認されており、不用意に上がった能力者は能力の暴走で自爆する上、あらゆる機械がkarmaの汚染領域によって物理法則が無効な場所を通って機能を喪失してしまう。塔を攻略する以外でkarmaの汚染源である塔上層部に辿り着く方法は無いとされており、ARTERとNAMEDは喫緊の課題として、この未知の領域を生み出す巨塔の最上階を目指している。制圧したフロアでは内壁に取り込まれた一般人が多く救出されており、彼らが殆ど存在を凍結されていたかのように疲弊していない事から、塔はkarmaの制御に人間を使っているのではないかと推測されている。一体、何故どうしてこんなものが出来たのか? それを現在も調査隊の報告からは浮かび上がって来ていない。現在、ヨーロッパ、北極、南極で塔は発見されているが、大西洋と極東では塔が見付かったという話は無い。
[事故]
1.【大星号撃沈】
-解説-俗に能力者界隈では巨大なお宝を載せた船を引き上げる儲け話の類として有名な事故。第二次大戦中、英国や米国に対して中国国内の文化財の庇護と同時に日本軍との戦いへの助力を申し出ていた当時の支配勢力が国外への文化財輸送を列車や車両による大陸横断ではなく。現実的な海運で行おうと文化財を送り出す計画を立てた。この時に使用されたがの大星号と呼ばれる輸送船であっとされる。当時の価値で数千万ドルから数億ドルになるかもしれないとも言われた大量の文化財が欧米に渡ろうという時、これを日本軍の潜水艦が捕捉して撃沈。しかし、能力者を載せていた為、破壊は免れ、また当時のSFが用いた対爆隔壁の資料が残っていた事から、今も深海でお宝が眠っているに違いないという噂がある。一部の能力者にはこの歴史的な事故のあった海域を今も探している者がいる。無論、全て藻屑になっている可能性が高いのだが……何故かこの一件で黒幇が定期的な探索を行っている事が業界では知られており、まだお宝は眠っているに違いないと一攫千金を夢見る山師などは浪漫と財宝を追い求め、黒幇の探索ポイント付近を荒らしているという。
2.【山岳遭遇戦】
-解説-ユーラシアのとある元共産圏地域で不安定な政情下にある国家と内戦が起きている国家の国境付近の山岳で遭遇戦が発生した。これ自体は近隣の国からテロリストが浸透するのを防いだりする意味でも十分に有り得るのだが……それが政情が不安定な国同士の別機関の兵隊同士のものであったというのが話の肝となる。どちらも能力者を要する部隊であったのだが、どちらも非公式の作戦遂行中であり、彼らは互いにカモフラージュに長けていた。結果として、彼らはその組織同士は実は緊密な関係であったにも関わらず、一昼夜に及ぶ戦闘を繰り広げ、死者21名、重軽症者23名という被害を出してしまった。この事故があって以降、ARTERやNAMEDは諜報活動を強化し、組織の派閥や小規模な提携する組織間でこのような事が起こらぬよう世界基準のARTERとNAMEDの専用通信チャンネルを確保した。この事件は以降、何処の組織の人物であるかだけは分かるよう、其々の中小規模の組織に専用の符丁がARTER、NAMED双方から割り振られる原因ともなった。このチャンネルでの応答に対する虚偽の応答は即時交戦による射殺が行われても文句は言えないという二つの組織の取り決めが知れ渡って以降、識別用の符丁を知っている者が部隊には必ず配属されている。ただ、この事故の噂には黒いものが幾つかあり、その一つには事故を起こした国が二つの組織に行わせていた任務は表向きのものの他にもあり、実は部隊の裏切り者を炙り出す為の自作自演の戦闘をしていたのではないかと言われてもいる。
3.【御能島山体崩落】
-解説-日本の鹿児島から数百km南東に位置する有人の小島。それが御能島である。約1200人が現在も住まうこの島は世界でも《《karma能力者が創造した島》》として名高い。室町幕府成立期頃には影も形も無かった島であるが、その当時のSFらしき人物、島では御能様と呼ばれる土着宗教の本尊が当時の荒れた世相から逃げ出した農民を束ねて、自らが生み出した島に移住させたのだとされる。島は火山噴火による産物とされているが、調査が始まった昭和初期には島全体の大深度が殆ど未知の鉱物で海底から支えられている事が確認されていて、島に生える樹木のほぼ全てが食用となる果実を実らせる事実から、明らかに人工的に植林されたものと発覚。一時期は研究者達の間で研究対象として持て囃された。昭和が終わり、平成に入って後、島には大手組織の保養施設が出来たりしたのだが、小さな島で外の揉め事を持ち込むのはご法度と協定が結ばれた経緯から、多くの能力者が安穏として過ごせる常夏の孤島として人気を博した。そんな観光業で栄え始めた島を襲った事故が突如として島の北にあった御能様を祀る御能神社近辺の山体が崩落するというものであった。能力者が数多く巻き込まれたが、重軽症者のみで死者は無く。また、多くの島民が南の海岸線沿いの集落で暮らしていた事も相まって被害は最小限であった。しかし、御能神社は崩落に呑み込まれて消失。以降、島の北部で微振動が観測され続けている。現在、北部は立ち入りが制限されており、神社があった場所には崩落原因を調べるという目的で神処が立てた研究所が置かれている。神社に代々住まっていた神主の家の夫婦は崩落時に買い物へ出ていた事から被害を免れ、現在は南の集落に居を移し、そちらに再建された新規の社で娘達と一緒に暮らしていて、小さな島の御能様を祀る年中行事は今も観光資源として、島の人々の信仰の対象として続けられている。
4.【タイムラグ・シュリケン】
-解説-この事故は喜劇のようなホントの話である。ニンジャ閥間の抗争は今も日に日に激しくなっているが、彼らの所属組織での任務は基本的には裏仕事と暗殺である。である為、彼らが組織にとって邪魔となる者や依頼されて一般の政治家などを巧妙に病に見せ掛けたりして暗殺するのは常の事なのだが、欧州で敵対組織のGN兼政治家を暗殺するよう指令を受けたニンジャが能力者相手だし、能力を使って殺そうと能力で出来たシュリケンを用いて狙撃しようとした。しかし、狙撃途中にそのGNのガードに付いていた能力者がこのシュリケンを虚空で完全静止させてニンジャを撃退。事態は事無きを得た。そして、数日後。その暗殺現場で狙った組織のGN兼政治家が立つ事になり、彼が演説中……その虚空で留められていた見えざる能力製のシュリケンで頭部をクリーンヒットされた。結果として彼は天に召された。この事故は能力者相手の攻撃の停止はその後に能力で形成されたものが霧散したのをちゃんと確認してから解除しましょう……という規範を各組織が所属者に護らせる大きな原動力となった。犠牲となったGNには暗殺しようとしたGNからお悔やみの手紙が届いたのだが、ビリビリに組織の幹部が引き裂いただろう事は想像に難くない。赤っ恥を掻いた組織がその後、その敵対組織に吸収された事はあまり知られていない事実である。また、そのミスを犯したニンジャはまったくシレッとその狙ったGNのいる組織で働いているという。
5.【日本海溝407沈没】
-解説-戦時中、帝国海軍の407と呼ばれる潜水艦が日本海溝に沈没した事故。これ自体は別に戦時中の事故で片付けられるのだが、特筆すべきはこの潜水艦に載っていたSFが帝国軍の参謀将校であった事だろう。GHQが戦後処理の過程で不明瞭な潜水艦の沈没を調べた結果として、彼がかなり大がかりな作戦を行っていたらしい事が灰にされた資料の断片からは読み取られた。しかし、その計画の推進者の多くは東南アジアの各戦線で戦死しており、解体された軍関係者も誰一人として口を割らなかった事でこの件は差し迫った脅威とも見なされない事からお蔵入りの案件となった。しかし、近年になって日本海溝の沈没した付近へと投入された深海探索用ドローンが次々に消息を絶つ事案が発生。これを不信に思った日本政府の主導で神処が深海を調査した結果、日本海溝内の最下層付近に何らかの時空間の亀裂らしきものを発見したとの報が齎された。その亀裂は極めて小さいものであったが、その周辺には打ち捨てられたような船体の残骸が散らばっており、これが沈没した407で間違いないと旧帝国海軍の資料から断定された。後にその亀裂へと幾らかSF製のドローンなどが投じられたのだが、ほぼ全てが未帰還となってしまい。その先が一体、どうなっているのかまるで分からないまま調査は打ち切りとなった。その理由は旧帝国海軍が何をしていたのかまるで見当が付かない事。また、深海探査のような極めて大きなリソースを割く調査を続けるにはドローンの消失そのものが動機として弱い事が上げられた。しかし、この事実が情報流出で業界に知られて以降、SFの一部などは日本海溝に自前の潜水艦やらドローンやらを持ち込んで、その407の沈没現場に赴き。その時空間の亀裂という極めて特異な現象の研究を継続して行っているという。日本政府は能力者個人への中止要求を行って、また能力者同士の抗争や人死にを出すのを嫌い。遠巻きに監視して何か起こったら対処するようにと神処に事実上の放置を言い渡した。
6.【443便撃墜】
-解説-ソ連崩壊直前の年、ユーラシア東の上空にいきなり443便という航空機が侵入した。推定で443便と呼称されるのはその航空機に443の文字が描かれていたからに過ぎない。その443便だが、何故かその国家の航空管制からの指示を全て無視。その代わりに正体不明の電磁波の放射を行った事で敵対的な存在と見なされ、戦闘機によって撃墜された。しかし、オカシな事にその撃墜したはずの機影は戦闘機の操縦士が確認した爆発直後に掻き消えるようにして失われ、事後調査に入った軍も何らその破片一つすら見付ける事が出来なかった。ただ、戦闘機の操縦士が443便の機体をまったく見た事の無い機種の旅客機に見えたと語った事により、共産圏以外の国どころか。地球上に存在しない航空機であったらしい事が発覚。その撃墜現場と発見時のポイント上空は立ち入りが禁止された。事故調査委員会はこの事件が国家機密として指定された事を期に解散。443便が一体、何だったのかは闇に消えたかと思われたが、その数年後にこの情報がネット上に流出した事でこのミステリーな443便は一躍都市伝説となった。ただ、一部のSFからこの443便に付いて新しい推測が行われ、この機体は未来の旅客機では無かったかという指摘が出ている。SFには時間を僅かながらも支配する者達が存在する事は前々から知られていたが、その能力を持つ者達からの指摘はあくまで一意見として大いにミステリー好きな能力者達を沸かせた。しかし、現代に至るまで443便と思われる旅客機は開発されておらず。その話もやはり都市伝説を補完する都市伝説の類として今はネットの辞書を肥やすのみである。
7.【浮遊要塞臥号墜落】
-解説-近年、日本国内でSF同好会の学会が行われた時、NAMEDから国際指名手配と賞金を掛けられたテログループの一派が会場を襲った。無論、その大半は高階梯SFの反撃で30秒持たずに跡形も無くこの地上から消滅したが、その陽動中に学会開催都市の市街地付近に駐機してあったとあるSFの移動要塞が光学迷彩を解除された上で超高位階梯SFらしき人物の攻撃を受けて墜落。街一つが潰れるという大参事となった。死者行方不明者は合計で3000人以上にも及んだが、神処やSF同好会のET達により事無きを得た。しかし、墜落した浮遊要塞は修理しようにも極めて難しい代物である上にそのSFにのみにしか中核部品を修理出来ないとあって、高階梯のESPが数十名連携して近くの山岳部の山間に安置するという事で一端片付ける事態となった。以降、そのSFは長引く修理の傍ら、要塞が安置された付近の土地を買い取って、浮遊要塞を地表に埋設して仮の拠点として設置。修理用の物資を得る為と称して、近隣の組織から仕事を請け負っては、その臥号と呼ばれた浮遊要塞に使う資材を内部に搬入しているという。潰れた街に何か罪悪感でもあるのか。SFとして企業体などから特許料で稼いだ資金を毎年、街へ税金として律儀に納め、ついでに多額の寄付を欠かさずしているとあって、今では街の名士としてそのSFは有名人となっている。ちなみに街の片隅に突如として出来た大型施設は表向きは研究所となっているが、内部ではカモフラージュ用に娯楽施設が沢山設置されており、最新式のゲーセンの筐体やコンシューマーのゲームが旧いものから新しいものまで何でも遊び放題となっている。以降は毎週、開放日には子供や親が押し寄せる街の名物施設、人気スポットの一つと化した。施設のニコニコ案内してくれる研究員が実は全員……要塞を保有するSF謹製のアンドロイドだと知る者は能力者達以外にはいない。
8.【オーダー・オーダー案件】
