その少年、遅れ気味。
俺は、「遅れる少年」だ。
学校の登校時間に間に合った回数よりも、遅刻した回数の方が多い。最初の反抗期は、高校二年の時だ。課題でほかの人より早く終わったことがない。いつも放課後は居残っていた。
学校関係だけじゃない。流行にも遅れる。周りが進路を決めている時、一年前にブレイクした芸人にはまっていた。
そして、俺についたあだ名が「遅少年」だ。この名を初めて呼ばれた時、ちょっとしたスランプに陥った。まぁ、数日で回復したけれど。
しかし、遅少年の俺にも先取りできるものがある。それは、ゲームだ。ゲームのジャンルはない。どんなゲームでも、俺がプレイした後、バカ売れするのだ。小学生の時は、ゲームがうまいということで、俺は人気者だった。
しかし、それは幼い子供の間だけであり、高校生にもなると、周りの反応は変わっていた。俺は元々、人見知りで、相手から話しかけてくれることをずっと待っていた。だが、話しかけてくるどころか、暗いという印象を持たれてしまい、避けられるようになった。
そして、俺は不登校になった。最初は「行きたくない」という感情ばかりだったが、三ヶ月経つと、「これ面白いかも」と思い始めた。何が面白いかは分からないが、今置かれている状況に奮い立った。それからは家でのゲーム三昧。自分は
幸せだと思った。不登校の状態をこう思えてしまう俺は、それ以来、学校には行っていない。それから、そんな毎日を続けていた俺は……。
「はいはい、ゲー代の依頼ですね。一つのステージにつき、五百円。期限は?あー、分かりました。では、さようなら。」
俺、十八歳。ゲームで生きる人間だ。