第四話 生首来たりてテクニカルタームを吐く
今回の挿絵はちょっとグロいです 文章の中ほどにあるのでグロ苦手という方は、画面右上の「表示調整」タブをクリックして「挿絵表示中」をさらにクリックすると挿絵を非表示にできます
日付通りに始業式が行われた。校長の話、生徒会長の挨拶、生活指導主任からの諸注意………。俺が覚えている通りに式は進んでいく。
やはり俺は九月一日二学期の始業式の日に『戻ってきた』らしい。
だが信じられない信じたくない。
教室に戻る。
前の席に座ったクラスメイトが俺に話しかけてきた。
「なあなあ!! さっき言うとった『御厨あさひ』の写真集見るやろ?! 今日発売! 刷りたてホヤホヤ! コンビニで買ってきたばっかりやで!!」
この朝からテンション高い男は田所仁一。似非関西弁がうさんくさい俺の友人である。
俺はキラキラと輝く田所の瞳を間近に見せ付けられて、眉を顰めた。
「田所」
「ん? なんや? ちょっと待ちいな。今包装破いとるところやさかい。この瞬間がたまらんのお~」
「いいからちょっと死んでくれ」
「わかったわかった!! これ破いたら死んだるさかいってえええええええええ―――?!」
田所が目を剥く。
「なんでやねん!! なんでわしが死ななあかんねん!! それにちょっと死んでくれってなんやねん!! ちょっと死んだらわし二度と戻られへんやないかい!!」
「あっ、間違えた。ちょっと黙っててくれ」
「おおおい!! どうやったら黙っててくれが死んでくれになんねん!! おかしない?! それおかしない?!」
くどいツッコミを入れてくる田所を無視して俺は『御厨あさひ』の写真集を手に取る。ああ、やっぱこれも見覚えあるわ。とくに際どいマイクロビキニに包まれた乳の辺りに。
「………くそっ、乳憎し!!」
「あの、村田さん? なんで俺の写真集を親の敵みたいに睨んではるのん? 乳憎しってなあに?」
危険を感じたのか写真集をそーっと俺の手から引き抜きながら田所が恐々疑問を呈するが、俺にはそれに答える心の余裕など無い。
とても信じられることではないが、どうやら俺が九月一日に『戻った』のは確かなことらしい。
俺が覚えている九月一日以降の出来事が全て夢だったという可能性よりは『戻った』という可能性の方がありそうに思えるしな。
………分かってるさ。それだって途方も無い話だってことは。結局のところ俺は優奈や梨璃花、御白たちと重ねた時間が全て夢だったなんて考えたくも無いんだ。
それに俺の記憶にはまだ続きが残っている。その記憶が四人と過ごした時間が夢ではなかったと語っているんだ。
思い出したくも無いが、思い出すしかないな。
そう、それは、
惨劇の続きだ。
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『その小娘共を助けたいか?』
声はそう問いかけてきた。瓦礫の中愛音を抱えた俺は辺りを見まわす。
なんだ? いったい誰だ? 小娘共? 愛音や優奈、梨璃花の事か?
『答えよ小僧。その小娘共を助けたいか?』
「助けたいに決まってんだろう!!」
俺は反射的に答えていた。相変わらず声量は出ず、直後に咳き込む。
胸からせり上げって来た血が僅かに溢れ口元を伝う。滴り落ちた血は開いたままの愛音の瞳に落ち、目の縁にたまると彼女自身の涙のように流れ落ちた。
『くくく。よかろう』
再び声が響きそして俺の耳にゴロゴロという何かが転がってくる物音が聞こえてくる。瓦礫の隙間から姿を現したのは、
女の生首、だった。
「………っ!!」
声にならない悲鳴を上げる俺に生首は口の両端を吊り上げてニイッと嗤って見せた。
『驚いたか? まあ無理も無いの』
さらにくくっと笑い、ぎょろりと金色に輝く瞳を向けてくる。
そう金色だ。人間の瞳にはありえない色彩。そして顔を縁取り床に広がる長い髪も金色。何故か耳の辺りに眼鏡の残骸らしきものが引っかかっている。
異形。そうとしか言いようが無い。
首は千切れたように酷い断面で半ば辺りで途絶え、脊椎らしき物がダラリとまるで尻尾のようにこちらに伸びている。
要は死体だ。死体がしゃべっている。動いている。ありえないコンナコトハアリエナイ。
あまりの異常事態に思考が停止しかける俺を生首が叱咤した。
『これ! 呆けるでない!!』
パクパクと生首が喚く。しかしその声は口から出ていると言うより頭に直接響いてくる感じだ。
『時間はあまり無いぞ。よく聞け』
生首が俺の瞳を見据えて目を細めた。
『今から貴様の存在軸を基点としてここから既存世界に逆向きに積層皮膜を構築する』
レイヤー? なんだそれは?
『ワシが構築したレイヤーによって貴様はもう一度『世界を塗り直す』機会を得るじゃろう』
塗り直す? 塗りなおすって何だ?
『それこそが貴様にとって唯一の小娘共を救う機会じゃ』
救う? 俺が愛音たちを?
『では始めるぞ』
待ってくれ。俺は一体どうすればいい? お前はいったい何をする気なんだ?!
俺は尋ねたはずだ。
だが記憶はここで途切れていた。唐突にぶっつりと。
まるで途中で停電でも起こしたみたいに。
テクニカルタームを連発して置き去りにするスタイル
次話でのじゃ様が説明してくれますのでご安心ください