-解説-能力者達の間で広まる都市伝説。Discoderのいる組織の電話番号が出回っており、出前か何かと勘違いされて、ESPやJCのような略称を出前の注文だと思った人物がESP2人前などと意味不明なオーダーをしてくるという噂である。しかし、中には改変バージョンが存在し、オーダーを頼まれて、その場所へ指示された通りの4人のDiscoderを出前しないと組織の支部の建造物が不運にも潰れるというものがある。ただ、それを体験したと専用のSNSなどに書き込むDicoderは毎年必ず一定人数存在し、春の風物詩として生温い目で見られている。しかし、その投稿をした能力者達を追っていくと。それが事実である事が発覚する場合があり、SFなどはkarma能力者達の噂そのものが一種の巨大なkarmaとして形成され、集団無意識化での能力発現によって、都市伝説が具現化しているのではないかと推測する向きもある。ちなみにオーダーを出前した場所に待っているのは能力者を喰らう悪魔のような強さの未知の能力者であるとされており、倒すと大きな報酬を貰えるという話もある。また、建造物が崩壊するのはkarmaや能力が感じられない偶然の結果によって齎されており、大抵は事故とされている。
[抗争]
1.【神処強襲計画】
-解説-コウカケンから神処へと移り変わった時節、本部の強襲を行おうとしていた複数の弱小組織があった。彼らの殆どは事実上、泳がせられていた魚であり、その計画が動き出した瞬間に制圧部隊によって潰されたのだが、未だにこの神処に対して強襲を掛けようという計画は日本中のあちこちの新興のkarma能力者を抱える組織で検討されている。そんなの出来るわけないと常識的な能力者達の大半は思うのだが、その計画だけでも立てておくというのは何処の組織でも嗜み程度に行われている事である。理由は仮想敵として最大の相手として想定しているところにある。実際、設立当初よりも神処が万能でも全能でも無いし、裏で黒い事もそれなりにしているという事実が理解されるに連れ、自己防衛の為に組織でもしもの時の攻勢計画が練られる事は多くなった。表面上は協調する多くの組織もそれは同じであり、日本最大の組織がもしも斃れると理解されれば、一瞬でその地位が瓦解する事を意味する。日本国内において殆ど絶対者である事は変わらないし、戦力も圧倒的であるが、それでも備えはされているわけである。
2.【黒神抗争】
-解説-黒の一睡会と神処の抗争はイタチごっこの様相を呈し始めた当初からまるで進展していない。テロは未然に防げず。テロをされた組織は口を噤み。神処はその対処に追われる。これが一貫したルーティーンであり、その様相に変化はない。黒が先で神が後と揶揄される二つの組織の抗争は正に追いかけっこに等しく。全国の神処支部が黒の一睡会の末端は捕まえられても、中位より上の幹部にはまるで手が届いていない事からも、何か大きな異変が無い限り、その関係は変わらないと思われている。この事実を支えているのは黒の一睡会に複数人の超高階梯能力者が存在し、またテレポートなどの空間転移能力を用いる能力者が十名以上在籍している事が原因とされている。嵐のようにやってきて、嵐のように去っていく。その歩みを誰も止める事は出来ない。そんな風によく一睡会は語られる存在であり、その義賊的な面からも神処を良く思わない組織からの支援は手厚いものがあるらしい。
3.【教金抗争】
-解説-宗教界の能力者達のパイオニアである教王会が近年になって台頭してきた金融連合との間に摩擦を持っているのは端的に言って、金融連合の資本を求める故の倫理感の薄さにあるとされている。基本的に市場操作の為ならば、悪事にならない程度に人間を使い潰す事は金融連合的には合法の範疇である。そもそも神処が認める限界ギリギリの灰色な辺りでkarma研究を行っている彼らは金がどうしても必要な能力者を見つけ出すのが上手く。それを破滅させるのも上手く。ついでにそれが自己選択の結果であるという建前の下に協力するよう誘導するのも上手い。結果として自身のRDを金銭に変えて生活を送る能力者が近年急激に増えた。身に余る金を得られた彼らの大半は身を持ち崩して更なる金銭を得る為に金融連合の書類や手形にサインをするわけである。その結果として死にはしなくても廃人になったり、死にはしなくても見知らぬ相手の子供を身籠ったり、死にはしなくても金融連合の下僕のようにこき使われたりする。出来る限り大量のJCを供給出来る体制を確立する為、金融連合は今現在、JCの血縁者や血縁関係の人物に国外での代理出産などを行わせて、生まれて来る子供を現地の孤児院で引き取り、それを更に合法的に日本国内に用意した人物の下で養育するという限りなく真っ黒で法的にグレーな計画を遂行していたりもする。このようなエスカレートしつつある金融連合のやり口に教王会が反発し、末端の単位では日常的に命の遣り取りをする事が在り得る為、何処の組織も二つの組織を同じ街で見掛けたら近付かないのが基本的な対応になっている。ただ、金融連合は最終目的が合法的な市場操作である事に対し、教王会は倫理や道徳に悖り、違法性の高い組織を摘発する非合法組織という面が存在する為、殴り合った場合、金融連合自体には勝ち目が無い。それを分かっているのか。金融連合のやり口は近年巧妙化しており、黒に近いグレーな活動を国内では諦め、それらを全て国外へ移し、その活動で得た成果を日本に持ち込んで実験するというやり口に変わってきている。日本国内の組織には何ら迷惑は掛けてないですよ?と臆面も無く言える金融連合幹部に苦い顔をする日本国内の組織は多い。
4.【黒白抗争】
-解説-黒の一睡会と白の一水会がテロ事件現場でカチ合うのは極めて珍しいのだが、時折そのような場面に出くわす事がある。こういった場合、黒は逃げの一手であり、白は追撃の一手であるが、白の追撃が激しい場合、殿として高階梯能力者が残る場合もあり、彼らの戦いは正しく激戦と言うに相応しい事件として大抵は周辺区画が更地になる。何もない田舎ならば田んぼが燃えたり、畑が燃えたり、山火事になったりというのが定番だろう。どちらも互いに敵対心を抱いており、彼らの戦いに横から水を刺そうという輩は基本的に神処くらいなものである。しかし、未だ黒側が最終的に幹部を捕らえられたという事実は無く。それが黒側の極めて洗練された能力と戦術を証明しているのは明白だ。どちらに付くかは正しく、その場で所属組織か自分の胸にお伺いを立てる以外に無い。どちらが白で黒かなんて傍目にはまるで分からないのだから。一皮剥けば、その中身が逆だった、なんて事はkarma業界においては日常茶飯事である。
5.【冥王抗争】
-解説-冥王を見守る会が抗争らしい抗争をしたという話はほぼ近年のkarma業界では聞かないのだが、実際には大戦後に冥王と呼ばれる能力者がいた当時は他の国外から流入してきた組織同士が激しく激突していた。日本国内の組織間では殆どそのような事が起きずにコウカケンのような研究機関の出番は無かったのだが、当時国内で最大派閥であったGHQ内のARTER前身機関、米軍内の能力者組織が各国から浸透する機関同士の抗争を潰して回っていた経緯から冥王と激突していた、とされている。特に旧ソ連からの浸透を受けた区域で冥王の勢力と三つ巴になったGHQはkarma案件の鎮圧を積極的に進め、さながらそれは本国のレッド・パージのようであったとも言われる。しかし、冥王の力の大きさが明らかになるに連れ、組織の増強と共に周辺組織を糾合した冥王勢力は台頭。旧ソ勢力もGHQもその組織力を警戒し、双方で多大な死傷者を出しながらも、最終的には共闘関係を以て冥王を打ち取る事で決着が付いた。冥王に付き従っていた者達も首魁が討たれると同時に殆どが三々五々、当局の目を逃れて日本各地や未だ戦乱の渦巻く東南アジアに命辛々散っていった。後に冥王抗争と呼ばれるこの一件は敵であった冥王の能力者としての強大さ、カリスマ、特殊性などの理由によって情報を隠蔽され、GHQが日本より引き上げた事でその重要資料の大半が破棄、何があったのか知る者は当事者達以外には殆どいなくなってしまった。現代になって冥王を見守る会が発足した後も彼らが殆ど表立った活動をしていない事、神処の組織が大きく成り過ぎてARTERのような米国由来の組織の影響力が低下した事を受けて、会は今も事実上放っておかれている。しかし、当時の案件に関わった人々が死去しつつも残した一部の情報はアメリカ側にはまだ残っており、これらをCIAやNSA、ARTERが独自に監視している事は明確な事実である。神処は殆どの情報を持っていないが、時折ふと思い出したかのように冥王を見守る会に対して監視を行う事があり、それは今現在の筆頭理事からの要請であるとされる。冥王とは何者だったのか。どのような能力だったのか。知る者は殆ど居らず。しかし、その逸話だけは業界でも噂レベルで残っており、嘗ての冥王抗争を知っている人物達の大半は重い口を開く時、必ずこう付け加えるという。冥王を復活させてはならない。アレは……国どころか世界を滅ぼすものだから、と。
6.【AN抗争】
-解説-ARTERとNAMEDはお互いに反目し合う世界最大の能力者集団である。彼らの抗争形態は大まかに4つに分けられる。1つは第三世界を股に掛けた陣取り合戦染みた勢力圏争い『エリア・ウォー』。1つは互いの勢力圏である国家地域の影響力を削り合う『インベーション・ライド』。1つは主要先進国内での外交戦が主軸となる『ミニスター・ウィル』。そして、最後に互いの超高位階梯能力者と高位能力者達が総力戦を行う『ビッグ・ゲーム』。先進諸国では相対的に途上国や第三世界で起こるような泥臭いゲリラ戦と殲滅戦が繰り返されるような事態は起こり得ず。先進国ではないのものの、伝統的な両国の庭で行われる互いの勢力の脚を引っ張る削り合いも国力に応じて起こり難くなる。現地組織の能力が相対的に大きく。あまりデカい顔が両者共に出来ないからだ。日本は主に外交戦を主軸として両組織が工作合戦を繰り広げており、NAMED側は神処を振り向かせる為の切り札作りに余念が無く。ARTER側は伝統的な関係を維持しながら、神処との友好関係や同盟関係の深化、共同研究への働き掛けを強めている。しかし、そういった場所だからこそ、比較的高位階梯の者達が集まり易い日本はふとした激突で総力戦に発展し易いという不安要素を抱える。神処の目がある為、都市部ではそうでもないが、互いが互いの持つ郊外や山間部の拠点などの潰し合いをするのはよくある事であり、両組織の日常的な業務には敵拠点の排除と出来れば、敵人的資源への許容以上のコラテラル・ダメージを与えて、撤退に追い込むという意図がある。神処にどちらも出来るだけ悟られぬよう水面下での争いであるが、彼らも火種が大きくなる前に両者が潰し合っているところを黙認しているところがあり、この状況は今も崩れていない。ただ、それでもヒートアップした現地部隊が不意に戦闘中に退き時を見誤り、総力戦になってしまう事はよくある。幸いにして日本は山間の土地が腐る程にある為、被害の出ない山奥での戦いは肥大化しても両組織のETが隠蔽出来る範囲である。が、偶発的な事故によって市街地に大部隊の攻撃や戦闘が飛び火した場合、ARTER側は神処からの撤収要請、NAMED側は神処の『お宅の部隊が戦闘をしているわけでないのならば、我が方での鎮圧を行っても構いませんね?』という事実上の鎮圧を言い渡される事もある。両組織はこれに対して否と言えるような影響力はなく。ARTER側は貸しを神処に作るに留めて大抵は撤収。NAMED側はそれは我々の組織とはまるで違う見知らぬ部隊だ。好きにすればいいでしょう。と、知らぬ存ぜぬで現地部隊を斬り捨てつつ、裏でこっそり回収する手筈を整えていたりする。
7.【黒幇拡大】
-解説-主に東南アジア圏で勢力を伸ばす黒幇は日本国内においては半犯罪組織、半能力者組織という二つの側面を持った組織として多くの他組織に見られている。そんな彼らの日常的な業務は正しく裏社会でのシマの取り合いであり、都内だけでも様々な勢力との抗争を小規模ながらも複数抱えている。彼らの厄介なところは能力者組織でありながら、一般犯罪者を大量に雇用して動かすところであり、それに複数人の統括責任者である能力者を付けて、自分達の勢力圏を拡大する手法にある。能力者に一般人は無力なのだが、能力者の周囲が能力者だけで固められているわけではない為、親族や家族への脅迫や友人知人への影響などを考えても殆ど個人で動く以外の日常生活を営む能力者達は彼らに表向きは関わらないよう生きていくのが大半である。ただ、黒幇自体が表向きの組織とも抗争を抱える結果として日本の警察権力と能力者組織の二つを相手にしなければならないという側面も抱えており、必ずしも勢力範囲の拡大は上手くいっているわけではない。また、彼らの多くが個人で動く高位階梯能力者などには一般犯罪者側からのアプローチが無力な事もあって、影響力を行使出来ず、多大な犠牲が発生したりもする。この為、今のところ日本中で広域指定暴力団のような危険な組織、以上の影響力は無きに等しい。また、神処と表立ってやり合う事を嫌う彼らは機動部隊や所属組織の神和の前にはスゴスゴと引き下がる事が多く。さすがに国家機関相手に喧嘩を売るつもりはないようだ。こういった理由から黒幇に睨まれた能力者がそのkarma案件を契機にして神処に所属する事になるという事態は然して珍しいものではない。
