都市伝説の処方(レシピ)
■ 都市伝説の処方
『毒夫デス*ノート』という闇サイトを見つけた。
同名の闇サイトが、都市伝説になっている。
なんでも、そのサイトの管理者は本物の死神であり、
本当に必要な者にしかそのサイトを見つけることが出来ないんだって。
所詮、都市伝説など信ずるに足りない。
偶然とはいえ、私はあっさり見つけたよ(^▽^)v
もっとも、その都市伝説にあやかった同名の紛い物かもしれないけどね。
私は、結婚3年目で倦怠期真盛りだけど、特に夫との結婚を後悔してるわけでもない。
でも、日頃の不満は溜まる一方なので、毎日ここにグチグチと書きつらねている。
そんなある日、ある一言が元で、夫への不満が頂点に達した。
だから日頃より、更にいっそう辛らつな言葉でグチグチ書いてたら、
管理人からのメッセージがあった。
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<< 秘薬のレシピ >>
Ⅰ.疑似心不全薬
○〇製薬の風邪薬○○ナールを粉末にし10mgを、・・・
○△漢方の胃腸薬×△15mg・・・・・加熱後・・・
※ 服用後、30分で、心不全に酷似した症状が現れる。
Ⅱ.食中毒風強力下剤
○△堂の強力××を砕き、100mgに、・・・加え、・・
煮沸後・・3:2の割合で・・・・・・・・・・・・・・
※ 服用後、数分で激しい便意と腹痛。24時間程度続く。
副作用なし、後遺症なし
<2つの秘薬を汝ら2人の為に。2人で2つ、選ぶのは汝ら。行うか否かも汝らの意志>
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いかにも怪しすぎるメッセージ(◎_◎;)
さすがに心不全はないなぁ・・と思いつつ読んでみると、
材料は全て、近所の薬局で手軽に手に入るものばかり。
身分証明書が必要な劇薬などではない。
これなら・・!と私は、今朝の夫の言動を思い浮かべながら「強力下剤」の制作に取り掛かった。
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数日後、結婚当初から使っているお揃いのマグカップの一つにだけ「秘薬」を数滴たらす。
そのカップを夫の前に置き、そして、もう一方を私の前に。
出勤前の食卓。
今朝の夫は、何故かとても機嫌が良い。
「俺たちもう結婚3年目だろ、今度の結婚記念日、二人で旅行でも行かないか?」
「え?!」
「海外旅行なんてどうだい? あっ!でもパスポートの期限は大丈夫かな? 調べてくれないか?」
「あっ・・は、はい!」
パスポートを取りに寝室へ向かう途中、私は自責の念に苛まれていた。
夫も、今の夫婦間のギクシャクした関係を気に病んでいたんだ!
だから夫婦旅行で、そんな状況を改善しようとしている。
なのに私は、陰湿な嫌がらせをしようとしている。情けなさで涙がにじんだ。
急がないと! 夫がカップに口を付ける前に!!
パスポートを持って、リビングに急ぐ。
夫はまだカップを手にしていない!
パスポートを夫に渡す。
夫がパスポートを見ているすきに、夫のカップと、私のカップすり替える。
間に合った!
そして私は、一気にそのカップのコーヒーを飲み干す。
私自身を罰するために。
コーヒーに違和感はない。
味も香りも・・おかしい所などない。
「秘薬」など、嘘だったのでは? と一瞬だけ思たけど・・・・・・・つぅっ!!!
私は、にこやかに夫を見送ると、急いでトイレに飛び込んだ!
(激しい腹痛は、以後、断続的に24時間続いたぁ・・;)
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夫を送り出して一時間後、リビングの電話が鳴った。
腹痛に耐えながら受話器を取ると警察だった。
「あなたの御主人が運転する車が高速道路で事故を起こし、ご主人は・・お亡くなりになりました。」
私は一瞬、その言葉が理解できなかった・・「死んだ・・て? 誰・・が?」
警察官は続けて言った。
「ただ、ブレーキ痕が有りませんでした。おそらくご主人は激突前、既に・・・・・」