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1.世界観~1.3『用語集』

本作品はTRPGという名の設定資料集です。設定資料集ですが、取り敢えず、遊べるくらいにはなったかな?という程度の作者のやりたいTRPG要素を適当に詰め込んで全部乗せりゃいいんだよとごった煮にした多種多様な闇鍋です。闇鍋なので色々な作品にオマージュされたデジャヴする設定や人物が登場します。適当に無料で遊べるシステムですが、過激な表現が気になる方は遠慮した方が良いかもしれません。最初の注意書きに同意出来る方は一時の設定資料集もしくはTRPGとしてお楽しみ下さい。


 版上げ記録


 初版


 2019/7月 Verα0.66


 二版


 2020/4月 Verα0.67


 三版


 2020/12月 Verα0.68


 追加ルール


『安定』 RDを10個以上振る時、10D6単位、100D6単位の結果を1D6で代用する。集束判定ルールを用いない場合のみ適応可能。この時、出目を同数として10倍で適応する。例 1D6の結果が4だった場合、10倍の値の40が結果として適応される。このルール時でも順化数は適応される。順化数が8だったならば、8の10倍で80が更に結果へ追加される。ただし、恋愛判定、工作判定時は順化数を適応出来ない。このルールを適応したらNPCやエネミーも同じように判定する。1D100以上のダイスを振る時もこのルールを用いるか空是判定にするかを選ぶ事が出来る。


 *このルールは大量のRDを振らずに済ます為の追加ルールであり、巨大な順化数を用いて戦うスタイルの為のものと考えて良い。


ラノベよりラノベするTRPG


【アクト・オブ・エブリシング-Act Of Everything-】


本作品はライトノベルにありがちなストーリーを愉しみながら、全てを可能にする力-karma-を司る能力者達が其々に人生を終えるまでに経験した出来事を観測するTRPGです。何処かで見た事のあるような展開、何処かで興奮しただろう強敵、何処かで嘆いたキャラクターの死、それを自らの手で生み出し、あるいは未来へと繋げながら、カルマ能力者-DisCoder(ディスコーダー)-となってアクト・オブ・エブリシングの世界を駆け抜けて下さい。


-はじめに-


TRPGとは電源の要らないゲーム。テーブルを囲み、ルールブックに従って、GMとPLに別れて行う卓上ゲームの総称です。正式名称はテーブルトーク・ロール・プレイング・ゲーム。このゲームでは機械がやる処理はGM、ゲームマスターと呼ばれる役が行い、PC、プレイヤーキャラクターと呼ばれる参加者の分身とも言える主人公達となって会話を行いながら紙とダイスとペンで進めていく物語を創るゲームです。近年では動画サイトなどでその光景をリプレイ動画、疑似的な物語をリプレイ風動画として見る方もある事でしょう。このゲームの趣旨はプレイヤーが世界観やルールに沿って自らの代役であるPCでゲーム世界で普段では出来ない体験をしていくというものとなります。


1.世界観


1.1『メインストーリー序曲』

1.2『物語の舞台』

1.3『用語集』


2.キャラクター作成


2.1『ネームポテンシャル』

2.2『属性』

2.3『所属』

2.4『各オーダーの特性と能力、能力取得及びオーダー能力上昇(チェンジ)

[経験値の取得とシーン制]

2.5『ゲーム内でのRDの取り扱いに付いて』

[RDの取得方法]

[RDの使用方法]

[RDセット]

2.6『PCの優位性/特別性』

2.7『能力開放率合計数低下方法/ARアポトーシス・リチューニング

2.8『各メインサブオーダーの能力詳細』

2.9『特殊装備とSOの関係性』

2.10『スペリオルオーダーの能力詳細』


3.ゲーム・ルール


3.1『指定値』

3.2『判定におけるPC優先』

3.3『リソース・ダイス』

3.4『基礎判定』

3.5『目的判定』

3.6『戦闘判定使用値』

3.7『RDに付いて』

3.8『戦闘判定内容』

3.9-1『ダメージ処理と能力の特殊効果』

3.9-2『最終的な指定値』

3.9-3『能力による判定と結果の途中処理』

3.10『状態について』

3.11『戦闘終了』

3.12『トドメを刺す』

3.13『戦闘によるPCのロスト及び全滅』

3.14判定/ルール一覧

3.14-0[クリティカル/ファンブルのルール]

3.14-1[順化判定ルール]

3.14-2[集束判定ルール]

3.14-3[空是判定ルール]

3.14-4[工作判定ルール]

3.14-5[恋愛判定ルール]

3.14-6[目的判定ルール]

3.14-7[能力開放判定ルール]

3.14-8[戦闘判定ルール一覧]

3.14-9-1[ラスト判定ルール]

3.14-9-2[成長ルール]

3.14-9-3[継承ルール]

3.14-9-4[LimitOverルール]

3.14-10[必要ダイス]

3.14-11[ナラティブ数ルール]

3.14-12[WORLDHPワールド・ヒットポイントルール]

3.14-13[能力者の能力値/比較]


4.表一覧


4.1『イベント表関連』

[特殊イベント表]

『恋愛表』

[恒常的なイベント表]

[今朝のイベント表]

[正午のイベント表]

[黄昏のイベント表]

[今夜のイベント表]

[追跡者のイベント表]

4.2『年齢表』

4.3『アイテムの基本ルール』

[購入制限]

[所持制限]

[装備制限]

[乗り物アイテムetc]

[取得アイテムetc]

[人材アイテムetc]

[戦闘中の装備制限]

[戦闘中の人材アイテムの装備]

[戦闘中の装備解除]

[アイテムの装備解除のタイミング]

[非合法活動/シーン移動制限=交通制限]

[アイテムの出し入れ]

[アイテムの取り出せる場所]

[アイテムのクラスタ化]

[アイテムのAD(アドバンス)化]

[アイテムの使用/対象/タイミング/宣言]

[戦闘中の使用タイミング/宣言]

[近接カテゴリのアイテム]

[遠距離カテゴリのアイテム]

[防具カテゴリのアイテム]

[人型機動兵器カテゴリのアイテム]

[不要アイテムの処分]

[処分リサイクル方法]

[アイテムの破壊]

[アイテム表の見方]

[アイテム値段(消費RD個数)]

[アイテムのまとめ買い]

4.4『アイテム表』

[-消耗品カテゴリ-]

[-武器カテゴリ-]

『-近接カテゴリ-』

『-遠距離カテゴリ-』

[-防具カテゴリ-]

[-乗り物カテゴリ-]

[-人型機動兵器カテゴリ-]

[-非売品カテゴリ-]

[-規格外品カテゴリ-]

[-製造終了品カテゴリ-]

[-非常識カテゴリ-]

[-玩具(大人)カテゴリ-]

[-人材カテゴリ-]

『-血縁カテゴリ-』

『-親族カテゴリ-』

『-不適切カテゴリ-』

『-商売カテゴリ-』

『-政治カテゴリ-』

『-兵隊カテゴリ-』

『-市民カテゴリ-』

『-犯罪カテゴリ-』

『-学校カテゴリ-』

『-情報カテゴリ-』

『-汎用人型カテゴリ-』

『-人形カテゴリ-』

4.5『アイテム工作表』

[-汎用-]

[-モブ専用アイテム-]

4.6『工作判定時必要RD数』

4.7『人材アイテムのゲーム内での扱い』

4.8『人材アイテムについて』

[人材アイテム維持コスト(入手後初回のみ)]

[人材アイテムの捨てると解雇]

[人材アイテムの自身での破壊]

[破壊された人材アイテム]

4.9『人材アイテムの変化/工作(きょういく)

[人材アイテム工作判定ランク到達指定値]

4.10『人材アイテム工作表』

4.11『暴走階梯表&終焉表一覧』

【暴走階梯表】

第一階梯[狂える兆し]100~199

第二階梯[開放される心]200~299

第三階梯[儚き抵抗]300~399

第四階梯[夢への誘い]400~499

第五階梯[閉ざされし幸福]500~599

第六階梯[捨てられた孤独]600~699

第七階梯[一縷の望み]700~799

第八階梯[淵に立つ者]800~899

最終階梯[そして、来る貴方]900~999

【終焉表】1000 LimitOrver


5.ワールドガイド


【-人材応募要覧-】


[日本]