8.【シャンバラ技研員拉致】
-解説-シャンバラ技研は世界各地に彼らの信奉者や協力者を持つ強力な研究機関であるが、それ故に重要な研究をしている人物やその成果を奪おうとする者は後を絶たない。その為、シャンバラ技研へ市井の研究者が召し抱えられるという時に移動中拉致誘拐されるという事が近年では何件も起きている。シャンバラ技研側も諜報活動や工作活動などで研究員の安全を確保しようと奮闘しているのだが、そこは何でもありの能力者界隈であり、シャンバラ技研の人員が技研から世界中の協力機関などに出向する際、10人に2人くらいはやはり襲われてしまう。このような事から各国は技研の協力者や技研の人員に対してボディーガードを付ける事が常であり、彼らは護衛に守られながら各組織の本部や大型の支部に招き入れられてからホッと安堵するのが常である。神処などは特に気を使っており、欧州にある技研本部からの交流人員の移動時には本部指折りの能力者を数名帯同させるのが毎年の恒例行事である。幾年も続いて来た技術交流人員の行き来中には旅客機のハイジャックや船舶のハイジャック、乗り物が潜水艦なのに能力者によって追い回されたり、軍用機が空飛ぶ能力者の群れに襲われたりと……毎年毎年極めて諦めの悪い組織達の襲撃があった。それらを未だ撃退し続けている神処であるが、それでも事件は未だ無くなる兆しを見せていない。
9.【カルト抗争】
-解説-宗教関係、カルト宗教関係の抗争はkarma業界では然程多く無い。というのも、大抵そういう集団は閉鎖的で外側よりも内側の統制に力を裂いている事が殆どだからだ。しかし、それにも例外は幾つかあり、能力者集団としてまだ未熟なカルト宗教系の組織が無知蒙昧過ぎて、大きな宗教系組織を潰そうとちょっかいを掛けるという案件は存在している。光導黄昏教団や冥王を見守る会、世界邪眼愛好会などが新興宗教団体と見なされて攻撃を受け、その襲撃者達が痛い目を見るというか、世界から消えるのはよくある話である。光導黄昏教団はそもそもが恐ろしく予想予測が上手い為、カルトが襲撃してきた瞬間に最大火力で襲撃者達を撃滅した挙句、本部を地上から消滅させる為、戦車だの空飛ぶ戦艦だの出してきたりする。つまり、始まった時にはもう片が付いている。他の二つはそもそもが何処にでも存在し得る人物達のネットワーク型の組織であり、彼らの集会所などを襲撃しようものならば、その後にその襲撃者達が襲撃を終えて家に帰ってから一人一人消えていき、最後には組織そのものが跡形も無く抹消されるというホラー染みた話になる。傍に住まう会員だった隣人達が個人で1人殺して証拠まで消せば、数十人程度の人間が蒸発するのに数日も掛からないのだ。
[技術]
1.【RDS】
-解説-karma業界において金融連合やニューオーダー・ゲームスなどがよくよく用いるのがこの技術である。RDの受け渡し時にその量を数値化し、物にRDを込め、遣り取りする手法の確立は画期的な出来事であった。第二次大戦時には原型となる技術は一部のSFによって開発されてこそいたが、RDの数値化が機械で出来たのは近年の事であって、これ以降はRDの流通と取引が更に活発となった。
2.【異法抽出】
-解説-主にkarmaの抽出行為をこのように呼ぶ。karmaとは異法則を発生させる現象とその現象が及ぼす現実への改変を指すわけだが、この内のkarmaによって発生させられた現象にはkarmaそのものからの残存、つまり法則改変の残渣がまるで染みのように残っている。これは座標に残るものではなく物体に対して働くものであり、場所や空気もこの範疇となる。これらの物質からkarmaの残渣を抽出し、集積し直して新たなkarmaを持つ物品。要はkarmaの影響を及ぼされた非常識な品を創るというのはSFにしてみれば、大抵の技術の基礎の基礎に当たる。karma能力者のゴミ問題もこの残渣が残っている事が課題とされており、これらを抽出する技術体系は大昔から幾つか存在している。香料の抽出に例えられてアンフルラージュと呼ばれ、錬金術師達はよく能力者達の使った馬の死体や糞を煮詰めていたとも言う。これは今現在も使われている一般使用されるカルマ用語としては世界最古の代物であろうとされる。近年、ARTER、NAMED、神処、覇堂などの組織が進めているのはこれらの先にある技術であり、karmaを発生させる脳の認知機能そのものを人間から分離してユーレイなどのようなものと同じく。karma単体でのリソースで自己自在させて物品に移し替えるというものであった。これを別の人材に植え付ける事が可能ならば、karmaの商品化、兵器化、巨大化と同時にkarmaそのものの強化が行えるという寸法である。しかし、この技術に関連するkarma案件が近年になって公になっているが、大抵が失敗したり、極めて重大な結果を招いていたりと開発の道は困難である事が予想されている。
3.【異法収束】
-解説-集束などとの技法に混同されたりするが、このカルマ収束はまったく別の技術である。ARTERの後援を受けたゼオン博士が行おうとしていた生きた人間のkarmaを集積する事で、更に巨大なkarmaを生み出そうとした実験はこの技術に当たる。これはキマイラやミクスの能力強化に着想を得た代物であり、RDや能力の強化ではなく。根本のkarmaを強化しようという代物であった。karmaは他のkarmaと接触すると一部は打ち消し合ったり、干渉し合ったり、はたまた融合したり、互いを弱め合ったりと千差万別の反応を示すのだが、同じオーダー、同じ年齢や性別や人種などで揃えても、大抵互いを高め合うという結果になる者は多くない。例外的に双子などは殆ど同じkarmaを有するという話であるが、それもまた年齢を重ねて互いの経験に差が出て来ると乖離していく事が確認されている。結果として、karmaの統合や収束は不可能という結論が出ていたところでゼオン博士が率いるチームが一定の成果を出した為、業界ではかなり注目されていた。karmaの抽出行為と合わせて、これらが実現されれば、karma能力者の数を抑えたり、一般人を能力者にしたりする能力の付け替えの基礎技術になるのではないかと期待されていた。結果として失敗こそしたものの、ゼオン博士の基礎理論などを用いて、今も世界各地でこの研究は複数のチーム、複数の組織が継続して莫大な研究費を掛けながら行っている。
4.【モールディング・カルマ】
-解説-鋳型の意であるモールドという単語を用いたカルマ用語。モールディング・カルマとは意訳すると創られたカルマというものになる。古来から同じカルマ能力を揃えようとする組織は何処にでもあった。しかし、実際にはカルマ能力は個々人で大抵千差万別であり、これを一定した数揃えようとする場合、極めて労力が大きかった。しかし、カルマ能力が少しずつ開発されていく事で新しい能力に目覚めるという事実を逆手に取り、欲しいカルマ能力を持っている人物達の経歴や能力を得た際の経緯などから能力の発現に必要な要素を抽出。それを訓練という形に落とし込んで幼いカルマ能力者を自分達の欲しい能力を発現する確率の高い人物に養育するという試みが行われた。結果はそれなりに上がっており、この手法は第二次大戦期にもよく各国の軍で用いられた。また、この話には続きがあり、強力なDiscoderの遺品や縁の場所、縁の品などを持たせて、同様の能力の発現を促すという方法もある。実際、本当に強力な能力者の遺留物には個人のカルマの残留が極めて強く残っており、まるで次の所有者を導くかのように次々と元の能力者の能力を覚醒させていく魔のアイテム的なものが世界中にはそれなりの数確認されている。それらのアイテムは一様に【モールディング・アイテム】と呼ばれ、偉人や超人だった個人と同じような資質を持つ人物を同じように生み出そうという者達の手によって集められ、高位階梯者などが新規のDiscoder達に配っていたりするという。無論、大手組織もその例に漏れず。このようなアイテム、それも超高位階梯の能力者の遺留品を多数保管しており、必要とあれば、そのような行為に及ぶに違いないとされている。
5.【エンチャント・カルマ】
-解説-karma能力を物に付与する技術や方法論は世界各地で散見され、それなりに体系化されてきたが、殆どが極めて合理的ではなく。効率も恐ろしく悪かった。しかし、近年SF同好会のESP部門の長が開発したこのエンチャント・カルマの技法は完全な技術的ブレイク・スルーを果たし、karmaを物に込める技術は一足飛びに魔の領域に入ったとされる。殆どのkarmaの物品への封入は能力者が使用していた物品や能力者そのものが封入karmaの源泉となって、その物体に残せる影響を与えるというものであったが、この技術においてはkarma能力を一時的にRDを用いて劣化させずに物品に一定時間付与するという方式が採られた。これの何が画期的であるかと言えば、今までkarmaが封入された物品の能力がどんなに頑張っても1以上を超えない値であったとすれば、この技術では10を簡単に付与する事が出来るのである。これはkarma能力の残滓をRDで補強して移し替えるに等しいものだが、そこに辿り着くまで多くのSFなどが挫折してきた事から、実現は不可能ではないかという話も出ていたのである。しかし、技術の開発が成功した事とkarma能力者の大覚醒による大量発生が重なり、この技術によるkarma関連の物品の能力と精度は飛躍的な向上を果たした。嘗てキマイラと他の能力者の能力差は天地であったというが、今ならばアイテム込みで5分の1程度とも言われる。更にモブのスタイルを持つ者がこのエンチャント・カルマを用いた強力な兵器を他のkarma能力者とは違って十全に使えると判明した事から恐ろしく強化された経緯もある。結果として今現在のSF達の収入の中で最も凄まじいパテント料を稼ぎ出す代物となった。その膨大な資金の大半がSF同好会に寄付されており、SF同好会内で一気に研究資金が潤沢となったSF達が次々に新技術の発表に沸く技術開発ラッシュが続いている。
6.【神との契約】
-解説-karma業界において超高位の階梯にある者達の一部はこの世界に存在する神と呼ばれる自分達の先達の成れの果てである者達と契約を交わす事がある。この契約を為した時、彼らは一時的に神の力の一端を行使出来る存在へと変貌し、その権限は正しく世界を破滅させるも救世するも自在であるという。この儀式の存在を古文書や歴史研究などから知った個人や弱小組織がそれを行おうとする事はよくある事であり、このような場合には大きな組織が合同でソレを潰そうとする、という事が往々にしてある。神との契約が失敗した場合、またそのような神が暴走した場合、その余波は正しく国が潰れるかどうかの瀬戸際になる可能性が高いからである。結果として、このような事実から神との契約の秘儀はひっそりと誰にも知られぬようにと研究されている事が大半であり、情報を掴んだ時には儀式が完了寸前で多くの組織が焦るというのもままある話だったりする。だが、未だに世界中でソレに成功したと声高らかに謳う者はいない。それがどうしてなのか知る者は殆ど無いが、一部ではこう囁かれている。他の神の影響力の拡大を嫌う神が導いた者達の手によって、それを阻止しているからだと。
7.【血統昇華】
-解説-karma能力者、Discoderには2種類が存在する。それが突然変異型と血統変異型と呼ばれる二つのタイプである。前者は単純に偶然karma能力者に目覚めるタイプ。後者はkarma能力者の血統において高確率で目覚める事が決まっているタイプ、もしくは生まれた時から目覚めていたタイプとされる。この中でも高確率で目覚めるタイプは通常の突然変異型とは違って、最初から一定の階梯で能力者としてスタートを切る優秀な能力者として組織では見られる。このような血統に拠る能力の覚醒最初期からの向上現象を血統昇華と呼ぶ。また、更に生まれた時からkarma能力者であったというタイプは最初から高位階梯である事が大半であり、成人までに暴走で死ぬケースが昔は多かった為、鬼子扱いされたり、逆に神の子扱いされたり、異端扱いですぐに殺されたりと、色々と波乱な人生である事が多かった。しかし、今現在の明文化されたkarma業界においてはこのような行為は絶滅して久しい。理由は単純に能力を抑える薬が開発されており、血統による最初期からの高位階梯能力者は成人まで育て切れば、組織にとって大きな戦力として使用出来るからだ。それなのに暴走程度で殺してしまうなんていうのは正しく労力と人的資源の無駄であると多くの組織のトップが断じている。
