そのゲーム、裏アリ。
このガラッと雰囲気の変わったウサギに、どう反応したらいいのか分からず、ただ痛々しいものを見る視線を向けた。
「そんな、ノリの悪いお前らにサービスをしてやろう」
ウサギがいかにも悪そうな顔をして、笑う。
それと同時に自分の前にメニュー画面が表示された。
少年の方を見てみると、彼も私と同様に画面が表示されていた。
「一番右下に注目だ」
ウサギが言った場所には、『save』とかかれたボタンがある。
そういえば、セーブしてなかったな……。
「全員見てるな?じゃあ、行くぞ」
いやな予感がした。というか、そんな予感しかしない。だから、ボタンに手を伸ばす。
「ポチッとな」
私がセーブボタンに触れたと同時に、セーブボタンはその場から『消えた』。
「なっ!?」と呟く少年の声が聞こえる。予感はしていた。でも、だからって……。
「驚いてるみてぇだなぁ。言っとくが、それだけじゃねぇぜ?リセット、そして、ゲームをやめることもできないようにした」
今度はあまりのことに声も出なくなった。
「おおー、どのプレイヤーも顔面蒼白だなぁ。怒って、モノを投げつける奴もいてるなぁ。まあ、どっちにせよ、そういうこった。言っておくが、これはこのゲームの設定でも何でもない」
ウサギは片唇をクイッとあげた。
「さぁて、このままお前らがゲームをし続けたら、現実世界のお前らの体は一体どうなるだろうな?」
ゲームをやっているから、体は関係ない、なんてことはない。ゲームをしている間も、心臓は動き続け、普通に生きている。そう、だから、ずっとゲームの世界に居続ければ、栄養がとれていない体は死に至る……。ザアーッと血の気が引いていく。
「まあ、全員分かったみテェだが、そう、体は死んじまう。でも、誰かと一緒に生活してるヤツなら、相手が病院に連れて行ってくれるかもしれないな。そうすれば、生きることはできるだろう」
ホッと胸を撫で下ろす。私は父、母、弟と共に暮らしている。きっと、気づいてくれるだろう。
ふと、少年の方を見る。左手が震えており、顔は真っ青だった。……一人暮らしなのかもしれない。
「でも、一生意識は戻らない。……なんてのは、さすがに嫌だろうなぁ?」
嫌に決まっている。家族に心配はかけたくない。
「俺だって、そこまで悪いやつじゃあない。ある事を成し遂げられれば、お前らを元の世界に戻してやろう」
ゴクリ、と唾を飲む。汗がツーッと流れ、着ている服に落ちる。
「その、ある事っていうのはな……」
ウサギが怪しく笑った。