1.神処

2.金融連合

3.教王会

4.SF同好会

5.紳士淑女同盟

6.グリーンネバー商会

7.冥王を見守る会

8.黒の一睡会

9.白の一水会


[国際組織]


1.国際組織ARTER

2.総合国際研究機関NAMED

3.財団

4.黒幇

5.覇堂財閥

6.白欧主義連絡会

7.世界邪眼愛好会

8.火星自治独立共栄圏

9.月面第四帝国

10.今日の晩御飯

11.光導黄昏教団

12.コモンズの護り手

13.シャンバラ技研

14.ニューオーダー・ゲームス

15.ラスト・パーティー

16.カノッサ機関


【-支部俯瞰図録-】


1.北海道/函館支部

2.東北/青森仙台合同支部

3.関東/東京本部

4.名古屋/名古屋支部

5.関西/京都大阪合同支部

6.中国/出雲支部

7.九州/博多支部


【-NPC記述方法-】


『NPCの能力に付いて』

『NPCの記述方式』

[簡易NPC基礎作成表]

[フレーバーNPC作成表]

[エネミー作成/NPC]

[エネミー作成/簡易]

『重要NPC作成について』

『NPCのアイテム』

『NPCの再記述』

『公式NPCの強化』

『戦わないNPC【フレーバーNPC】について』

『PCとNPC達の違い』

『エネミーに付いて』

『エネミー作成データ一覧』

[階梯毎基礎能力データ]

[オーダー毎のカスタマイズデータ]

『キマイラの扱い』

[セッション・ボス作成]

[PC階梯毎のドロップ表/RD/アイテム]

『エネミースキルに付いて』

[エネミースキル/常駐]

[エネミースキル/基本]

『簡易NPC基礎作成表』

『フレーバーNPC作成表』

『エネミー作成/NPC』

『エネミー作成/簡易』


【-ワールドNPC一覧-】


[日本]

[国際組織]


【-エネミー一覧-】


『エネミー作成表/簡易』

『エネミー作成表/NPC』

『エネミー作成/簡易/NPCの基礎能力シート』


【-シナリオ構築/シナリオ決定-】


『シナリオタイプ決定』

『RPタイプ決定』

『シナリオ作成とPLへの明示』

『シナリオ作成/具体化』

『シナリオ作成/戦闘用ボード』

『ノベルでの利点』

『ボードでの利点』

『シナリオの類型カテゴリの決定』

『非戦闘型シナリオの導入』

[非戦闘シナリオにおける制限]

[非戦闘系シナリオ・フック]

『ボード/地図作製』

『ボード/戦闘』

『場所の解説』

『シナリオ作成/配置用施設一覧』

[シナリオ導入]

[スタンダードな導入]

[シナリオの流れ]

[シナリオ上のシーン関連]

『シーンへの入り方』

『オーダー毎の分業制』

[ハンドアウトとは?]

『ハンドアウトの内容』

『ハンドアウトの重要度』

『個別PCハンドアウト/アルカーヌム』

『アルカーヌム効果表』

『アルカーヌムの運用』

『アルカーヌムはシナリオでどう関わる?』

『セッション・ハンドアウト』

『ゲーム内の時間管理』


【-付属シナリオ-】


【-付属キャンペーン用シナリオ設定-】


【-TIPS-】


[組織]

[事件]

[事故]

[抗争]

[技術]

[特筆すべき情報]

[一般常識&文化]


【-イベント用アイテム一覧-】


UWアンリミテッド・ウェポン


【-スタートアップ・キャラクター-】


[中二病救世主]

[狂科学教師]

[幼き巨獣]

[英雄志望浪人生]


【-ゲームのモラル-】


【キャラクターシート】


[キャラクターシート(書き方)]

[戦闘管理用シート(書き方)]

[キャラクターシートVer0.66]


1.世界観


―――現代、この地上において存在する知的生命の中でも霊長と自らを豪語する人類。彼らの中には時折、何の因果か《《力に目覚める者》》が顕れる。歴史上の英雄然り、国家を興す英傑然り、悲劇に沈む物語の主役達もまた然り。近年、その常識的に見れば、不可解な程の能力に付いて示唆する科学的見地からの推察が新たな叡智を齎した。


全てを可能にする力-karma-。


それは時間における0秒と次の最小単位である10^-41秒の合間に知的生命の思考中枢が存在するかどうかも分からなかった《《時間の間隙》》を観測出来た事で起こる新法則の発生現象。その法則を生み出す個体によって人が社会的に生み出して来た5つの概念事象に対して反旗を翻す超越的現象は世間一般的に言えば、虚構の物語に出て来る超能力と大差がない。


これはそんな《《目覚めてしまった者達》》-DisCoder(ディスコーダー)-の物語である。


発現されたkarma能力は-Order(オーダー)-と呼ばれ、其々が特徴的な数字によって表現され、二区分五別四部という言葉の括りで9つに分類される。


-MainOrder-


超越せし能力《ESP-エスパー-》-Order[1]-


虚構なる科学《SF-サイエンス・フィクション-》-Order[3]-


万軍の兵器《MW-ミリタリー・ウェポン-》-Order[5]-


冗談のような喜劇《JC-ジョーク・コメディー-》-Order[7]-


政治による解決《GN-ガバメント・ネゴシエーション-》-Order[9]-


-SubOrder-


攻撃衝動《AI-アタック・インパルス-》-Order[2]-


防衛本能《DI-ディフェンス・インスティンクト-》-Order[4]-


援護要望《SD-サポート・デマンド》-Order[6]-


日常回帰《ET-エブリデイ・ターン-》-Order[8]-


これらのカルマを一人で複数個操る者達-DisCoder(ディスコーダー)-があらゆる国家において研究され始めた近現代……彼らは自らのkarmaの発現である能力《《オーダー》》に課せられた因果に従って、其々の所属と寄る辺を守る為に戦い、時に協力し、運命を切り開いていく。


1.1『メインストーリー序曲』


第二次大戦期に起こったカルマ能力者-DisCoder-の新規大量発生現象に端を発した各国での特殊能力者の社会的な認知は一部の為政者や大企業などに留まり、彼らの長年の研究による隆興を経て、現代ではkarmaに関連する大半の管理・研究は国家機密の大規模プロジェクトとして整備された。世界のkarma研究の潮流は欧米、南米、アフリカ、ユーラシア、アジア全域、オーストラリア大陸、日本の7区において進んでおり、最先端研究を行う欧米と日本による主流派、非倫理的研究が盛んな南米とアフリカの非主流派、広大なユーラシア大陸内の東から中央に掛けてのアジア全域の各国とイギリス、karma能力者の不毛地帯であるオーストラリア大陸内で行われている独自研究路線の機密派に別れる。


20××年、欧米と日本において行われたkarmaの最先端研究の一部成果が同時多発的に暴走した事により、全世界規模において第二次大戦以来となる-DisCoder-の大量発生、俗に大覚醒と呼ばれた事件が勃発。これを切っ掛けに能力者の覚醒率が激増。人口の密集地帯である大都市圏メガロポリスにおいては人口1万人当たり12人程であった比率が一気に122人まで増加。各国はその対策を行う組織、受け入れ先としての新規のDiscoder関連業務を請け負う組織の成立や拡大を急いだ。これを以て、旧来の国家にぶら下がる組織は肥大化、更に子組織が無数に出来た事で分派独立の機運が高まった。DisCoder達の主義主張は各国の対処で一定数抑制されたものの、覚醒者の増加に対処し切れるものではなく。国家に対し為され始めた彼らの要求は日に日に国家に対する内在的な軍事的圧力として理解されていく。その後、通常戦力の太刀打ち出来ない存在としてのDiscoderの諸組織の勃興乱立は喫緊の国防課題とされ、何処の国の公的なkarma関連組織も対処に追われる事となる。能力者達の主義主張の先鋭化やテロ組織化を防止、沈静化するという世界的な共通課題が多くの国家をこの問題へ否応なく駆り立てたのである。