8.【疑似現実効果】
-解説-karma能力者の引き起こした多くの現象はkarma能力者の能力の解除などで解除されるが、karmaの残留や物資やエネルギーとしての因果的な結果は残存する。要は能力で出した炎で相手を燃やした時、途中で能力が切れれば炎は消えるが、燃えた人物の火傷や温度の上昇などはそのままという事である。更にこれらの残存する結果は残滓karmaの影響を強く受けており、通常よりも傷が治り難かったり、変質した物質が今現在の科学技術では認知されていない未知の物質や分子構造に置き換わっていたりという事もよくある。これらkarma能力者の齎した結果が現実を歪めていく事を疑似現実効果、もしくは縮めて【DRE】等と呼ぶ。この疑似現実効果が集積するとkarmaの残存が強まり、通常では起こり得ないような現象が能力の発動者無しに顕現したりする。これらの一端がユーレイなどであり、更にこれら以外にもよく分からない化け物が湧いたり、作物が一切育たない呪われた土地になったりという結果が報告されている。これらを解消する能力がETであり、ETの能力は戦闘には関わらずとも世界の均衡を保つとても重要な役目を果たしているのである
9.【エグザート】
-解説-karma能力者の多くが自分の能力が最初の頃はワンオフな代物である、自分は特別なのだという事を考えたりするのは正しく能力者あるあるの一つだ。しかし、既にもうカテゴライズされた能力の一つであり、その出力の大小や機能の一部くらいしか他の能力と違わないと知って、ガッカリするのもよくある話である。しかし、中には極めて重要な示唆を含む完全なワンオフの能力が存在する。簡単に言うとSOですら無い既存カテゴリの範囲外の能力がこの世界には極少数ながらも存在する。その上でその能力の大半は極めて強力且つ広範囲の分野に適応可能で汎用性が高い。更に言うと現在のkarma能力の範疇なのか怪しいとも言われる。何故、そんな能力が存在するのかSFなどの見地からも答えは出ていないが、特に宗教系の大きい組織の上層部の一部や超高位階梯能力者などの意見にはこのようなものがある。この世界の成立前の能力の残存ではないか、というのである。それはつまり《《今現在の世界が構成される前の世界》》から残っている、この世界の法則に由来しない異なる力という事になる。karma業界にも別の世界から来たとか、別の異世界が存在するという情報を持つ者達はそれなりの数いる為、この説は一部の研究者の間では支持されている。そして、それらのワンオフ能力者達の事を研究者達はDiscoder達のような《《型に嵌った量産品》》とは違う技術によって創られた実用品、Exertと呼んでいる。
[特筆すべき情報]
1.【大覚醒の深層情報】
-解説-大覚醒と呼ばれるようになったkarma能力者の発現を促す大規模災害はARTERや神処の引き起こした人災であるが、その実験の詳細には殆ど触れられていない。しかし、その一部の情報がWEBのアンダーグラウンド界隈には一部存在しており、以下のような実験が行われていたとされる。
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3項の2 『本実験の意義』
本実験は根本的には日本古来の神々が前世界のどのような立ち位置にいた人物であるかを特定し、神格への存在の次元的な上昇をどのようにして行ったかのプロセスを『神卸しの儀』において確認するものである。被験者とする3名の巫女達は教王会側から派遣されてきた――――と本部の――――。そして、ARTER側から派遣されてきた――――の三名を用いるものとする。本案件の障害として光導黄昏教団、カノッサ機関によるタイムリープを用いた物理的な妨害が考えられるが、ARTER側の協力によって、NAMEDの天使を誘引、他の新興組織への利益供与によって、この半年間は動きが遅滞すると思われる。本実験が成功すれば、人類が純粋なkarma存在として次元を昇り、新たな地平に起てる可能性がある。中核機構を補佐するご神体である――――家のアイテムは既に当時の各戦線が存在した国々からARTERが回収済みであり、本部と――――島、――――支部の祭壇において二次形成を終えている。残る儀式中核である――――をARTER側が本国より在日米軍へ輸送完了し次第、本部の祭壇による起動を始めるものとする。ただ、一つだけ留意しておかねばならないのは第二次大戦期に旧帝国海軍内において始まっていた――――計画の残留であり、あの計画で開かれた特異点がこの案件にどのような影響を及ぼすのか想像の範囲外である事だ。この為、海溝の監視は第七艦隊が用いられる事となっており、ARTER側からの緊急連絡が入った場合、実験は中止され得る事を記しておく。また、本実験は六道計画におけるターニングポイントであり、中核機構のご機嫌を取っておく事を忘れてはならない。
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2.【天使達の深層情報】
-解説-NAMEDの本当の主力戦力である天使達は数こそ数十人に及ぶが、候補者はその数倍控えている。それらの天使達の内情を赤裸々に綴ったレポートがブラックマーケットではNAMEDに目を付けられながらも未だに複数存在している。これらの書類は『エンゼル・レター』と呼ばれ、NAMEDは回収に躍起となっているという。その一部はこのようなものである。
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『C111発令』
対象――――が帰巣命令を無視し離脱。対象――――に貸与された――――の確保を最優先。現在、この地球上で――――を生み出す為の資源は極めて少量であり、産出地帯を全てARTER側が抑えている為、今後の製造は困難と思われる。製法がラスト・パーティーの――――によって消却された現在、残存する――――の保全は最優先事項である。対象――――の能力者は本国――――隊4隊に匹敵する。もし――――が発動された場合、大陸間弾道弾の使用許可及びETによる隠蔽部隊を――――時以内に域内で展開、ARTER側の陽動として総軍の2割の動員許可を承認する。また、対象は―――ウイルスによる強化によって通常の同階梯到達者では太刀打ち出来ない可能性が高い。回収出来なかった場合は現在任務中の全天使の動員を持って、ただちに事態の収拾に当たられたし。本案件はこれより――――作戦と命名する。本作戦の終了条件は――――の回収または破壊の確認である。それが確認されない限り、無制限での作戦行動の延長を認める。
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3.【カノッサ機関の深層情報】
-解説-謎の秘密結社、カノッサ機関の事を探る者は多いが、その大半が途中で頓挫する為、詳しい事は何処の組織も分かっていない。しかし、手掛かりとなる情報も幾つかは存在しており、その一つは本部のある日本国内のブラック・マーケット内にて確認されている。
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『エタータナル・フォース・ブリザードの解析結果』
本情報は発――――宛――――のメールの解析結果であり、アイテム『2036』の取得者にのみ開示されるものとする。本情報におけるエターナル・フォース・ブリザードの定義とは1.この世界においてタイムリープを繰り返している。2.女性である。3.カノッサ機関のトップである。この三つに当て嵌まる存在を示す。メールの解析によって発覚した本タイムリープを用いたkarma案件は今後の世界情勢に重要な示唆を含む事から、長期の未来情報は分割後、然るべき人物へと転送される。彼女は我々の世界においては究窮の魔眼の持ち主である可能性が極めて高い。一般的な能力者の邪眼などに分類される能力の内、凡そ射程視界の観測地点発生型の代物は89%以上が空間転移能力者などの能力の作動原理に近しい事が確認されている。しかし、彼女の魔眼は恐らく射程視界ではない。何故ならば、その観測視野が通常の物理的な原理よりも高次、神の視点によって作動していると考えられるからだ。彼女にとっての観測とは認識とほぼ同義であり、その能力の発生タイムラグは通常の能力者の比ではない。この状況でどのような魔眼の能力を持っていても殆どの能力者が太刀打ち出来ない事が分かるだろう。彼女の能力は相手を認識さえしてれば、どのような遠距離からでも確実に能力の餌食にするのである。それも彼女のお得意の魔眼の一つである絶対零度の魔眼による先制回避不能の一撃を前にしては超高階梯能力者などのスペックによるごり押し程度しか戦い様が無い。更に言えば、彼女に転移能力者などが付いている場合は最悪、絶対に捉え切る事の敵わない魔眼による一方的な連続能力掃射の前にほぼ全ての存在が沈むだろう。これを打ち破るには転移能力者達による多重攻勢のみが最適解だと思われるが、それを行える程に転移能力者の数は未だKarma業界でも多く無いのが実情である。以後、本案件は極秘とし、エターナル・フォース・ブリザード、相手は死ぬという事実を隠蔽しなければならない。でなければ、我々は実質的に神に等しい人物との戦闘において全滅する可能性があるという事実によって、組織統制は崩壊するだろう………。
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4.【SF同好会の深層情報】
-解説-彼らSF同好会にとって疑惑の種というものはまったく尽きないどころか大体正しい。そのせいで彼らが疑われるkarma案件の数は業界内でも星の数である。しかし、そんな彼らの情報にも表に出せない類のものが幾つか存在する。これはとあるこの世にいないSFが最後に残した情報の断片である。
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『UW中核技術提供問題』
同好会における誘発派が神処からUWの技術提供を受けた事が査問委員会において発覚した。各オーダーの主任研究員の一部はDr.DD側の推進する進化派が推進していた覇堂、ARTERとの協力プログラムであるコード・バイオレットの失敗によって、Dr.HX側の誘発派に流れた事は周知の事実である。しかし、神処側との取引によって、彼女のkarma付与の技術の多くが流れた事は極めて遺憾である。源泉技術の独占を彼女が望まない人物であるとしても、当同好会内の会則に従って、一部支援の停止措置を数年間は受けて貰う事になるだろう。提供されたUWの技術は彼女が推進する誘発派が計画している【|疑似装魄技術《アーティフィシャル・ソウル・エンチャント・テクノロジー】、ASETを用いたkarma被造物。初期ロット三機に試作品を実装予定だという。UWの技術提供後、解析したデータは各主任研究員達が一読したが、根本的に古代技術の模造プロトコルという見解で一致している。ただ、手元に解析可能な現物が存在しない我々と神処の技術力は伯仲しているようだ。あちら側が大覚醒時に用いたとされる複数のアイテムの詳細は分かっていないが、嘗て実物に触る機会のあった古参SFの話では元々がとある家が所持していたものを旧日本陸軍の研究開発機関が各方面で使いながら解析していたらしい。それがARTER側に回収されていた事は近年の東南アジアで勃発した複数の黒幇の大規模抗争がカバーとして用いられたかもしれないという諜報部門の情報を一読して貰いたい。神処が保有しているUWは現在未確認ながらも7つ程度だろうと推定されており、最初期の矛を皮切りに開発に成功しているのは確実である。その上、次々に日本各地の大規模支部に移送、安置されているようだ。名古屋での大規模な反乱は記憶に新しいが、名古屋支部において反乱を沈める為に最終局面で投入された名古屋支部長当人がそれらしきアイテムを用いていた事が確認されている。当時の観測班の情報から察するに地殻露出規模相当の崩壊が起こる可能性を否定出来なかったが、これが非公開のUWで間違いないだろう。現在、誘発派が急ピッチで3本のUWを開発中であるが、其々、剣、盾、弓になる予定である。ASETを用いた疑似karma能力者の増産が軌道に乗った暁にはスタンダード・ウェポンとして規格化、低出力化、低コスト化が図られるだろう。
