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遅少年と早少女  作者: 粉巻 まひる
プロローグ
2/25

その依頼、新タイプ。

 俺こと「中崎裕真」は、「ゲー代」として働いている。「ゲー代」とは、ゲームを依頼者の代わりにする仕事だ。依頼のほとんどは、「ゲームを作ったので、ちゃんと動くか確認してもらえますか」というものだ。ときたま、「キャラクターのレベルを上げてください」という依頼もある。

 この仕事は、ゲームにしかとりえのない俺にとって、最高の職業だ。収入はそんなに高いわけではないが、節約すれば、人一人が生活することはできる。両親は不登校で世間に出ない俺を恥ずかしく思い、高校三年の時に家から遠く離れた分譲マンションの一部屋を買い、俺の荷物と一千万入った通帳を置いて、

「お前はこれからここに住む。そして、お前とは縁を切る。もう赤の他人だ」

と言って、去って行った。それ以来、両親とは会っていない。子供を捨てた親に、会いたいとも思わないが。



 新しく依頼があった。「新作ゲームを試してほしい」という。よくあることなので、そのときはなんとも思っていなかった。送られてきたゲームソフトは、最近新しくできたゲーム機器「ダイル」を使って遊ぶ。ダイルは、新感覚のゲーム機器で、機械の形はヘッドフォンみたいだ。どこが新感覚なのかというと、「電源を入れた途端、まるでゲームの中に入った感覚に陥る」からだ。しかし、どんなものにも問題点がある。ダイルは、「新感覚のせいで、なかなかゲームから離れられない」のだ。それによって、幼い子供を持つ親から、苦情がたくさんあったらしい。それから、売れ行きが下がっていると聞いたが、それでもゲームソフトを作る者もいるようだ。

「?」

ゲームソフトの入っていた箱に、手紙が一緒に入っていた。

「このゲームは、たくさんの人とインターネットで繋がることで、より楽しめるようになっております。だから、あなた様だけでなく、ほかのゲー代の方々にも体験してもらっております……か」

これまでで、初めてのタイプだ。ほかの人との触れ合いのあるゲームのゲー代は、受けたことがない。こういう事は、早めに言ってほしいものである。

「さて、プレイするか……。」

ダイルにソフトを差し込み、俺は電源を入れた。

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