このような状況において成立した先進主要各国の秘密会談において西側を主軸とした超国家規模のkarma能力者版NATO、軍事同盟にして国際機関たる組織-ARTER(アルター)-が発足。これに対し、共産圏と独裁国家などを主にした東側は軍事協定と資金援助・技術援助を軸としたkarmaの総合国際研究機関-NAMED(ネームド)-を推進。世界的に肥大化し、東西に分かれたkarma研究の潮流に対して日本は能力者増加の原因となった研究より撤退し、独自の国家機関-神処(カンドコロ)-を設立。国内におけるカルマ案件と呼ばれる能力者の犯した事件の隠蔽と処理を従来より強力に推進する事となった。


―――あなたはそんな世界のそんな時代に生まれた……そして、偶然か必然かKarmaに覚醒し、Orderを操る者、Discoderとなったのである。


1.2『物語の舞台』


ストーリーの壇上となるのはスタンダードなゲームの導入と進め方を行うならば、神処が保有する日本中の各支部である。現在、国際的な研究から手を引き、内部統制へと動き出した機関はあらゆる地方に支部を置き、その人員に事件になると思われる案件の事前調査と事前検挙と犯人……能力者の殺害を許可した。通常の司法や警察権力では裁けず逮捕すら不可能な事が大半である能力者に対して各支部は攻勢部隊を編制、軍事的な側面を持ち、警察権力、司法権の一部を貸与された神処の所属者は-神和かんなぎ-と呼ばれ、国内の任された地域をあちこち飛び回っている。生憎と第二次大戦期の若者であった高齢者と近年の大発生によって覚醒した若年層が能力者の年代的に最も厚い層となった為、支部には大抵老人と少年少女しかいない。働き盛りで頼りになりそうな三十代、四十代、指揮を執る五十代などはほんの少数だ。DisCoderには人間の精神に影響を及ぼす者もいる為、デスクワークの為に雇われた一般人、等という存在はいないのである。もし、そのご新規さんと揶揄される新人の年齢が若年層よりも上なら極めて歓迎されるかもしれない……無理難題がきっと待っているだろう。


【所属に向けた事前知識】


PLの分身であるPCは始めてのセッションならば、そのゲーム中に出て来る日本最大規模の組織、神処の支部に所属する人員として事件の解決へと携わっていくのが最もスタンダードだろう。理由は主に倫理と道徳的な規準が一番しっかりしているからである。組織のリクルーター、勧誘者なんて何処の組織も大差ない。彼らはPCをただ何処かの組織に所属させ金をせしめようという輩である。その彼らが勧める組織の違いなど、大規模なところを除けば、福利厚生がちゃんとしているかどうか、くらいの話。そして、karma関連組織は何処も表向きの法律を大いに破る事もある秘密組織である。そこに反逆すれば、即座に処分されるか、精神を弄繰り回されて調整されるか、研究材料として何処かの研究所にでも売られるか。大規模な組織程にそのような非人道的な行為は自重する傾向にあり、安定を求めるならば、PCは必然的に大組織の末端となる方が良いという結論となる。無論、PCの設定や生い立ちなどによって所属組織も左右される事もあろうし、自分はこの組織でやりたいという事もあるだろう。ただ、PLがこのゲームの初心者である場合はまず大きな組織に所属して事件に関わるというこのゲーム内においてスタンダードなシナリオでのセッションを行う事をお勧めする。その後、それより難しいシナリオを同じPCで行ったり、新たなPCで比較的ロールプレイを想像出来るだろう組織に属しながらセッションに慣れていけば、様々な組織と繋がりのある人物としてのPCを演出出来るようになっていくだろう。これと並行して自分達の愉しめるセッションをGMと共に世界観内での環境構築、オリジナルの設定やゴールデン・ルールなどを通して実現していくのが良いだろう。大規模な組織は《《比較的》》、良心を保つものであり、それはやはりこのゲームにおいてはkarma能力者管理の公的機関に位置付けられる神処となる。曲がりなりにも国家機関たる巨大組織はPCが一般人相手に《《能力に関係の無いところで》》意図的にテロや大量殺人事件を起こすような人物でない限り、庇護と食べていけるだけの賃金を与えてくれるだろう。これ以外の選択肢に入るのは国家機関に対して中立を標榜する金融街の巨大互助組織や国内最大の宗教関連団体、世界を股に掛けKarmaのマクロ制御システムを自称するARTER、各小規模組織の中でも穏やかな性質を持つところだけだ。それ以外は実体の分からない変な集団、己の主義主張を掲げるテロ組織、研究の為には犠牲を厭わない研究機関、己の欲望のままに能力を使おうという集団などがある。


1.3『用語集』


『カルマ-karma-』


所謂、ラノベで言うところの異能や特殊能力、超能力の総称。0と10^-41秒までの時間を観測する事で物理法則の及ばない隙間に通常法則に代わる新たな法則を発生させ、己の周囲に極小規模の新たな世界を確立する極めて世界によろしくない力。この法則そのものがkarmaと呼ばれ、人類が社会の中で築いて来た法則上、予定調和であるはずの事象や概念までもが書き換わる。


『ディスコーダー-DisCoder-』


karmaによって覚醒した者、異なる法則を用いる者をこう呼ぶ。ディスコーダーとは呼んで時の如く。違う命令(ほうそく)を世界へ奔らせる人物なのである。これらの異能者達は人類史において偉人や超人や聖人や英雄等々の名前で呼ばれている事が一部確認されており、全員が全員ではないにしてもかなり高い確率で異能者であった可能性を有している。ただ、現在のディスコーダーは世界的に見れば、人間兵器、もしくはテロリスト予備軍、あるいは陰謀論者の妄想そのものの具現、または世界を滅ぼす者、変革する者……そして、最後に社会の異物、というのが事実を知る者達の大半の考えである。


『オーダースキル-OrderSkill-』


個人がkarmaによって齎した法則の具現、事象や概念の変化をOrderと呼び、そのOrderによる9つの分野の事象改変、概念改変後の具体的な効果に付いてOrderSkillと呼ぶ。このオーダースキルはメインオーダー-MainOrder-とサブオーダー-SubOrder-に分かれている。これらの能力の保有者にはオーダーに指定された数の概念による因果が付き纏う。これは一種の異法則の発露の一つであると研究をする向きもあるが、実際にはどのような因果関係があるかは不明。ただ、その番号が彼らの人生には付いて回り、実際統計的に《《確実に引き起こされている》》事は研究結果として関係者に公表されている。


『メインオーダー-MainOrder-』


MainOrderの主流派研究における定義は“物理的に有り得ない事象”もしくは“物理的に極めて成立し難い事象を容易に引き起こす能力”という大抵、傍目には完全な異能力である。このOrderSkillには五つのカテゴリがある。


超越せし能力(ESP)


メインにおいて最大にして最強と謳われる万人が万人こうであろうと考える超能力。指定数は1。最も近代で研究が盛んであったOrderでもある。このメインオーダーを持つ者は今現在、超能力と呼ばれている大抵の能力を持つ事が可能であるとされているが、この力を高位の次元で確立し、運用する人材は一握りである。その理由は使えば使うほどに力が肥大し、比例してその制御が難しくなり、最終的に制御不能に陥って自らの超能力の限界を超えた暴走で破滅する事が大半だからだ。ただ、個人の資質が極めて大きく成長に作用する為、必ずしもその例が全てではない。大抵の能力者は己の大器晩成や自滅を待つような時間を所属組織から与えられる前に先兵として使い潰されるのもザラだ。今でも第二次大戦期から生き残るメインにESPを持つDisCoder……要は老人などが山奥で自爆したり、行方不明となって海上で死体となって発見されるなど、迷惑を掛けない暴走で自殺を選ぶ者が後を絶たない。karma関連業界においてはこれが社会問題となっている。安穏として暮らしてこれた者ですら最後の最後でそのような終わりを選ぶしかないというのは人生を悲観して無軌道な行動へと奔らせる動機に成り得るからだ。だが、このような試練を潜り抜けて成長を続け、制御を可能とした本当の『兆能力者』と揶揄されるESPは大国の持つ核以上の力をその身に宿す最終兵器の名を欲しいままとする。


