その少年、焦る。
「はあ、はあ、はあ」
自分が肩を揺らして息をしているのが分かる。
『YOU ARE WINNER』
急に目の前に画面が表示される。森の中で敵を倒した時は、何も表示されなかったのだが。やっぱり、よく分からないゲームだ。画面が切り替わり、経験値が表示される。げげげ!レベルが一気に七つも上がった。
しかし、経験値をもらったのは俺だけのようで、後ろの少女はもらえていない。
「すごいですね……」
まるで呟くように話しかけられた。少女はいつの間にか、俺の真横にいて、上目遣いで俺を見ていた。
「そ、そ、そ、そんなことないで、す……」
いまさらだが、コミュニケーション力をもう少しつけておくべきだった、と思う。
「プレイヤーの方ですか?」
「え、あ、はい。あなたも?」
「はい」
崖から出てくるヒロインはさすがにいないですしね、なんて言ったら戦闘になるかもしれない。
「私、戦闘ゲームが苦手で……。よければ、一緒に旅をしてもらえませんか?」
な、な、な、な!?お、女の子に誘われた!?恋愛ゲーはいつも「面白くねえ」とか思ってたけど、実際に言われると……ヤバイだろコレ!このコ、よく見ると、ってかパッと見ても普通に可愛いし!いや、待て。これは、ゲームの世界だから、外見なんてどうにだって出来るし!もしかしたら、操作してるのが男っていう可能性があるし……。いや、でも、可愛い。うわあああ!戦闘中はこんな気持ちとかならなかったのに、何故だ!?
「あ、あの……」
「うぉっ!え、いや、こ、こちらこそよろしくお願い、します」
そう言うと、少女はほっとした顔をして、ニコッと笑った。
か、可愛い……。
なんて思っていると、消えたと勝手に思い込んでいた画面が、ザー、という音をたてはじめた。




