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Lv99の魔物がいる異世界  作者: てすとす
第1章 王国
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依頼

「ふふ、なかなか優雅な挨拶ができました。またいつか、ここで合えるといいですね。」


水無月春花はさっきとは違う雰囲気で喋った。おそらく気分まで優雅になっているんだろう。多分だが。


「ああ、またいつか。」


「私、休憩の時間中はいつもここで買い物するんです。もしかしたらすぐ再会するかもしれませんね。」


そう言って水無月は城の方へと歩いていった。

さて、観光を続けますか。





観光していたら、気になる建物を見つけた。白レンガの建物で、みるからに冒険者な人達が建物を出入りしていて、5人ぐらいの人達でパーティを組んで城門の方へ歩いていく。


建物の看板には[ギルド]とデカデカと描かれている。もしかしたら依頼、クエストとかそういうとこか?


中に入ってみる。



内装は床は木製で、両端に大きめの机と椅子があり男達が酒のようなものを飲んでいて大騒ぎしている。

奥には長いテーブルがあり一人の女性が酒瓶を磨いている。あの人に説明を聞けばいいのか?


「あのーすいません。」


「はい、何かご用でしょうか?」


女性はオレンジ色の髪という異世界特有の髪色で、スーツのような服を着ている。


「えっと……依頼とかここで承るんですか?」


「はい、右に張られてある依頼書を選んでこちらへ持ってきてください。」


女性が右側を指す。色々と書かれている紙が張られていて、これが依頼書のようだ。



「草原の薬草採集、洞窟の鉱石集めや配達の仕事やら…………何かパッとしないな。」


とはいっても宿代とかもあるので贅沢は言ってられない。俺は一枚の紙を剥がす。



「これやります。」


「はい、鉱石集めですね。少々お待ちください。」


女性が紙にサインみたいなものを書いていく。女性がサインに指を添えると、サインは赤く変色した。


「手続きが完了しました。どうかご武運を。」


紙を受け取る。鉱石集めの内容は、洞窟にある鉄鉱石を集めてきてほしいとのことで、報酬は銀貨3枚。たしかロングソードが銅貨70枚だったからしばらくは生活していけるかもしれない。


ギルドを出て早速洞窟へ行こうと思ったが、一応商業区に寄っていこう。






「傷薬は銅貨20枚だよ。」


「はいどうぞ。」


「きっちり20枚、たしかに貰ったぜ。持っていきな。」


…………なんかナチュラルに買ってしまったが、これヤバくないか?


「残り5枚………」


俺、買い物下手だな。よし、もう行ってしまおう。


持っている地図には洞窟の場所がはっきりとある。お金稼ぎの為、俺は城門を出て洞窟へと向かった。




エスカド王国を出てしばらく北東にある洞窟までやってきた。山の麓に大きな穴があり、そこが入口であることが分かる。


「おっ、丁度いいとこにツルハシが。」


入口前にツルハシが立て掛けてあった。俺はそれをありがたく使わせてもらうことにした。


「それじゃ、鉱石集めいきますか!」


ツルハシを担いで洞窟に入る。折れていた立て札を見もせず。







[魔物が鉱石に擬態している可能性があります。

決して一人で行かないように。]









洞窟の中の光源は壁に掛けてあるランタンだけらしい。街で光源を買いたかったが、銅貨5枚じゃパンぐらいしか買えなかった。


それはさておき洞窟はしばらく一直線のようだ。

奥は見えないがそのまま進めばいいはず。洞窟の暗さに目を慣らそうとしながら、俺は奥に進んだ。





しばらく進むと広い場所に出た。壁にランタンは付いているが真ん中まで光は届いていない。

壁に沿って進んでいると、キランと光るものが壁に埋まっていた。


「これが鉄鉱石か? 掘ってみるか。」


ツルハシを持ち、鉄鉱石の周りを狙って振り下ろす。


「ふっ!」


カーン………


洞窟内に高い音が響き渡る。その音を聴きながら順調に壁を掘っていく。





「これだけ掘れば取れる………か!」


鉱石がむき出しになったところで掘るのをやめ、鉱石を引っ張る。するとスポンッと鉱石が抜けた。



「これが鉄鉱石か?なんか異様に白いな。」


鉱石は片手で持てるぐらいの大きさで、真っ白に光っている。珍しいものかと見ていると。






目が 合った。



目を擦ってもう一度確認する。

鉱石にあったはずの大きな目は無くなっていた。


気のせいかと思い、他に埋まっている鉱石を探す。しかし見つけた鉱石はすべて同じ真っ白なものだった。


この世界の鉄鉱石ってこんな見た目なのか?

そもそも鉄ってどんなのなんだ?



色々考えていると、なにやら違和感を感じた。

鉱石がいつのまにか数が減っている。


「どっかに落としたか?でも全部置いたはずなんだが……」


残った鉱石をじーっと見る。






いくつかの鉱石と目が合った。




目が あった。





目がある鉱石は何もしていないのにフワフワと浮き始める。そして目があった場所は鋭い牙を持った口に変わり、


「カカカカカカカカカッ」

         「キヒヒヒヒヒヒ」

   「ケケケケケケッ!」




複数の鉱石が奇妙な鳴き声を上げながら襲いかかってきた。




さすがに唐突すぎた。反省はしているし後悔もしている。だがもう戻れない。

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