虚構なる科学(SF)


メインの中でも現代においてkarma研究の最も盛んなのがこのOrderである。指定数は3。この異能に目覚めた者は独自の理論に従って、何かを創る事を信条としている者が大半であり、それが物理法則環境下では絶対に作用もしなければ、起動すらしない代物としてこの世界に産声を上げる。例えば“光線銃のようなもの”が物理的にまったく証明もされていなければ、この材料で絶対に作れるわけもない、という素材と加工とでそれっぽい形になってSFの手で生み出されたとする。他人がそれを撃っても、決して光線銃のような相手を殺傷出来る現象を発生させる効果は出ない。だが、このSFをメインとして保持する者はその効果が出る。これは法則が違うだけではなく。異なる法則下ではソレが正解であるという証左ともなる。単なる紙にインクで文字を入れるだけでフィクションの世界にあるような結界を生むお札だって作れるし、SFの技術で強化した弾丸ならば、それが豆鉄砲のような拳銃で撃たれる代物でも容易く戦車の装甲を貫通するのである。このような個人の世界を構築する異法則下で生み出され、その手を離れても脅威となる力ならば、猛威を振るうのも頷けるはずだ。そういう疑似科学こそがSFの真骨頂である。巨大なエネルギーを生み出す内燃機関、太陽に突っ込んでも融けない装甲、などのような非常識が通常の法則下でも生み出せたならば、これはそれだけで莫大な富を生むだろう。研究は遅々としているが、確かに成果は出ており、それらの研究の精粋は企業体が好んで膨大なパテント料を支払いながら自らの商品などに応用している。そんな彼らの大家は『ザ・マッド』等と呼ばれる完全無欠のクレイジー・サイコパスとして他のDisCoderから限界を超えて畏れられている。いや、だって、生きたままスライムやお人形にされたくはない……誰だろうと。


万軍の兵器(MW)


メインにおいて最も旧い時代から運用されていたと思われるのがこのOrderである。指定数は5。この力は超人的な働きをした兵士などが物理的におかしな数値を様々な検査で出している事から発覚した。旧くは神話などに語られる神々の原型、古代でならば、英雄と呼ばれる者達の中でも特に武勇に優れた人間はこのメインを持っていただろう。このOrderは見せ掛け上は超人的な兵士という存在を肯定するだけの能力と長年理解されてきたが、第二次大戦期からは世界規模で《《兵士に付随する事象そのもの》》が極めて物理的な限界から解き放たれている事が確認された。例えば、見ずに撃っても必ず当たる銃弾、投擲で航空機を落す手榴弾、兵士を絶対に避けて通る敵の弾丸、死んでいなければおかしい長期間の潜水行動、無傷で次の行動へと移れる人間には不可能なアクション、死んでも蘇るタフさ、レーダーを上回る勘の良さ……要はまるでハリウッド映画に出て来る主人公のような立ち回りをやってのける兵士の周辺環境。これこそが彼らにとって万軍にも勝る武器なのである。このメインを持つ兵が同階梯で同じ戦場に二人切りならば、彼らの周囲はDisCoder以外死に尽くして、しかし……彼らだけは生き残るという結果になるだろう。容易に戦場の死神だとか、味方からすら畏れられる徒名を付けられる事態は彼らにとって日常のいつもの事で済まされる恒例行事だ。戦場での詳細な観測が出来ていない司令部などが彼らの力で戦況を誤認し、無理な計画や作戦を発令する事もある。これらの原因から第二次大戦では各国が投入したこのメインを持つ者のせいで戦死者が過大に積み上がったのではないか、という疑惑すら出ている。『死すら寄ってこない奴ら』とは彼らの別名である。


冗談のような喜劇(JC)


メインにおける最も警戒されるべき存在であり、最も敵に回してはいけないOrderこそ、このJCである。指定数は7。傍目には一般人にしか思えない人々が持っている事も多い、最も発見し難い能力として現在でも判定には極めて慎重な行動が必要とされる。このメインを持つDisCoderは……冗談のようであるが、如何なる状況や事象を前にしても単なる幸運や偶然によって助かった、という見せ掛け上の結果を現実に提示してくるのが常だ。MWが戦う兵士の超人的な肉体や周辺環境の操作による力だとするなら、このJCはその後者の力を極大化したような代物であると解釈される。例えば、このメインを持つ者が銃弾を受ける場合、偶然にも通り掛かった野鳥が代わりに撃たれる、等というのは日常茶飯事の序の口に過ぎない。動物一匹味方一人すらいない荒野で縛られて目隠しをされてマシンガンでハチの巣にされそうになったとしても、このメインを持つDisCoderは敵が同じDiscoderでなければ、死ぬ可能性は無い。能力者自体が極めて頑強ではあるのだが、それに輪を掛けてJCは周辺環境が死から彼らを遠ざける。その時、不思議な事が起こった、としか形容出来ないあらゆる事象が巻き起こり、結果的に彼らは助かるのだ。それは突如として地震が起こったり、不良品の弾丸が暴発したり、射手が心臓発作で死んだり、小さな隕石に当たって弾け散ったり、唐突に突入してきた関係ない武装集団の抗争の流れ弾で頭を打ち抜かれたりする事を示している。偶然、あるいは必然。とにかく、その場所に何故かDisCoderに《《都合の良い事象》》が降り注ぐのは正しく喜劇か悲劇か。勿論、巨大な戦車が敵の上に降って来るかもしれないし、豆腐の角や降って来たUFOに頭をブツけて死んでしまう事も有り得る。総じて、彼らを知る人々は口を揃える。『関わってはいけない……“不幸を呼ぶもの”とは……』と。


政治による解決(GN)


メインにおいて個人的な能力において最弱とされ、異能力とすら一見して分からない者が多い事こそ、このDiscoderの特徴である。指定数は9。この能力は多くの場合、人心掌握や自身の社会的地位以上の要求を如何なる組織や社会も問わずに呑み込ませ、それを押し通すという……簡単に言えば、通常では考えられないような扇動を行う事が出来る能力、と解釈される。これだけを見れば、大抵それはカリスマなのでは?という話で済ませられるが、GNはこの能力が薬物や暗示以上の効果を発揮する洗脳とほぼ同義であり、他人の意識や記憶にまで手を伸ばして無理やり変化させる事すら可能な事が確認されている。また、自身が長く接する集団や組織に対して常識的に考えて、オカシイとしか言えない物理限界を超えた能力強化を施せたり、外部組織から普通なら不可能な妥協や打算を引き出せもする。だが、最も彼らが畏れられるのは物理法則を超えるような現象を意図してKarmaによって引き出さない限り、誰にも察知されない。という隠密性と本人の資質次第では限界無くあらゆる権力を己に集約し、大規模に兵隊を集められ、その装備すら元手が無くとも揃えられる可能性がある、というところにある。このGNの超高位階梯にある者の力は『あなたが持ってる核ボタン』と揶揄され、それは同時に事実である。このせいで核のボタンを持っている大統領には必ず数人の正体不明の高階梯GNが友人として存在する、という調査結果も出ている。JCが敵に回してはいけない人々ならば、GNは関わってはいけない人物の代表格として語られる。特に途上国などの人材がこの能力を持っている場合、先進国のkarma関連の国家機関には要注意人物としてマークされ、テロリストなどであれば、即時殺害許可が出るような危険な存在でもある。


『サブオーダー-SubOrder-』


SubOrderの主流派研究における定義は“物理的に有り得る結果を含有する通常法則下の事象と見分けが付き難い非物理事象”とされる。その事象形態は生物の根本的な部分、本能などに根差したものが多く、コレらがMainOrderの能力に加味される事でDisCoderは通常では考えられないような現象を拡大強化させる。ただ、このような能力を僅かに持った人物も覚醒者には幾らか含まれており、そういった人々はあらゆる組織に認知される事もなく一般人として暮らす事も可能であったりする。優秀な人材をよくよく検査してみたら、サブオーダーのみを極僅かに持った覚醒者モドキだった、というのは世界規模で現在起こっている一般的なDisCoderになる可能性を秘めた人材の発見事例なのである。こういったオーダーを僅かに持っている人々の中から力の強い人物達が選出され、人材アイテムと呼ばれてkarma業界では大勢が働いている。