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5.【ARTERの深層情報】
-解説-軍事同盟として世界に名を轟かす3つの巨頭。その一つであるARTERは自らの内実を多くは公的な資料として各軍と国家に対して公開しているが、そうならない後ろ暗い部分も確実に存在する。それはkarma業界ですら眉を顰められるという意味であり、故にこそ情報の取り扱いには細心の注意が払われているが、だからと言って表に出て来ない。裏にも流出しない。という事も無い。本当かどうかも分からない有名無実な情報には何が正義か分からなくなるような情報も混ざっている事があるだろう。
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『karma能力者増産の方式選考』
現在、ゲノム編集による人体培養、クローニング、代理出産などの方法を【マルサス計画】において検討しておりますが、実際に実用可能な段階での大量生産に付きましては従来通り、死体の再利用以上のコストが掛かる事が判明しております。専用機材の開発、専用培養プロトコルの構築、クローニングの代理人口子宮開発、代理出産においては不確定要素のリスク増大。このような諸々を勘案した場合、殆どは従来の方法において計画の進展を見る事が望ましいという技術審議会の回答が得られました。議事録はB-21の項を参照下さい。ただし、これらに代わる技術として今現在、SF同好会が進めていると思われる人工構造物への疑似生命の付与技術が開発された事は驚きを持って迎えられましたが、彼らの開発資金にも限界はあり、恐らくは量産軌道に乗るまで長い年月が必要であろうという結論に至りました。この間にARTERが能力者の増産プランを推進するならば、従来の方式に+αして既存技術の再利用を行う方が良いとの方針の下、審議会は以下の提案を選考に加える事を提案致します。
1.事故死した死人のETによる蘇生復活後のモールディング・アイテムによる覚醒。
2.高位階梯ETによる死後100年以上経過した偉人の再蘇生後の1と同様の方式による覚醒。
今現在、ARTERが所持しているモールディング・アイテムの総数は3000点を超えており、高階梯能力者の遺品も増加している事から、1の方式は100人試せば、10人以上の覚醒が見込め、その中でも高階梯能力者は2人以上は確率的に可能だと思われます。また、2は偉人という自我やアイデンティティーの強い人物を使用する事で更にkarmaの覚醒率が上がると考えられ、数こそ少ないものの、地方地域毎の人物を選抜すれば、一国でも1000人単位での候補者の確保が可能となる事でしょう。付きましては予備調査の為の予算に付いて考査して頂き、仮に【偉人録計画】と呼称し―――。
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[一般常識&文化]
1.【Discoderは群れる奴ら程弱い】
-解説-karma能力者は根本的に組織にする事に向いていない。理由は単純に近場に仲間が沢山いると能力がそもそも弱体化するからだ。ただ、能力者が弱体化するからこそ、高位階梯のkarma能力者はそういった仲間内の施設にお邪魔していたり、住み付いたりする人々が多い。これはあまりにも能力が強く成り過ぎると彼らそのものがkarma災害を引き起こしたり、強烈な残留するkarmaの発生原因になってしまう可能性が高く。日常生活を送る事が困難になってしまう場合があるからだ。中には強化され過ぎた身体能力のせいでまともに日常的な品を使えなくて力加減に苦心する筋肉系な能力者などもいる。どういった能力を持っていても、その能力が程々でなければ、日常生活に支障が出て、人間らしい文化的な生活が営む事が出来なくなってしまうので、karma能力者の生活拠点は集団生活、共同体的な側面がどうしても強くなりがちである。無論、それは自分の力の強さがその場所では必要なくなるという一般人に近付く事を意味するが、逆にそれを求めてそういった所属組織の寮などに入る能力者は多い。逆に一戸建てな生活拠点を使う能力者は少数であり、彼らの大半は人材アイテムなどを家に置いて能力を弱める傾向が高いらしい。
2.【Discoderに一般人の直接の脅しはほぼ無意味】
-解説-karma能力者に一般の人間が銃を構えてもまるで無意味である。その銃がkarma能力者に最低半年以上使われていたという事が無ければ、だが。単なる銃弾は階梯1の能力者ですら傷つける事が出来ない。ただ、こういう事情からして一般人にあまり流出させてはならない情報である事は確かだ。脅しに対戦車ライフルだのRPGを使われるとさすがに低階梯の能力者では重症こそ負わないが、軽傷を負う可能性がある。普通の人間達から能力者の情報を隔離する事は大手組織の優先事項であり、そういうところは低階梯能力者に対する教導でも暈される事が多い。また単独行動中で相手にkarma能力者がいない場合はまだしも低階梯の能力者が何人もその場にいると能力の弱体化から拳銃でも接射されると激痛が奔るレベルの痛みは負うので多くの能力者は単独行動や団体行動の使い分けをしっかりしないと生き残るのに苦労する。結果としてユニットの最小単位である4人で動く者は多く無く。重要な場所以外はバラけて行動する事が多くなる。karma能力者を脅そうという連中はそうそういないが、だからと言って完全にいないわけでもない。特に一般人の身内の身柄を確保して脅し、何かをさせようという通常の犯罪組織などは存在するのだ。そういった連中に対してkarma能力者がキレた場合、その組織の多くの構成員はこの世の地獄を味わった後に死ぬだろう。そして、その脅した当人の所属組織に蘇生されたり、記憶を消去されたりする。まぁ、それすらしない組織の方が多いのは言うまでもない。karmaに関わろうとして能力者を激怒させて、無事で済むなんて風聞が流れる方が彼らにしてみれば、まったく迷惑なのだから。
3.【Discoderの生理現象は止められる】
-解説-アイドルはウ○コしないんですよ!! とは、アイドル業をしている能力者の冗談である。いや、実際にkarma能力者は基本的に身体の生理現象を階梯が高くなる程に制御出来るようになる為、一概に間違ってはいない。基本的にはkarma能力が新世界の創造を行う作用であり、物理的な生理現象が無かった事になったり、ある程度は変化させられるのだ。高位階梯能力者になると真空などでも生存出来るようになるし、生存に酸素も必要としなくなる。尿意や便意などは低階梯の能力者でもすぐにコントロール出来るようになるし、それどころか食べたモノが消化された後、完全に消滅してしまう能力者などもおり、内臓器官が変貌して大腸、小腸、膵臓、肝臓、腎臓などが無くなったり、まったく違う作用を及ぼす臓器になったり、形や数が変化したりする者は思っている以上に多い。人間の根本的な欲求である食欲、睡眠、性欲すら必要なくなるような変化が起きるとさすがに精神衛生上悪いのでそういう人物は逆によくモノを食べたり、眠ったり、エロい事をしたりして自我を保つ。次第に人間離れしていくので中には自分の肉体にゾッとする者も多いが、生理現象をコントロール出来るようになると長時間の活動が行えるので芸術や己の仕事に熱中する連中からすると物凄くありがたい話らしい。特に睡眠を取らずに連続で仕事をし続けられる関係上、日本社会との相性は抜群に良く。何処のkarma組織もブラックな勤務体制を敷いていたりする。神処はそういった者達とは裏腹に人間らしい生活を送らせる事に重点を置いており、文化的な生活を営ませる事で能力者の日常からの乖離、社会からの分断を防ぎ、人間として生きていく事を徹底させる事で犯罪などに走らないよう管理しているのだとか。
4.【Discoderの寿命は誰かに殺される時】
-解説-今のところ、若い頃にkarma能力者となって寿命で死ねる人間はkarma業界全体で3~4割りの間を行ったり来たりしている。つまり、10人に4人しか人生を全う出来ないという事だ。それも死因はあくまで老衰であって、病気などは特殊なものでなければ、karma能力者は掛かる事もないので死因に成り得ない。認知症や加齢に伴う肉体の能力低下によって引き起こされる症状も余程に酷く無いとほぼ0なのがkarma能力者の実情である。ぶっちゃけ、高階梯になればなる程に生命としては強化されまくり、死に難くなる。一部は歳を取る事が無くなる可能性もあって、肉体の健康年齢、健康寿命だけで言ったら、彼らはその国家内でも超優良な健康体である(karmaの暴走関連で特殊な傷を受けたりする事はある。また、特殊な病気は存在するが症例は少ない)。なので、karma業界などでは一定階梯以上の能力者相手の生涯年金や死亡保険が流行っている。死に辛い連中からお金を取って、運用しているという事であり、能力者達はもしもの時……“死んでも蘇生された場合”の事を考え、ソレら各種の保険に加入している。特に生命保険は大人気だ。自分が死んだ後に大手に蘇生されて使い倒される時、自分の人格や記憶が残っているかは未知数であり、一人でも生きていけるような資金が予めあるかどうかはその“次の自分”の選択肢を広げる事になるからである。
5.【神和と他組織】
-解説-日本国内において神和は他の地域の能力者と違って極めて特異な地位にあるとされている。これは神処という1国内を完全に1組織で統制出来る組織を後ろ盾に持つ故の強みだろう。神和は主に司法権と警察権の一部を兼ね備える処刑人という側面を備えており、彼らの前で犯罪を犯すという事は神処から目を付けられ、敵対する事を意味する。なので他組織所属の能力者達は神和に対しては極めて理性的な対応をしろ、という類の組織的な上からの命令で巌に自戒を促されており、他国よりも窮屈な生活を送らざるを得ないとされる。これらの事情からkarma犯罪の発生件数は他の諸外国が人口10万人当たりで年間700件を超えているのに対し、日本は地域差こそ在れ、年15件から60件程度で収まっている。これは大覚醒後の話であり、神処が如何に優れた組織力や影響力を持っているかが窺い知れる事だろう。ただ、このような特別な背景を利用して他組織に悪逆非道を働く神和という者が極少数ながらもいる事はいるようで……内部監査の結果として是正勧告に従わない神和などは処分されたり、犯罪を行った後に逃げ出した神和を狩る専門の人員が配置されていたりとアウトロー器質な人間には生き難いのが神和という身分でもある。
6.【街中での茶会】
-解説-karma能力者の文化は基本的に闘争を前提とした話し合いで成り立っている。そも文化と呼べるようなものは大覚醒前でも存在していた。特に抗争関係の作法のようなものがある事は極めて合理的な話だ。旧くは中世どころかローマ時代より前から、karma能力者は“お茶会”を開いていたらしい。今ならARTERやNAMEDを筆頭にして国家運営のkarma組織や大規模な大手組織の大半が市街地を破壊するような大規模抗争が起きたら、ETを後からその抗争を起した組織同士に要求する。これに対して応えられない組織は大手から制裁という名の追撃やペナルティーとして経済的に痛い攻撃を喰らって潰れるか。はたまた人員が枯渇する程に多大なダメージを負う事になる。これが業界のスタンダードであり、故にそういった当事者達は抗争前には一度だけ街中で茶会を開き、自分達がどれだけのETを用いて戦いの後の処理をするのかだけは決めておくのである。言わば、大手組織からの無言の圧力に対してのポーズであり、これを決めずに大規模な市街地での抗争を始める馬鹿がいるとすれば、それはテロリストか、完全に迷惑極まる高階梯の個人という事だ。大手組織からそういう連中の討伐依頼が小規模組織に出たり、懸賞金が掛けられたり、迷惑能力者を倒して下さい的なkarma案件としてNO茶会な抗争の当事者達は認識されるだろう。なので、この茶会は一種のkarma業界の国際法、国連会合の場と言い代えても良いかもしれない。それは明文化されずとも彼らが人間社会の営みの中で暮らす為の最低限の義務であり、礼節なのである。
7.【karma能力者の日常】
