始まりの草原
あまりの眩しさに目を瞑ったが、大分長く目を瞑った気がする。そろそろ目を開けようかと思ったが、何故か怖さを感じた。
目を開けたら何か大変な事になりそうで……
俺は思い切って目を開けてみた。
目を開けると、そこは見渡す限りの草原だった。
「…………え?」
俺は夢でも見ているのだろうか。いきなり本が輝いて、そしたらこんな広々とした草原に立っている。
頬を引っ張ってみる。痛い。目を擦る。何も変わらない。
俺はいわゆる異世界に来たのかもしれない。
さて、異世界に来た云々よりも、ここは何処だろうか。見渡す限り草原だが、近くに街とか村がありそうだけど……
とりあえず人がいる所を探そうと歩こうとした時、
「ん?何かポケットに……」
取り出してみると、一枚の紙が折り畳まれている。開いてみると地図的な物が描かれていた。
「この黄緑色が草原か?その北には家みたいな印があるな……」
目的地は分かったのだが、どっちが北か分からない。途方に暮れていたが、
「あれ?あんたも調達か?」
後ろから声がしたので振り返ると、薪を担いだ人がこっちに歩いてきた。
「うーん、村にこんな奴はいたっけな…」
「えっと、その村に行こうとしたんですけど、道が分からなくて。」
「はは、この草原は草と少しの木しか無いからな、旅人が迷うのも無理はない。」
何やら旅人にされたが、この人は村の人だろうか。だったら話は早い。
「村に行くんだったら、ついてこいよ。案内してやるぜ。」
「あ、ありがとうございます。」
このまま野垂れ死ぬ事はなさそうだ。
俺は村の人についていく事にした。
「そういやあ、あんたはあそこで何をやってたんだ?」
「あっ、えっとその……」
「ははーん、さてはあの場所に行こうとしたな?」
「あの場所?」
「ちょうどいいや、ちょっと寄り道するぞ。」
そう言って村の人が走り出していった。追いかけるが、あの人結構速え。陸上選手ぐらい速い。
そんなことを思いつつやっと追いついて、
「ほら、見てみろよ。もうすぐ明けるぜ。」
そう言われて、息切れしながらも顔を上げると、
「…………すげぇ……」
山と山の間から日が上るのが見える。
都会で出てくる太陽よりも輝かしく見える。
俺は勝手に声が出ていた。
「あー、この光景はいつ見ても飽きないな。よし、もう村の近くまで来てるからな。行くぞ。」
俺はこの光景に感動しながらも、村の人について行った。