攻勢衝動(AI)


4つあるサブの中で攻撃型のDisCoderは必ずコレを持っている。この能力は根本的に他者との競合において勝つ事を目的に様々な事象を大げさに物理限界を超えて強化する事で認識される。ただ、目に見える強化だけではなく、見えない強化の方も極めて厄介である。攻撃の手数が倍化する、具体的には撃った銃弾や投げたナイフが増えるなどの因果関係や物理法則を無視した強化、肉体の根本的な能力を底上げ、自分の使う兵器や武器の原子、分子組成が変化するなどの物質的に働く強化、などがある。このようなものは確認が比較的簡単な事象であるが、自分の精神や自我、意識を攻撃向きに変容強化したり、そもそも強化する対象が法則や概念などにまで及ぶ事すらある。概念などが攻撃用に変化させられた場合、エントロピーに関連する法則が働いていなかったり、無視された事象が巻き起こる事もあり、その限界が何処にあるかも定かではない。文字通りの《《無限の力》》が個人によって発生させられる可能性すら否定出来ないとされ、攻撃型のDisCoderの最終到達する領域は惑星規模での事象への攻撃的変容介入を可能とする、と現代の研究では予測されている。


防衛本能(DI)


サブの中でも防御に優れた者はこの能力を保持する。根本的にはAIとほぼ同様のプロセスを経て事象へと介入するが、性質的に他者から守られる、他者を守る、自分を守るという外界向きに指向される効果が非常に多く、これは後述されるSDと似通った共通点として認識される。無論、内面的な強化が人体の物理強度を世界最高硬度の合金よりも堅くする、というような場合もあるが、AIよりも外側に対しての干渉が強まる結果、ある程度の高階梯能力者が防御を全力で展開する時、時空間の断絶、歪曲、捻じれ、次元的に隔絶された空間、周辺環境物質の変質で通常では有り得ない領域へ変貌させる異界化など、物理、非物理を含め、効果は多岐に渡る。研究対象としてはAIなどよりも余程に研究成果が有用な事も多い。特にESPとJCをDIと組み合わせたDisCoderなどは正しく己に有利な環境や空間を生み出す事で下手なAIよりも強力な周辺領域の改変で人体に著しく有害な広範囲への攻勢防御を行う。その理不尽さは戦車砲やロケット砲、地対地、空対地ミサイルの雨すらも防ぎ切り、事実上核並みの威力が無ければ、突破する事も敵わず。核すらも事実上は無用の長物にするような、超絶の防御力を誇る高位階梯者すらもいるという。これら以外の通常のDisCoderは時に銃弾一発、ナイフ一本でも相手が能力者ならば死ねる可能性があり、攻撃型能力者はある一定水準以上の能力を保持しない限り、防御型能力者に翻弄される運命である。


援護要望(SD)


サブにおいてAI、DIと共に戦闘骨子の基本構造、攻撃・防御・援護のトライアングルを形成するオーダーがこのSDである。前述の多くのOrderと同じく根本的には同様のプロセスを経るが、防御型と同じ外界に作用する事が多い。自他の傷を細胞単位で再生、修復、復元、更に血液を何もない場所から生んで体内に補填、他の能力を底上げ、変容、更に強化、強化の加減によっては攻撃が時空間や次元を切り裂くとか、物質を完全消失させるとか、物質が完全な未知の物質へ置き換わる等々。他の二つに比べてもかなりの割合で研究の成果が出し易いと重宝されている。特に傷病の治癒に関連する能力は物理法則下でならば、毒素の排出やウィルスの抗体による排除、細胞分裂の促進、細胞分裂限界の底上げ、と……人類の医療技術の進展に極めて有用に見える効果が多い。これ以外にも能力には自他の生物としての進化、細胞の進化、脳の未知の機能の開放、処理能力の向上、物理的な代物だけではなく意識や精神に対する極めて有用な状態を保つ作用を連続的に発生させる、等……諸々を上げれば、一番人類に取っ付きやすく研究として有益なものが山となっている。なので、このOrderを持つ者自体が研究者であったり、自分を被検体にして研究していたりする場合が多く。各国で最も人材として欲され、集められているのがこのSDである。ただ、その有用性故に攻撃的な能力を持たなければ、誘拐や拉致の対象に成り易く。途上国や中進国などでは研究材料などとして取引されている現実もあり、最も庇護されるべき存在でもある。総じて先進国以外では非人道的な扱いを受けて、歪んだ精神や性格が難であるという評価を受ける者が多い。正しく名前通り、援護を要望する者達と言えるだろう。


日常回帰(ET)


このサブは根本的には他のサブと違い。物理事象を超越した現象を引き起こすというよりはそれを修復する能力として認識される。また、研究の対象にはなるが、能力特性が金になるようなものではない事が多い為、最も俗物的な利益からは程遠いとして研究者は世界規模でも限られている。この力は相手を攻撃したり、防御したり、援護したりという使い方は出来ず、ただただ当人の能力の中でも日常的な部分を保護する為に大きな役割を果たすのが専らとされる。具体的な例として最も普遍的な力は自身及び周囲のKarma関連の情報を隠蔽する、というものである。ただ、この隠蔽に関する能力は多岐に渡り、Karma関連の事象がこのET保有者の半径○○○○m内なら見えない、聞こえない、五感で感じられないという程度のものから、物理的に隔絶された空間が偶然に見せ掛けられた能力による必然で発生する、というものまである。高位階梯に到達すると、そもそも空間そのものが周辺区画と繋がらなくなる、別次元に飛ぶ、もしくは別次元そのものが周囲の世界に被るように発生するという事もあり、とにかくDisCoderの日常的な生活と能力者としての領分を区切るのが最も大きな効果として理解される。これ以外には能力の使用によって変動して残された各種の物理法則下で存在してはいけない事象や概念や物質の自然崩壊やそういった代物で破壊されたものを修復、DisCoder以外の記憶を改竄、消去するという効果も確認されている。この能力無しにDisCoderは社会的なバックアップがあってすら、これらの事実を知りもしない一般人に全て隠し通す事は不可能であろう。異常な出来事の全てを《《無かったこと》》にして日常へと帰還する為の能力。それがETであり、この能力を保持する者がいない場合、機関や組織所属のDisCoderは大抵戦闘を禁じられたり、制限される事が先進国では常である。この能力はDisCoder関連の研究や一般市民への情報統制においてなくてはならないものであり、報道管制を敷く国家などは報道機関そのものにこれらの能力を持つ者達を複数潜入させている。また、このサブを持たないDisCoderは総じて一般的な社会集団から異分子として見られる傾向が強く、排除の対象になりがちであり、家系的にDisCoderが生まれ易いような血統ではなく、突然変異型の覚醒で目覚める者は家族的にも恵まれない、もしくは関係が崩壊する、もうしている場合が多い。ただ、救いなのは他のOrderと違い、このサブのみ自らの意志で少しずつ自律的に能力を伸ばす事が出来るという事であろう。その代償は自分の持っている本来の別オーダーの消去であるので戦力的には惜しいという組織もある。しかし、大抵のKarma関連組織では内勤や研究職のDisCoder達にまずこの技能を伸ばすよう訓練する事が奨励されている。また、この能力を取る場合、能力の成長が早いという研究結果が公表されており、各国では速成方法の一つとして考えられている。