-解説-karma能力者の日常は根本的に高階梯になればなる程に人間離れしていくのが普通だ。第1階梯から3階梯程度までは通常人間らしい生活を送れはする。暴走したり、周囲に迷惑を掛けたりする事はあっても人間として必要な様々な柵に囚われ、己の周囲の惨状に胸を痛める程度の余裕はある。だが、4階梯を過ぎると高位階梯能力者達の世界……人間らしい生理的な欲求が低減し、あるいはソレそのものが必要無くなり、少しずつ社会や一般人達と様々な面で乖離が起きていく。簡単に言えば、食事も睡眠もエロも必要なくなる彼らが文化や芸術的な面では誰かと話題で繋がれたりしたとしても、生活面での苦労話や当たり障りの無い世間話をするには人間離れし始めるという事である。それでも6階梯程度までなら食事や睡眠を取らないエロ話が微妙に疎い人間で済むのだが、7階梯以上になると様々な所属組織の暗闘や過酷なkarma案件に投入されたり、karmaの暴走やkarmaの残渣の強さから色々と衣食住の面で他者に迷惑を掛けぬよう組織に頼らざるを得なくなり、karma業界の闇とは深く繋がっていく一方、一般的な社会的立場は低減し、街を出歩く事すらリスクを負うようになる。これでより一層、社会生活が遠のいていく。特にkarma能力者が少ない場所などに不用意に出掛けていくと襲われる危険性がある事を覚悟しなければならなくなり、自分のkarmaが危険なkarma存在を呼び寄せるかもしれない事を承知で遠出する羽目になる。その時にはそういった存在を一人で相手する事にもなろうし、より周囲に神経を使って生きていかねばならない。まぁ、これは一般的な常識が残っている者達の話だが、それを通り越した周辺の迷惑なんて考えない高位階梯のDiscoderは爆弾と変わらない。ルンルン気分でお出かけした先で大規模karma災害が起きたら一応解決したり、ヤバイkarma存在が発生したらETを呼ぶくらい彼らに良心があれば良いのだが、そういうのは大手に任せるという連中の数は多い。このような部分で高位階梯者達は低階梯者達からすると傍若無人そのものに見えるだろう。中には達観諦観の果てに要塞みたいな施設の奥で引きこもりになってしまう高階梯能力者もいたりして、そういう連中を懐柔したり、宥めすかしたりして働かせる専門部署が大手組織には小規模ながらもあるようだ。ETによって階梯を下げる事は出来るが一度でもその階梯に脚を踏み入れた事のある人材は能力値が根本的に低階梯とは天地の差まで拡大する為、実際の階梯が低く抑えられていても高階梯能力者並みのkarmaを発している。そういう連中の事を業界では“隠れ高階梯”と呼んで地雷扱いする者もいる。
8.【人材アイテム達の日常】
-解説-karma業界では人材アイテム達への差別が著しいというのも、別に理由が無いわけではない。一般人レベルとは比べものにならない超人的な人物達がいたりしたとしても、大抵は低階梯の能力者にも及ばないのが人材アイテム業界の本当のところだ。そんな彼らだが、何故か自分の知っている人物達との間に人材アイテムとしての契約を結ぶのが一般的である。親類縁者のような者達ならば、ともかく。赤の他人とは言っても知り合いなどならば、もっと彼らを大事にするのでは? と思うかもしれないが、Discoder達が見つける人材アイテムの大半は大抵彼らに不の感情をブツけて来たり、彼らを虐めたり、差別したり、いびったり、とにかくkarma能力者になる前の時点で関係が最悪だった人物達である事が多い。これは必ずしも当てはまる話ではないのだが、全体的に見ても4割以上の能力者達がそれに当て嵌まると大手組織の調査では分かっている。一部研究者の意見を抜粋すれば、そうなってしまう理由は潜在的なkarma能力者達が引き寄せ合った結果、精神が不安定な連中からの精神的なストレスで能力者として覚醒しているから、という事になるらしい。要は能力者である潜在的なkarmaが引き寄せ合った他人同士が情緒不安定な中で精神的なストレスの押し付け合いをして、その一番の被害者が能力者として覚醒する、という事だ。そして、能力者として覚醒したkarma能力者に引きずられて人材アイテム化した連中が傍にいるkarma能力者に雇われる。あるいはkarma業界の残酷な現実を前にして庇護してやろうと恨み辛み全開で下に見た結果として『人材アイテムなんてロクな奴はいない!!』という偏見が助長され、それが既成事実化……最終的には彼らに関係ないアイテム達すらもその風評被害を受けているというのだ。こういった事実が近年明るみになって来ると人材アイテム達への風当たりも少しは弱まったが、結局イヤな奴であるアイテム達を使っている能力者は多く。彼らに対する風当たりは突風が強風になった程度とされる。ただ、自分とは関係ない人材アイテム達に対しての視線はかなり業界全体で改善されたと言われている。人材アイテム達の日常は根本的にこのような下地の上に根差しており、自分の命を守る為にも彼らの必死のお仕事は続いている。基本的に彼らはkarma能力者未満であって、その上で便利使い出来る能力者の手足だ。見知らぬGNに洗脳されたり、見知らぬJCにいつの間にか洗脳されたり、見知らぬESPに洗脳されたり、見知らぬMWに兵士として教育されたり、見知らぬSFに実験動物にされたり、死ぬまで酷使され、生きた盾にされるよりは自分に辛く当たる能力者の方が幾分程度はマシなのだ。こういった現状が分からない幼年者の人材アイテム達などはよく大手組織が保護しており、身寄りが無ければ孤児院、身寄りが有れば、寄宿制の学校などに囲っている場合が多い。能力者に覚醒する可能性もある為、一種の青田買いなのだが、今はその保護するという正論のようでいて組織の為の駒の育成を行う本音が見え隠れする教育機関などには厳しい目が向けられつつある。理由は言うまでもないだろう。虐めを筆頭に校内や寄宿舎内でのストレスを放置し、能力者として覚醒させようという悪意マシマシな運営者がクソの山程にいた為である。特に日本国外ではそういった組織運営の人材アイテム養成機関が大半で出身者の殆どは『あそこは地獄だった』と語っている。それでも生きる為に能力者に詰め寄り、生計を立てるしかない彼らの前途は未だ薄暗いのだ。
9.【karma存在に付いて】
-解説-karma存在とはkarmaを発生させるもの、karmaが残留する現象全般を指す用語であるが、能力者界隈だと大抵は化け物を指すのが一般的だ。karmaによって変貌してしまった元人間から動物、植物、無機物、機械等々。多種多様なkarma存在の大半はエネミーと呼ばれて、多くの組織はこれを撃滅する事を日常的な業務にしているところもある。ただ、無論のようにkarma存在へと堕してしまった同僚などを討伐するなどの話もよくある事であり、その戦いに近親者や友人知人を当てる事はkarma業界ではあまり褒められた話ではない。しかし、それでもと望む決意がある者にはそういった行為が許されてはいるが、倫理的にも道徳的にも親しい者達にソレをさせるリスクは高く。殆どの大規模から中規模の組織は専門の対策チームを造る時の規則に親類縁者や関係者は入れないという暗黙のルールを敷いている。karma存在と一概に言っても大半は生物や物体だったモノが大半であり、karmaさえ関わっているならば、能力者には倒せるのは倒せるのだが、倒すよりも倒した後の後始末の方が大変というのが業界全体の認識だ。それがkarma災害になるかどうかは戦闘でどれだけkarmaが用いられたかに拠るのだから。これらの被害を回復するレストなどの部隊は摩耗しないよう迅速に展開出来る後方などで手厚く守られるのが通例であり、その功績は単なる戦闘で資するよりも大きい。karmaの残滓の影響は年々自然災害という形で大きくなっており、karma能力者達が大勢住まう都市には残渣がETによって復元されてすら染みのように残り続ける。この為、終わりのないエネミーとの戦いや組織同士の抗争激化はkarma存在達の糧として田畑を耕す雨のようにkarma残渣を地域へ染み渡らせ、新たなkarma案件の土壌として永く影響するのである。
10.【karma災害に付いて】
-解説-karma災害は呼んで字の如く。karmaが大量に残された地域において発生する人災だ。生命活動のように自己組織化する災害なんてあってたまるかと言う者もあるが、そういうものも多く。対処する能力者達は災害の規模が大きければ、抗争中の組織間ですら団結しなければ生き残れない事を知っている。近年は県庁所在地のある大きな都市をも呑み込む規模のものが幾つも確認されており、対処に当たった能力者達が死屍累々という事も稀な話ではない。それでも自分達の尻拭いをするしかないと日本国内では逃げる能力者は然して多く無い。彼らは知っているのだ。何処に逃げてもkarma災害は起こり得る。そして、自分達の仲間がいない場所でそんなものに出会って生き残れる程に強い人間は多く無い。そんな人物に自分は当て嵌まらないと。ただ、このような災害があって初めて生まれる絆や状況もある。団結して地域に存在する組織間の連携が災害を封じ込めれば、それだけで彼らの抗争の頻度は減り、互いの共通認識から相互理解が進む事もある。それは希望というには儚いものかもしれないが、元々儚いkarma能力者の性なればこそ、その希望にも満たない一縷の輝きに賭けてみたいという能力者達も確かにいる。彼らkarma能力者はその力故にこそ、愚かだが、同時にまた共に歩む事の大切さも学んでいる。それがやがては業界を少しでも前進させる事を高齢の能力者などは知っている。第二次大戦期に世界全ての能力者達が体験した各国の絶望的な状況下から今の時代にまで辿り付いた事こそが奇蹟であり、その奇蹟はこの時代にまで世界を破滅させず、受け継がせてきた者達の努力と良心があればこそ可能な出来事だったのだから。嵐の中で育まれるものある事を現代の能力者達もまた知り、誰かに知らせ、共に受け継いでいくだろう。破滅の帳が世界に訪れない限り、その可能性は決して消え切る事の無いkarmaの残渣と同じように彼らkarma能力者の間に存在するものなのだ。
11.【各組織の施設利用の実態】
-解説-敵対組織の施設を利用したいkarma能力者は殆どいない。が、絶対いないとも言い切れない。理由は単純にkarma業界で施設利用する人物を特定しようという場所が多く無いからだ。基本的に性善説になっていない彼らの施設利用料は前払い。それが誰だろうと自分達を害するものでなければ、使用させるのが彼らにとっては吉だ。無論、そういうところばかりではないのだが、敵対組織の施設を利用したからと言ってお咎めを受けるような組織は殆ど無いのが実情だ。また、現金で支払いを受け付けるところは大手くらいなもので殆どはRDを支払う事が普通である。このようなRDでのサーヴィスの売買は古くから行われており、どんな国でも見掛けられる一般的な能力者の日常である。中にはkarma能力者オンリーの温泉旅館とかスパリゾートとか南海の貸し切り孤島ビーチとか娼館とか御一人様お断りのふたりぼっちな回転する寝台があるホテルとかkarma存在オンリー動物園とか……あるところには色々ある。こういう能力者しか使えないサーヴィスや施設を体験するというのも新人のkarma能力者にとっては大事な事だと先輩達は諭すだろう。まぁ、自分も味わった地獄をお前も味わえという隠された本音が見え隠れする場合もあるが、多くは善意である事も間違いない。そういうどんなに酷い環境でも愉しみを忘れず、発見し、笑顔や幸せを追い求める姿勢が無ければ、厳しい現実に向き合う事が出来ないのが人間であり、人情なのである。その点で日本は他国よりもサーヴィスの質も施設の数も抜きんでている為、他国の能力者が日本国内でその施設の実像に触れて驚き。日本の能力者は恵まれているなぁと祖国と対比して羨んだり愚痴ったりするのはkarma能力者アルアルである。
12.【古代遺跡はお宝の山】
