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Lv99の魔物がいる異世界  作者: てすとす
序章 異世界
7/25

苦戦と石版

少し長めに書きましたが、そんなに長くないかもしれません。

それでもいい方はどうぞお読みくださいませ。

冷たい風が吹いている。その冷たさに身をよじる。どうやらいつの間にか寝ていたようだ。


土の感触に気がつき、色々と思い出してきた。

森を探検していたら、スライムに追いかけられて逃げれたのはいいけど、そのまま洞窟で寝てしまったのだ。


顔になにかが当たる。顔を上げると、タロの鼻だった。


「タロ………」


タロの後ろに誰かいる。あれは……朝に会った旅人さんだろうか。もしかして私を捜しに来たのかな。


あ、旅人さんの後ろにも……



そう思った所で頭がハッキリしてきた。

旅人さんは何かと対峙している。対峙していたのは、旅人さんよりも、遥かに大きく赤いゼリーみたいなもの。


「スラ…イム?」


森にいるスライムと全然違うスライムがそこにいた。





赤黒いスライムが落ちてきた場所には、大きい穴が出来ていて、そこに緑色の汁が残っていた。


問答無用と、赤黒いスライムはその場を跳ねまくっている。緑の方よりも好戦的なのかもしれない。


「やぁ!」


掛け声とともに、赤黒いスライムに襲いかかってみる。スライムに剣を横に向けて叩く。


ガンッ!!


ぷよぷよしている体からありえない音が鳴り響き、剣が弾かれた。

スライムは俺からの攻撃を気にせず、攻撃を仕掛けてくる。


スライムが横に跳び、木を一回転して勢いを乗せて飛んでく………





え、ちょっと待って。速くな………





俺はスライムの体当たりをモロに受け、吹っ飛んだ。

そのまま地面を転がる。



数十メートル転がってやっと止まった。口の中に土が入ってゲホゲホ咳きこむ。


どうやらスライムの狙いは俺らしく、木々をすり抜けて俺まで迫ってくる。

どうする、剣が意味ないんじゃアイツをどうやって倒せばいい……



その後の思考は、スライムが跳び上がったことでどう避けるかという思考になった。


スライムのジャンプから逃げるため、前へ転がり避けようとした。後ろから地響きと衝撃がくる。


受け身がままならないまま体勢を起こし、木の間を走る。



ヤバい、後ろの方でバキバキ聞こえる。

後ろからの恐怖に耐えながら、スライムをどうやって倒すかを考えてみる。


アイツに打撃が効かないのなら、古びた剣じゃなく、なにか斬れそうなもので攻撃するしかない。

でも斬れそうなものはこの森にあるのか分からなかった。



「旅人さん!」


声がした方を向くと、メルが大きい石を持ちながら歩いてきた。








時は少し遡る。



旅人さんが巨大なスライムに体当たりされて、飛んでっていった。

どうしよう、でもわたしが行ったって足手まといだ。


わたしが必死に考えてると、



「ヘッヘッ」


「……なにやってるの?タロ。」


タロは洞窟を掘っていた。こんなときでも遊べるなんて呑気だなぁ、そんな事を思っていると、


「あれ、なんか出てる?」


タロが掘っていたとこから、板みたいなものが見えた。わたしも一緒にそこを掘ってみる。



しばらく掘り続けていると、引っ張り出せるぐらいまで見えてきた。


掘るのをやめて、その板を強く引っ張る。

意外と簡単に取れたが、その勢いで尻もちを着いた。



取れた板を見てみる。それは板というよりは小さい石版だった。

ついている土を払うと、文字が彫られている。





異なる世界の者 封印されし剣掲げ

解放の呪文唱えしとき 剣の刃光り輝き

究極の魔の者 打ち砕かん




石版にはこんなことが彫られていた。

その下に続きがあるが、まったく知らない字が彫ってあった。


これをあの旅人さんに伝えればいいのかな。

伝えに行くため石版を持ち、外に出る。旅人さんを捜そうとするが、旅人さんがこっちに走ってくるのが見えた。


「旅人さん!」


大声で呼びかける。

すこしすると旅人さんがわたしの所まで辿り着く。


「メルちゃん、目を覚ましたんだね。」


わたしを心配してくれてるけど、旅人さんの体には擦り傷や小さな切り傷がたくさんあった。


「あのね、旅人さんにこれを……」


「石版?そんなものどこで?」


「洞窟で見つけたの。それでね、この石版にね……」


内容を言おうとしたとき、

空から大きなものが降ってきた。あの赤いスライムだ。


「…っ!メルちゃん、離れてて!」


旅人さんに言われて、わたしはその場から離れる。旅人さんが再びスライムと対峙する。

どうか負けないで、と戦いの行く末を祈る。



すると、スライムが薄く光り始めた。

スライムの下の地面に「何か」が描かれる。


さらに円の中に文字みたいなものが描かれ、「何か」が光を帯び始める。

あれは昔来た他の旅人さんもやっていたもの。

光が帯び始めると様々な現象を起こせて、大きい街の人ならみんな使えるもの。



あんまり見たことのない「何か」の正体は、「魔法陣」、つまり魔法の詠唱だった。


「旅人さん気をつけて!あれは魔法だよ!」


何も無い所から先端が鋭い岩が出てくる。

詠唱が完了し、スライムは岩を放った。




それは旅人さんの方に来ず、こちらに真っ直ぐ飛んできていた。


「ひっ………」


突然の出来事に体が動かない。


岩が目前まで迫ってきている。

怖くて目を瞑った。





少し時間が経つが何も起きなかった。


目を開ける。

岩が目の前で止まっていて、先が赤色で濡れている。





「…………ケガ…はない……か?」





旅人さんが微笑む。その表情は苦しそうだ。









わたしをかばってくれた旅人さんのお腹は、









鋭い岩に貫かれていた。

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