『スペリオルオーダー-SuperiorOrder-』


持っているOrderやその能力、様々な経験や現在の肉体の状況など、諸要因でDisCoderは通常のMain/Subに当て嵌まらないOrderSkillの能力を手に入れる事がある。これがSuperiorOrderである。この能力を解明するべく。その能力を手にしているDisCoderが次々に研究されたが、不意に力を失う者や逆に能力が強化され過ぎて自滅する者など不安定な力である事も確認された。これらの条件の一部には日常的なレベルでの出来事も含まれていると推測する学者達もいる。だが、世界的に重点的な研究課題にも関わらず未だ定かになった事は少ない。ただ、これらの力は通常のOrderとは違って、一つのOrderで一つの能力しか有せず、Mainとして扱えるような代物ではないと結論付けられた。だが、これが新しいMainOrderになる可能性を秘めた能力の萌芽……次なる世代に繋がる可能性が引き出された結果ではないかと推測する向きもある。このオーダーは二区分五別四部の内に入らず、数字も割り振られていない。この能力がもしも本格的にMainOrderとして到来する日が来たならば、その時にこそ当て嵌まる数字が解明されるに違いないと研究者達は今も実験を続けている。略称はSO。


『ヒストール-Histool-』


特殊装備とも呼ばれる概念であり、SOの覚醒に深く関与している。物である事もあれば、何かしらの体験や自身の状態である事もあり、その大半は一度手に入れてしまったら、自身で解除出来ない。物であれば、それを捨てる事が精神的に出来ないだとか、捨てても戻って来る、破壊しても自身の能力そのものによって何故か元に戻る、などの状況が確認されている。経験や状態などにしてもソレを元に戻す事はほぼ不可能。外す方法は三つしかない。それは外す方法が見つかっており、その方法を実戦するか、あるいは手に入れた特殊装備を特定の方法【ARアポトーシス・リチューニング】と呼ばれる能力の封印技術で破壊するか、一部のエネミーと呼ばれる適正存在から乱暴に攻撃によって破壊されるかである。これらの事からDisCoder達は今まで自分達で積み重ねて来た時間や資産をこう呼ぶ。熟練のkarma能力者達はソレを新規の能力者が手に入れた時、その事実を直感的に感じ取る事が出来る。この時『それはお前のヒストールだ』と伝える事が習わしとなっている。


『オーダースタイル-OrderStyle-』


オーダースタイルとはDisCoderが覚醒時、どのようなOrderSkill構成となったかを顕すものである。大抵は厳密に調べなければ詳しいところは分からない。ただ、覚醒時に決まった構成は容易に覆るものではなく。大抵はその構成を維持したまま成長が続けられる。唯一、ETのみは最初に持っていない構成でも、少しずつ後から上げられる事が確認されているが、その他のオーダーの変化は本人の資質と努力、それから彼らが戦い続けた先でその機会を得るかどうかという運任せなところがある。またETを後から取る場合、それ以外のオーダーを一つ削る事となる。根本的にOrderSkillはMain/Subを合計で一人3つまでしか取る事が出来ない。四つ目を取ろうという研究は行われているが、それはメインにもサブにも数えられない単発の能力しかなく再現性が低い不安定なSO(スペリオルオーダー)のみに限られる。通常、スタイルは以下の四つのどれかに集約される。メイン1、サブ2のピュア。メイン2、サブ1のミクス、メイン3のキマイラ、サブ3のモブである。未だSOのみで最初期に覚醒した事例は無く。これを研究者達は第六の未知なるMainOrderになる可能性『エックス・オーダー-XOrder-』と呼んでいる。


『ピュア-Pure-』


MainOrder一筋でSubOrderを二つ取り扱うこのスタイルはピュアにしか扱えない強力な能力を習得する事が出来る。ETを選ばないならば、万能型に近くなり、ETを取るならば、Mainと他のSubを極めるマイスターとして成長速度は更に増し、早期戦力化が見込める。ただ、一芸特化のDisCoderは他のメインやサブを持つ者が傍にいなければ、広範な案件に対処出来ない事が多い為、大抵このタイプは本当にそのメインの資質を努力で極められる者、もしくはETを取る事を進められた者がなる。ミクスが本来のメインオーダーを一つ手放し、内勤や研究職、実働部隊のサポートも出来る裏方に回るという事も多い。だが、それは裏を返せば、いつでもそういった人材を早期戦力化出来るという事であり、各国ではこのようなピュアな人材を組織内にプールしておく事がkarma能力関連機関における運営の基礎となっている。


『ミクス-Mix-』


MainOrderを二つ、SubOrderを一つというこのスタイルは二つのMainを使いこなすのに極めてセンスがいる中級者向けの構成となっている。が、ピュアよりも万能な広範の事件に対処出来る極めてバランスの取れたスタイルでもある。ETを取ったとしても、ピュアのETを使う者に成長速度で劣る為、殆どの者は成長が遅くても戦闘用サブを用いて、メインを最大限に生かす構成とする事が大半である。このミクス構成の面白いところはピュアのような専用能力を扱えない代わりに通常よりも能力そのものが増大するところにある。成長の遅さを補って余りある力として周囲に同じメインが存在すれば、同系統の数で威力に補正が発生する事が最大の特徴であろうか。これは同系統の法則を伴った個人間の世界が互いに重なり、更に強固な法則として作用するからであろうと推測されている。このような現象は共鳴レゾナンスと呼ばれており、部隊運用では同系統能力を持つMixを纏めて運用しているところが多い。


『キマイラ-Chimaira-』


MainOrderを三つというこのスタイルは殆ど選ぶ者……いや、発現する者も稀な特異的スタイルとして畏れられている。このスタイルで覚醒したDiscoderは同メインオーダーを使用する能力者が味方として傍にいれば、あるいは敵対者にいれば、絶対的な優位を確立するからである。具体的には自身と同じオーダーに呼応してRDが倍化する。これはMixと同様の共鳴が三つのメインが同一人物によって操られている事により、更なる効果を発揮した一例である。しかし、キマイラ同士がタッグを組んでいたとしても2倍以上にはならず、各種のSubを自身で使えない事も手伝って、極めて偏重した運用が求められる。キマイラは存在自体が抑止力として働く為、各支部の最大戦力として大抵支部から動かない。ただし、2人居なければ、5つのメインをカバー出来ない為、支部は高階梯キマイラ人材を常に欲している。また、彼らにはサブ持ちが複数人付けられ、護衛に当たる事も手伝い、さながら最後の壁もしくは移動要塞とすら形容される。キマイラに覚醒する確率は極めて低く、また他のオーダーから変更してキマイラになれる確率は更に低い。本当の意味でのレアな人材であり、全ての支部に存在するわけではない。彼らは同じメインを持たない相手に対しては時に酷く脆弱であり、基本的に個人戦闘には向かないとされる。また、キマイラは生い立ち的に殆どの人物が家庭的に破綻した家で育った経験を持ち、多くが人格的、精神的な不安要素を抱えている為、精神衛生……カウンセリングなどのケアを行う人員がセットで配備されていないと人材としてパフォーマンスを発揮出来ない。最後に記しておかねばならない事は彼らの能力には一つの精神的な制約が存在し、その制約が外れた時、彼ら自身の中に眠っている力は喚起され、通常とは隔絶した能力の向上現象が発現するという事だ。この事実を知るDisCoderは多くないが、それを知っている高位階梯者は彼らキマイラに喧嘩を売ろうという無智な同僚や部下を諫めるのが普通である。誰だとて能力がいきなり二倍になった神に等しき者達と戦いたくなどない。


『モブ-Mob-』


SubOrder3つというこの構成は極めて珍しい代物としてキマイラよりも低い確率でしか覚醒時に発現する可能性は無い。ただし、ピュアのスタイルの人材が自身の持つメインをETに変更するというのであれば、普通になる事は出来る。メインを持たないこの構成は見掛け上はMWの超人的な力と見分けが付かない場合が多々ある。だが、MWのような周辺環境への干渉や武器の性質を変容させるような外部への非物理現象の顕現が大半制限されてしまっており、高度な訓練を受けて経験を積んだ人間程度の能力しか発揮出来ない。有史以来現在までの記録においてコレであると確認出来る偉人は殆ど居らず。近代では記録こそ確認出来るものの高度に完成された人格や精神性を兼ね備えた優秀な人物でこそあるが、karma能力者としてはパッとしないという評価に落ち着いていた。これが20年程前から変わり始めたのは対karma能力者に関連する技術革新が進んだからである。人類の科学技術がkarmaに関して理解を深めるに連れて、karmaの制御や防止用の技術開発が進んだ。karma関連の技術で最も大きな進展は人類以外の事象に特定のkarmaに関連する現象や法則を封じ込める事が可能になった事であった。物品に対して古くから行われていたkarmaの封じ込めが一部SFによる疑似科学の助けを借りて技術化され、その技術は世界中に拡散。対karma能力者用の一般人向けの装備が着々と開発されたのである。これらはkarma能力者に一定の効果を上げたが、karma能力者達自身に対して大きな悪影響を及ぼした。結果として能力者は対karma能力者用装備を使えなかった。これらの対karma能力者用の装備はそれを使われる当人達が使える代物ではないと分かった後、戦力の増強が出来るのではと期待していた研究者達に肩を落とさせた。だが、使えなくなったと思われていた武装を使いこなす能力者が顕れた。それがMobと呼ばれる者達であった。彼らのみが例外的にそれらの装備を全て使える事が判明した結果、一気にその需要は高まり、強力なメインを持つ危険な能力者達に対する切り札として投入されるようになったのである。