-解説-karma能力者しか知らない古代史がある。世界は嘗て超優れたkarma能力者達が跋扈する時代にはそれこそ空に大陸だって浮かんでいたらしいし、ぶっちゃけ古代の戦争は地球環境だって激変させたし、ムーかアトランティスと呼ばれているソレっぽい国もあったらしい。らしい、というのがミソであり、彼らkarma能力に目覚めた考古学者達は大抵そう古代遺跡の研究成果を誇張して発表する。殆ど状況証拠らしいのだが、ホラ話という程に嘘でもない。それがkarma考古学と呼ばれる学問を学ぶ者達の結論だ。古代遺跡の大半は3000年から440万年程度の間のものが主流であり、最も古いものは5億年程前に創られたという事が判明している。その頃の能力者が一体、どのような生物だったのかは現物の化石や石板、画像映像の類が見つかっておらず、未だ分かっていない。が、恐らくは生活様式や生産された物品の形態から人型であっただろうという事は分かっている。彼らが地球の先住民だったのか。どうして滅んでしまったのか謎は深まるばかりで解ける気配は一向に無いが、彼らの遺したkarma関連技術と現物であるアイテムなどは未だに存在しており、経年劣化を経ても稼働しているものもある。また、未知のブラックボックスが大量に組み込まれ、現代科学やSFの疑似科学でも全て解き明かせていないのが実情だ。だからこそ、その価値は計り知れず。karma能力者が自分一人で古代遺跡を発見して大手組織に通報、情報が確かで遺跡だったならば、莫大な金額を得る事が出来るだろう。それこそ10億単位の謝礼が舞い込む事も十分に有り得る。SFなどにとっては宝の山であり、通常の能力者にとっての金の生る樹。こういう夢と実益を兼ねた古代遺跡探しを仕事にする専門の能力者達はトレジャーハンターとして名を馳せている。古代遺跡のアイテムは今現在は同じ物が作れるかどうか分からないものが多く。そういう強力なアイテム目当てに移籍発掘に同行したりする能力者も多い。もし、映画みたいな冒険がお望みなら、一度SFなどの発掘調査に同行すると良い、と……皮肉げに言う者達もいる。危険は元より承知で命懸け。それだけならまだしも手足が無くなるわ。能力が暴走するわ。仲間が死ぬわ。死んだ仲間の死体を背負わなけりゃならなくなるわ。戦う敵が強過ぎて撤退してる味方が全滅だわ……厳しい現実を前に心が折れた者も少なからずいる。何があっても自己責任という単語が契約書に見えたら、迷わず辞退するのが生き延びるコツなのだが、そういう事が分からない若年層能力者達が今も大量に遺跡発掘に浪漫を求めて応募しているという。
13.【RD関連】
-解説-今現在、世界には表向きは存在しないRDと現金のレート表が存在する。これは簡単に言うとkarma能力者間で遣り取りするRDを現金化出来るという事だが、それは各国において其々の交換レートが設定されている。先進国ではRD1個が100万円前後で売買されており、一億もあれば、RDを大抵は不自由なく買い占められるだろう。しかしながら、問題があり、RDを個人でストック出来る限界は存在する。PC達のような特別な場合や超高位階梯能力者などはRDを100個単位で取得していたりするが、通常の低階梯能力者はそこまで保持出来ない事が大半だ。ついでに言えば、RDをダース単位で保持すると約1ダース程度毎に自身のkarma能力者としての気配が倍々ゲームで大きくなっていき、karma存在に目を付けられ易くなったり、karma災害に巻き込まれ易くなってしまう。つまり、実力の無い奴がRDを大量に持っていると危ない能力者や危ない化け物や危ない自然災害のオンパレードを喰らって死ぬ。なので、殆どの能力者は自分に見合ったRDの保持数を見極め、安全と思える域で収集をストップ。それ以外のRDは所属組織の誰かに譲り渡したり、金で外部に売って資金源にしたり、アイテムにする事が大半だ。ただ、RDの発生は未だ以て人の感情や精神が関わる不確定要素が大き過ぎて、個人が己だけで大量確保というのはあまり実現していない。結果として低階梯の能力者などはもしもの時の為のRDを多めに残して暮らすというのがスタンダードである。勿論のように所属組織もRDの買い取りをしてくれる為、余程に金使いが荒いモノ以外は自分でkarma能力者生活に必要なアイテムや環境を自腹で賄う事になる。神処はこのような状況でも他の組織が羨ましがる程の福利厚生を所属者全員に対して提供している為、小規模な組織から見れば、神和は正に住む世界が違う人々に見える事だろう。ただ、生活と命の天秤を常に諮りに賭けなければならない業界の実情的にRDを限界近くまで手放さない奴なども少なくない。RDを全て金に換えて破滅する連中の大半は正しくギャンブル狂だとか、浪費家だとかが多く。自業自得な面が強調されるので多くは不憫に思ったりはしない。ただ、普通の一般人の親族が病気で治療費が必要だからRDを全部売り払うとか。親や親族の借金を返さなければならない事情があるという人物などがこういったRD売買の実情に触れて不幸になる事もあり、そういった人々には所属組織からの福利厚生が厚くされるという事もある。ちなみにRDは全体的な保有が150個を超えた辺りから都市の一区画くらいなら何処にいても分かるくらいの気配を発してしまう為、隠密行動が必要な人材達などは個人でも1オーダー30個程度を目安にしてRDをオーダーにセットするのが常である。ちなみにオーダーへのRDセットは基本1日基準で行えるのが普通である。セットしたRDは約1日後の時間帯でなければ、再セットし直す事は出来ない。もうセットしたものを個別に再セットする事も出来ない為、多くの能力者は朝方にこれを行っている。またPC達はどのような金持ちだろうが、決してRDを金で買う事が出来ない。それは-神の御心-に沿わない行為だからである。彼らがRDを金で買おうとすれば、不幸な偶然に見舞われて困窮する事になるだろう。
14.【karma能力者の恋愛事情】
-解説-karma能力者の恋愛事情は複雑なようでいて簡単だ。話が分かって見目麗しいkarma存在=人間とは限らない相手でも構わずストライクゾーンな奴らが多過ぎる。同じ能力者相手ならば、能力使いまくりは当たり前。洗脳は手管であって、洗脳される方が悪い。だけど、本当に好きな奴は自分から遠ざけるか。あるいはあらゆる困難を承知で自分の手が届く範囲に囲い込み。如何なる犠牲を払ってでも護り抜く。このような前提によってkarma能力者の恋愛事情という名の魔女の窯は絶賛グッダグダのゴッタ煮闇鍋状態。中には人材アイテムに手を出しまくりなJCやGNだっているし、その魅力4割増しくらいに見えるMWとお付き合いして後悔する者もいるし、影のあるミステリアスESPにメロメロな奴だって大勢だし、SFのアンドロイドが恋人なヲタニートだってまぁまぁ存在するし、そもそも死体が好きというネクロフィリアな特殊性癖野郎がユーレイ相手に結婚して欲しいと指輪だって用意するし、怪しげなSF製の媚薬でエロ同人みたいな事をし始める性犯罪者が大手のkarma結社や機関の女性陣に全身穴だらけにされて殺されるところまでヨクアルで済ませられる。結果、karma能力者を両親に持つ人間や人間に見える遺伝的に人間とは言い辛いkarma存在や元々人間ではなかったkarma能力者という類のカテゴリの人種も存在している。ぶっちゃけ、karma存在との間に出来た赤子が人類に変わる新人類枠と言われて久しい為、そういう者を組織に勧誘するリクルーターも多い。鬼人などはその筆頭であり、各国ではそれに類する人間のDNAが混じってるけど、人間には見えないか。人型だけど亜人的な姿の者達も結構な数存在している。彼らに対する差別というのは当然のように存在するが、そもそもkarma能力者自体が人間がkarma存在化した“人間だった生物”というSF達の括りが一般化している為、気にする奴は気にするよね、くらいの感覚で昨今は問題になっていない。意識調査でも気にしない派や気にするけど口にはしない派、気にはしているが別にいいよ派、気にするし差別もするけど仲間であるウチは普通に仲間として扱うドライ派などが存在する。この傾向は日本だと更に強まり、猫耳なら恋人にしたいよ派、アンドロイドでも構わないよ派、別に人間じゃなくても人型でエロい事が出来れば恋愛対象だよ派、おっぱいが付いてるなら構わないよ派、エロは無くても純愛出来るなら構わないよ派、人型じゃなくて半獣よりもちょい獣寄りの方がいいよ派、別に意思疎通出来れば、人型にはこだわらないよ派、年齢次第だよね派、同性なら人型でもそれ以外でも構わないよ派、大きさが重要だよ派、良い匂いがすれば構わないよ派、肉体の特定部位が好みなら良いよ派、特定の衣装が似合えば付き合えるよ派、子供さえ一緒に作ってくれれば構わないよ派、戦闘能力が大切だよ派、やっぱりお金持ってるかだよね派、愛さえあれば、何も関係ないよ派、などがいる。ただ、実際のところ彼らが伴侶に選ぶ者の大半は人間が3割、人間じゃないのが3割、生物じゃないのが3割、その他が1割となっており、恋愛の形態は多種多様であるが、生存率だけは一律にやはり3~4割り程度となる。子供が出来るとその子供が両親のどちらか、あるいは両方を失う確率も3~4割り、つまり、子どもが極めて不幸になる可能性が高い。だから、両親が能力者で小さい頃から能力者としての資質があり、目覚めた子供達の大半は能力者としての英才教育を両親から受け、目一杯に愛される事が多いのだという。人材アイテムの中でも人汎用人型カテゴリの者達の大半はそういう者達の中でも能力が低い者であるとされている。
【-イベント用アイテム一覧-】
以下に記述されるアイテムは基本的にはkarma案件―――つまりはPC達が解決しなければならない事件の発端となるべきアイテムである。基本的にはシナリオ内で出て来た後、破壊、消滅、回収され、PC達の手元には残らない事を想定している。もし、そのようにPC達の下から失われたアイテムが再びシナリオで出て来た場合はキャンペーン・シナリオとしてのキーアイテムのように扱う事が望ましく。イベントによる最終的な破壊、ギミックとしての戦闘中の無敵になった敵を弱体化させるアイテムのような形で使用されるのが望ましい。今後、複数追加していく予定である。
『UW』
神処が現在秘密裏に配備しつつある国家規模以上のkarma案件と成り得るkarma能力者用の対抗兵器群。基本的に日本中の大規模支部に封じられ、使用には本部及び封じられた支部の支部長の認証コードが必用である。表向きに存在を公にされているアイテムは最初期の試作品であり、以降のシリーズは公表されず、能力も一部の者にしか知らされていない。仕様として連続発動し続ける事で能力が飛躍的に拡大していく為、国家規模、超国家規模のkarma案件における短期決戦用の切り札として神処は見ている。しかし、何処かの組織がこの設計図や試作品の一部を持ち出す事は十分に考えられ、その場合には神処の支部は秘密裏に回収するよう命令される事になるだろう。このアイテムの大本となったのは旧帝国陸軍が研究していたとある家に眠っていた超古代のアイテム群、という事になっており、基本的にはロストテクノロジーにしてオーバーテクノロジーの解析結果を転用しているに過ぎず、解析出来ない部分はブラックボックスのまま組み入れて使用されている、と一部の有識者達には知られている。
【UW:天羽々斬】
[解説 神話などに出て来る剣の名を冠した次元切断系アイテム。根本的な原理はビックバンのような爆発的なエネルギーと粒子の放射、要は宇宙創造に似ており、長さ1m弱の黒曜のような輝きの刀身から爆発的な熱量と波動と素粒子の放出を行う。この際、刀身は薄紫色に耀き、放出する粒子と波動、エネルギーは兵器としてビームを出す剣のようなものとして用いる事が出来る。この放出される粒子量が一定値を超えると現在宇宙を満たしているダークマターが一部消滅し、空間そのものに捻じれを引き起こして局所的に破断させる。更にkarma能力による新世界領域が刀を媒体にして素粒子の助けを借り肥大化。最終的に24時間の連続使用で惑星一つ分の空間が次元の破断と新世界の成立によって消滅。48時間後には太陽系そのものが空間の捻じれが特異点化した重力場に捕まり全てが落下。72時間後には太陽系全体が使用者の新世界に向けて吸い込まれて拡大し、順次新たな宇宙の糧となる。このような能力の為、このアイテムが解放されるのは世界が終わるか、国家が消滅するかの瀬戸際くらいであろうとされている。しかし、karma能力者相手にこれでも絶対は無いという見解でUWが封印されている支部の支部長達は一致している為、超高位階梯能力者相手の戦闘ならば、引っ張り出されて使用される可能性はまったく否定出来ないらしい]
【UW:布都御魂】
[解説 神話などに出て来る剣の名を冠した鈍色の刀身をした因果律破断系アイテム。ET能力を局所的に拡大し、逆の作用を及ぼす事で日常の象徴たるあらゆる事象に破綻を来たさせる。その能力は基本的に一部の事象の原因と結果を切り離す事で途中の過程を消去し、原因直後にkarma能力で最大化された結果が現出する。簡単に言えば、使用者が火を起こした刹那に街は燃え尽しているというような極めて重大な結果が引き起こされる。人の生死や建物などのETによる修復の逆作用が即座に最大規模で引き起こされ続けるわけである。ある程度の原因さえあれば、次の刹那に世界が滅んだ現在に辿り着く事が出来ると言えば、その恐ろしさが分かるだろう。その過程そのものが存在しない為、使用者以外が死に尽くした世界でkarma能力者の神になる事も可能だろう。時間経過で世界の終焉が拡大していく為、使用者に与えられるのは居合で相手を切り伏せ、再び納刀する程度の時間くらいまでとされる。この刀の真価は自身で相手を斬り付けるという原因が相手の死に直接結び付く事である為、ほぼ連続使用する必要が無いのが救いだろうか。ET用の武装として最恐にして最凶と言えるかもしれない]
