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詩音 高校1年目の春2 複数視点

最近の噂の主だ。


迷宮に迷子が籠っている。

と専ら噂されている人物を今日も見る。


迷宮とはいえ実装直後から解放されている、始まりの階層なら、危険になることはない。

そんな理由とで皆放置してる。

このクリエイティブな世界で、迷宮や滝修行、山籠りの3種類は、あくまでも才能の方向性を決めるべくのツールであって、倒されたから死ぬみたいなことはない。

せいぜい強制接続解除で幻も見ない夢を経て起床するだけ。


人と人の夢を繋げて交流したりできるのが、ゲームを行う若い世代限定ではなく、最小限の機器と接続端子たる深い睡眠さえクリアしてしまえば誰でも利用可能なのがこの世界の特徴なのだから。


だから敢えて助けない。

手を伸ばさない。



各街に最低でも一人ずつは存在している、通称:『拾う神』を断ったプレイヤーに、近づく人は物好きでしかない。


そうして、私達は今日も生温く迷子もどきを見る。



少女視点。→→→→→


通称:『拾う神』

初期にランダム発生すると言われているクエストフラグを立て、

各種無くしもの系クエストを根気よく探し続けた結果、街のマッピングが9割近くになったプレイヤーには、

迷子、落とし物・者、迷ペット、誘拐、家出、行方不明捜索etc.

等各種のフラグがたつようになり、その限定街内において、ぶらっと歩いていたら、何か拾った←落とし物だったが高確率で発生するようになってしまう。


拾う神若しくは、あなたの街の探偵さんとも呼ばれるが、別に探偵職はいる。

職業:探偵は主に現実世界のことに相談若しくは、色恋系を引き受けている。不倫とか浮気相手捜索とか、恋人蒸発とか。


そんな通称『拾う神』が人の集まる居酒屋で、迷宮で迷子っぽい人に迷子じゃないと断られた話をするとどうなるか。



結論。

迷子を装ったロールプレイング中のプレイヤーと判断され、手を伸ばさない環境が出来上がる。



「失敗したなぁ…」

ちょっと別件で苛ついてただけなのに。と、迷宮の片隅でため息をつく。


良くも悪くもな有名人に対して、さらに有名にしてしまった。


「仕方ない、フォロー頼んでおこう」

設定されているコマンドを打ち込んで小窓を出す。

宛先とメッセージ打ち込んで飛ばせばきっと助けてくれるだろう。


「じゃ、もう一度挑戦しますか。」

ディアスゲートという街の拾う神は優しく無いんだよ〜?と苦笑して。




詩音。→→→→

チュートリアルまでは楽勝だったのに、それを卒業してしまったら、何が何やらさっぱりだ。

ここが迷宮なのは知っているけれど、この半透明なMobにこちらの攻撃が効きにくい。


申し訳程度のステータスコマンドを叩いて表示させてみても、さっきから累積ダメージはもう倒していておかしくないのに倒れない。


「これ、どうなってるんだよ…」

今さら見逃してくれるかわからないけど、背を向けて逃げ出そうとしたら、すぐ真横を風がすれ違い、一瞬のうちにガラガラと音をたてて骸骨は骨の山になった。



「倒して良かったのよね?」

振り返った先にいたのはこの間の迷子だと疑って声をかけてきた少女。


「あ…ああ」

この間下手なプライドで断って気まずい思いをしたことを思い出す。

「それとも要らぬお節介だった? 」

前回同様首を傾げて聞かれるけれど、その言葉が煽っているように聞こえるのはこの際気づかなかったことにする。


「今の、どうやって…」

中々倒れなかった骸骨が一瞬にしてバラバラの骨になったのにはどう細工があるんだろうと、ぼんやり考える。

「えっ…初心者RPロールプレイングじゃなくて本当に本物の初心者?取説は?チュートリアル受けたでしょ?」

矢継ぎ早に言われる言葉にムカッときて抑えきれなくて反論する。


「チュートリアルは終わったさ、それがなんなんだよ」


これ見よがしに盛大なため息をついて、少女は額に手をおく。

「チュートリアルで取説はしっかり活用せよ、餌を忘れるなって言われなかったの?迷宮は初心者が単独で挑む所じゃないよ、ダメージ発生してるように見えてるだけ」

持って無いなら違法ルートで来たの?と訝しげに聞かれてポケットから慌てて取り出す。

チュートリアルでもらった深い青色の取説はやや色褪せて見えた。


これか?と見せた掌サイズの取説を見て少女は表情を凍らせる。

「ちょっと、これあげる。取説貸して、あんたは適度に旗振ってなさい」

俺から取説を有無も言わさず取り上げ、少女の首にぶら下がっていたアクセサリーの先端から白い欠片を引きちぎる。

口許を隠してなにか呟き、俺の取説の窪んだ場所に押し当てた。


「お前っ、なにやって?!」

慌てて取り返そうとした俺が伸ばした腕の届かぬ先にバックステップして避け、取説にその欠片を埋め込んでしまう。


「教わったでしょ、取説は夢意識をこの世界に導くための大切なツール。常に使えるよう、動力である欠片を補充しなさいって!」

そうだったかもと、思い出せば目の前の少女は真っ赤になって怒り心頭のようだった。


「信じられない、そこで旗振ってなさいよ。親切な人に教わるといいわ、貴方みたいな無駄にプライド高い人」

取説を投げつけられて少女は闇の中に消えていく。

手元に残ったのは、黄色いだけの旗と深い青色の取説。

先ほどよりはやや色が鮮やかになった気がした。


「一体何だっていうんだよ。わかんねーな…」

旗を振れば親切な人が通りかかるという話だから、素直に従う。

僅かに発光している旗の光を頼りに取説を開いて見ようとするが、捲られてくれなかった。


「本当になんなんだよ、この世界…」

もう、旗を振る以外思いつかなかった。

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