『リソース・ダイス(RD)』


誰が言い出したのか。この世界にはまるで魔法使いが使う魔力のようなものが存在する……実際に近現代に至るKarma能力研究では様々な呼ばれ方をした。古典科学の時代にはエーテルと呼ばれ、この世に満ちているものではないかとも想定された。更に古い時代ならば、気や神力とも称された。だが、表側の現代科学が全てを否定しても未だその実存はkarma研究者達によって確認され続けている。それが今やKarma能力者関連の技術によって人間の知覚以外でも測定出来るようになった事は大きな進歩だろう。名付けられたリソースという身も蓋もない最初期の名称は2000年代に入ってから後ろにダイスの名が冠されるようになった。これはkarma能力者達の能力が無から有を生み出す程のものであり、まるでダイスを振って不用意に大きな数字を叩き出すような、そんな気安さで現代兵器を超える力が《《突如として発生する》》からである。特にキマイラ関連の研究が僅かながらも進みつつある近年、その特定の相手に対してRDが倍化する現象は指定数1のESPと9のGNのみに許された禁断の力、空是式と呼ばれるものと根本を同義にするのではないかとの推測が立てられている。このRDと名付けられたKarma能力者達に付随する力は今も様々な集団の間で其々の名前で呼ばれながら、さながら通貨のように取引され、実際に能力者間ではKarma関連の品を扱う時に両者の合意によって受け渡しが為されている。ただ、それが目に見える事は無く。通常機器による光学的な観測は不可能である事からまるで価値そのものを無理やり創作しているような、古から伝わる電子暗号通貨のようではないかとも研究者達の間では考えられている。これが発生する原理は未だに解明されておらず、基本的には人間の感情や精神の高揚などがkarmaと結び付いて取得される事が確認されている。つまり、Discoderが心を動かされたりする時に生成されるようだ。これを大量に持つ者はそれだけでkarma能力者として莫大な力を手にし、karma能力者同士の感応によって感じられる気配が強くなる。強さの基準として保持数の自己申告制度がある組織もある。ただ、このRDは人間の能力者のみならず別の知的生命や器物に宿ったり、付与したりも出来る事が確認されており、その科学的な解明がkarma研究において次の時代の到来を告げるターニングポイントになると囁かれている。またRDを持つ者同士の感応はコミュニケーション能力にも影響を及ぼしており、言語を超えて相手があたかも自国語を話しているかのように錯覚する程、他者と細かな会話が可能な事から、誤解無く分かり合う一種の意志疎通ツールとしての面も注目されていて、研究が進められている。karma能力者は祖国の言語の違いによってコミュニケーションを阻害される事はなく、あらゆる情報をそれを知っているならば、自動で翻訳してくれる機能を頭の中に持っていると解釈してよい。


『二区分五別四部』


メインとサブの二区分、メイン五つ、サブ四つ、これらを言い表す言葉であり、旧陸軍での呼び方が現在も高齢のDisCoderなどには使われている。SOはこの範疇に無い為、入っていないが、将来的には二区分六別四部になるとも囁かれている。


『国際組織ARTER(アルター)


西側諸国が始めたkarma能力者版の西側の軍事同盟。要はNATOである。様々な西側諸国の要望に応える形で軍事と治安維持に協力しているが、その内実は大半が欧米のkarma関連の軍事戦力化プランを推し進める実働部隊、実験部隊、現地開発する研究者集団の寄せ集めと解釈される。その為、先進装備が惜しみなく投入され、各国へ秘密裏に配備された戦力はその国家の手に余る能力者の狩り出しや捕縛を担っている。危ない研究が一部では行われており、かなりの危険思想を持ったDisCoderや死刑確実な捕虜などを使った人体実験が主である。ただ、罪を犯した者でも情状酌量の余地が認められていたりする者や若年層を今現在はほぼ使う事はなく、倫理コードが表向きは徹底されている。研究成果は常に米国にフィードバックされ、そこから同盟国に技術が流れている為、これらの事実に多くの国は目を瞑っている。日本は米国との先進研究が打ち切った為に参加しておらず、国内に人員そのものは1旅団規模でいるが、国家間の駆け引きの種としてあまり身動きが取れない状態で米軍基地などにひっそり駐在している事が大半である。彼らは日本政府から公式に《《我々の神処では手に負えない》》という敗北宣言が出されない限りは公的に助勢や助力に出動する事が無い。それ以外では主に諜報活動に重きを置いて敵対組織との抗争を裏で進めているが、これらも大半は控えめなものである。だが、本国と同レベルの部隊が駐留している為、大規模な動員で一度動き出せば、単独の高位階梯能力者程度では彼らの前に膝を屈するのが確実である。ただ、中隊規模で十個師団相当の戦力を有すると専ら噂される彼らの大半は表向きは米軍関連の軍属として働き、常の業務では中隊規模以上に集合する事が制限されている。総員招集されない限りは国内で活動する個人能力者、又は日本文化を嗜む外人集団に過ぎない、という極めて政治的な配慮の為された報告書が内閣には提出されているという。


『総合国際研究機関NAMED(ネームド)


東側諸国、主に共産圏や元共産圏と独裁国家やユーラシア大陸の独自研究を続ける国々が集うARTERに対抗して生み出された組織。盟主は旧ソ連の衛星国の一つであるが、それが実際には現ロシアのカバーである事は公然の秘密である。内部では統制されていない部隊や研究施設が寄り集まっている感が強く。ロシア系と中華系の二派閥が最大の出資者であり、勢力である。その内実はARTERよりもかなり胡散臭く、組織内での権力闘争で力が削がれている面がある。だが、その研究はARTERも及ばないような領域の分野が一部存在し、それらは完全に人体実験による成果であって、倫理コードが行き渡っているARTERは追い付くのに苦労しているという。内戦を抱えるユーラシアの国々は多く。犯罪者やならず者、テロリスト、それを駆逐する小国の政府軍、ゲリラ、少数民族、様々な相手に技術の一部を売ってはテストさせ、研究データを本国にフィードバックするというのが主な活動である。そのカバーはPMCから武器商人、東側の食物メジャーや医療製薬会社、軍需産業などが使われ、幅広い分野で非合法活動を繰り広げている。ただ、一枚岩とは程遠い内情のせいか。独立する組織や勢力、逃げ出す研究者や個人などが多く。それらを粛清する風紀部隊とは名ばかりの督戦部隊や事実上の政治将校が幅を利かせていたり、二大派閥から組織の変質を避ける為に監視役の暗部が送られてくるなど、混沌とした様相を呈している。しかし、それでも非合法研究から来る高度な技術も魅力的な代物である為、接触する権力者や投資家は後を絶たない。近年は二人の指導者を頂く事でユーラシアの南と北で棲み分けが起こっており、一つの組織ながらもその趣は勢力圏がどちらかで異なる。南は中華系が仕切っている為か、技術力は低いが、価格的な折り合いが付けば、比較的安価に仕事を引き受けてくれる兵器の元売りやパトロンとして、北は技術力は高いが倫理や規律に煩い少し取っ付き難いが極めて優秀な軍団や研究相手として、小国相手などの取引では主にロシア系が信用されており、小規模な集団に対しては南の中華系が優位を握っている。