【UW:真正村正】
[解説 複数本存在する村正の現存する一振り……を用いて作成された呪怨系アイテム。江戸幕府云々は関係無く。この刀は主に斬り付けた相手の血、DNA情報を刀内部に存在する有機神経細胞の塊である神経節に取り込んで、その相手のkarma能力が自身を傷付けない事を利用して相手の能力に左右されない刀身として完成する。また、接触時に敵対者のkarmaそのものを読み取る金属細胞が情報をコピーする事で相手のkarmaが拒絶できない刀身として防御を突破する。その鋼の刀身に脈動する赤黒い神経が通う様は正に妖刀と言えるだろう。一撃目の攻撃が少しでも生身の部位に入った時点でkarma能力者は物理的な防御力以外に全ての防御手段を失う為、殆ど反則級の攻撃力を誇る。基本的に相手の能力が相手や相手の能力で強化されたものを害さないという作用を利用した対karma能力者用兵器。しかし、他のUWと同じく連続使用は禁物であり、もし連続で数時間も刀身を専用の鞘から外してしまった場合、コピーするkarma能力者を求めて動く有機と無機の融合した脈動する神経の束となってしまう。この状態に陥った村正は手当たり次第にkarma能力者をコピーしながら襲うようになり、殺害したkarma能力者に取り憑いて、より強力なkarma能力者のコピーへと動き出す。神処SF特製の金属細胞と現代科学とSFのコラボ作品である自己組織化する神経細胞の融合体はSFの能力の一つである自己増殖を備えており、一定以上のkarmaの吸収で分裂。以後、コアとなる一本から無限にコピーが産み出され、karma能力者を狩り尽すまで止まらなくなる。この妖刀の最終到達地点はkarma能力の無限コピーによる肥大化と暴走であり、到達階梯数9以上の能力者を複数人取り込んだ場合、刀身内部のkarmaの暴走によって、karma能力者の集団無意識とも呼べるモノが地球上で食い荒らされ、全karma能力者の永続的な暴走によって世界は崩壊する]
【UW:生大刀】
[解説 神話に出て来る剣の名を冠したUWの中でも特に凶悪な地獄系アイテム。柄が極めて長い事から日本刀が長柄にくっ付いているような形をしている。ただし、その奇妙な形とは裏腹にSFの用いる合金製であり、薄黄色いメタリックカラーをしていて、観る者に本能的恐怖を感じさせるだろう。実際、その能力はホラーとしか言い様のないものであり、具体的には使用者をユーレイを用いた憑依の依代として使用し、あらゆる死亡済みの能力者を《《能力毎完全に再現する》》事が出来る。使用者の階梯にも拠るが、強力なユーレイは業界でもあまり多く無い為、その人物を探してくるのが手間らしい手間だろう。ただし、生前の故人の全てを再現する為、極めて使用者に高負荷が掛かる。このアイテムが連続使用された場合、ユーレイそのものが自分の肉体を求めて世界中から集まり続け、この剣を中心として冥府と現世の境。つまり、死者のkarmaと生者のkarmaの境が希薄になり、死んだはずのkarma能力者そのものが生きた人間のkarmaを浸食して、復活しようと胎動し始める。24時間で1地方都市程度がkarma能力者の絶叫と死者の復活によって彩られ、48時間後には数県でkarma能力者以外の死者が実態も無く通りを闊歩するようになり、72時間後には日本以外の地域に波及した死者の蘇り現象で社会が混乱のどん底に叩き込まれる。復活する程度には生前のkarmaの強さが関わっており、完全に情報が消え去った故人などは復活し難い。ただ、ETの能力の超極大化版とも言える剣の能力は最終的には生きている人間のkarmaを消費して死者を蘇らせる為、死者が復活するだけkarma能力者が死ぬ。ついでに蘇った人物が半端な状態だと微弱なkarma能力とすら言えない生命力そのものをkarmaの維持に取り込もうとして本能的に生物を襲い始める。特にkarmaの発生器官である脳を喰うと維持リソースがよく回復する為、世界中がハロウィン状態、ゾンビゲーム状態と化す]
【UW:十束剣】
[解説 神話の時代の剣の名を冠した3本の剣。主に脇差、小刀、太刀の3点セットだが、どれ一つだろうと絶対に使われない事を祈られている系アイテム。標準的な日本の刀鍛冶が造りそうな柄拵えやら鞘やらは朱塗りなのだが、中身は完全無欠のSF合金の傑作。常に刀身全体がチェレンコフ光によって輝いており、内部に奔るクリスタル状の幾何学模様が美しい一品である。能力は他のUWの能力を一時リンクする事で借り受ける事が出来る。本家よりも数段威力や能力が落ちる事となるが、本家の要素を全て再現出来るコピーアイテムである。何故、これが使われないよう祈られているかと言えば、これがたった一組しかない対UW用武装だからだ。要はUWの長時間の連続使用による世界崩壊の危機に用いられる事が決定されている。他のUWを最大3本まで相手にして破壊する事が可能な仕様であり、AUWの頭文字で呼ばれている。存在自体が極秘であり、神処にとっては他のUWよりも秘匿せねばならないとされる武装である。これ一組を奪われるだけで他のUWが解析されてしまう可能性がある為、本部の研究所の最奥に厳重保管されている。また、常に他のUWの情報を更新、更に研究者達のアップデートを受け続けている為、半年に一度は能力が向上しているようだ。他のUWが特殊な能力において比類ない力を持つ工芸品とすれば、この剣はそれを上回る完全無欠の実用品であり、神処の技術力が生み出したヤバイ物を抹消する最終フェイルセーフであると言えるだろう。ちなみに全てのUWにはこの剣へのリンク能力が備わっており、UWが増える程にこの剣の潜在的に使える力も増えていく]
【UW:天之麻迦古弓】
[解説 UWの中で唯一遠距離攻撃用の武装として生み出された出来れば触るのも遠慮したい系アイテム。元々はモブ専用アイテムとして開発されていた矢とワンセットだったのだが、開発途中から仕様変更されて、現在の形に落ち着いた。基本的に弓と言いながらアーチェリー状の代物であり、それもSF製の朱色の合金で出来ている為、漢字的な語感とは不釣り合いな見た目になっている。正式名称は星間照準武装テラ・トレーサー。これを手掛けたのは羅丈茶観であり、元々は深宇宙探査用の人工衛星に乗せるkarmaを用いたアイテムの一つであった。しかし、彼の創ったものにしては何故か試験で何度も壊れ、何故壊れるのかと首を傾げられた後、何度も直されて追試追試で合格基準まで調整された。しかし、その後に研究者の一人がうっかりこの弓の作動原理機構の一部に接触。その時、見えたものは宇宙の先にある深淵……人間が認識してはいけない虚無と怖ろしい何かの姿であった、らしい。その研究者は発狂した後、精神病院で廃人として過ごしており、彼が書いた絵には悍ましい色合いの肉塊や触手塗れな蒼や黄色の化け物が躍動感を持って描き込まれているという。karma能力による星間距離観測は大成功していたが、それ故に知ってはならない宇宙の秘密的なものを垣間見てしまうと話題になったのも束の間。封印するには惜しい技術である為、幾らか精度を落して数光年先までバッチリ照準出来る武装として生まれ変わった。しかし、それでも時折、観測データに人間の精神を不安定にする情報が引っ掛かり、衰弱する研究者が出た為、開発終了後は速やかに封印され、神処が絶対生かしておけない人物の暗殺のみに使われる事が理事会で決定。唯一支部ではない神処関連施設の保管庫に納められた。ちなみに使用していると“元の能力まで戻る”事から、使うならば最低5分以内にして欲しいという仕様書が付属している。それ以上は恐らく精神が崩壊するか。あるいは使用者そのものが未知の深宇宙からのデータによってkarma毎浸食され、人間ではない別の何かになる可能性が指摘されている]
【UW:六道久世】
[解説 UWは言うまでもないが兵器である。しかし、これのみ兵器としては扱われていない。理由は純粋に彼女が知的生命体だからだ。彼女は現在、神処内部に保管されている被検体零号と呼ばれる世界で唯一の希少な存在、又の名を神と呼ばれている能力者に相違ない。彼女の最古の取り扱い説明書は旧帝国陸軍の時代に書かれているが、現在は消失しており、GHQの統治時代に日本中が探し回られたが現存していない事が確認された。彼女の能力は主に言うとUWの大本の機能の殆どだが、そのどれも彼女の持つ能力の一部の劣化コピーに過ぎない。また、旧陸軍内部で彼女の研究成果が佐官級以上の人々に共有された事から、第二次大戦の参戦への圧力になったとされている。彼女は大正時代に日本海溝上で漁をしていた漁師の網から発見され、最初は人魚か何かと思われていたそうだが、陸に上がってからkarma能力者を要した当時の陸軍によって確保。以後、karma能力の解明の為のサンプルとして研究対象として利用されてきた。日本のkarma研究が飛躍した半分以上の理由は彼女が内包する複数の能力、複数の技術的に再現可能と思われた神に等しい力がサンプルとして厳然と研究者達の前に有ったからである。彼女は状況によって複数のkarma能力そのものを細胞単体で発現する程の力を秘めており、またその力の応用によって研究者達が望むkarma研究のあらゆる結果へアクセスする事が出来た。彼女の研究初期段階では研究者達が彼女の予知、予測能力に基いて研究用資材、研究用器具、研究方法そのものを開発したとされる。その後、複数の当時のkarma結社の長達が彼女の存在を国家に対して危険だと訴えたがその意見は黙殺され、大戦へと日本は突き進んでいく。コウカケンの前身機関はその頃には既に存在しており、彼女をそこで研究者達の要望に応える事で正しく当時最先端だろうkarma研究を100歩1000歩進展させた。他国から数世代先を行くだけの隔絶した力として世界で初めて近代化国家がkarmの力を掌握した瞬間は正しくkarma業界史のターニングポイントだっただろう。しかし、第二次大戦に突入した時点で旧陸軍は彼女を兵器として戦場に投入しようとするも、当時の将官の一部がコレに反抗。以降、彼女は日本降伏後まで行方不明の状態となり、発見されたのは戦争が終わって十数年後の事であった。彼女は自分を連れ出した将官との間に数人の子供を儲けていたとされるが、彼女の研究所に戻る為の最低限の条件が子供達に一切干渉せず手出ししない事、というものであり、その約束は守られる事となった。以降、独立を回復していた日本国内で再び彼女の研究は開始され、旧陸軍の破棄、米国に回収されたデータの取り直しと同時に新規研究も盛んとなった。それが戦後、東京オリンピックの時期に発案された彼女そのものの模倣、彼女を疑似的に造る計画。六道計画、英名シックスロード・プロジェクトである。この100か年計画の核となる彼女はそれまでの仮名を抹消された後、世界に現存し、尚且つ唯一研究対象として接触可能な《《神》》という立ち位置として神后の名称が与えられた。その後、コウカケンにおいて一部の研究者から一般名称を得た後、現代の六道計画の最新実験に参加。その大規模な失敗後は名を神処と改めた本部の研究棟最下層の個室を根城として正体不明のユーレイとして神出鬼没の神処七不思議となった。彼女は現在、特に外出制限をされている事もなく。普通にコンビニや本部外の一般店舗を闊歩するどころか。いきなり日本各地の支部やkarma案件の現場に顔を出してウロウロしたりする事もあるらしい。本部の孤児院などに出入りして知らぬ間にお菓子を置いていくおねーちゃんとして子供達からは不思議がられている。近年はネットツールを取得した事でSNSを初めており、よく世界の現状を観察しているようだ。彼女の情報に触れられる若手の研究者も多くなってきており、神后様と高齢の研究者達が呼ぶのとは反対に彼らはフランクに彼女へ久世ちゃんと話し掛けている。そんな彼女の個人的な部屋は大正趣味らしい旧い箪笥や時計、衣文掛けなどが置かれていて、入る者はまるで過去にタイムスリップしたかのような錯覚に襲われるという。常に紫の和装姿で黒髪に菊の簪を刺した彼女の事を見ると本部を訪れる別組織の超高位階梯者達は静かに頭を下げ、何事も無かったかのように通り過ぎるとされる。ちなみに性格は何処か母性を感じさせるのだが、抜けているところがあり、よく重要な事をド忘れして周囲の人々を困らせている]
セリフ『あぁ、よく顔を見せて下さい。ふふ……変わりませんね……どうか、あなたの道行きが善き日に恵まれん事を……初対面? ええ、そうですね……気にしないで……ぁあ、そろそろ迎えが来ました。では、また…………ぁ、コレわたしのアカウントです。何かあったら呼んでみて下さい。暇であれば、お返事が返せると思うので……』