『国家機関-神処(カンドコロ)-』


日本政府が組織した対karma能力者機関。前身組織は国立中央カルマ研究所。通称コウカケン。この研究所はkarma能力者の大量発生の原因研究の一端を担っていたが、能力者の大量覚醒以後、海外との共同研究を凍結。現在は独自に国内で発生した能力者に対し、有効なkarma関連技術の開発に尽力している。コウカケンそのものは戦前の陸軍におけるkarma研究機関が戦後にGHQに接収後、米国の下請け的な道を歩んだ創立150年程の歴史ある研究所であった。明治期には殆どkarmaの概略を独自の方法論で一部解明しており、その名残で時代背景的にカタカナの横文字になっていった欧米の専門用語は大抵、日本語で先に専門用語が存在していたという程に進んだ研究をしていた。現在の神処はその流れを汲んでこそいるが、戦前から携わる家や研究者の流れを組む者は少数で新規登用された者達が大半を占める独立行政法人となっている。表向きはDisCoderの管理の為に医療研究機関をしており、傘下に小規模な製薬会社と装備品を調達する開発部門である部品製造業をしている企業を複数社持つ。DisCoder関連の予算は表向き社会福祉費用として厚労省管轄で受け渡され、もう一つの軍事予算と呼ばれる程度の規模を有し、兆円単位が機関に流れている。その3割程が所属するDisCoder達の給金や治療費、教育費、諸経費として支払われているので、待遇は他の組織とは天地の差とされる。それと言うのもDisCoderの遺伝情報や生態情報は国家機密に属する為、下手な機関に下請けなど任せられない重要情報であり、その管理研究は正しく国家規模の事業規模でしか無し得ないものだからである。ただ、自衛隊予算にも匹敵する規模の資金が一つの機関に流れているという事実を知ろうとする者はそれがジャーナリストであれ、単なるハッカーであれ、敵国のスパイであれ、日本国内で忽然と行方不明になる事だけは確かである。その設立経緯から多国間の研究には消極的で欧米からのオファーは蹴り続け、国際的な共同研究の潮流から孤立しつつある。しかし、それでも独自の技術力と知識は一国で複数の大国の追従を許さず。共同で対処しなければならないような案件と判断された時のみ、他国へ技術供与する事がある。理事会は魔窟と呼ばれて久しいが、滅多に招集されない為、通常シフトで運営されている時は常任理事が一人で大抵執務している。厚労省や経産省、文部科学省、防衛省からの出向組が少人数で監視役として働いているが、彼らが理事達の能力下、つまり超高位階梯のGNの洗脳下にないかどうかは省庁にも判別出来ず……事実上、機関そのものに首輪が付いているとは言い難いとされる。


共鳴レゾナンス


同型のメインを持つ者達同士の間で発生する法則の一時的な強化現象。その強化が微弱なものではなくハッキリと能力に現れるのがミクスであり、キマイラである。ただ、この現象は大規模化するものの一定以上の値、ウォールと呼ばれるラインを超えない限りは規模の拡大にブレーキが掛かり、限界が存在する。一個人が展開する極小規模の新法則影響下領域が接触する事で起こるこの事象は戦闘という極めて能力と法則が活性化、拡大、変質し得る状況の中で発現する事が多く。これを用いた個人での能力強化方法をDisCoderの一般常識で集束バレルと呼ぶ。


集束バレル


共鳴現象を個人の持つOrderのみで引き起こす事で能力を飛躍的に高めるDisCoderの一般技能。ただし、この状態は異法則環境下で精神や肉体に影響が出易く、その影響が致命的な属性を帯びるものだった場合、最悪DisCoderは暴走して命を落とす。なので、集束が可能になる程に成長するか支援で力を高められたkarma能力者でも日に何度も発動する事は出来ない。精々が自身の持つ能力と同数くらいまでである。限界以上に発動しようという事も極めて稀である。ただ、その強化は自分の能力限界を大幅に超える事象、出力として顕現する為、低階梯の者達でも誰かの支援で緊急避難的に発動する事はある。高位階梯者はその力を悉く集束によって発動可能であるが、能力のブレ幅が大きくなる為に低威力ながらも小刻みに共鳴現象を起こす技術である順化アダプトを使う者が多い。この技能を併用した集束は高い確率で極めて大きな出力を恒常的に得られる。


順化アダプト


共鳴現象を小規模に高い次元で引き起こす技能。DisCoderはこの技能を身に着けられる者と集束中にしか使えない者がいる。正確には割り当てられた指定数が1から6までのメインとサブを持つ者は簡単にこれらの技能を会得する事が出来るのだが、7から9でのメインとサブを持つ者は集束中にしかこの技能を使用出来ない。異法則の性質の結果であろうと言われている。低い数字のOrderを持つ者は順化によって集束程ではないにしてもかなり便利に能力を強化出来る為、低い数字のOrderを羨ましがる者もJCとGNには多い。だが、これらのDisCoderは極めて人間社会において強力で他の能力と隔絶した殆ど反則のような事象を出現させ得る為、バランスは取れていると語る研究者も多い。


『指定数0―――空是式』


この概念は基本的にESPとGNのDisCoderにしか関係ない概念であり、同時に能力者中、最も優れた存在に昇華出来る可能性を秘めた技能とも言われている。ESPとGNは時に集束中、突然に何も今まで感じられなかった力が湧き上がる感覚に襲われ、事実として強化される事がある。これは何もない無を有に変化させた事で生じるものではないかと考えられ、この事象を日本のKarma関連の古代史では空を是とする行為とされた。空は存在しない事を意味するが、それそのものを認める事で是という有を生む概念、これが空是(クゼ)である。この旧い知識では【空是式くぜしき】と呼ばれるDisCoderが生み出す事象は時に無限の力をkarma能力者に与えると伝わっており、時折そのような事象を発現しているのではないかと思われる能力者が見つかる事もある。1から9で閉じられたOrderの円環、よくDisCoderの初心者教育に使われる数の輪の絵図の頂点に、つまり9と1の中間に0の指定数が存在し、それを操れる能力者がESPとGNであるという推測が為され、これは近現代の研究において証明されている事柄でもある。もしかしたら人類は無限の力を手に入れられるかもしれない……これが世界中の研究者達が今もESPとGNを熱心に調査研究する理由でもある。この研究が正しく大規模覚醒事件を引き起こした実験と関わっているという噂もあり、日本で逸早く提唱された事から、この概念及びその反応を世界中の研究者達が【空是式《KuzeDrive》】と呼んでいる。


カミ


この世界には神と呼ばれる者達が複数存在する。しかし、それは既存の神話上の相手ではない。彼ら神の多くはこの世界における、karma能力者の成れの果てである。また、この事実は世界中のkarma関連組織の極一部の高階梯能力者しか知らない。神達は様々な能力が高次過ぎて通常の人類が現在可能とする一般的な認識能力では一切の知覚、観測が出来ない。しかし、彼らの存在する領域はこの世界と重なっており、大半はこの重なり合う世界の観測者である。だが、その枠を超えて動く事も可能であり、その視点ならば、この世界は幾度となく滅び、幾度となく時間を巻き戻され、幾度となく宇宙の終焉まで存続し、幾度となく物語を紡ぎ出し、彼らを楽しませているだろう。でも、どうやらPC達が知る《《この世界》》での神は運命という名の悲劇を所望する。この世界におけるkarma能力は無慈悲であり、karma能力者以外に真の意味で打ち破る事は出来ない。それらを使う化け物達は悲劇と喜劇と流血の中で神の操り人形として踊るのだ。この《《ゲーム》》が始まった時、既にこのストーリーを紡ぎ出す事を決定付けられた哀れな主人公(PC)達は夢の中で覚えてもいない一つの託宣を聞いているだろう。


―――存分に奢り、存分に恋し、存分に抗い、命尽きるまで踊るがいい……愛し子達、と。


PC達の真に達するべき目的はやがて辿り着く力の果てにソレと対峙する事であり、ロストは神への敗北を意味する。

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